<ボーナスが貰えて当然…ではない 中小企業や海外のボーナス事情>という話の他、<新入社員の初任給とボーナスの平均 そもそもボーナスは貰える?>といった話をまとめています。
●ボーナスが貰えて当然…ではない 中小企業や海外のボーナス事情
2015/11/3:紹介したいのは、フランスの話を書いたニュースでした。しかし、書き出しの「日本で働いていた人なら、夏と冬のボーナスはもらえて当然 ! と考える人が多いだろう」に引っ掛かってしまいました。実際には日本でもボーナスがないところは、たくさんあります。
大企業ではほとんどボーナスがあるでしょうし、中小企業も多くの場合も結構あるものの、「ボーナスがない」という企業は珍しくありません。また、大企業との格差も大きく、ここらへんの日本の中小企業のボーナス事情については、この海外の話題の後に、別で書いていた話をまとめています。
さらに、パートなどの雇われている形態によっても、ボーナスがないという場合があります。これまたパートでもボーナスをしっかり貰っている方もいて、一概には言えないんですが、とりあえず、日本人全員が貰えているような言い方に、ちょっとあれ?と思ってしまいました。
とりあえず、そういう細かい話は良いとして、記事の話を。フランスのボーナスは、日本人とかなり違うものみたいです。前述のような差があっても、ボーナスは日本人にとってかなり身近な存在であることは間違いないのですが、フランス人は「テレビの中の出来事」みたいな遠さがあるとのこと。かなり珍しいものなんですね。
<ニュースなどでボーナスに関して見聞きするのは、会社役員や一定職種に対する高額ボーナスで、政府がその支払いを規制するというものばかり。一般労働者に対するものはあまり聞くことがないが、存在するのだろうか>
(
51. フランスのボーナス事情 - フランス生活情報 フランスニュースダイジェスト 7 juin 2012 No 953 より)
●海外では企業実績次第で支給されるボーナスも
ただ、この記事をよく読んでみると、フランスにもボーナスはあると言って良い感じもありました。「Bonus」ではなく「Prime」と呼び、"月給の半分相当額を夏及び冬に支払う会社が多い"ということで、日本と比べるとかなり少額ですが、概念としては日本のボーナスと同じです。
…と書きましたが、日本もボーナスは会社によってかなり違いますからね。日本も月給が基準にして表されるものの、各社同じくらいか?と言うとそうではなく、中小企業は基準となる月給そのものがまず少ない上に、支給月数まで少なくなるということで、かなり差が出ます。
私が当初海外のケースで想定していたのは、本当に特別なときにしか出さないという、本来の意味でのボーナスなボーナス。フランスにはこちらも結局ありました。記事では、"その他、フランスでは企業実績次第で支給されるボーナスも多く、例えば、会社の年間売り上げが一定基準を超えた場合などに「Prime d'intéressement」が支払われる"と説明されています。
私は特別活躍した個人に…というのもあるかな?と思っていましたが、上はそういう話ではないですね。日本と比べると、小さめなようですが、フランスにもボーナスはあるにはある…といった感じです。
●大企業と中小企業でボーナスと給与格差拡大
2014/11/24:
まるで象とアリ「大手vs中小」賞与格差、大拡大:PRESIDENT Online(溝上憲文 2014年11月21日)では、中小企業の4割(40.6%)がボーナス未支給、つまりゼロ円だとしていました。従業員規模別にみると、以下の通りで、当然予想できるように、規模が小さい企業ほど支給しない企業が多くなっています。
50人以上の企業 86.2%
20~49人の企業 77.3%
20人未満の企業 53.6%
(大阪シティ信用金庫が大阪府内の1108社を対象に実施した夏のボーナスの支給状況調査)
また、記事では、支給する企業でも平均額は約26万円程度と安い金額だとも強調していました。ただ、それでも前年同期比で良くなっていれば、良い傾向だだと言えるでしょう。で、実際どれくらい支給額が増えていたのか?と言うと、中小企業の場合は「0.8%増」。全然増えていません。物価上昇と消費税増税がありましたので、実質マイナスだと見て良いでしょう。やはり良い傾向だとは言えません。
さらに作者の溝上憲文さんは、大手と中小の年収格差も拡大の一途をたどっているということを指摘。"連合の調査によると、1000人以上規模の企業と10~99人規模の企業の年間賃金の格差は1995年に14ポイントであったが、しだいに拡大し、2013年の格差は産業計で19.2ポイント、製造業が23.5ポイントにまで拡大している"そうです。
●好業績なはずの上場輸出企業でもなぜか消極姿勢
ただ、溝上さんは一方で、上場企業のボーナス額についても、好業績の割にはそんなに高くないという印象を受けるとしていました。
そういう印象を受ける理由の一つは、上場企業のボーナス額がリーマンショック直前の2008年だけでなく、"06年、07年に比べても低い額"であること。もう一つは、"物価上昇分を引いた実質賃金(9月)は前年同期比2.9%減と15ヶ月連続のマイナス"であるという理由です。
