好きな食べ物・嫌いな食べ物が違うのは、遺伝より経験的なものの方が大きいと説明されているようです。このように「経験」というと、単純に食べ物の経験だけかと思われそうなのですが、実際には食事に付随する原因、例えば、その食べ物を食べているときに怒られた…みたいな経験が好き嫌いに関係してしまうとされていました。
2022/05/25追記:
●給食を残すとみんなの前で「ごめんなさい」と謝罪、公開処刑に 【NEW】
●完食教育で会食恐怖症という病気に…不登校になってしまう子も 【NEW】
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●給食を残すとみんなの前で「ごめんなさい」と謝罪、公開処刑に
2022/05/25追記:以前も書いた「給食を無理やり食べさせる」という話題で、別記事が出ていました。
給食残してクラスで謝罪、完食指導による心の傷で「会食恐怖症」に… 教育現場の実情 | 弁護士ドットコムニュース(2022/5/21 ジャーナリスト・肥沼和之)というものです。
<一部の教育現場では「残さず食べなさい!」と強いる、行き過ぎた「完食教育」が令和になっても行われている実態がある。
一般的に考え、食べ残しは確かに良いことではないが、かといって無理やり食べさせるのは正しいのだろうか。直面した場合、保護者はどう向き合うべきか。適切な給食指導の情報を発信し続けている、月刊給食指導研修資料(きゅうけん)の代表・山口健太さんに聞いた>
山口健太さんも「完食教育そのものがすべて悪ではない」という考え。完食教育そのものは減ってきているようです。一方で、未だに行き過ぎた完食教育も残っているという話。教員や親が「残さず食べてほしい」と思う気持ちは自然というフォローもあり、行き過ぎ…が問題というスタンスです。
<全員で残さず給食を食べよう、という目標にしていたクラスで、食べられなかった生徒は、みんなの前で「ごめんなさい」と謝罪させられたそうです。お子さんによっては、トラウマになってしまうようなことだと思いました>
<本来は一人ひとりの生徒に寄り添い、好き嫌いなどを理解したうえで、個別に指導していくべきです。そうではなく、一律で「残さず食べなさい」と言いつけ、食べ終えないと昼休みまで居残りさせるような、過剰な完食指導しかやり方を知らないことが問題なのだと思います>
●完食教育で会食恐怖症という病気に…不登校になってしまう子も
大げさだろうと思う人もいるでしょうが、会食恐怖症という疾患があり、その原因となっていることもすでに判明している…といった話でした。また、給食だけでなく、不登校になってしまう子もいるとのこと。それから、うちで書いていた「無理やり食べさせるのは逆効果?」的な話もあります。
<給食の時間や、食べることそのものが苦痛になってしまう恐れがあります。人前でご飯を食べることに不安や怖さを感じる、会食恐怖症という疾患があるのですが、発症のきっかけを調査したところ、最も多いのは完食指導だったという結果もあります。給食が嫌だから学校に行きたくないと、不登校になってしまう子もいます>
<楽しければ率先して練習して、上達もするのです。逆に怒られると楽しくなくなり、やらされてる感が生じます。すると、前には進めません。まずは子どもが安心できる環境をつくり、「楽しい」と思える食事の時間を大事にしてほしいですね>
作者の肥沼和之さんは、「取材をしながら、小学校のころを思い出した」と書いていました。どうも肥沼和之さんも行き過ぎた完食教育の犠牲者だった模様。2017年の調査によると、先生方も過去の経験を元にした指導をしているみたいですね。「昔は良かった」が嘘である例の一つでもあるかもしれません。
<当時ひどい偏食だった筆者は、よく給食を残し、そのたびに給食当番に謝らされた。残すことを認めてもらえず、昼休みでみんなが遊びに出ているのに、食べかけの給食とひとり向き合っていたこともある。
中学に上がり、給食から弁当に変わったときは、心から安心したものだった。あれから30年近くが経つが、減っているとはいえ、いまだに過剰な完食教育が残っている現状を思い知らされた>
<(引用者注:完食指導が行われる理由のひとつは、)教員の多くが実体験に基づいた指導を行っていること。2017年に行われた「給食指導で参考にしていることは?」の調査(※)で、一位と二位を占めたのが「自分が家庭で受けた教育」「自分が小学校のときに受けた給食指導」でした。教員自身が受けた教育を、そのまま生徒にしてしまっているのです。
(※福岡景奈,赤松利恵,新保みさ,小学校における学級担任による給食指導:―栄養教諭・学校栄養職員と相談している教員の特徴―.2017)>
●なぜ?人によって味覚が違う理由 味以外を含めた経験の差か?
