<日本初の査読不正?福井大女性教授らの論文に千葉大教授が協力>、<実は問題点だらけの査読 査読者の良心頼み、知り合いだらけなど…>、<脳研究が売りのヒット書籍を出版、友田明美・福井大教授の経歴>など、査読不正や福井大学の問題についてまとめています。


冒頭に追記
2023/02/18追記:
●不適切な査読操作で研究者倫理から逸脱 福井大教授を減給処分に 【NEW】
●不適切な査読操作で研究者倫理から逸脱 福井大教授を減給処分に
2023/02/18追記:査読不正の件で処分が決まったみたいですね。<論文査読で不適切な行為 福井大学が教授を減給処分>(NHK 2023年02月17日 18時34分)という記事が出ていました。査読の不適切行為について調査した結果、「6つの論文について、大学の調査によって不適切な行為が認められた」としているそうです。
<福井大学は、チェックを受ける立場の論文の著者が査読に関わるのは不適切だとして処分を検討していましたが、17日、減給処分にしたことを明らかにしました。
処分の理由について、福井大学は「科学者としての行動規範や研究者倫理から逸脱したものであり、不適切な査読操作だと判断した。社会的な反響も考慮した」と説明しています>
https://www3.nhk.or.jp/lnews/fukui/20230217/3050013977.html
なお、こうした処分を行うには大学側があらかじめルールを作っておく必要があります。これは査読操作が問題ではないと言いたいわけではなく、私も問題だという考え。でも、規則にない処分を課した場合は、訴訟で負ける可能性が濃厚なのです。福井大では以前、査読不正を禁じる規定がないと報じられており、今回気になりました。
●日本初の査読不正?福井大女性教授らの論文に千葉大教授が協力
2022/06/11:
福井大研究者、査読不正か 調査委設置、出版社は認定:東京新聞 TOKYO Web(2022年6月11日 共同)という記事が出ていました。この査読不正は海外ではたびたび報道があります。一方で、日本では聞いたことがなかった…と思いました。実際、日本初ではないかとしている記事もあります。
ただ、日本で査読不正が少ないかどうかは微妙。というのも、日本は研究論文数が人口と比べて少ないにも関わらず、不正などで撤回した論文数が多い…つまり、論文不正が多い国のため。ニセ学術誌への掲載数もトップという調査もあります。それなのに査読不正だけ少ない…というのは不自然でしょう。
それはともかく、今回の不正の話。記事によると、福井大の研究者が、学術誌に投稿した自分の論文の「査読」に関わった疑いがあり、大学が事実確認のため2月に調査委員会を立ち上げていたことが分かった…という話。以下のような内容で、出版社の方はすでに不正を認定済み。「査読不正」の説明も載っています。
<学術誌の出版社は既に不正を認定しており、大学側に論文の撤回を通知するメールが送られてきたという。(中略)
査読は、投稿された論文の妥当性を同じ研究分野の専門家らが評価する仕組み。一般的に査読者は匿名で、投稿者が査読に関わることは不正とされている>
タイトルに使った千葉大学教授(男性教授だそう)などの情報は、
福井大教授が「査読偽装」の疑い 論文審査に自ら関与か スクープ 柳楽未来 鳥井真平 毎日新聞 2022/6/10 18:00という記事から。すでに千葉大学においても、調査委員会を設置して内部調査しているとのこと。日本初ではないか?という情報もここにありました。
<科学の客観性や正当性を担保する極めて重要な手続きで、査読を経た論文は研究者の業績になるため、自ら査読することは研究不正とされ「査読偽装」と呼ばれる。研究倫理に詳しい京都薬科大の田中智之(さとし)教授(薬理学)は「日本で発覚するのは初めて」と話している>
●実は問題点だらけの査読 査読者の良心頼み、知り合いだらけなど…
毎日新聞の同じ記事のヤフーニュースのコメント欄も紹介。1番人気は、以下のような「査読というシステムは科学者の良心にかかっている」という話。これは、嘆いたところで解決する話ではありません。ただ、査読は査読者の良心次第…という問題点は以前から言われており、重要なポイントではあります。
<この記事だけでは偽装の背景など判断できないが。ただ査読というシステムは査読者の「研究者としての良心や純粋な探究心、そして当然の能力」にかかっていると思う。
