最初読んでいた記事は自動車がメインの内容ではなく、経済全般に関するもの。インフレなどの話でした。そこでトヨタの話が出ていて、「えっ、そんなことあったんだ?」とびっくり。で、それを確かめるために別記事を探してみると、おぞましい話が出るわ出るわ…。えらいことになっていて驚きました。
冒頭に追記
2022/04/05追記:
●トヨタ自動車、アメリカの特許会社からも特許侵害で提訴される 【NEW】
●営業秘密・技術漏洩訴えたトヨタグループ愛知製鋼が裁判で惨敗 【NEW】
●裁判官「情報漏洩での起訴は無理がある」「自社に都合が良すぎ」 【NEW】
●トヨタ自動車、アメリカの特許会社からも特許侵害で提訴される
2022/04/05追記:下請けいじめの話じゃないのですが、前回追記した<幹部も驚き!トヨタが仕入れ先の日本製鉄に特許侵害で提訴される>の関係での追記。車載通信部品が特許を侵害しているとして、アメリカの特許会社にもトヨタ自動車やホンダなどが裁判所に提訴されているそうです。
これを伝えた記事は、
トヨタやホンダ、なぜ特許訴訟の標的に?: 日本経済新聞(2021年12月9日)というタイトルで、トヨタらが無理筋な提訴をされているかのような印象を与えるもの。ただ、実際には、近年車に必要になってきた通信技術は特許侵害訴訟になりやすい…といった意味のようでした。
<トヨタやホンダが訴えられている背景にあるのは、インターネットと常時接続する「つながる車」の開発です。通信技術を活用することで、車内の液晶に近隣の飲食店のクーポンを表示したり自動運転技術など車の機能を追加したりできます。通信関連は特許の種類や数が多く、技術革新も速いため特許に抵触しやすい傾向にあります>
●営業秘密・技術漏洩訴えたトヨタグループ愛知製鋼が裁判で惨敗
あと、別件で書いたトヨタグループ企業が「営業秘密」の技術情報漏えいを訴えた話もついでにこちらに追記。このケースではトヨタグループ側が盗まれた方なのですが、無理筋で傲慢な提訴で営業妨害狙いの可能性すらありそうなものであり、どちらかというとこちらの話の方が「下請けいじめ」と似た方向性ですね。
<トヨタ自動車グループの鋼材メーカー「愛知製鋼」(愛知県東海市)の磁気センサー関連技術を他社に漏らしたとして、不正競争防止法違反(営業秘密侵害)罪に問われ、名古屋地裁で無罪となった元専務本蔵義信さん(71)ら2人について、名古屋地検は4日、控訴を断念したと明らかにした。控訴期限は1日で、無罪が確定した>
(
愛知製鋼元専務らの無罪確定 地検、控訴断念―技術情報漏えい:時事ドットコムより)
名古屋地裁は、2人が伝えたとされる情報は「抽象化、一般化されている」などと指摘し、「営業秘密を開示したとは言えない」として、前月を無罪を言い渡していました。本蔵さんらは弁護士を通じ、「ようやく重圧から解放された。無益な裁判で研究開発が妨げられ、悔しい気持ちでいっぱいだ」というコメントを発表しています。
●裁判官「情報漏洩での起訴は無理がある」「自社に都合が良すぎ」
このニュースだと細かい情報がなくよくわからず。ただ、この少ない情報の時点でも最近不正などが多いトヨタグループがまた調子に乗って傲慢なことをやったのかな?と思いました。で、検索して見つけた詳しい記事を見ると、実際、無理がありすぎな訴訟だったようで、裁判官からボロクソに言われています。
<名古屋地裁は、起訴に「無理がある」とまで言い切った。また、告訴した愛知製鋼についても「一般化された情報についてまで、自社の営業秘密として保護を受けようとするのは、いささか都合が良すぎる」とたしなめた。「営業秘密」の解釈を広げすぎることへの警鐘ともいえる判決だ。
問題となったのは、取引先との会議で使用したホワイトボードに書かれた装置の工程図。判決は、図が一般化されており、同社が開発した磁気センサー「MIセンサ」とは「大きく異なる」と指摘、「愛知製鋼の営業秘密であるとは認められない」とした>
これを伝えた
愛知製鋼裁判 何が「営業秘密」なのか:中日新聞Web(2022年3月24日)によると、訴えられた本蔵義信さんは、国内最高峰の技術者だったものの、事業方針について経営陣と対立して独立。日本人は転職する人を憎む傾向が強く、報復だったのかも…と思ってしまいました。