2011/1/5:この前にやった
大人の味…大人になると味覚が変わる?子供と味覚が違う理由からさらに先に一歩進めて、人によって味覚が違う理由はどう説明されているのでしょう?
質問サイトの情報なので正しいかは不明ですが、その説明によると、好き嫌いは「経験からくるものである」としか言えないようです。要するに刷り込みですね。難しい言葉だと「味覚嗜好嫌悪学習」なんて呼ぶようです(※1)。前回のところでも練習しないと苦手なまんまと書きましたが、そういうことですね。
この学習というのは犬や猫でもちゃんとできて、贅沢をさせると好き嫌いを覚えるそうです(※1)。と言うか、これはうちの犬猫を見ていても、食べ物に限らず万事にそうだと感じますね。しくみとしては、本来の感覚や意識に対し、そのときの状況や結果が付け加えられるという何らかの「条件付け」によって、学習が行われるという説明。
たとえば、赤ん坊のときに固いものや食べづらいものを与えると、味そのものはまずくないのに、ここにその不快な体験が条件付けされるため、「嫌いになる」ということがあるそうです。また、ある食べ物を食べているときにお母さんに怒られたため、たまたまそのオカズが嫌いになってしまうというのも「味覚嫌悪学習」の一例とのこと。
こうやって、個人の生後体験が条件付けされることによって異なる様々な好みが学習されていき、好き嫌いが生まれてくるようです。(以上、※1)
●そもそも人間の味覚は実を言うとかなりいい加減だった…
「我々の舌は美味い不味いを感じているのではありません。脳がそれを選んでいるんです」(※1)なんて書かれていましたが、実際「舌で感じる味」と「脳で感じている味」というのは区別して研究されているようです(※2)。そして、この「脳で感じている味」は学習によって常に変わっていくせいか、一貫性があって信頼できるようなものではないようともいいます。
東京・荻窪に「春木屋」という昔ながらの中華そばを出す店があり、そこでは昔から変わらない味でファンの支持を得ているのだそうです。しかし、この昔から変わらないはずの春木屋は、店主によれば、実は「味を細かく変えて来ているのだ」といいます。
というのも、日本人の味覚自体が変わってきており、その中でラーメンが変わらぬ味だと評価され続けるためには、変わってゆかなければならない…という逆説的な努力が必要だとのこと。この春木屋のラーメンを過去のものと現代のものとを比較すると、舌で感じる味は別物なのに、食べる側の脳の中では今のラーメンと記憶(=脳)の中の過去のラーメンは同じ味に感じられるのです。(以上、※2)
●想像上の「食べ過ぎ」でも飽きる?