査読頼まれたら時間すごくかかるので辛い面もあるが、より良い論文になって欲しいという思いで細かく読み、様々な指摘を行う。そこに他の方のコメントにあるような利害が入るというのは、元々このシステムが作られた時には想定されてなかったのかもしれない。研究へ純粋に邁進し、新しい発見・アイデア・視点には悔しさと同時に喜びを見いだすといった研究者像があるのかもしれない。みんながそういう研究者であれば良いのかもしれないが。。>
以前から問題だと知られていたのになぜ改善されてこなかったのか…というと、これ以上良いシステムが見つからないため。以下のコメントなんかも、別の査読の問題点を指摘するものですね。利害関係者は除くべきなのですが、専門の人が少ないとそれがかなり難しくなる…ということになるのです。
<現在の科学技術は細分化されまくっているため、専門的な内容を理解できる人が査読担当者の中にいないこともある。そのような場合、(1)専門外のトンチンカンな査読が行われる、または (2)査読担当から知り合いのツテで適切そうな人に代わりを頼む、などが実はよくある。で、論文の査読は著者が誰なのか分からない状態で行うので、「知り合いのツテで頼んだ人」が実は著者と近い関係にある人だったということも、これもよくある。実際に自分自身の論文の査読を頼まれて断ったことがある、という話を知り合いの大学の先生から聞いたことがある>
じゃあ、身内でなければOKか?と言うと、次のものは逆にライバルが査読をしてしまう…という話。以下は査読したライバルが潰しに来る…という話なのですが、確か査読してケチをつけて論文を潰しておきながら、アイデアをパクって自分の成果にした…という例もあった気がします。本当に問題だらけです。
<今回の件は基本だめで、査読は厳正にされるべき。だけど、じゃあ逆に査読者がみな公正に査読しているかと言えばそうじゃあない。フェアなレフェリーに行けば、コメントはまともで仮にリジェクトになっても悔しいが納得するし、次にいかせる。が、へんなポスドクにまわるとリジェクトありきで査読してくる。競合者にまわった場合は瑣末な問題に拘り故意にリジェクトにもっていくこともある。
話はそれるが、それなりのジャーナルに以前投稿した際、大御所の所の野心剥き出しのポスドクが揚げ足取りの査読してきた。結局エディターが採択を選んでくれたが、査読の文言と一語一句同じ内容をレターに出してきてこの論文は無駄とまで書かれた経験がある(だから、誰が査読したか分かった)。査読者は匿名で、査読者の善意に頼るシステムには限界を時に感じる。とあるジャーナルはアクセプト後に査読者の名前を公表している所もあり、個人的には悪くないと思っている>
●査読は負担なのに無償奉仕…じゃあ謝礼を出せば解決かと言うと?
さらにその次の2つのコメントは、査読というのは査読を引き受けた人にとっては無償奉仕であり、負担になる…という話です。これも別な意味で「査読は科学者の良心にかかっている」という問題。ただ、謝礼を出したら出したで、謝礼目当ての査読で質が下がるおそれがあるでしょう。この問題はこの後補足します。
<実は、査読を依頼された学者にとって、査読は、ありがた迷惑な面がある。査読のために論文を読み評価することで自分の時間をとられる、その上査読の報酬はすごく低い。よくて1件1万円程度。無償の場合もある。だから、弟子に査読を代行してもらう学者もいる。
この事件のように、論文執筆者に査読結果の代筆を認めてしまうのは、ひどい例だが、あり得ないことではない>
<ここ10年くらいで、世間的にはコンプライアンス、(研究)業界的には研究者倫理が、問われている。一方で短期成果ばかりが要求され、長期の仕事ができない。アーティストだって毎月アルバム出せないでしょ。せいぜい年1、それだって波がある
論文査読は基本的にボランタリー、ここのコメントと同じ。たまに薄礼があるけれど、それだって割りに合わない。個人的には、10年くらい前は、かなり時間を取って査読コメント書いていたが、今はそんな余裕はない。箸にも棒にもかからないのにも、丁寧に書いてた(結局、却下する論文としても)>
私はあんまり無償奉仕みたいなのは好きではなく、きちんとお金をあげるべきという考え方。ほとんどのサービスは無料のものより有料の方がレベルが高くもなりますよね。査読も査読者にお金を払った方が、査読のレベルが上がって、全員にとって良いことのように思えます。
