2019/10/10:
●ノーベル賞発表前から候補者の部屋に押しかけていた日本マスコミ
●日本人がとればマスコミ大騒ぎ!どこの国の記者もやっていること?
●大学や国民はマスコミのノーベル賞騒ぎにノーと言っているのか?
●ノーベル賞発表前から候補者の部屋に押しかけていた日本マスコミ
2019/10/10:最近のマスコミのノーベル賞騒ぎはひどいと思います。ただ、マスコミは国民の鏡のようなものだといいますからね。マスコミが日本人ノーベル賞で大騒ぎし、夢中になるのは、一部の国民の関心が高いというのが理由の一つ。国民が「日本人のノーベル賞うんぬんなんて興味ないよ」と視聴率などを下げれば、自然とこの狂宴も収まるでしょう。マスコミばかりでなく、国民の責任というのもあります。
ところが、予想外なことに、最近よりも過去のマスコミのノーベル賞取材の方がひどかったのかもしれません。
ノーベル賞の受賞発表、なぜマスコミの取材スタイルは変わった?(2019年10月05日)によると、現在も発表当日はマスコミ各社が喜びの表情をいち早く伝えようと、全国各地の大学や研究機関で待機していますが、昔はもっとひどかったとのこと。
なんと<最近は少なくなったが、20年ほど前は研究室に直接押しかけ、有力候補を発表前から取り囲むこともしばしばだった>と書かれていました。「ない」とは断言されていませんが、今は部屋の中まで入り込んで待つレベルは少ないようです。
当然直接見られている状態の方が辛いですよね。どうもこの記者も実際にそれをやっていたみたいで、研究者はじっと見られ続けた上に、別人とわかったらすぐ退散といった状態だそう。とはいえ、退散せず長居された方がむしろ辛い感じ。とても声をかけられる雰囲気ではなく、いたたまれない気持ちになり、頭を下げて静かに退室したのを覚えているとのことでした。
数年後、その研究者はマスコミをシャットアウトし、別室で待機するようになったとのこと。やはり良くないやり方でしたね。ちなみに、実際にその後ノーベル賞を受賞したともされていました。
●日本人がとればマスコミ大騒ぎ!どこの国の記者もやっていること?
マスコミのノーベル賞取材については最初に書いたように、現在でもよく批判されています。検索するとやはりそういう記事が簡単に出てきますね。例えば、
ノーベル賞で熱狂するのは日本のマスコミだけ? 「お祭り騒ぎ」の舞台裏(2018/01/21 07:01 Satoru Ishido BuzzFeed)がそういう記事です。
マスコミを嫌う人が多い一方で、「海外が」「欧米が」といった話も嫌う人が多いですけど、記事の作者は「日本人がとれば大騒ぎ。では、どこの国の記者もここまでやるのだろうか……?」と以前から気になっていたとのこと。ちょうどその疑問に答える話が、
ノーベル賞の舞台裏 (ちくま新書)
という書籍に載っていたそうです。
ノーベル賞授賞式を取材すべく駆け付けた、ストックホルムのホテルスタッフは、「日本の記者はちょっとクレイジー。私たちはもう慣れているけど、他のお客さんは毎回驚いているみたい」と言っていました。これは、他の国のマスコミに実情を聞いたのではなく、現地の第三者に聞いたというもので説得力がありますね。やはり日本のマスコミが特別だったようです。
書籍では、ストックホルムのホテルをおさえ、受賞者の一挙手一投足を追いかけ回し、燕尾服の試着までニュースとして報じていく…といった異常なほどのおっかっけぷりが書かれていました。
●大学や国民はマスコミのノーベル賞騒ぎにノーと言っているのか?
また、2015年、ノーベル医学生理学賞を受賞した大村智さんが宿泊するホテル前にメディアが集結したときの話も象徴的。そこにいたのは、ほぼすべて日本のメディア。ほかに目立つのは、歴史上2人目の受賞者を出したトルコのテレビクルーくらい。例えばカナダからも受賞者が出ていたのですが、現地から追いかけてきたメディアは一握りだけだったといいます。
取材班の拠点であるイギリスでは、物理学の超大物学者として知られるエディンバラ大学名誉教授のピーター・ヒッグスが受賞しても、BBCが通常のニュースとして報じる程度。これも日本人からしてみると、衝撃的ですね。一夜にしてお祭り騒ぎ状態になり、受賞者を総出で追いかける日本とはだいぶ様相が異なるといいます。
なお、マスコミ憎しの人には悲報もあります。この異常性はマスコミだけではありませんでした。大学側も日本は熱心で、ノーベル賞の選考機関に大学の存在をアピール。例えば、東北大は現役研究者からノーベル賞受賞者を出すべく、選考機関でもある研究所との接触を進めるなど賞獲得にむけて動いてたといいます。
また、これは繰り返すように、国民、日本人が求めているというのもあります。戦後間もない時期に受賞した湯川秀樹の存在が大きいのではないかという説、勲章好き説、海外(特に欧米)の権威に弱いという説などがあるそうですが、いずれも国民の存在が絡むもので、マスコミ単独の問題とは言えそうにありません。
記者は、ノーベル賞報道はオリンピック報道と近いのではないかとしていました。普段、どれだけ活躍しても小さくしか報道されないスポーツでも、金メダルをとれば一気に報じられ大騒ぎ。日本人は愛国心がないみたいに言われますけど、実は他国より自国民の業績にこだわる性質なのかも。やはりマスコミの単独犯ではなく、国民との共犯で「国民性」の問題であるように感じます。
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