★2015/10/13 ユネスコは金で動くか?「南京大虐殺」世界記憶遺産問題と分担金停止・削減検討問題
★2015/10/15 記憶遺産でブーメラン ロシアが「日本がユネスコを政治利用」と批判、シベリア抑留の登録で
★2015/11/29 日本と中国がユネスコを政治利用 インドネシア・タイなどが困惑
★2015/10/13 ユネスコは金で動くか?「南京大虐殺」世界記憶遺産問題と分担金停止・削減検討問題
●ユネスコは金で動くか?「南京大虐殺」世界記憶遺産問題と分担金停止・削減検討問題
南京大虐殺の百人斬り競争、小学校で「ほがらかな話」と教えていたでちょっと触れた「南京大虐殺」がユネスコの世界記憶遺産になった件。
ユネスコが中国にカネで買収されたと言っている人もいましたが、そう言うには証拠が必要です。そして、むしろカネの力でユネスコを都合よく動かそうとしているのは日本…というのが、現在の状況を客観的に見た姿です。
菅官房長官:ユネスコ分担金「停止・削減を含め検討」 毎日新聞 2015年10月12日 23時44分(最終更新 10月13日 08時15分)
菅義偉官房長官は12日のBSフジの番組で、国連教育科学文化機関(ユネスコ)が世界記憶遺産に「南京大虐殺」に関する資料を登録したことを受け、ユネスコ運営のために拠出している分担金について「政府として停止・削減を含めて検討している」と述べた。【高本耕太】
●まるで中国政府のような日本政府の対応
前回も書いたように、日本政府はもともと南京事件での殺害は否定していない立場です。
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南京大虐殺、安倍首相も政府も否定せず 日中歴史共同研究も批判 ここらへんどうするのかな?と思ったら、「確かに南京で非戦闘員殺害とか略奪行為があったことは否定できないが、(犠牲者の)人数にはいろんな議論がある」と語ったそうな。
数十万人みたいな殺害人数は私も考えられないと思いますし、この点はユネスコの精査の甘さに問題があります。でも、そのためにユネスコ分担金の停止まで持ち出すというのは、まともな国の対応には見えません。
わがまますぎて理解できず、今までならちょうど今回の相手国の中国がやるようなやり方でした。日中が逆になってしまいましたね。
●ユネスコよさらば! 我が代表堂々退場す
日本政府の対応は、戦前の日本の国際連盟脱退を思い出しました。で、はてなブックマークみたらやっぱり他の方もそう思うみたいで、以下のような人気コメントがありました。
“ユネスコよ、さらば。我が代表、堂々退場す!”(kyuusyuuzinn 2015/10/13)
(
はてなブックマーク - 菅官房長官:ユネスコ分担金「停止・削減を含め検討」 - 毎日新聞)
教科書で習ったから知っていると思いますが、これは当時の新聞の見出しですね。戦前は「愛国」新聞だった朝日新聞の、『連盟よさらば! 連盟、報告書を採択し我が代表堂々退場す』が元ネタです。(戦争を煽って間違った道に行かせたのですから、本当は戦前の朝日新聞の報道こそが本当の「反日」ですけどね)
国際連盟脱退の経緯は以下の通りですが、契機となった柳条湖事件は旧日本軍による捏造、いわゆる自作自演だったことを補足しておきます。
国際連盟 - Wikipedia
柳条湖事件を契機に日本が満州全土を制圧すると(満州事変)、清朝最後の皇帝・溥儀を執政にする満州国を建国した。これに抗議する中華民国は連盟に提訴。連盟ではイギリスの第2代リットン伯爵ヴィクター・ブルワー=リットンを団長とするリットン調査団を派遣する。リットンは日本の満州における“特殊権益”は認めたが、満州事変は正当防衛には当たらず、満州を中国に返した上で日本を含めた外国人顧問の指導下で自治政府を樹立するように報告書に記した。「リットン報告書」である。
1933年2月24日、国際連盟特別総会においてリットン報告について審議され、最終的な同意確認において、賛成42票、反対1票(日本)、棄権1票(シャム = 現タイ王国)、投票不参加1国(チリ)であり、国際連盟規約15条4項[7]および6項[8]についての条件が成立した。この表決および同意確認直後、席上で松岡洋右日本全権は「もはや日本政府は連盟と協力する努力の限界に達した」と表明し、総会会場を去った(朝日新聞で大きく報じられた『連盟よさらば! 連盟、報告書を採択し我が代表堂々退場す』である)。
●分担金停止・削減検討を批判する奴は左翼?