なお、こちらでは特許の話もあり、本蔵義信さんが独自に開発した「GSRセンサ」を自社のMIセンサを模倣だとして、特許無効を特許庁に二度申し立てたものの、いずれも退けられていたとのこと。特許侵害が認められなかったので、無理筋な提訴に持っていった感じでしょうか。感情的になっていましたね。
記事では、磁気センサーは、自動運転の開発に不可欠な技術で、グローバルな開発競争は一分一秒を争うために、裁判による空白で技術的な損失が大きくなったことも指摘。ただでさえ地盤沈下の激しい日本の「ものづくり」がさらに駄目になりそうですね。日本の製造業は自滅している感じです。
●円安・株価上昇・インフレが起きても景気回復しない理由
2015/10/24:とりあえず、最初に読んだ記事というのは、
円安誘導政策が引き起こした低中所得層の“インフレ恐怖症”|金融市場異論百出|ダイヤモンド・オンライン(加藤 出 [東短リサーチ代表取締役社長] 2015年9月17日)。記事では、追加緩和を行えば、円安とともにひとまず株価は上昇するかもしれないが、"それは日本の景気回復に本当に資するのだろうか"としていました。
せめて、円安で空前の利益を上げている大手輸出企業が、その一部を下請けの中小企業に分けることができれば、賃金上昇の裾野が広がり、円安のデメリットが薄らぐことになるだろうと記事では来ます。ただ、現実はそうはなっていないというのが、多くの日本人が苦しんでいる理由ではないかという見方でした。
中小製造業で働く人々の賃金上昇率が生活コストの上昇率を上回っていかないと、彼らの消費者マインドは改善しないため、小売りなどのサービス産業の業績改善も遅くなります。結果として膨大な就労者がいるサービス産業の賃金上昇も限られてしまうという理屈です。
そして、こうした悪い大企業の例として挙げられていたのが、なんとトヨタだったんですね。円安で利益を増やしているはずのトヨタ自動車は、むしろ凍結していた部品納入企業に対する値下げ要求を再開すると発表していたというのです! 事実なら極悪企業に見えてしまいますね。
●儲かってるけど還元しない?トヨタが下請けへの部品値下げ要請再開
で、検索すると、とりあえず朝日新聞がヒット。
トヨタ、部品値下げ要請再開へ 不満漏らす取引先も:朝日新聞デジタル(友田雄大、大日向寛文 2015年8月27日07時13分)という記事が出ていました。
<ヨタ自動車は、今年度下半期(今年10月~来年3月)から、取引先から購入する部品の値下げ要請を1年半ぶりに再開する方針を固めた。好業績を下請け企業に還元して賃上げを促すため、昨年度下半期から1年間、要請を見送ってきたが、これ以上続ければ、部品メーカーのコスト削減意欲がそがれ、競争力が低下すると判断した>
上記の記事は、「要請再開へ」というもの。以下、続いて、正式要請という記事も出ています。
トヨタ、部品値下げを取引先に正式要請 0.7%前後:朝日新聞デジタル(2015年9月2日07時08分)というものでした。
<トヨタ自動車は、今年度下半期(今年10月~来年3月)に購入する部品の価格の引き下げを、取引先の主要部品メーカーに正式に要請し始めた。値下げ幅は各社の競争力やつくる部品によって異なるが、0・7%前後の模様だ>
●円高だから「特別に値下げ」のはずが円安でも値下げに…
最後の記事は、トヨタが配慮しているとフォローしていました。今回の値下げ幅(0・7%前後)は、2年前(1・0~1・5%程度)に比べ、低く抑えているというものです。2016年3月期に空前の2・8兆円の営業利益を見込んでおり、利益の還元を求める部品メーカーに一定の配慮をしたとみられるとのこと。
ただ、2013年の
トヨタ、下請けへの値下げ強制の実態…協力金撤廃という朝日報道への疑念? | ビジネスジャーナル(2013.02.19(文=橋本玉泉))という記事では、そもそも円高だからと特別に要請していたのを常態化させよう…というトヨタの姿勢が見えます。ちなみにこのときも朝日新聞の報道にまつわる話です。
トヨタはこれまで、円高による採算の悪化を理由に、下請け業者に対して「円高特別協力金」と呼ばれる施策を進めてきた。協力金などというものの、その実態は下請け業者に対する単価の切り下げである。
