記事は主に預金を残された側に向けた話。ただ、預金を残す側にも知っていおいてほしい話。たいへん迷惑なためです。そういう年齢の人はネット記事を読まないんでしょうけどね。とりあえず、クイズ的な話があったので、以下を最初に掲載。ちょっと間を空けてから回答もすぐ掲載します。
「父親が亡くなった後、父親の金庫から預金通帳が何冊も出てきたとします。父親名義で2億円、全く知らない赤の他人名義で1億円、母親名義で2億円、子ども名義で2億円あったとします。相続税は発生してから10カ月以内に申告をしなければいけません。父親の相続財産はいくらと申告すべきか、わかりますか」
●節税策より重要な名義預金問題 自分名義でも自分のお金じゃない
2015/10/24:青山学院大の三木義一教授は、「相続税の問題を考えるときに、一般の人はすぐに節税策を考えます」とおっしゃっていました。そういう素人向けに、相続税対策として家の増改築を勧めたり、金融商品を売り込んだりってのもあるようですが、「露骨に税金逃れをするような行為は私はやめたほうがいいと思います」としていました。
下手な節税策は怪しい行為だと思われますが、実際に法律的に認められないということがあります。これも残される側にとってはトラブルのもとですから、本当やめてほしいと思いますね。「子供のためにやっているのに!」と言いたいでしょうが、下手な節税対策は余計たいへんになるのです。
とりあえず、、今回はそういう下手な節税策の話ではありません。「生半可な知識で節税策に走る」よりも、「名義預金」という「大事なこと」をまずしっかり「押さえておいてほしいと思います」というのが、三木教授の話でした。
●父親名義で2億円、他人名義で5億円 申告すべき財産は何億円?
さて、父親名義で2億円、全く知らない赤の他人名義で1億円、母親名義で2億円、子ども名義で2億円、父親の相続財産はいくらと申告すべきか?というクイズの答えに行きます。全体タイトルで「自分名義でも自分のお金じゃない」としていたのでわかりそうですが、三木義一教授の答えは、7億円すべてを申告するというものでした。
たとえ自分の名義であっても、自分で管理していなければ自分のものではありません。もしはっきりと父親名義となっていた2億円しか申告しなかったとしたら、税務調査が入って指摘されてしまいます。
意図的に隠そうとした事実があれば、脱税事件で無罪判決が出ることはめったにありませんので、"ほぼ100%有罪"だそうです。隠蔽工作をした形跡がなく、一旦無罪になった人のケースですら、最終的には有罪になっています。
例で出ていた人は、3年間の執行猶予がついての「懲役1年6カ月及び罰金2800万円の刑」でしたが、これは「おそらく、地裁で無罪判決が出ていたからではないでしょうか」とのこと。これはかなりマシなケースのようで、執行猶予がつかず刑務所行きということもあるのかもしれません。
●「昔、父親からもらったから自分のもの」と主張したらどうなるのか?
インタビューアーは「昔、父親からもらったと主張したらどうなるでしょうか」とわかりやすいダメな言い訳に関する質問をしていました。いい質問ですね。当然、そんなものでは逃れられません。
贈与は契約なので合意が必要です。三木義一教授は言っていませんでしたが、その場合には契約書を作っておいた方が良いと思います。とりあえず、"もらったものなら自分で通帳やはんこを管理し"ていなくてはおかしな話です。あり得ません。さらには贈与税の申告をしなければいけません。
実際に父親が「くれる」と言っていたとしても、実態がないために証明できず、嘘をついた場合と区別ができないのでは同じことです。
例題では、"全く知らない赤の他人名義で1億円"もありました。これは「本当に他人のものかもしれない」ので、相続財産から外したくなります。しかし、「それを自己判断でやって、後から脱税を指摘され懲役刑になったらどうするんでしょうか」と三木義一教授は指摘しています。
ですので、三木教授のオススメは、「亡くなった親の財産はひとまず、すべて申告」。「もし、本当に他人のものだとわかったら、更正の請求の手続きをすればいい」というわけです。
●そもそも他人名義で預金を作れること自体がおかしい
最初に「預金を残す側にも知っていおいてほしい話」と書きました。そもそも他人名義の預金というのは不自然なものです。その不自然なものができてしまうというのが間違いのもとであり、インタビューアーは「そもそも他人名義で預金口座を作ることができるのでしょうか」と質問しています。
「最近は人の名義で預金口座をつくることはできなくなっているはずなので、いずれは減っていくトラブルなのかもしれません。でも、昔の人だと名義預金を持っているという人は少なくないんです」
インタビューアーは「親が自分の名義で預金してくれていたら、つい自分のものにしたくなる気持ちはわからないでもないですが」とも言っていました。ただ、先程も言ったように、自分の知らなったお金がなぜ自分のお金だと言えるのか?という話でもあります。
正直怪しいお金に見えてしまいますので、元気なうちにきちんと整理しておいた方が良いでしょう。お願いしますよ、本当…。
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