先のはてなブックマークでは、“はてブだとこういうコメばかりになるんだね。”(aceraceae 2015/10/13)というコメントもありました。「はてサ」というタグもあったので、左翼だから批判意見が出ているという意味でしょう。
実際にははてなブックマークでも、ネトウヨ的な意見が跋扈することがあるのですけど、まあ、概ね保守派的な言動は支持されない傾向があると思います。
ただ、今回の件は非難されて当然ですよ。いつも書いていますが、日中立場を逆にしてみるとわかります。とても支持できるなようではありません。
“これが「当然の反応」だとか言う人は、ユネスコがもし「金出さねえなら『明治日本の産業革命遺産』とかいうのもナシな?」とか言い出したらそれも「当然の反応」とか言って納得できるのかねえ…”(fujiyama3 2015/10/13)
“「(犠牲者の)人数にはいろんな議論がある」ことには同意。ただ資料の妥当性(信憑性)に疑念を示し訴えることと、分担金停止・削減(検討)はレベルが違うと考える。”(mikawa_1964 2015/10/13)
“妥当性を欠くと言うなら、その根拠を示して取り消しを求めればいいのに、いきなり金の話になるのは、南京大虐殺がなかった証拠を政府として示せないことを暴露しているな。”(ganpo 2015/10/13)
“ブラフだとしてもこういう態度をとればとるほど登録申請した中国側の主張の正当性が高まるということに気付かないあたり本当におバカ。本気なら目も当てられないが。”(inumash 2015/10/13)
“こういう圧力を掛けるのが日常茶飯事の政権は発想が違うな!国内で通用することが国際的に通用すると思うようでは、おごりたかぶりも最高潮。”(toshi20 2015/10/13)
“この国の政治って、官房長官まで、札束で顔を叩くのね。”(ueshin 2015/10/13)
“エスカレーションしてどうする/人数的な議論だって元をたどれば日本が資料を焼いたのが原因だし、優位に出れる立場でもなかろう。”(houjiT 2015/10/13)
私は普段の中国政府のやり方は問題ありまくりだと思うので、支持しません。ただ、これは中国が嫌いだからではなく、やり方おかしいと思うからです。なので、中国と同じようなことを日本をするのも、当然支持しません。
ところが、普段激しく中国を非難する人ほど、中国的な対応を日本が取ることを好み、支持するんですよね。何で同じレベルに立とうとするのか?と思うんですが、思考が同レベルなんでしょう。
「争いは、同じレベルの者同士でしか発生しない!!」という言葉があります。本当は大嫌いな言葉なんですけど、こういうケースにはよく合っている言葉と思ってしまいました。
★2015/10/15 記憶遺産でブーメラン ロシアが「日本がユネスコを政治利用」と批判、シベリア抑留の登録で
●ロシアが「日本がユネスコを政治利用」と批判、シベリア抑留の登録
笑い事じゃないんでしょうが、見出し見て笑っちゃいました。何かまるっきり日本が言っていたようなセリフですね。デジャブを感じます。
“シベリア抑留”の記憶遺産登録 ロシアが日本批判 NHKニュース 10月15日 8時13分
第2次世界大戦のあと、旧ソビエト軍に連行され、シベリアなどに抑留された人が抑留中の体験を書き残した日記など、いわゆるシベリア抑留などに関する資料は、日本がユネスコの「記憶遺産」への登録を申請し、アラブ首長国連邦で今月開かれたユネスコの国際諮問委員会で登録が決まりました。
これについて、ロシア政府のユネスコ委員会のオルジョニキゼ書記は14日、ロシア国営通信に「ロシアは日本に対し、登録の申請を行わないよう働きかけたにもかかわわらず申請が行われた。日本は2国間で解決すべき政治問題をユネスコに持ち込んだ」と述べ、日本が「記憶遺産」を政治利用していると批判し、今後、外交ルートを通じて適切な対応を取るとしています。
●日本が使った「ユネスコを政治的」をそっくりそのまま
とりあえず、「政治利用」というキーワード。これは菅官房長官が言っています。
菅氏:「中国はユネスコを政治利用」 毎日新聞 2015年10月02日 20時37分
菅義偉官房長官は2日の記者会見で、中国政府が国連教育科学文化機関(ユネスコ)に対し、旧日本軍が関与した南京事件と慰安婦問題に関する資料を世界記憶遺産に登録申請したことについて、「ユネスコを政治的に利用している。過去の一時期における負の遺産をいたずらに強調し、極めて遺憾だ」と批判した。昨年6月以降、中国に抗議し、ユネスコに懸念を伝えていることも明らかにした。
