赤ん坊は神格化されることが多いですが、赤ちゃんの脳がまっさらな状態で生まれてくるってのもその類かもしれません。
●赤ちゃんの脳がまっさらな状態…は嘘 白紙でも白いキャンバスでもない
この子どもの脳は真っ白説を、真っ向から否定する記事がありました。東京大学大学院教育学研究科・多賀厳太郎教授に尋ねている話です。
赤ちゃんの脳の構造はほとんど完成している:日経ビジネスオンライン 川端 裕人 2015年7月17日
「現時点では、少なくとも新生児として生まれてくる子どもの脳っていうのは、むしろ極めて構造化されていて、いろんな意味で既に機能(ファンクション)しているとされています。まっさらなハードディスクのようなものというよりも、もう活き活きと人間としての機能を発揮している最中という、そういうイメージが強いんです」
厳密にはなにをもって「まっさら」とするか定義しないといけないのだろうが、少なくともぼくが素朴に聞いた問いへの回答は、「まっさらどころか、すでに構造化して、機能している」なのだった。
●人としての「高次機能」は脳の基本機能で実現可能
作者は"新生児でも、心臓は動いているし、呼吸もするし、胃腸から栄養を吸収する。そういう機能は最初から働かなければならないのだから、「構造化し、機能している」のは当たり前だ"と、これを理解しました。
ところが、違うのです。こちらも否定されました。「人の高次機能」を赤ちゃんが持っていないというのも、どうやらあまり正しい言い方ではないようです。
「実は、我々が高次な認知活動とか精神活動だと思っているものが、食べるとか寝るとか、そういう非常にベーシックな生命維持活動をベースに発達してるので、そこはあんまり切り離せないんです。例えばこうやって会話をして、お互いの意図を伝え合ったりとかすることも、すごくベーシックなものがベースになっています」
●「勉強するとしわが増える」も嘘
「よく『勉強するとしわが増える』と言われますけど、あれは嘘です」と、多賀厳太郎教授はこちらも否定。
「(母体内で)しわができてきて、生まれる頃には、大きさはともかく、形だけに注目すると、もうほとんど大人と一緒」とあります。しわも含めて外見的にはあまり変わらないとのことでした。
●神経線維や脳梁も既に構築済み
さて、より問題なのは、見た目ではなく中身です。ところが、これもまた「じゃあ、中のほうでどういうネットワークがあるかっていうことで、新しいイメージングの方法などで見てやると、かなり成人に近いんです」と、多賀教授はおっしゃいます。
「体を動かすための大脳の神経線維とか、左右の脳をつなぐ脳梁ですとか、そういったようなものの配置がほとんど終わってると。ビルの工事にたとえると、ビルのおおまかな壁とか、部屋はもうできています。それどころか、部屋と部屋の間に大量のネットワークケーブルが張りめぐらされているんです」
●赤ちゃんまっさら説
「まっさら」などのキーワードで検索すると、当然赤ちゃんまっさら説を書いている人はいます。ただ、以下も間違ってはいませんかね。構造ができているというだけで、当然その後は発達しないというわけではありません。これはそもそも「まっさら」の定義が異なりそうです。
夢ナビ 大学教授がキミを学問の世界へナビゲート 宮崎大学 医学部 医学科 教授 布井 博幸 先生
あなたは自分が赤ちゃんの時のことを覚えていますか? 子どもの頃のことを覚えているとしたら何歳の頃からですか? 人は自分が生まれた時のことは覚えていません。それは赤ちゃんは、意識もまだできていないまっさらな状態で生まれてくるからです。それが外界に世界と触れることで脳内のニューロンが発達し、やがてモノの形や動きを認識し、しだいに意識が形づくられていきます。
●赤ちゃんは既に個性を持っている
他に検索して見つけた中では、以下のようなものもありました。こちらもまただいぶ観点が異なるように見えます。
赤ちゃん&子育てインフォ|子どものこころを育てる
「赤ちゃんは白紙の状態で生まれてくる」とよく言われます。仮に本当だとしたら、毎日その子に接している親は、確かにどんな色にも染めることができるかもしれません。しかも白いうち、つまり早い時期ほど染めやすい、ということになります。
「3歳までは言ってもわからないからたたいて教える」「小さいときにこそ厳しくしなければ」という人、さらに「早い時期の教育にこそ効果がある」という人は、きっとこうした思いがベースにあるのでしょう。(中略)
まず、人間の赤ちゃんは人間に共通の性質をいくつも持って生まれてきます。これは心理学の研究で、しだいに明らかになってきた事実です。
たとえば、赤ちゃんは生まれてすぐの頃から、まわりのモノから「人間」だけを取り出して、特に興味を示します。(中略)
人として、人の輪の中で生きていくため、赤ちゃんにはこうした反応傾向、言ってみれば「能力」が、あらかじめプログラミングされているのです。
また、人には持って生まれた個性もあります。研究者は、これを「気質」と呼んで、大切に考えていこうとしています。
(中略)ある子はよく泣き、ちょっとした音でも目を覚まし、別の子はよく眠り、少しの物音では起きません。おっぱいの飲み方や泣き方も、実にさまざまです。
このことからも赤ちゃんは決して「白紙」ではなく、さまざまな個性を持って生まれてくると考えられるのではないでしょうか。
"「白紙で生まれてくる」などと考えるのは、親のおごりかも…"と最後に書いていました。どうもこれは赤ちゃんを自分の思い通りにコントロールしようという思想への批判みたいです。
こういう見方はちょっと思いつかなかったですね。真っ白な赤ちゃんを求めてしまう動機というのは、複数あるのかもしれません。
関連
■
60歳の老人と6歳児はキレやすさがいっしょ ■
「サヴァン症候群」とは異なる「超記憶症候群」という症状 ■
誤解の多いアルツハイマー病の特徴 老化現象、遺伝、死の危険性 ■
サヴァン症候群とは?知的障害・発達障害・低いIQで高い記憶力 ■
サヴァン症候群と右脳・左脳 原因は左脳の損傷で人工的に再現可? ■
医療・病気・身体についての投稿まとめ
Appendix
広告
【過去の人気投稿】厳選300投稿からランダム表示
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
|