タイトルにある「部下を褒めずに叱る上司は管理職失格」というのは、飽くまでアメリカの話。日本ではそうはならないでしょう。ただ、研究としても叱るより褒めるが良いというのがわかっているため、日本よりアメリカの方が正しそうですね。日本では子供に関してもしっかり叱れることが良い親だと思われていますが、これも否定的な研究ばかりで根拠がありません。
2015/11/11:
●部下を褒めずに叱る上司は管理職失格…ただしアメリカに限る
●逆の可能性…よく言われる欧米が本音・日本が建前は本当か?
●アジア人と欧米人で異なる目のつけどころ
2018/11/17:
●日本でも新人を叱る管理職が評価されない時代になる?
2017/4/10:
●統計でわかる叱るの無意味さ 説教をして実行するのは何%?
●部下を褒めずに叱る上司は管理職失格…ただしアメリカに限る
2015/11/11:海外にも進出している会社を想定したものだったでしょうか、以前も似たような感じの話で、海外では部下を叱る上司は無能とみなされるという話を書いたことがあります。でも、どこで書いたか忘れちゃって、リンクできませんでした。
とりあえず今回の記事は、アメリカ人の上司から、「この資料はとてもいいよ。君は本当によくやった。君には感謝している。後はここのグラフがもう少し見やすいといいんだけどな」と言われたとき…という話です。
日本なら、「すごく褒められた。よかった!」と考えてしまいがちですが、実はそういう話ではありません。アメリカ人の上司が本当に言いたいことは最後の一文だけ。その前は全部飾り。実際には「なんてことだ。このグラフはいますぐ修正しないとダメだ」という意味なんだそうです。
じゃあ、日本人のように「ここ間違っているから直しておいて」などとぶっきらぼうに言うのが正解か?と言うとそうではありません。あなたはアメリカ人の部下から「感情的で思いやりがなく、非プロフェッショナルな最悪の上司」の烙印を押されるだろう、とのこと。
(
米国では部下を褒めずに叱れば管理職失格 あなたは異文化を理解していますか 東洋経済オンライン / 2015年10月12日 17時0分より)
私が以前読んだ話ではさらに続きがあって、上司を見限った部下が転職してしまい、上司はさらにその上の上司から「使えない管理職」と烙印が押される…といった感じでした。海外では、部下を褒めずに叱る上司は管理職失格とみなされる企業があるようです。
●逆の可能性…よく言われる欧米が本音・日本が建前は本当か?
上記の飾りだらけで言いたいことが伝わらない言い方というのは、「日本人よりはっきり言う欧米人」というイメージとは大きく違っていました。欧米が本音を言って、日本人が建前を言うというのは本当か?という話も以前書いたことがあります。
この後もそういう「常識」とは、実際は異なるのではないか?といった話が出ます。例えば、アメリカのビジネスの場では、上司が部下に対して、あるいは議論の場で同僚に対して、表立ってネガティブな意見を口に出すのは、大変に失礼な態度だと思われるのが常識だとのことです。
このため、アメリカ人の上司が部下にダメ出しをする際は、たいへん気を使います。まずは部下のよいところを3つ挙げ、相手を十分に褒めてから、ネガティブな内容に入る、というのが常套手段。そしてネガティブな意見の内容でさえも、非常にソフトでオブラートに包んだ言い方をしなければならないそうです。
議論でもイメージとは全く逆という説明。相手の意見に反論するとき、「それは違うよ!」などと言うのはアメリカだとアウト。「あなたの言っていることには一理あり、たとえばこの部分は賛成できる。そして私としては、こういう考え方もあると思っている」などと、相手の良いところをまず挙げながら、回りくどく反論しなければならないとされていました。
●アジア人と欧米人で異なる目のつけどころ
この記事自体は、叱るのがいけないことだというスタンスではありませんし、褒めることを推奨しているわけでもありません。主張の大半は、異文化を理解しましょうというものです。
で、おもしろいのが、「人物を撮る」ように言われたときの違いです。"アメリカ人はほとんどの場合、人物の顔がはっきりわかるようにクローズアップ写真を撮った一方で、日本人は背景まで写るように撮影し、人物が非常に小さくなる傾向に"あるとのこと。文化による違いが象徴的に現れています。
<西洋の実験参加者>「だけど人物の写真を撮れと言われたんだから、左のこそが人物写真だよ。右の写真は部屋の写真だ。どうして日本人は人物の写真を撮れと言われて部屋の写真を撮るんだ?」
<アジアの実験参加者>「左の写真は人物写真とは言えない。顔のクローズアップ写真だ。これを見てその人物の何がわかるっていうんだ? 右の写真には人物が、彼女の全身が、背景と一緒にわかっているから彼女の人となりを推し量ることができる。どうしてアメリカ人は大事な細部を省いて、顔のクローズアップ写真を撮るんだ?」
ある写真を見てどう感じるか?という内容だったかと思いますが、やはり欧米とアジアで注目する点が異なるという実験も過去に聞いたことがあります。
こっちの話は優れているとか、優れていないとかの問題ではありませんので、単純におもしろいなと思います。ただ、人種による着目点の違いを理解しておくことで、仕事においてももしかしたら活かせることがあるかもしれません。
●日本でも新人を叱る管理職が評価されない時代になる?
2018/11/17:最初の投稿は「叱るのがいけない」という話ではありませんでしたが、今回読んだ
新卒社員に「頑張らない」のすすめ:日経ビジネスオンライン(小山 昇 2018年5月9日)ははっきりとそういったものでした。
小山昇社長の武蔵野では、よくアンケートを取っています。内定期間中に「あなたは仕事ができるほうだと思いますか?」と質問すると、まず90パーセントくらいが「できると思う」「できるように努力したい」と前向きな答えが返ってくるとのこと。
ところが、社会人になってみると、ごく簡単な仕事しかさせていないのに、同じ問いで全員が「自分がこんなに仕事ができない人間だとは思わなかった」といったネガティブな回答になるとのこと。なので、上司は新人が自信をなくさないよう常に心を砕いてやる必要があるとしていました。
ただ、現実の上司にはそんな人はまれ。「どうしてこんなこともできないんだ」などと感情的な罵倒をしてしてしまう人もいます。むしろこれが日本のスタンダードでしょう。
前述の通り、海外ではこれはダメ上司だったわけですが、日本でもそうなるのではないかというのがこの記事の話でした。空前の人材難の時代、会社は大変な手間とコストとを投じて新卒を採っています。その苦労して獲得した人材をむざむざと「折る」ような真似をする管理職が、経営幹部から評価されなくなるだろうとの予想。
人材獲得にコストがかかっているのは事実ですし、叱ることが有効な方法でないのも事実ですから、部下を叱るような上司が低評価になる時代が来ることは歓迎して良いでしょう。
●統計でわかる叱るの無意味さ 説教をして実行するのは何%?
2017/4/10:
注意されても、92%の社員は行動を変えられない! | ダイヤモンド・オンライン(2017年3月10日)という記事がありました。作者の児島保彦さんによると、100人の社員に、いくら説教をしても、説明をしても、実行する社員は8人にすぎないとしいうのです。
どこの調査なのか出典が不明であるのが気になるものの、これは統計的なデータに基づくといいます。この統計によれば、100人の社員が同じことを聞かせた場合に、その内容を理解できる人は8割の80人だとされていました。
この時点ですでに2割が脱落していますが、理解したうえで、その内容に賛同する人となると、一気に減ってその半分の40人。さらに、それを実際に実行する人は、そのうち2割の8人だけしかいないのだそうです。なので、説教や注意のような方法は、あまり効果的ではないということでした。
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