猫のマーキングや縄張りの話をまとめ。<意外に行動範囲が広い猫、猫の縄張りは犬よりも広い説も>、<メスオス・去勢の有無・田舎と都市部・年齢・国による違いは?>、<猫のマーキングには3種類もある おしっこするのは「尿スプレー」>などをまとめています。
2022/12/30まとめ:
●猫のマーキングには3種類もある おしっこするのは「尿スプレー」 【NEW】
●意外に行動範囲が広い猫、猫の縄張りは犬よりも広い説も
2020/03/25:犬の場合、人間が散歩をさせるために、猫よりも行動範囲が広い印象があります。ただ、私は逆に猫の方が犬よりも広い縄張りを持つ…と聞いたことがありました。ただ、今検索してみると、それっぽい話が出てこなくてびっくり。一般的な見解ではなかったのかもしれません。
また、たとえ本当に猫の行動範囲が広かったとしても、それは常に動き回っているという意味でもないでしょう。例えば、行動するときは遠くまで行くけど、ほとんどの時間はあまり動かずに同じ場所にいる…というパターンが考えられます。私がよく撫でていた野良猫も、いつもほとんど同じ場所にいて、意外に動かないなと思いました。
さらに、もともと猫は睡眠時間が長い動物として知られています。日本語の「ねこ」の語源も「寝子」からという説があるくらいです。この寝ている時間の長さからも、活発に行動している時間は少ないのではないかと予想できそうでした。
●6カ国で900匹の猫にGPS装着!行動範囲を大規模調査した結果
で、実際に猫の行動に関する調査、しかも、たいへん大掛かりな調査が行われていたようです。「キャット・トラッカー」という国際プロジェクトでは、6カ国で900匹を超えるネコにGPS装置を1週間装着させ、彼らがどこへ行き、どのくらい広い範囲を動き回っているかを調査したそうです。
外へ出たネコはどこへ行く? 大規模調査の結果がついに判明 | ナショナルジオグラフィック日本版サイトによると、これが2020年3月11日付けで学術誌「Animal Conservation」に発表されました。論文の筆頭著者で米ノースカロライナ自然科学博物館のローランド・ケイズさんによると、あまり動いていないという結果。なおかつ縄張りもそう広くなかったようです。
「ネコがあまりにも狭い範囲でしか動いていなかったことに驚きました」
「大半のネコが、全ての時間を自宅の庭から100メートル以内で過ごしていました」
●半数以上のネコはおよそ1ヘクタール以内の行動範囲にすぎない
半数以上のネコは、およそ1ヘクタール(10,000平方メートル)以内の行動範囲にとどまっていたとのこと。典型的とされつつもこうしたほとんどのネコよりもかなり広い1.6ヘクタールを行動範囲としていた、米ノースカロライナ州の猫カットニス・エバディーンさんのケースを見てみます。
彼女は他の多くの猫と同様、ほとんどの時間を家と、家の裏にある林の中で過ごしていました。ただ、両隣にあるアパート群を何度も訪れたり、家の前にある2車線道路を3回渡るなどはしています。調査の間には一度だけ、140メートルほど離れた駐車場まで歩いて行ったこともありました。
ただ、彼女よりはるかに動いていた猫も多いです。人間に関する調査でも大いに誤解されるのですけど、実を言うと、平均値は実態をとらえるときにあまり役に立たないことが多くあります。なぜかというと、個体差・個人差が大きいために、平均値で理解すると間違えることが多いためです。
●みんな動かないと思ったら大間違い!猫によってかなり違う結果に…
今回の調査の場合、全体の7%はなんと10ヘクタール以上の範囲を動き回っていました。前述の通り、半数以上のネコは、およそ1ヘクタール以内だったので、なんと10倍以上の行動範囲を持っていた猫が1割近くいるんですね。1ヘクタール以内を気にしすぎると、理解を間違えます。
最高記録の保持者は、ニュージーランドのウェリントン郊外にすむ猫ペニーさん。ペニーさんも先程のカットニス・エバディーンさん同様に若いメスでした。家の裏にある丘陵地帯を歩き回り、なんと860ヘクタールもの行動範囲をもっていたそうです。
また、英イングランド南西部にすむ去勢済みのオス、マックスさんは行動範囲が広かった上に、独特の行動をしていました。別の町までの道路を1.6キロメートル以上も歩き、そして来た道を戻るという行動を調査期間に2度見せています。謎とされており、一般的な行動ではなかったようです。
●メスオス・去勢の有無・田舎と都市部・年齢・国による違いは?