ところが、ウェブでこれが逆になった例が確かあったはずなんですよ。無償奉仕していたサイトのボランティアに報酬を与え始めると、逆に質が下がった…といった例です。これはおそらく金儲け目的の低レベルな人たちが流入し、荒稼ぎしようと大量に仕事をこなしたため。査読有償化でも同様のリスクがありそうです。
見直していて、有償化によって査読不正が増える可能性すらあるかもしれない…と思いました。というのも、謝礼が出るとなると、査読できる能力がない人が依頼を引き受けて、他の研究者にバイトしてもらって稼ぐ…といったケースが出るおそれがあるため。有償化はやはり解決策になりそうにないですね。(2022/07/26追記)
●日本では初めて…と言われた査読不正疑惑、いきなり5本に増加
2022/06/16追記:研究不正が判明した論文の研究者は、他の論文でも次々と不正が見つかることがよくあります。そもそも不正をするような人なので、ひとつで済まない…というのはわかりやすい話でしょう。小さな嘘をつくと抵抗感が減っていきエスカレートしやすい…という心理に関する研究もあります。
というわけで、「日本初」と言われた査読不正もひとつでは済まない可能性が浮上。
査読偽装の疑い、さらに論文4本にも 福井大教授ら、不正が常態化か | 毎日新聞(2022/6/14 18:05)という続報が来ていました。日本で2番目、3番目…と一気に増えて、もう5本にまで疑惑が増えています。
<福井大の60代の女性教授が、査読を担った千葉大の60代の男性教授と協力し、投稿した学術論文の査読に自ら関与する「査読偽装」をした疑いがある問題で、2人が不正に査読した疑いのある論文がさらに4本あることがわかった。このうちの1本について米国の出版大手が不正と認定し、撤回を求めていることも判明。福井大と千葉大の調査委員会も計5本すべてを把握しているとみられる>
●福井大・千葉大に査読不正禁じる規定なし…お咎めなしの可能性
2022/06/23追記:<福井大の60代女性教授が、国際学術誌に投稿した自分の論文の「査読」に関わったとされる問題で、福井大と、査読を担った研究者が在籍する千葉大に、査読の不正を禁じる規定が設けられていないことが17日、両大学への取材で分かった>とする記事が出ていました。
この記事
査読関与、禁じる規定なし 福井、千葉両大学が慎重調査|Web東奥(2022年6月17日)によると、大学が参考にする文部科学省のガイドラインでも、不正行為は、データの捏造、改ざん、他の研究者からの盗用とされ、論文の二重投稿や著者の偽装などに言及があるものの、査読に関しては記載がないといいます。
規定にないから悪いことしていい…では困ります。ただ、実際問題、規定がないのに大学が罰則を与えた場合、裁判で負けることがあるんですよね。確か過去にも裁判で負けた例があったはずです。今回に関していえば、最悪「お咎めなし」となる可能性もあるかもしれません。
一方、福井大・千葉大だけでなく、全国の大学は今回の査読不正疑惑を機に、規定を改定して査読偽装も不正であることを明記して、ルールに則って粛々と処分できる体制を整えるべきでしょう。今回名前が出ていた二重投稿も大学によっては不正に含めていないなど、不備があります。先手を打っておくべきです。
●日本初の査読不正?友田明美・福井大教授の論文に千葉大教授協力
2022/06/26追記:学術誌の出版社からはすでに大学側に論文の撤回を通知するメールが送られていたのですが、このほどついに正式に撤回となった模様。
福井大教授の「査読偽装」認定 オランダの出版社、論文1本撤回 毎日新聞 2022/6/25 18:00という記事が出ていました。
<福井大の60代の女性教授が、査読を担った千葉大の60代の男性教授と協力し、投稿した学術論文の査読に自ら関与する「査読偽装」をした疑いがある問題で、オランダの学術出版大手エルゼビアは24日、福井大教授らの論文1本を撤回した。理由を「査読過程で著者と査読者の間に不適切なやり取りがあった」とし、査読に不正があったことを初めて公に認めた>
過去の報道で特定可能なヒントがあったので見当をつけていたのですが、まだマスコミでは問題の教授のお名前は報道していませんでした。こちらについてもついに名前を記載する記事が登場。
神戸新聞NEXT|福井大教授の論文撤回(2022/6/25)では、以下のように書いています。
