割れ窓理論 - Wikipedia
割れ窓理論(われまどりろん、英: Broken Windows Theory)とは、軽微な犯罪も徹底的に取り締まることで凶悪犯罪を含めた犯罪を抑止できるとする環境犯罪学上の理論。アメリカの犯罪学者ジョージ・ケリング(英語版)が考案した。「建物の窓が壊れているのを放置すると、誰も注意を払っていないという象徴になり、やがて他の窓もまもなく全て壊される」との考え方からこの名がある。ブロークン・ウィンドウ理論、壊れ窓理論ともいう。
治安が悪化するまでには次のような経過をたどる。
1.建物の窓が壊れているのを放置すると、それが「誰も当該地域に対し関心を払っていない」というサインとなり、犯罪を起こしやすい環境を作り出す。
2.ゴミのポイ捨てなどの軽犯罪が起きるようになる。
3.住民のモラルが低下して、地域の振興、安全確保に協力しなくなる。それがさらに環境を悪化させる。
4.凶悪犯罪を含めた犯罪が多発するようになる。
したがって、治安を回復させるには、
・一見無害であったり、軽微な秩序違反行為でも取り締まる(ごみはきちんと分類して捨てるなど)。
・警察職員による徒歩パトロールや交通違反の取り締まりを強化する。
・地域社会は警察職員に協力し、秩序の維持に努力する。
などを行えばよい[1]。
アメリカにおけるこの理論に対する批判者は、主な犯罪の発生率は1990年代の間アメリカの他の多くの都市でも低下しており、そしてそのことは「ゼロ・トレランス」政策を採用した都市でもしなかった都市でも同様であるという事実を指摘している[7]。
また別の調査では、重大犯罪における「ゼロ・トレランス」の効果は、同じ頃ニューヨークで行われていた他の取り組みの効果と区別することが難しいことを指摘している。
東京都犯罪件数最悪だった足立区 環境美化始めワースト6に NEWSポストセブン / 2015年9月14日 7時0分
近年注目されているのは、町を美化することによる防犯だ。環境防犯設計といわれ、ニューヨークでは落書きを徹底的に消して、町をきれいにしたことで犯罪が減ったという実績がある。日本で成功したのは、足立区だ。
「足立区はかつて東京都犯罪件数ワースト1で治安の悪いイメージがありましたが、環境美化を7年前から始めました。
私が防犯専門アドバイザーとして、何度も公民館などで話をして区民1人ひとりに活動を理解、実践してもらいました。そして区全体に活動が浸透していった結果、一昨年はワースト4になり、去年ついにワースト6になりました。京都でも同様の取り組みをやっています。
町の管理が行き届いていないと、誰も関心を持っていないという印象を与え、犯罪が起きやすくなります。人もお金も時間も必要ですぐに効果は出ませんが、いずれ必ず結果は出ます」
2001年に札幌中央署(北海道警察札幌方面中央警察署)が割れ窓理論を採用し割れ窓を違反駐車に置き換えて、すすきの環境浄化総合対策として犯罪対策を行った。具体的には北海道内最大の歓楽街のすすきので駐車違反を徹底的に取り締まる事で路上駐車が対策前に比べて3分の1以下に減少、併せて地域ボランティアとの協力による街頭パトロールなどの強化により2年間で犯罪を15%減少させることができた。これを受けて各地の警察署からヒアリングなどが活発化している。
学問の分野では、デービッド・サッチャー(ミシガン大学公共政策・都市計画学助教授)が2004年の発表において次のように述べている。・・・社会学は割れ窓理論に優しくはない。多くの学者たちが、割れ窓理論を支持するように見えた初期の研究を再分析した。...
また別の学者たちが、無秩序と犯罪の間にある関連性について、新しいより洗練された研究を続けている。
そういった研究の中でももっとも卓越した研究は、無秩序と重大犯罪との間にある関連性はささやかなものであり、そういった関連性はだいたい、もっと基礎的な社会的影響の結果である、とさえ結論付けた。
(中略)シカゴ大学 Law Review 2006年冬版の中で、バーナード・ハーコートとジェンス・ルードヴィッヒは、最近住宅・都市計画局が計画したニューヨークに住む借家人をより秩序のある郊外に移転させる計画について調査した。割れ窓理論に従えば、一旦より安定した場所に移動させれば、その状況によって借家人は犯罪を起こしにくくなるはずだった。ところがハーコートとルードヴィッヒの調査結果では、借地人たちは以前と同じ確率で犯罪を起こし続けていたのである。
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