あと、最初にした「味覚嗜好嫌悪学習」で好みを作っていくという話の他に、人間には心理学で「馴化(じゅんか)」と呼ぶものが、通常の食事でも起こることが知られているようです。これは要するに食べ過ぎて嫌になんちゃうってな話で、同じ食品を繰り返し口にすることで欲求が低下して食べる量が減るということでした。
そして、これはおもしろいことに実際に食べなくとも、想像するだけで効果があることが実験で判明した…という話も。
これについて研究者は主にダイエットとの絡みで話しており、ダイエットに取り組む人は、多くの場合、欲求を刺激する好物を考えないように努めるが、そうではなく逆にわざと頭の中で繰り返しその食べ物をかみ、味わい、飲み込む場面を想像する方が効果があるのかもと言っています。
(以上、※3。ただし、これは想像した食品に限定した効果で、別の食品の欲求は変わらないそうです)
これも一般に考えるのとは逆の形で、興味深く思います。
参考記事
※1
人によって味覚が違うのは何故なんでしょうか? 教えて! Watch※2
2010年2月19日 「変わる味覚」を知って「変わらぬ味」を作る 武田 徹 日経ビジネスオンライン(閲覧には登録が要るかもしれません)
※3
想像だけで食欲を抑制できる? ナショナルジオグラフィック December 10, 2010●好き嫌いしちゃいけません!無理やり食べさせると余計好き嫌い多く?
2017/09/28:最初の投稿時に、怒られたときの食べ物が嫌いになるという例が出ていました。このことから、「体に良い」とされるむしろ食べ物が嫌いなことが多いのは、無理やり食べさせようとして、余計嫌なものと学習したのではないかと思いました。これは、
なぜ?アメリカ人の嫌いな野菜の定番ブロッコリー 克服レシピは?でも書いています。
また、食べ物ではないものの、
言わない方がいい「勉強しなさい」 逆効果でやる気下がるも似たような話。意思に反して無理やりさせたら、そりゃあ嫌になりますよね。
そういった話を思い出すニュースがあって、追記するついでに全体を修正しました。岐阜市の小学校で、2016年度に1年生の学級担任だった50代の教師が、児童の偏食をなくすために給食を残さず食べるよう指導し、児童4人が計8回もどしたというニュースです。
さらに、2年生の学級担任補助だった今年7月にも、体調不良の児童に給食を食べるよう指導し、やはり児童が吐いたそうです。この体調不良の情報は伝わっていなかったとのこと。ただ、無理やり食べさせること自体が間違いですけどね。
(
給食の完食指導で5人が嘔吐 小学校教諭を厳重注意:朝日新聞デジタル 2017年9月26日12時13分より)
●嘔吐してでも無理やり…偏食をなくすためには必要なことなのか…
経験で好き嫌いができるとすれば、無理やりは明らかに逆効果でしょう。ただ、体罰容認論があるくらいですし、無理やり食べさせることは必要!という精神論・根性論的な意見があるかな?と思いました。しかし、
はてなブックマークの人気コメントにそういうのはなし。
dd369 無理にでも飯食わせたり運動させたり国歌を歌わせれば好きになるという発想が理解出来ない。
Hiro0138 この所為で野菜が大嫌いになったな、今でも引きずってる
ogatatsu 大人は子供の為を思ってみたいに考えてるんだろうけど、どんどん嫌いになる一方なんだよなこういうのって食べ物に限らず
「でもツイッターならいるかな?」と反応を見てみると、昔ながらの保守的な考えで右派の多いニコニコニュース読者ですと、無理やり食べさせることを否定していない感じの人がちらほらいました。「無理やり食べさせるのは良くない」って共通認識ができると良いんですけどね…。
教師の仕事や手間を減らす為にも、家庭での教育や食育をだな。必要事があれば家庭と教師で情報を共有すればいいこと。
nacosan(@fusenca) - 02:17
まあ、本来親の役目なんだけどなこういうのは 今の親御って自分で教育どれだけしてるのかね
田中(@Gdadtctae) - 02:13
偏食を治すならやむを得ないと思う。ただ学校でソレを行う必要があるのかは疑問。学校の先生も正直手間だろう。仕事減らそう!
enntennjizai(@enntennjizai) - 01:31
昔は残した給食を再度配られて食べてたけどな。そもそも親の食のしつけが悪い
雪の助(@yukinosuke4) - 00:32
アレルギー持ちはしゃーなしだが吐くほど嫌いとか言ってる奴は単に心が弱いだけ
人間吐こうと思えば気持ちの持ちようで簡単に吐ける
ディプレ@アニメ好きと繋がりたい(@PjXx4) - 00:19
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