<論文は、福井大「子どものこころの発達研究センター」の友田明美教授らが2020年7月に投稿し、同10月、エルゼビアが発行する国際専門誌「サイコニューロエンドクリノロジー」に掲載された。子育て中の母親の脳に関する内容>


●脳研究が売りのヒット書籍を出版、友田明美・福井大教授の経歴
友田明美教授は
親の脳を癒やせば子どもの脳は変わる (NHK出版新書) などといった書籍も出しており、結構有名だったんじゃないかと思われます。レビューが177件もありましたので相当売れた感じ。ここの内容説明では、脳研究に携わってきた研究者であることが、売りのひとつになっていました。経歴もあったので続けて紹介しておきます。
<脳研究に携わる小児精神科医である著者が、本作では「親の脳とこころ」に焦点をあてていく。子どもの脳を傷つけ、健全な発達を阻むマルトリートメント(不適切な養育)から彼らを救うために、脳科学ができることとは何か―。最新の知見に基づき、虐待の世代間連鎖を止める方法を解説する。>
経歴
<小児精神科医。医学博士。福井大学子どものこころの発達研究センター教授。熊本大学医学部医学科修了。同大学大学院小児発達学分野准教授を経て、2011年6月より現職。福井大学医学部附属病院子どものこころ診療部部長兼任。2009‐2011年および2017‐2019年に日米科学技術協力事業「脳研究」分野グループ共同研究日本側代表を務める>
●友田明美教授の論文、別雑誌でも撤回 本人も同意で不正認める形
2022/07/26追記:別の雑誌に載った研究論文も撤回されたみたいですね。
福井大・査読偽装 米ワイリーも論文撤回「自ら不正認める」 毎日新聞 2022/7/26 03:00という記事が出ていました。ただ、記事タイトルの後半「自ら不正認める」はやや勇み足。まだ正式には認めていません。
<福井大子どものこころの発達研究センター長の友田明美教授が、査読を担った千葉大社会精神保健教育研究センター副センター長の橋本謙二教授と協力し、投稿した学術論文の査読に自ら関与する「査読偽装」をした疑いがある問題で、米学術出版大手ワイリーの学術誌は23日付で、友田教授らの論文1本を撤回した。
ワイリーはホームページで「査読が操作されたと確認できる証拠を受け取った」と明らかにし、査読に不正があったと認定。その上で「著者と学術誌の編集長、ワイリーが撤回に合意した」と説明した>
本文では<この問題で撤回された論文は2本になったが、友田教授側が撤回に合意したことが明らかになるのは初めてで、自ら不正を認めた形だ>という書き方であり、記事タイトルの「自ら不正認める」はちょっと行き過ぎ。タイトルは別の人がつけることが多いので、ニュアンスが変わってしまったのだと思われます。
●査読を自作自演 調査委員会も正式に不適切な査読操作を認定する
2022/12/20追記:まだ正式発表前ですが、査読不正の調査が終わったようです。
福井大教授の査読偽装、調査委「不適切」と認定、撤回を勧告 | 毎日新聞(2022/12/18 18:00)などの記事が出ていました。記事では、本来なら第三者が行うべき査読コメントを著者自身が「自作自演」する流れについても書かれていましたので、軽くまとめておきます。
<福井大教授が査読を担った千葉大教授と協力し、投稿した学術論文の査読に自ら関与する「査読偽装」をした疑いがある問題で、福井大の調査委員会が、不適切な査読操作があったと認定したことが関係者への取材でわかった。調査委は福井大教授に論文の撤回を勧告し、近く調査結果を公表する。
公開された論文などによると、この2人は福井大子どものこころの発達研究センター長の友田明美教授と、千葉大社会精神保健教育研究センター副センター長の橋本謙二教授>
・査読の「自作自演」の流れ
(1)友田教授側は論文を学術誌に投稿する際、専門分野が近い橋本教授を査読者として推薦。
(2)査読者に選ばれた橋本教授は、本来は橋本教授が作るべき論文の疑問点などを指摘する「査読コメント」の作成を、論文の著者である友田教授側に依頼。
(3)友田教授は研究室の教員らに指示してコメントを作成し、橋本教授に送付。
(4)指示されたコメントとほぼ同じ内容のコメントが学術誌から届き、友田教授はこれに回答して査読を通り、論文が掲載される。
●金沢大・浜松医科大元教授も不正関与 「問題あると思わなかった」
2022/12/26追記:福井大の調査委員会の正式発表が出ていました。これによると、以前より問題の論文の査読担当だと報じられていた千葉大教授の他、金沢大元教授、浜松医科大元教授も査読を担当していたとのこと。いずれも友田教授が出版社に推薦し、千葉大教授は最も多い論文5本を担当していたそうです。