また、2014年の冬のボーナスは、前年同期比の増減を見ると、"海外好調、内需型不振という企業業績を反映した格好"であることを踏まえて、「業績好調の輸出企業はボーナスをもっと上げてもいいのではないか」としていました。つまり、業績好調の輸出企業でもボーナスが上がっていないようです。
●海外で稼ぐ企業「国内で稼いでないから」とボーナス上げず
業績が良くても社員のボーナスを上げないで良いとする、会社側の理屈も書かれていました。溝上さんによると、"ボーナスを決めるのは海外事業を含めた連結業績ではなく、国内事業に限定した単体業績を重視するようになっている"とのこと。"経団連の調査(13年11月)では賞与・一時金を決める基準"は以下の通りです。
「単体業績のみを判断材料にしている」36.6%
「どちらかといえば単体業績を重視する」27.3%
「連結業績重視」 14%
「単体業績を重視する」企業は、合計63.9%。"賃金決定の基準でもほぼ同じ比率だ"そうですが、この考え方ですと、"国内業績が伸びない限り、ボーナスが上がることはない"となります。溝上さんは「海外で稼いだ分に日本人社員も貢献していないわけではない」としていました。しかし、経団連の主張は以下の通りだそうです。
<海外の事業投資先なども含めたグループ経営が重視され、海外収益が拡大していく過程にあっても、引き続き国内従業員の貢献は決して小さくなるものではない。しかしながら、企業の売上や生産に占める海外比率が高まる中、国内従業員だけを対象とした定期昇給制度を維持していくことの合理性は、今後ますます問われることになろう。>(経団連『2014年版経営労働政策委員会報告』)
これを溝上さんは「国内の社員だけを優遇するわけにはいかない」という言い分だとまとめまています。ちょうど前日にやった
外資系金融機関のボーナスは高い?当の従業員らは金額に不満気では、海外法人が稼いでも本国が悪ければ海外法人の社員のボーナス額は弾まないという話でした。今回のものは海外事業が稼いでも、本国の社員のボーナスには反映しない…という話です。
しかし、溝上さんは「国内の社員だけを優遇するわけにはいかない」という言い分に批判的でした。円安効果で海外事業が好調でもその恩恵は受けられないことになり、しかも、一方では輸入原材料の高騰による物価高でサラリーマン世帯の暮らしは厳しくなると指摘。"アベノミクスの負の側面がますます拡大していく可能性もある"と見ています。
"日本経済新聞が調査した3月期決算企業1254社"の利益は、"全体で3%増となり08年3月期に記録した過去最高益に迫る"と記事冒頭にはありました。確かにその流れからすると、腑に落ちない人もいるかもしれません。
なお、この記事の論調は私には意外でした。掲載しているプレジデントオンラインはその名の通り、経営者など企業の上の人を意識した記事が多いと思っていました。例えば、系列のPRESIDENT STYLEのコンセプトは「本物を知る経営者・エグゼクティブのための」などと謳っています。しかし、今回の記事はかなり下部の社員の視点に近く見えました。
また、この記事の連載名が「人事の目で読み解く企業ニュース」というのも、私としては意外性がありました。人事としてはもっと給与を抑えるような主張をするのかな?と何となく思ってたのでびっくりです。私の偏見かもしれませんけどね。
●新入社員の初任給はいくら?大企業中心の数字ならデータは存在
2015/6/10:ここから<新入社員の初任給とボーナスの平均 そもそもボーナスは貰える?>というタイトルで書いていた話です。これらのうち、初任給の話は簡単。産労総合研究所によると、"一律に初任給を決定している企業の場合"の2014年の初任給は以下の通り。ただし、上場企業が中心というレベルの高い企業の調査ですので、注意が必要です。
【2014年の決定初任給の平均・一律に決定の企業】
大学卒 20万4,148円
高校卒 16万3,752円
次に「総合職と一般職、広域勤務と地域限定勤務のようにコース別に初任給を決めている場合」の平均値。やはり大きい企業の数字ですので注意が必要ですが、数字としてはわかりやすく出ています。
【2014年の決定初任給の平均・コース別に決定の企業】
大学卒 基幹職 20万6,883円
大学卒 補助職 18万5,478円
高校卒 基幹職 16万7,205円
高校卒 補助職 15万8,523円
【調査名】 「2014年 決定初任給調査」
【調査対象】全国1・2部上場企業と過去に本調査に回答のあった当社会員 企業から任意に抽出した3,000社
【調査時期】2014年4月〜5月
【調査方法】郵送によるアンケート方式
【回答状況】締切日までに回答のあった 235 社について集計
(
2014年 決定初任給調査 – 賃金 - 産労調査 - 人事・労務に関する情報 - 産労総合研究所 update:2014.10.17より)
●問題はボーナスの方…新入社員ってボーナスはそもそも貰えるの?