●「申し入れを行ってきたにもかかわらず」とも言っていた日本政府
また、私は「ロシアは日本に対し、登録の申請を行わないよう働きかけたにもかかわわらず申請が行われた」という言い方にも聞き覚えがありました。
これは中国に対してではなく、ユネスコに対してでしたが、外務省の報道官談話で用いられたセリフと似ていました。
ちなみにこのときには、シベリア抑留の関連資料が登録されたことに関して、「誠に喜ばしいことであり、関係者の皆さまとともに決定を歓迎したい」といっしょに触れていました。
外務省「極めて遺憾」 「南京大虐殺」登録で報道官談話 産経新聞10月10日(土)8時5分
外務省は10日未明、国連教育科学文化機関(ユネスコ)が記憶遺産に「南京大虐殺文書」の登録を決めたことについて「遺憾」とする報道官談話を発表した。
談話では「中国の一方的な主張に基づき申請されたものであり、文書は完全性や真正性に問題があることは明らかだ」と指摘。そのうえで「日本政府が申し入れを行ってきたにもかかわらず、記憶遺産として登録されたことは、中立・公平であるべき国際機関として問題であり、極めて遺憾だ」と批判している。
●記憶遺産でブーメラン、日本の外交下手が炸裂
はてなブックマーク - “シベリア抑留”の記憶遺産登録 ロシアが日本批判 NHKニュースの人気コメントを見ると、以下のようなものがありました。
“そもそも記憶遺産とかいうプロジェクトの存在意義がわからん。”(world3 2015/10/15)
これは記憶遺産そのものを蔑めて、南京大虐殺も矮小化しようとしているようにも受け取れます。保守派の投票はここに集まったのかもしれません。
ただ、全般的には普通に日本政府への批判が多かったです。
“「リソースもないのに傲慢と楽観に基づいた作戦計画で無謀に戦端を拡げすぎ、想定外の参戦も招いて詰んだ」という点で、今般の「歴史戦」は大東亜戦争に対するオマージュなのかもしれない”(muchonov 2015/10/15)
“南京の件について日本政府がアレ対応したときに「じゃ、シベリア抑留についてロシアがどうこう言ってきたらどうするのよ」というコメントが散見されたが、本当にそういう事態になったな(火を見るより明らかだったが)”(kowyoshi 2015/10/15)
“わはは、なんて見事なブーメラン(笑)本当にこの国は大日本帝国の頃から国際政治がドヘタクソだよね。”(sofa220 2015/10/15)
“まあ、こうなるよね。”(potatostudio 2015/10/15)
なるほどと思ったのは、以下のコメント。
“南京事件登録については資料の正確性に絞って議論するべきだったのに・・・政治利用はダメみたいなこと言うからこういうブーメランになる。”(kato_19 2015/10/15)
確かにそうですね。私も犠牲者の人数については問題を感じており、そこだけを責めるのであれば無理筋ではありませんでした。ところが、中国が何もかも悪い!とはしゃいで騒いだために、見事なブーメランとなってしまいました。
何も考えていなかったのか、支持者に向かって勇ましいポーズをアピールしたかったのかなどいろいろと考えられますが、本心では南京事件そのものをなかったことにしたいがために、部分的な資料の問題のみ批判するという比較的理解される選択肢を取れなかったのかもしれません。
いずれにせよ浅はかな行いであることには違いなく、安倍政権は本当外交下手だなぁ…と改めて感じる一件でした。
★2015/11/29 日本と中国がユネスコを政治利用 インドネシア・タイなどが困惑
★2015/11/29 日本と中国がユネスコを政治利用 インドネシア・タイなどが困惑
●日本と中国がユネスコを政治利用、インドネシア・タイなどが困惑
おっそい話で申し訳ないですが、
多くの保守派の研究者はバランスが取れていない、外務省が認めるを書いたときに見つけた話。
私が最初見たところは元URLがなく、信頼できず。ただ、検索かけたら、どうやらTBSの報道らしいというのは確認。TBSはすぐ消しちゃうところですので、当然リンク切れ。しかし、以下はURLと内容と両方残っていたので、ある程度信頼できそうな感じでした。