下請け企業の契約更新は、春と秋の年2回。その際、トヨタは昨年2回、下請け業者に対して1.5パーセントを上限とした単価切り下げを要求。円高特別協力金とは、それに加えて「円高を理由に、さらに1.5パーセントの単価引き下げ」を提示していたものである。これを承諾しなければ契約を打ち切られてしまう可能性が高いため、下請け業者はこのトヨタの要求を受け入れざるを得ない。
だが、昨年末にひとつの動きがあった。12年12月29日付朝日新聞で、12年10月から13年3月までの期間について、円高特別協力金による単価切り下げを撤回したと報じられた。記事によれば、円安が進んだことによって収益の改善が見込めるからとの説明が添えられていた。
ところが、この単価切り下げ撤回について労組関係者が確認したところ、明確な事実関係が得られていないという。(中略)
トヨタ本社に確認したところ「肯定も否定もしなかった」(榑松氏)というから、なんとも珍妙な話である。参加者のなかには、「あくまで臆測だが、トヨタは(単価切り下げ撤回は)1次下請けなどの一部の協力企業のみにとどめて、2次や3次などその他の業者には引き続き厳しい条件を突きつけようという気なのではないか」との声も聞かれた。
「トヨタは円高になった時には、単価切り下げを末端の下請けまで徹底しました」(榑松氏)というが、円安になっても、そのことには触れようともしないらしい。円安になれば、当然ながらトヨタは莫大な利益を手にすることができる。しかし、これまでトヨタ社を支えてきた下請け業者たちに対して、利益を還元しようという姿勢はまったく見えてこない。
●値下げ自粛期間中にも、実際には赤字になるような値下げ要請?
次は右派系のサピオの2015年3月の
絶好調トヨタ 下請け企業の疲弊ぶりは目を被うばかりの状態│NEWSポストセブン(文/須田慎一郎(ジャーナリスト) ※SAPIO2015年4月号)という記事。部品メーカーのコスト削減意欲がそがれることを、トヨタは値下げ要請の大義名分にしていましたが、そもそも下請けは全然円安の恩恵を受けていないといった内容です。
また、以下の下請けの話だと、値下げ要請自粛としていた時期にも、実際は値下げ要請していたのかもしれません。三次下請けなので、トヨタの直接の要求ではない可能性もありますが、記事ではトヨタは"世界標準価格での調達を徹底して"おり、国の部品メーカーの単価を日本のメーカーにも求めていると補足されていました。
大手メディアはまったく触れようとしないが、こうしたトヨタの絶好調ぶりとは裏腹に、同社の下請け企業や同社に部品を納めるメーカーの疲弊ぶりは、まさに目を被うばかりの状態になっている。トヨタの三次下請け(ティア・スリー)に位置する部品メーカー(本社・愛知県)の社長が言う。
「これまで単価10円で納めてきた部品を、5円に下げられないかと言ってきたのです。理由を聞くと、『中国のメーカーに見積もりを出させたら、単価5円だったから』と言うのです」
(中略)
「しかしこの部品の原材料費は7円するのです。そのことを説明した上で、『つまり品質を下げろということですね』と言うと、『それは絶対にダメ』とのこと。この要求を断わってしまったならば、もうトヨタから仕事は回ってこないでしょう。泣く泣く赤字を前提に、値下げ要求を飲みました」(前述の部品メーカー社長)
●最高益のトヨタの一方、下請けは7割がリーマン以前の収益 6割は13年よりも悪化
最後に前年である2014年の記事。やはり下請けは全然儲けていないという話があります。クルーグマン教授が言っていたように、右派の主張するトリクルダウンなんて起きそうにありませんね。トヨタ最高益は下請けいじめのおかげじゃないかという感じのデータです。
トヨタ下請けの7割、リーマン前の売り上げ届かず :日本経済新聞 2014/8/11 15:44
帝国データバンクは11日、全国にあるトヨタ自動車グループの下請け先企業のうち、約7割がリーマン・ショック前の売り上げを回復していないとの調査結果を公表した。2013年度の売上高がリーマン・ショック前の07年度を下回る「減収」だった企業の割合は、一次下請け先と二次下請け先を合わせると70.5%(1万4232社)だった。また13年度が前年度より「増収」だった企業は40.7%(8968社)にとどまった。