私だって最初は知りませんでしたから、馬鹿にできないものの、ボーナスがないと知った新入社員が騒いでいるスレがありました。
新入社員だけど夏のボーナスが貰えないことが発覚したんだけど | ログ速@2ちゃんねる(sc)というタイトルのスレです。
1 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[] 投稿日:2015/04/11(土) 14:13:09.840 ID:aqJFmYOk0.net [1/16回]
求人票に新卒者の賞与前年度実績6ヶ月って書いてあったのに
これって詐欺じゃないですかね?
2 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[] 投稿日:2015/04/11(土) 14:13:52.154 ID:ZSD/CBQ4d.net [1/1回]
ボーナスってなにか知ってる?
5 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[] 投稿日:2015/04/11(土) 14:13:59.001 ID:pbpp7st40.net [1/1回]
なんでろくに働いていないお前に夏の分払わなきゃいけないんだよ
11 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[] 投稿日:2015/04/11(土) 14:16:12.608 ID:UuNCC9X8K.net [1/1回]
これガチで言ってるのか?
15 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[] 投稿日:2015/04/11(土) 14:18:15.061 ID:aqJFmYOk0.net [3/16回]
俺は夏もボーナス貰えるようなこと書いてる求人票に文句言ってるんだけど
18 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[] 投稿日:2015/04/11(土) 14:19:59.292 ID:CCODDxcAd.net [1/2回]
ボーナスは何の対価として貰うのか考えようね
19 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[] 投稿日:2015/04/11(土) 14:20:06.547 ID:Q2AmqUZid.net [1/1回]
>>15
お前が馬鹿なだけ
20 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[] 投稿日:2015/04/11(土) 14:20:33.217 ID:tE90yaXUd.net [1/1回]
最近ガキはバカなんだな
●新入社員はボーナスゼロで当然!ただし、結構もらえることも多い
釣りっぽさもありますが、スレ主は最初に「前年度実績6ヶ月」と書いていました。前年度ですのでそもそも新人は会社に在籍していません。つまり、「ボーナスの査定期間にそもそも新入社員は働いていない」のですから、文字通り捉えると「初年度は貰えるはずがない」となります。
ただ、実際には多くの企業で新入社員にもボーナスが支給されています。"新規採用の社員に支給する最初の賞与については、企業ごとに取扱いは異なるが、研修や試用期間の関係で全く支給されないか、低額(1ヶ月分未満)に抑えられる場合が多い"と、
Wikipediaにもあります。
会社で規定したボーナスの査定期間によるものの、むしろ貰える場合は会社の厚意のおかげ…というケースも多いと思われます。では、実際にはどれくらいの企業が新入社員にボーナスをあげているのでしょう? さっきの「2014年 決定初任給調査」のデータでは載っていなかったものの、前年度は調査対象にありました。
"今年4月に入社した新入社員に夏季賞与を支給する企業の割合は88.8%"ということで、思った以上に多いですね。前述の通り、上場企業が中心のデータであり、そうじゃない企業の場合は「もらえる」と思ってしまうと、ぬか喜びになってしまいそうですけど…。
(
2013年 決定初任給調査 – 賃金 - 産労調査 - 人事・労務に関する情報 - 産労総合研究所 update:2013.07.04
【調査対象】当社会員企業および上場企業から一定の方法で抽出した3,000社
【調査時期】2013年4~5月
【調査方法】郵送によるアンケート方式
【集計方法】回答は227社。うち集計は224社 )
●私が勤めていた会社は安かった!新入社員の夏のボーナスの平均は?
ここから、新入社員のボーナスの平均もわかります。夏季賞与の平均支給額は、大学卒なら8万円程度となっていました。入社前は知らなかったのものの、ボーナス前に規定を調べたので私は貰えるだけでありがたいだと思いましたが、確か4万円だったはず。うちはだいぶ安かったみたいですね。
【新入社員の夏のボーナスの平均】
大学卒 8万1,260円
高校卒 6万7,724円
業種別の数字も。いつものボーナスシリーズでやっているように、製造業優位です。
【新入社員の夏のボーナスの平均・業種別】
製造業 大学卒 8万3,526円
製造業 高校卒 7万915円
非製造業 大学卒 7万9,483円
非製造業 高校卒 6万4,326円
ちなみに冬は普通のボーナスを貰えるところが多いと思います。前年度実績ではなく、4~10月みたいな半年ベースの査定期間が普通なんじゃないでしょうか。ですので、新入社員の方は冬のボーナスの方を楽しみにされてください…と書こうとしたものの、これで「冬もなし」だったら落胆が半端ないですね。
悪い方で考えてショックを少なめに抑えた方が良いかもしれません。
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