回転寿司で代用魚という話はデマ? 流通量や淡水魚の問題で無理を書いた後、代用魚の関係でまた別の記事を読みました。
●昔はスーパーでもよくあった代用魚
代用魚以外の話も出ており、代用魚は最後の方で登場。以下のタイトルでわかるように、今回は代用魚擁護の話です。
外食用加工肉、回転寿司の代用魚…偽装批判は、言いがかり?外食産業の企業努力の否定では Business Journal / 2013年11月23日 14時0分(へるどくたークラレ)
また、前回あった「代用魚なんてデマです」というのもガッツリ否定。小見出しも「回転寿司では、多くのネタが代用魚」というものでした。
で、以下のようなスーパーの話をしながら、代用魚を擁護していました。
キャビアの代わりにランプフィッシュの卵が使われているのが不気味だとか、回転寿司のえんがわはオヒョウという謎の魚だの、さまざまな話があります。
代用魚自体は、取り立てて珍しい話ではなく、昔は厳しい表示義務がなかったために、メロは銀ムツとしてスーパーに並んでいましたし、銀ダラの代わりにメルルーサも銀ダラとして陳列されていました。「そんなのインチキ」「虚偽表示じゃないか」と言われかねませんが、銀ダラと味がそっくりで調理法も同じであれば、別に毒のある魚でもなんでもないので、それほど神経質になる問題でもないと思います。
●味がそっくりでも虚偽表示を正当化できない
うーん、結局、こういう話ですか…という残念な内容。"銀ダラと味がそっくりで調理法も同じ"であっても、虚偽表示する大義名分にはなりません。
今は「メロ」という名前で堂々と売られているのでわかるように、本当の魚の名前でブランドを浸透させれば良いだけの話でしょう。
ただ、"2003年にJAS法が改正され、そのような魚の名称混同は禁止されています"なので、「メロ」になったというのは自浄作用ではなく、法律のせいってことみたいです。
●偽ブランドの売り手のような奇妙な主張
別の擁護論。以下もさっきと同じ理由で、正当性を欠きます。
先ほどの肉の話と同じで、回転寿司でも別に銀ダラとしてメルルーサを出しても、なんの問題もありません。むしろ商品を安定して供給できるほうが大切であり、客もメニューが毎回変わるより、安定してあるほうが便利なので、憤慨する理由がわかりません。
いや、憤慨する理由あるでしょう。本物そっくりのブランドバッグであっても、偽物であれば問題になります。
「回転寿司でも別に銀ダラとしてメルルーサを出しても、なんの問題もありません」と書いていますが、回転寿司でも別にメルルーサと申告して出しても、なんの問題もないでしょう。
なぜ堂々と書かずに、わざわざ嘘をついて隠さなければいけないのか?という話。後ろめたいことをやっているんです。
●「淡水魚なので寄生虫がいる」「寄生虫がいる淡水魚が代用魚のあるはずがない」はデマ?
なお、前回の
回転寿司で代用魚という話はデマ? 流通量や淡水魚の問題で無理でやった「寄生虫がいる淡水魚が代用魚のあるはずがない」の件。
私の方でも冷凍なら行けるのでは?と当時書きましたが、こちらでもそう書いています。やはりロケットニュース24(前回引用)はダメですね。
ナイルパーチやティラピアといった淡水魚が白身の代用魚として出ると「淡水魚には寄生虫がいる」と言う人もいるようですが、サーモンの刺身と同じで一旦冷凍処理されているために、寄生虫感染のリスクは当然回避されています。
ちなみに冷凍関係だとこういう話も。代用魚を肯定する理由にはならないですけどね。
店によっては生食するとアニサキスなどの寄生虫症を引き起こす、冷凍処理されていないタラやホッケの刺身などを提供していたりして、よっぽどそういったもののほうが問題なのに、代用魚が不気味だという話で盛り上がるのはおかしなことです。
●アナゴの代用魚がウミヘビもデマ?
もう一つ、以下のようなデマを否定されていました。
中にはアナゴの代用魚であるアンギーラはウミヘビの一種などという話がまことしやかに語られていますが、まったくの嘘。アンギーラは海の蛇という意味合いの言葉らしいのですが、マルアナゴという和名もある、れっきとしたアナゴの仲間です。
アンギーラが爬虫類のウミヘビではないのはその通りです。ただ、所属している科が異なり、通常アナゴとは呼ばれないと思われます。あと、このWikipediaでも何気に寿司屋で使われているという話が出ていました。
ウミヘビ科 - Wikipedia
ウミヘビ科(ウミヘビか)は、
1.爬虫類有鱗目(ヘビ・トカゲの仲間)に属する科(学名:Hydrophiidae)。ウミヘビ類をコブラ科 Elapidae のウミヘビ亜科 Hydrophiinae とする説もある。
2.魚類ウナギ目に属する科(学名:Ophichthidae)。
アナゴ - Wikipedia
アナゴ(穴子[1]、海鰻、海鰻鱺[2])は、ウナギ目アナゴ科(引用者注:より正確に言うと、ウナギ目アナゴ亜目アナゴ科)に属する魚類の総称[3]。(中略)
マアナゴ、ゴテンアナゴ、ギンアナゴ、クロアナゴ、キリアナゴ、チンアナゴなど多くの種類があるが、日本で「アナゴ」といえば浅い海の砂泥底に生息し、食用に多く漁獲されるマアナゴ Conger myriaster を指すことが多い。(中略)
マルアナゴ - アナゴの代用魚としてペルー沖などで捕れる「マルアナゴ」が食用される。マルアナゴはウナギ目アナゴ亜目ウミヘビ科に属するアナゴ近縁種であるが基本的に別種である。ウミヘビ科とあるが魚類である。関西の激安寿司などで使われる場合が多い[8]。
●外食で原材料表記を義務化するのは非現実的
なお、肉の話としては、引用部にあった「先ほどの肉の話と同じで、回転寿司でも別に銀ダラとしてメルルーサを出しても、なんの問題もありません」の該当部だけ補足。
結着肉2(成型接着肉 フランケンステーキ肉)
本来、レストランやファストフードでは原材料を細かく表示する必要はありません。何も表示せず、普通に「ステーキ」としてこれらの肉を提供するのは別に違法でもなんでもありません。別に法の抜け道でもなんでもなく、飲食店という場所で全ての原材料表記を義務化したら、仕入れや時期によってさまざまに変わる材料に対応できなくなってしまう、ただそれだけの話です。
つまり、加工肉をただのステーキとして出していたというだけであれば、本来は問題ではありません。ただし、ただの加工肉をA5等級のなんとか和牛のステーキなどと偽って販売するのはただの詐欺。虚偽のメニューは責められて然るべきものですが、その矛先が、「こんな不気味な肉を…」という話では、お門違いなわけです。
外食で原材料表記を義務化するのは現実的ではない、という話はわかります。
ただ、代用魚の場合は既に虚偽表示の領域ですので、そちらを同じように肯定するわけには行きません。別種ですからね。嘘をついたり隠すので余計怪しまれますし、消費者の理解もいつまで経っても得られることはありません。
「メロ」が浸透したように消費者の理解を得ていけばよい話であり、売り手が楽をしたいからズルを許せというのは、めちゃくちゃな論理ですわ。
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