安倍政権が南京虐殺否定派の学者引用←東京地裁が「通常の学者ではない」「学問研究の成果に値しない」 赤かぶ 投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 11 月 07 日 08:00:05
馳文科相がユネスコ総会演説、記憶遺産「透明性向上を」
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2629400.html
(中略)
この問題をめぐる対立に、各国は困惑を隠せません。
「記憶遺産について?ノーコメントだよ」(ミャンマー代表)
「関わりたくないよ」(インドネシア代表)
「ユネスコは政治問題を避けるようにしないと。ここは教育・科学・文化の場なんだから」(タイ代表)
(中略)(TBS 2015年11月06日16:15)
「ユネスコは政治問題を避けるようにしないと」というタイ代表の発言は、都合よく中国のみへの批判だとみなすことも可能です。また、ミャンマー代表も単にノーコメントというだけで、それ以上ではないかもしれません。
ただ、インドネシア代表は素直ですね。「関わりたくないよ」というのは、はっきり迷惑だとわかる言葉です。馳文科相がユネスコ総会演説したときの話ですので、日本だけを迷惑と捉えることも可能ですけど、中立に両国の争いに迷惑しているものと捉えておきます。
●東中野修道の研究を「学問研究の成果に値しない」と一刀両断
ところで、元の話のタイトルは、"安倍政権が南京虐殺否定派の学者引用←東京地裁が「通常の学者ではない」「学問研究の成果に値しない」"というもの。
これはうちだと
死刑の谷寿夫中将、南京大虐殺否定せず 中島今朝吾に責任と名指しで取り上げた、政府提出の資料に関するものです。このときは、問題がある東中野修道さんの資料を使っちゃったよという話でした。
今回の話のうち、東中野修道さんの「学問研究の成果に値しない」の問題は以下のようなもの。
夏淑琴 - Wikipedia
東中野修道は著書『「南京虐殺」の徹底検証』(展転社)において、マギーフィルム解説書において事件を証言した「八歳の少女」と夏淑琴は別人であるとの記述をした[7]。(中略)
判決
2007年11月、東京地裁において「被告東中野の原資料の解釈はおよそ妥当なものとは言い難く、学問研究の成果というに値しないと言って過言ではない」とし、「別人と立証できていない」として[10]、東中野と展転社に対し合計400万円の賠償を命じる判決が下った。東中野らは控訴したが、2008年5月21日、東京高裁でも地裁判決を支持し、東中野と展転社に対し改めて賠償を命じる判決が言い渡された。
ただし、東京高裁は、三代川三千代裁判長の地裁判決文の30頁11行目から13行目「以上述べた2点だけからしても被告東中野の原資料の解釈はおよそ妥当なものとは言い難く、学問研究の成果というに値しないと言って過言ではない」の部分を「不合理であって妥当なものということができない」との表現に変更している[11]。
2009年2月5日、最高裁は東中野と展転社からの上告を棄却、両者に対し、合計400万円の賠償を命令する判決が確定した[12]。
●通常の研究者とは思えない東中野修道氏
「通常の学者ではない」の方は元ネタが最初わからなかったんですが、「以上述べた2点」のうちの「1」のことみたいでした。
なお、東中野修道さんが「突き刺した」を意味する「bayoneted」を「突き殺した」と誤訳していることを、予備知識として持って読んでください。(誤訳ではなく、わざとなんでしょうけど)
1.東中野の解釈によれば、それまで全く出てこなかった少女がいきなり「その(the)八歳になる少女」という表現のもといきなり「傷を負った」状態で登場し,この「8歳の少女」がどこの誰であるか,どのようにして傷を負ったのかについては,その後の記述にも一切現れていない。これは極めて不自然である。 通常の研究者であれぱ「突き殺した」と解釈したことから生じる上記不自然・不都合さを認識し、その不自然さの原因を探求すべくそれまでの解釈過程を再検討して、当然に「7、8歳になる妹」と「8歳の少女」が同一人である可能性に思い至るはずである。
「少女は突き殺されたので、この後は出てこない。よって、次に出てくる少女は別人だ!」ということなんでしょうが、それ誤訳ですから…。
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