トヨタは5日に発表した14年4~6月期の連結決算(米国会計基準)で、純利益などが四半期ベースで7年ぶりに最高益を更新していた。上場するトヨタ系列の部品メーカーなども好調を維持するなか、下請け企業の中では大手と中小の業績格差が広がりつつある。
東証一部上場企業の好調が伝えられるものの、それが日本の景気回復とイコールだとは限らないのは、このように富を偏在化させることでも、一部の企業の最高益が達成できるためです。私は大企業が儲けること自体は悪ではなく、むしろどんどんと儲けるべきだとは思うのですけど、今回の記事であったような搾取による増益は到底支持でませんし、富の再分配機能を強化する必要性も感じます。
●値下げを強制する日本の大企業、中小企業を「生かさず殺さず」で酷使
2017/07/13:同じような話について書いた
原価割れで納入を強要、関係ない仕事をただ働き 下請けは泣いている! J-CASTテレビウォッチ / 2017年7月11日 16時15分を読んだので追記。クローズアップ現代+の放送を紹介した記事で、"大企業・親会社による買いたたき、支払い延期、業務外の仕事提供強要"といった下請けいじめが急増しているとのこと。さらに増えているという話です。
そして、ここ出ていたのも、トヨタらしき企業の話でした。ある自動車関係の二次下請け業者の経営者は、"アベノミクスで大手メーカーや一次下請けが業績を大きく回復させる一方で、二次下請けは今も毎年1%の値下げを強制されている"と説明していました。この会社は愛知県にということですから、トヨタ系である可能性が高いです。
また、"自動車メーカーはグローバルな競争を理由に原価低減をさらに強化する構えを崩さない"ともされていました。やはり自動車会社の問題が例になっています。中小企業庁によると、"こうして得られたもうけの使途は、海外投資に20・3%、自社社員の賃上げに31・7%、内部留保に25%"。下請けとの取引改善は2%に過ぎません。
「利益だけを吸い上げられていく。死なない程度にゴハンを残し、余分はいらない。そういうイメージだ」との声もあるとのこと。"まるで江戸時代の百姓搾取だ"とありましたが、これは「百姓は生かさず殺さず」(百姓共をば、死なぬように生きぬように と合点いたし収納申し付くるよう)という言葉を踏まえていると思われます。21世紀とは思えませんね。
●トヨタOB「トヨタがあるのは中小企業のおかげ。辞めてから初めてわかった」
2021/06/16:今回の追記は下請けいじめの話じゃありません。トヨタは下請けから搾取しているが、その下請けがトヨタのずさんな設計をカバーして良い車を作ってあげている…といった感じの話でした。
部品が造れなくなる日 「図面品質の劣化」がトヨタにまで | 日経クロステック(xTECH)( 近岡 裕 日経クロステック 2021.06.08)という記事にあった話です。
2019年度の決算発表の席で、トヨタ自動車の豊田章男社長は新型コロナウイルス問題がある中、「日本にはものづくりが必要」「トヨタだけを守ればよいのではなく、日本の自動車産業の要素技術と、それを支える技能を持つ人材を守り抜く」と語りました。そして、この豊田章男・トヨタ自動車社長の発言を世間が高く評価したといいます。
ところが、トヨタやグループ企業の部品加工を請け負う加工メーカーの社長は、「トヨタの社長は部品加工の現場の状況をご存じないのだろうか」とこの発言に辛辣な評価。「今や自動車や設備の部品のものづくりは、ほぼ加工メーカーが支えていると言っても言い過ぎではない」と続けて言っていました。
ちょっとよくわからなかったんですが、「元から中小企業も日本のものづくりを支えている。トヨタは思い上がるな」ってニュアンスみたいですね。加工現場をよく知るトヨタ自動車生産技術部門出身のOBも「トヨタ車は加工メーカーの知恵とノウハウ、努力によって支えられている。加工現場の実態は、トヨタを退職した後でようやく見えた。トヨタの看板を背負った者の目線からでは見えないものがあるのだと痛感した」と賛同していました。
●物理的に不可能なんですけど…トヨタから出てくる図面がレベル低すぎ!
