マクドナルドの話を二つまとめ。一つは「スターバックスより高いマクドナルド社員の待遇満足度 給料で勝利」(2015/10/28)という意外な話。
もう一つは、マクドナルドが低迷していたときに書いた「マクドナルドは倒産危機どころか優良会社 株価やフランチャイズ店比率の高さなど」(2016/1/2)というものでした。その後マクドナルドは復活しています。
★2015/10/28 スターバックスより高いマクドナルド社員の待遇満足度 給料で勝利
「Vorkers(ヴォーカーズ)」のデータに基づく
スタバとマック、待遇満足度が高かったのは意外にも…|ダイヤモンド・オンライン( Vorkers(ヴォーカーズ) 2015年7月30日 )よいう記事。社員満足度は8項目の数値評価に基づいています。8項目というのは、下記です。
「待遇面の満足度」「社員の士気」「風通しの良さ」「社員の相互尊重」「20代の成長環境」「人材の長期育成」「法令順守意識」「人事評価の適正感」
●スターバックス社員より高いマクドナルド社員の待遇満足度
元記事は、「スタバとマック、待遇満足度が高かったのは意外にも…」というタイトル。うちでも「スターバックスより高いマクドナルド社員の待遇満足度」とタイトルにしたわけなんですが、この「待遇満足度」というのは、上記の8項目のうちの最初「待遇面の満足度」に当たります。
しかし、実がマクドナルドがスターバックスに勝っているのは、これだけなんです。「なーんだ」という拍子抜けするお話。
とはいえ、これでもマクドナルドは平均以上で、悪いわけではないようです。"業界平均をやや上回っている"という説明がありました。
●社員の給料でスターバックスに勝利しているマクドナルド
では、このマクドナルドが唯一上回った「待遇面の満足度」とはいったい何なのでしょう? 記事では、具体的に書いていなかったものの、どうも給料の話のような感じです。
具体的な書き込みでは、「ポジション毎の年収レンジを社内公開しているが、中途入社社員で実際にそのレンジにはまっていない(高い)人がいるとは聞く」とありました。「レンジにはまっていない」だと悪そうな話なんですけど、逆に高すぎる人がいるのだそうです。
同業他社から見ても高いという認識は、書き込んだ人によれば、一般的であるようです。
「周囲の話を聞くと、待遇に満足している人は多い。上記につき、同業他社への転職は待遇面で厳しいときく(同条件以上の待遇での転職が難しい)」(オフィススタッフ、中途入社、女性)
●マクドナルドの今の給与は高すぎ? これから適正に近づけていくのかも
一方で、以下のような話もあります。レンジにハマっていないとあったように、今がおかしいのかもしれません。デフレの王者だった時代の名残っぽいですね。
年収事例:新卒入社10年目、年収780万円
「給与制度の特徴:この頃が入社して最高の給料を頂いたが、ここから右肩下がり。古株の先輩社員の昔話では、かつては同じキャリアで1000万を超えたという景気の良い時代もあった。基本的にいまだに給与体系は同業他社よりは高いと思うが、今度も減少傾向は続くことが予想される」(フランチャイジー管理・統括、新卒入社、男性)
ただ、こういったネガティブ評価を受けても、高い満足だったわけです。ヴォーカーズは以下のように好意的なまとめをしていました。
数字として現れる業績と給与が結びついており、スターバックスと比べると、全体的に高水準の給与体系となっていることが伺えます。給与に直結する人事評価に関しても、「人事評価もほぼ毎年見直されており、現場とリンクした物にしようという雰囲気は感じる」とのクチコミから、「待遇面の満足度」がスターバックスに比べて高かった理由が垣間見えました。
●転職会議でも給与水準はやはりマクドナルドが高評価
他社である転職会議のデータも調べてみました。総合点では、マクドナルドが3.4、スターバックスが4.8と完敗なのですが、やはり「給与水準」に限ってみると、マクドナルドが勝利しています。
日本マクドナルドのホワイト/ブラック企業診断【転職会議】 給与水準 3.8
スターバックスコーヒージャパンのホワイト/ブラック企業診断【転職会議】 給与水準 3.2
1社のデータだけでなく、2社のデータで同じような傾向が見られたというのは、なかなか信頼できるものなのではないかと思います。