<福井大「子どものこころの発達研究センター」の友田明美教授が自らの論文の「査読」に関わったとされる問題で、福井大の調査委員会は20日、友田教授ら3人の論文計6本で「不適切な行為」があったと認定する調査結果報告書を発表した。これまでに撤回された論文2本を除く4本について友田教授に取り下げを勧告、福井大は教授らへの処分を検討する。
報告書によると、友田教授は、学術誌に投稿した論文の査読者3人からメールで依頼を受け、教員ら2人に指示して査読コメント案を作成させた。査読者は返信されたコメント案を利用して学術誌出版社に提出、論文が学術誌に掲載された>
(
教授ら3人査読不正 福井大調査委、論文6本で認定 浜松医大元教授関与|あなたの静岡新聞 2022.12.21より)
調査委は「研究データの改ざんなどが行われたわけではなく、研究成果をゆがめるものではなかった」と結論。本当かいな?と思いますが、どちらにせよ査読不正があった時点で問題ですね。調査委員会は査読不正のあった論文の取り下げを勧告しており、撤回が行われれば結局、誰も研究成果としては利用できなくなるでしょう。
呆れたのは、浜医大が外部委員を含む予備調査委員会を設けて調べたところ、元教授が論文著者に査読コメントを求めることに倫理上問題があるとの認識はなかったとしていたこと。論文掲載のためのチェックが目的なのに、論文著者自身がチェックをやって問題があると思わなかったという説明はいろんな意味で信じられません。
例えば、大学入試で学生自身が合否判定を決める作業に関与していれば当然問題になるに決まっています。これがわからないというのなら小学生以下のアホ。なので、言い訳だと思うのですが、言い訳だとしてもあまりにも稚拙で信じられません。査読は形だけで実質全部通る(実際には査読を通らないことはあります)って理解していたんですかね。それもひどい話ですけど…。
●国の大型研究の責任者だったため、辞任してプロジェクト中止に
2023/01/02追記:査読不正の友田明美教授はヒット書籍を出しており、有名だろうとは思っていました。ただ、想像以上の大物だったとわかったのが、国の大型研究事業の責任者を務めていたことを伝える
査読偽装関与の福井大教授、国の大型研究事業の責任者を辞任 | 毎日新聞(2022/12/22 20:13)というニュースです。
<福井大教授が、査読を担った千葉大教授らと協力し、投稿した学術論文の査読に自ら関与する「査読偽装」をした問題で、福井大教授が、国の大型研究開発計画「ムーンショット」のプロジェクトマネジャー(PM)の職を辞任したことがわかった。プロジェクトを所管する科学技術振興機構(JST)は22日、福井大教授のプロジェクトを中止すると発表した>
<ムーンショットは、複数の野心的目標を2050年までに達成するため、国が5年間で約2000億円を投じる大型研究開発計画で、政府が21年に始めた。
友田教授のプロジェクトは「被虐待児、虐待加害、世代間連鎖ゼロ化社会」。22年4月にPMに採用され、最長で3年間の任期があり、研究は既にスタートしていた>
内閣府・首相官邸支援のプロジェクトであるムーンショットでは、以前も不祥事で辞任した大物教授がいました。毎日新聞でも<不祥事によるムーンショットのPMの解任・辞任は、女子学生へのわいせつ行為をしたとして逮捕、起訴され、22年1月に辞任した筑波大の元教授に続き2人目>と書いています。
わいせつ行為による辞任は前時代的な人が大御所だったということを示しており、日本の研究者のレベルの低さを示していると言えるでしょう。ただ、今回は査読不正ということで、より研究レベルに関係してくる問題。また、安倍元首相が肝いりで創設したImPACTでは、多額の予算を突っ込んだプロジェクトで不正が2件発生していることも思うかびます。
その一つが最近判明した古川聡飛行士が看板のJAXAの研究。日本中の研究者が資金不足に悩む中2億円もの潤沢な予算があったこのプロジェクトは、研究ノートすらないなど低レベルだった上、不正だらけで成果ゼロで終了。予算削減&目玉プロジェクト重視の方針で日本の重要論文数は激減しており、いい加減誤りを認めて修正した方が良いでしょう。


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