記事タイトルの「図面品質の劣化」というのも意味がわからんと思ったのですが、具体例を見ると、要するに図面がデタラメでおかしいことなどを指摘しているみたいですね。例えば、金属の角部をそのままにしていると、指を切ったりしてけがをするので4箇所を切るように指示されている図面で、2箇所以外は物理的に切るのが不可能といった例が出ていました。
他には、表面処理の指示が一切なくてあり得ないと思って組み合わせ部品の方を見ると、そちらだけ指示があり、気を利かせて両方処理した…といったもの。図面を使う仕事をしていた私的には、こういうおかしな図面に出くわすことはよくある話。そんな大げさな…と思ったのですが、トヨタなどのかつての日本の大企業はもっとレベルが高かったのかもしれません。
<「加工できない図面が年々増えている。『どうやって造るの? あなたが造ってみせてよ』と何度言いたくなったことか」(前出の社長)。図面品質の劣化は、規模の大小を問わずこれまで多くの日本企業に見られてきた。だが、ここに来てついに「危険水域」に達したと言えるほど、ひどい状態になっているというのだ>
●幹部も驚き!トヨタが仕入れ先の日本製鉄に特許侵害で提訴される
2021/10/19追記:トヨタ自動車が電動車(ハイブリッド車など)のモーターに使っている宝山製の鋼板が自社の特許を侵害しているとして、日本製鉄(日鉄)がトヨタ自動車と中国の鉄鋼大手・宝山鋼鉄を提訴しました。
トヨタ、驚き隠せず 電動車販売に影響も―日鉄提訴:時事ドットコム(2021年10月15日)によると、トヨタは驚いているといいます。
<トヨタは、長い取引関係がある日鉄が、鋼板を造った宝山だけでなく自社も訴えたことに「びっくりしている」(長田准・執行役員)と驚きを隠せない様子だ>
<巨大自動車メーカーのトヨタが有力な仕入れ先から訴えられるのは異例で、ある業界アナリストは「『トヨタが上で日鉄が下』という上下関係に、くさびを打ち込んできた印象だ」と指摘する>
<日鉄とトヨタは今夏、鋼材価格をめぐる交渉でも激しく対立。日鉄が供給停止をちらつかせて大幅値上げを求め、トヨタが折れたという経緯がある。長年、鉄鋼と自動車のトップメーカー同士で親密な関係を構築してきた両社の間に溝が生じているとの見方が広がっている>
「トヨタが情報を漏らしたと言うこと?確かにトヨタは、水素もハイブリッドも中国に与えたけどね」といった反応も出ていましたが、そういうわけではなさげ。
日本製鉄はなぜ中国・宝山とトヨタを訴えたのか: 日本経済新聞(2021年10月15日 12:32)によると、訴訟に関わるテクニカルな問題のようです。
<日鉄がライバルの中国鉄鋼メーカーだけでなく、顧客であるトヨタまで訴えたのは、その方が問題解決に有効と考えられたからだ。
第一に、宝山の大口顧客であるトヨタを訴訟対象とすることで、宝山が訴訟に正面から向き合うことが期待できる。
第二に、訴訟戦術としても日本企業を巻き込む必要があった。当該特許は日本でしか出願しておらず中国の裁判所では争えない。日本と中国の間では、お互いに相手国の判決を承認する相互保証をしていないため、仮に東京地裁で日鉄が宝山に勝訴しても、中国の裁判所に日本の判決をそのまま執行してもらうことはできない。日鉄は日本国内で確実に販売などの差し止めの効果や賠償金を得るために、トヨタにも訴訟を提起する必要があった>
また、トヨタは日鉄に賠償金や和解金を支払うことになっても、交渉によって宝山から償いを求める「求償」が可能だと見られています。これは、第三者の特許などを侵害していないことを仕入れ先の原材料メーカーや部品メーカーにあらかじめ保証させる「表明保証」が通常あるため。結局、ほとんど宝山だけが損失…ということになりそうです。
ただ、トヨタのイメージ低下は免れないでしょうし、道義的責任もあると思います。というのも、こうした特殊な鋼板を中国メーカーが作れないことをトヨタが知らなかったとは考えづらいため。「たぶん特許侵害だけどうちの責任じゃないから安い方が良い」と仕入れていた可能性が高そうです。前述のような上下関係もあり、日鉄に訴えられるとも考えていなかったと思われます。
こういうのは、製造業だけでじゃなく、サービス業なんかでもありますね。例えば、事故が多発した深夜バスなんかも安全軽視で作った低価格でした。不当に安すぎるサービスの場合、手抜きや不法行為などが行われている可能性が高く、それに薄々気づきながら契約しておいていざ問題が起きると「うちも被害者」と逃げることがあるのです。ここらへんはただちに違法とは言えないため、問題を深刻化させてしまっています。
【関連投稿】
■
19年ぶりに新自動車会社 日本エレクトライクはシートベルト不要三輪EVを発売 ■
トヨタ役員不起訴(起訴猶予)はおかしい?オキシコドンで有罪の例あり ■
海外の品質と信頼性評価、日本車は業界標準以下 韓国車に大惨敗 ■
トヨタ自動車の歴代社長の学歴・出身大学と学部 理系・文系多いのはどっち? ■
カネのかかるところに利権アリ!トヨタの燃料電池車(FCV)「MIRAI」に族議員が群がる ■
商品・サービス・技術についての投稿まとめ
Appendix
広告
【過去の人気投稿】厳選300投稿からランダム表示
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
|