★2016/1/2 マクドナルドは倒産危機どころか優良会社 株価やフランチャイズ店比率の高さなど
店舗経営コンサルタントの佐藤昌司さんによると、マクドナルドはまだまだ倒産危機ってことはないそうです。
●マクドナルドは倒産危機どころか優良会社
「業績を回復するには、さまざまな方策が必要でしょう。地に落ちたイメージの改善、魅力的な商品の提供、店舗のクリンリネスの向上など課題は山積みです。しかし、日本マクドナルドの強みは、業績立て直しに長期戦で挑めることです。なぜなら、会社としての体力が非常に優良だからです」
(
迷走著しいマクドナルドがそれでも安泰な意外な理由 HARBOR BUSINESS Online / 2016年1月2日 16時10分)
もちろん佐藤さんは、何の根拠もなしにイメージで優良会社と言っているわけではなく、データ的な裏付けがあります。
「まず資金調達力の強さです。今年の第1四半期に220億円の借り入れを決定したのですが、借入条件が凄いんです。なんと無担保無保証、利率0.5%ほど。これほど銀行から信用されているわけですから、もっと借りることも可能ということですね。しかも、この借入金は、第2四半期、第3四半期には減っていっています」
他の借入条件を知らないので私は比較できないものの、本当に他より借入条件が良い・あるいは悪くないのであれば、説得力を感じます。銀行が危ないと思っていれば、もっと借入条件が厳しくなると予想されるためです。
●株価の高さはプラスと言えるのか?
一方、"株価の下落も見られないのもプラス要素"としていましたが、これはどうでしょう? 以下の記事では、株価が高いのは株式優待目当ての個人株主が多いためだと説明されていました。
また、株価の高さは、米国本社の保有株売却に応じるところがなかなか現れない理由とされていました。復活のためには米国本社からの影響力排除が必要という見方もあり、株価の高さはマイナスであるとも考えられます。
売却案も買い手なし マクドナルド“最終手段”は上場廃止か 日刊ゲンダイ / 2015年12月25日 9時26分
「仮に1000億円を払っても、3割の株式しか保有できないわけで経営権を握れない。しかも、すでに日本国内でのビジネスモデルは壊れ、将来のリストラは避けられないから、撤退コストも見込む必要がある。そんなリスクを誰が取るのか。ちょっと手を出せないでしょう」
日本マクドナルドの株価が3000円前後と高値推移しているのは、食事券など充実した株主優待を狙った個人株主が約4割を占めるからだ。これが低迷する業績と比べて株価が「割高」になっている原因ともいわれ、“買い手”が見つかりづらい。買い手を見つけるのは、もはや“非上場化”しかないという見方も出ている。
●フランチャイズ店比率の高さもプラスではなくマイナス?
また、最後にあったフランチャイズ店比率の高さも、プラスと見ることができるかどうかは微妙です。
「原田体制下でFC店舗率は30%から約70%になりました。これがサービス低下の一因と指摘されていますが、一方で経営の安定化に一役買っているフシが見えます。これはロイヤルティの仕組みのおかげです。決算書やFC契約書から試算したところ、FCのロイヤルティは25%前後。うち5%はインフラサービス費と広告費、20%はレントロイヤルティ(いわゆる家賃)と推測されます。レントロイヤルティは固定金額型と売上パーセンテージ型があり、“いずれか高い金額”が適用されます。ここがキモで、売上高にかかわらず、一定の利益は確保できるのです」(佐藤昌司)
佐藤さん自身が触れているように、フランチャイズ店の多さはサービス低下の一因だと、以前から指摘されていました。この指摘が正しければ、順番が逆になります。そもそもフランチャイズ店が多いから業績が悪化したのですから、フランチャイズ化推進のおかげとは言えないでしょう。
まあ、すぐには潰れない原因になっているというのであれば本当と言えますので、長期的に見てマイナス…くらいのところでしょうか?
結局、説得力があったのは最初だけでした。とはいえ、銀行がマクドナルドを悲観していないってのは、たいへんおもしろかったです。銀行の見る目がないだけかもしれませんけどね。
(2018/01/24追記:その後、ほぼ復活という状態になりましたし、銀行は見る目ありましたね! 関連:
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