上記のよく行動した例は、メス猫と去勢猫でした。ただ、こうした個別事例に釣られると理解を間違えるという、これもまた注意が必要なところがあります。なんか科学的な理解の良い教材みたいになってきましたね。
実際には、オスの方がメスよりも行動範囲が広いことがわかりましたし、去勢や避妊手術を受けていないネコの方が受けているネコよりも広い範囲を移動する傾向があったそうです。また、若いネコのほうが老齢のネコよりも、そして地方のネコの方が都市部のネコよりも動くという結果に。結果としては、イメージ通りで、わかりやすい感じですね。
それから、今回は飼い猫の調査であったことも注意が必要。大多数の飼いネコは、オセロットのような野生のネコ科動物や野良ネコよりも、はるかに行動範囲が狭いんだとのこと。理由は、家でエサをもらうので、食べ物を探しに遠くまで探検をする必要がないからだと考えられます。また、多くのペットは去勢または避妊手術を受けているので、交尾相手を探す欲求もないという理由もあるようでした。
この他、研究者たちは、国によってネコの行動に違いがあるのではないかと予想していました。例えば、米国ではコヨーテが広く生息しているので、ネコは安全な場所からあまり離れないのではないかと予想。しかし、これはハズレ。オーストラリアの猫だけなぜか行動範囲が狭かったくらいで、あまり違いが見られなかったようです。
●猫のマーキングには3種類もある おしっこするのは「尿スプレー」
2015/8/15:「マーキング」と言うと、イコール「おしっこ」な気がしますが、猫の場合は3種類もあるみたいですね。私は最初、この使い分けがわからなかったために、読んでいて悩みました。「マーキング」と言われて最初に思い浮かべる「おしっこ」は「スプレー」もしくは「尿スプレー」とも呼んで区別するようです。
ただし、このスプレーの役割にも2種類あります。一つは、"自分のおしっこのニオイを付けて、テリトリー主張や婚活"をするというもの。これは非常にわかりやすいですね。マーキングのイメージそのままです。また、"多頭飼いで新入りネコがやってきた時、環境変化"など、猫が不安を感じるときにもスプレーを行うことがあるそうです。これもやはり縄張りの主張と関係ありそうですね。
(以上、
猫のマーキング/ペット大学猫学部 猫の飼育学科/ペットの消臭屋より)
「尿スプレー」という呼び方をしていたのは、<★猫の尿スプレー(マーキング)について考える①>(リンク切れ)ですが、こちらでは"ある調査によれば室内外を自由に行き来している飼い猫は、2㎞平方メートル位の広さを自分の縄張りとしてマーキングなどの目印をつけながら日々巡回している"としていました。
http://www.amy.hi-ho.ne.jp/s-kuwabara/128.htm
…などと書いてしまっていましたが、読み直していて「2㎞平方メートル」というのは単位としておかしいと気づきました。気になって引用元を見るとリンク切れしています。「2000平方メートル」の間違いだとすればかなり狭い一方、「2キロ平方メートル」だった場合は「2,000,000平方メートル」で広すぎてあり得ません。
同じページにまとめた前半の調査によると、半数以上のネコが、およそ1ヘクタール(10,000平方メートル)以内の行動範囲にとどまっているとのことでした。こちらを参考にした方が良いですね。このリンク切れのサイトは、全体に信頼性が低かったかもしれません。(この2段落だけ2022/12/30追記)
●スプレーはオスだけ?去勢したらしない?と思いきや例外も…
テリトリーを主張するという話を聞くと、スプレーするのはオス猫、それも去勢していないオスだけかな?と感じます。
またたびは性的な興奮?子猫・去勢・オス・メス・妊娠中での反応の違いでも、ある程度の違いが見られていました。
ただ、
猫ちゃんのマーキングとスプレーの意味|猫のおしっこ雑学(排泄にまつわる雑学辞典)|教えて猫ノート 猫のお悩みスッキリ解決!によると、違うみたいですね。"去勢していないオスがやることが多い"ものの、飽くまで「多い」という話だけです。
