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ゲームやインターネットで悪影響説に科学的根拠は?願望ではないのか


 どうもゲームやらインターネットやらを悪く言いたいという人は多いようで、ゲーム脳再び…な感じの話がありました。(2015/10/14)

2017/09/14追記:
ゲームの種類によって脳への影響が異なるという研究
ゲーム悪影響説は願望ではないのか


●ゲームやインターネットで悪影響 自閉症や攻撃的にと脳科学者

2015/10/14:問題の主張をしているのは、グリーンフィールド研究員。彼についての所属は、「オックスフォード大学」と表記があったり、「リンカーン大学」と表記があったりで混乱しました。どうも「オックスフォード大学リンカーン・カレッジ」が正式であり、これをメディアがいろいろな呼び方をしていたようです。
インターネットやテクノロジーは子どもの脳の発達を阻害しないことが研究で明らかに - GIGAZINE 2015年08月14日 06時00分00秒

リンカーン大学の脳科学教授を務めるSusan Greenfield氏は、デジタルテクノロジーがいかに脳へ悪影響を及ぼすかについて記した著書「Mind Change: How Digital Technologies Are Leaving Their Mark on Our Brains」を2015年2月に出版しています。Greenfield氏は、子どもたち同士の人間関係や、個人の共感能力やアイデンティティーなど「科学では測ることができないもの」がSNSを利用することで悪影響を受けると著書の中で述べています。また、「オンライン上で間接的に他者と会話することは自閉症を引き起こしたり、ゲームに没頭することで攻撃的になる」とも主張。

●ネットで悪影響に科学的な根拠なし、ゲームはむしろ心理学的なパフォーマンスが上昇

 前述の通り、グリーンフィールド研究員の所属は、正確には「オックスフォード大学リンカーン・カレッジ」。

 ですので、以下はオックスフォード大学のグリーンフィールド研究員に対して、別のオックスフォード大学のグループが批判しているという格好になっています。
今回発表されたロンドン大学とオックスフォード大学の共同研究では、「Greenfield氏の主張は科学的な根拠に基づいておらず、研究の質に乏しく、原因と結果の相互関係を見誤っている。そのため、デジタルテクノロジーについて子どもを持つ親や一般公衆に誤解を与えている」として、Greenfield氏の主張を否定しています。研究結果からは、「子どもたちのSNS利用状況を見ると、SNSを使うことで友だちとの交流がより充実したものになり、友だち同士の仲を深めている」と分析できるとのこと。さらに「Greenfield氏の言う『悪影響』は自閉症を患っている人々への非難になりかねない上に科学的な根拠がなく、デジタルテクノロジーの有効性を見失うことになる」と述べています。

また、「ゲームに没頭することで攻撃的になる」というGreenfield氏の主張に対して、論文では「テレビゲームで遊ぶことによって神経心理学的なパフォーマンスの向上が見られ、昨今増加傾向にある複数人で協力プレイするスタイルのゲームでは社会常識や振る舞いが身につけられる」として、ビデオゲームに関する昔の考え方は時代遅れであると述べられています。なお、「暴力シーンを含むゲームについては今後も研究の余地あり」とのこと。

●ゲーム批判の主張は論文にすらなっていない

 同じ事柄について、別の記事でも触れていました。そちらはグリーンフィールド研究員の所属は正しいんですが、批判した方の研究者がロンドン大学単独になっています。

 BMJ誌のサイトで確認すると、オックスフォード大学の人もいるということで正しそうです。
Vaughan Bell, senior clinical lecturer1, Dorothy V M Bishop, professor of developmental neuropsychology2, Andrew K Przybylski, research fellow3

Author affiliations

1Division of Psychiatry, Faculty of Brain Sciences, University College London, London W1T 7NF, UK
2Department of Experimental Psychology, University of Oxford, UK
3Oxford Internet Institute, University of Oxford, UK

 ちなみにグリーンフィールド研究員は、「Susan Greenfield, a senior research fellow at Lincoln College, Oxford」という紹介。

 肝心の記事は以下です。残念ながら査読を通って学術誌に論文が掲載されても間違っていることは多いんですが、今回の場合、論文にすらしていないと批判されています。問題外です。
ゲームに熱中すると脳に有害か、英国オックスフォード大学の主張、賛否両論を呼ぶ | Medエッジ 2015年8月29日 11:00 PM

 有力医学誌BMJ誌が2015年8月12日に報告している。

 英国ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの研究グループは、オックスフォード大学のグリーンフィールド研究員に論文化せよと求めている。オックスフォード大学の主張は主にメディアを通じて広まっており信憑性に欠けると見ているようだ。

 その上で、神経学の研究として、むしろネット使用は思春期の脳に害を及ぼさず、ゲーム使用も脳の問題を起こすというよりは、原因ではなく、ほかの要因を見逃していると見ている。