"一般的には、オスの場合は性ホルモンが関係している場合が多いので、去勢手術をすることで大体は防げますが、中には去勢しても変わらない猫"もいるとのこと。ときには"メスにもみられます"という話もありましたので、去勢していないオス猫以外でもスプレーしないとは限らないようです。
●猫のマーキング2:猫自身の顔をあちこちスリスリするマーキング
先程の教えて猫ノートによると、猫と仲が良くなると、"家具や人の足に顔をこすりつける"行為を頻繁に見せます。これは最初、私は非常に不思議でした。嫌がっているようには全く見えないものの、撫でようとするとスリスリしてすり抜けていき行ったり来たり落ち着かないものですから、嫌われているのかと心配しました。
この"家具や人の足に顔をこすりつける”行為もマーキングの一つであり、"リラックスしている証拠"だそうです。"自分のなわばりでもあるので、つねにニオイをつけて安心できる場所にしてい"るという理由もあるそうで、嬉しいですね。むしろ好かれていたようです。
私にはこのスリスリが顔だけではなく体中でやっているように見えていたのですが、ネットでは例外なく「顔で」と書いています。より正確に言うと、"ほほやあごにある分泌腺からニオイを出してい"るとのことですから、「顔で」という説明になるようです。
もう一つ私が気になっていたのは、グリグリという感じではなく、「えっ、そんなんでいいの?」という感じでどの猫も微妙に触れる程度しかスリスリしないことです。このことについて特にどこも説明していませんでした。あれで本当に匂いついているんですかね? もっとどんと来いよ!と、いつも思っています。
少し補足。
猫のマーキングとは?する理由、やめさせる方法など | ねこちゃんホンポでは、「大好きな飼い主さんは自分のもの、この場所が大好きという意味でマーキングをし、自分のニオイをつけることで安心できるようにしている」として「好き」と明記されていました。(ここだけ2022/12/30追記)
●猫のマーキング3:爪でガリガリするマーキング(爪とぎマーキング)
爪でガリガリガリ! 何とこれもマーキングの一種だそうです。ただし、普通に爪のお手入れだったり、ストレス発散だったりもするそうです(ここはペットの消臭屋より)。ただ、それ以外でもガリガリするケースがあったと思います。マーキングですので、"爪の間の分泌腺から出るフェロモン"をつけて、臭いで情報を残す意味合いがあるそうです。ただし、これは二つ目の説明でした。
一つ目は何か?と言うと、"「ここには強く大きな猫がいるよ。だから、こっちには来ない方がいいよ!!」とアピールすることが目的"とのだといいます。アピールしたいがためか、"出来るだけ高いところでガリガリやる"のも特徴だとしていました。
ガリガリアピールは多頭数飼いでなくてもやっていることがあります。それもマーキングなの?と思いますが、教えて猫ノートでは、"そういえば、急に思い立ったかのように飛んできて、ジュウタンや布、壁でバリバリやっていませんか"と言っていましたので、他の猫相手でなくてもやりそうですね。
●「うんこ」を猫のマーキングとみなす場合 スプレーと粗相の見分け方
大きく3つに分けたものの、
★猫の尿スプレー(マーキング)について考える①では、「糞をする」という飼い主さんが嫌がりそうなマーキング例も挙げていました。「尿スプレー」と似たものでしょうが、これも強烈です。
さらに、
猫のマーキング/ペット大学猫学部 猫の飼育学科/ペットの消臭屋では、「スプレーと粗相の見分け方」というのもやっていましたのでこちらも紹介。読んでみて参考になりそうなのを抜き出してみました。以下のあたりがわかりやすいと思います。
【マーキング(スプレー)】
・対象にお尻を向けて、腰をあげた状態で行う(四足で立った状態)
・尿の量:少ない
・尿の臭い:かなり強い
・壁やテーブルの足など、垂直な場所にする
【オシッコの失敗】
・座った状態で行う
・尿の量:多め(通常の尿の量)
・尿の臭い:マーキングより薄い
・床や絨毯など、下にあるものにする
猫はきれい好きですし、実家の猫が全然失敗しないなので、おしっこの失敗というのは考えもしませんでしたが、そういうケースもあるんですね。
【本文中でリンクした投稿】
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