 悪い影響というのも、ゲームそのものが悪いというよりは、「身体活動が減って肥満や糖尿病につながり得る」「勉強時間が減って成績の低下につながる」といった別のものと勘違いしているのでは?といったことも言っているようです。こういうミスは他の問題でもよくあることです。


●「ゲームは1日1時間」ならプラスの影響

 あと、同じオックスフォード大学だったので、最初同じ話だと勘違いしたもの。おかげで最初めちゃくちゃ混乱したのですが、こうやって順番に見ていくと、上のゲームのやり過ぎで他のものが疎かに…という話と繋がりました。(よく見るとほぼ1年前の記事なので時系列は逆)

 というか、上で反論していた論文の3人目の方(Andrew K Przybylski)ですね。小児科学の専門誌「Pediatrics」で発表されたものだそうです。
「ゲームは1日1時間」は正しかった?オックスフォード大学の研究結果より | インサイド 2014年8月5日(火) 13時25分

オックスフォード大学のオックスフォード・インターネット・インスティチュートの研究員であるAndrew Przybylski博士率いる研究チームが、イギリス全土の10歳から15歳の子供5000人に対して、ゲームに費やす時間とともに生活への満足度や友人との関係性などを質問し、この研究結果を得たそうです。

調査結果によると、ゲームをプレイしない子供達と比較すると、1日1時間以内ゲームをする子供達は生活への満足度が高く、社交的だとしています。その他にも、1人もしくは他の子供とビデオゲームをプレイすることにより幸福感や、一体感を得られると示しています。

しかし、1時間以上プレイする子供達には、落ち着きがなくなったり、注意力散漫になったりするという問題が出てくるとも述べています。これはゲーム以外の活動の機会を逃したり、子供にふさわしくないゲームに触れているからではないかとしています。

 高橋名人の言った「ゲームは1日1時間」は正しかったというのが、この記事の取り上げ方でした。何事もやりすぎは良くないという無難な結論ですね。


●ゲームの種類によって脳への影響が異なるという研究

2017/09/14:テレビゲームは「脳」に安全か危険か? メリットの一方で統合失調症などのリスクも!? 2017年09月03日 08時00分 ヘルスプレスで、別の研究が出ていました。偽学術誌みたいなものも多く信頼性がよくわからないものの、今回はちゃんと論文になっているものっぽいです。また、ゲームの種類によって分けて、結果が異なるというちょっとひねったところもありました。

 今回の研究は、モントリオール大学(カナダ)のGregory Westさんらによるもので、『Molecular Psychiatry』8月8日オンライン版に発表されました。ゲームの熟練プレーヤーと未経験者を含む18~30歳の男女約100人を対象に、2種類のゲームを90時間プレイしてもらいながら、MRI検査を実施し、海馬や物事の記憶を司る領域への影響を評価したそうです。

 結果、「空間的戦略」に基づいたゲームをプレイしていた人は、海馬の灰白質の容積が増加。一方、「反応学習」に基づいたゲームをプレイしていた人は、灰白質の容積が縮小していたといいます。難しい言い方をしていますね。

 とりあえず、海馬の灰白質の容積というのは、縮小する方が問題とのこと。海馬の灰白質が萎縮した人は統合失調症や心的外傷後ストレス障害(PTSD)、うつ病、アルツハイマー病などのリスクが高いことが分かっているのだそうです。


●ゲーム悪影響説は願望ではないのか

 ただ、やはりこの研究にも物言いがついています。米ステッソン大学のChris Fergusonさんは「テレビゲームによる脳への影響に関する研究には問題点がある。脳にはさまざまな領域があるが、その一部にたまたま認められた差を研究者が大袈裟に取り上げ、その原因はテレビゲームにあるとしている場合もある」と指摘しています。

 「一部にたまたま認められた差を研究者が大袈裟に取り上げ」というのは実はよくあることです。数値を捏造せずとも望ましい結果を捏造することができることを証明した科学論文ニュースに注意!チョコレートダイエットの嘘に世界が騙されるという事件もありました。

 また、暴力的なゲームですら、「脳に短期的あるいは長期的な悪影響を及ぼす報告はなく、脳の変化が実際の行動に関連することを示した研究もほとんどない」とおっしゃっていました。この長期的な影響の話もよく言われています。

 さらに、ゲームによってストレスが軽減され、問題解決能力が向上することす研究もあることも指摘。前述の通り、他の活動の時間を確保さえしていれば、「脳への有害な影響はない」としていました。要はバランスの問題であり、私がいつも言っている「体に良い食べ物・悪い食べ物を気にするより、バランス良く食べよう」って話みたいですね。


【本文中でリンクした投稿】
  ■科学論文ニュースに注意!チョコレートダイエットの嘘に世界が騙される

【その他関連投稿】
  ■ゲーム規制はむしろ犯罪を増やす?
  ■ゲームと犯罪の関連性の真実 ~ゲーム規制は逆効果?~
  ■ゲームは暴力に繋がると警告入れる法案、アメリカでバカ議員が提出
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