よくゲームは目に悪いと言われていますが、割とそうでもないという専門家は多いようです。
この話を実は半年くらい前から書こう、書こうと思っていたのですが、後回ししているうちに
「6歳以下は3D使用控えて」任天堂が新ゲーム機で 産経新聞 2011/01/04というニュースがあったので、これに絡ませて書きます。
これはゲームと言うよりは3D一般の話のようですが、裸眼で3D(立体)映像を楽しめる新型の携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS」について、任天堂は4日6歳以下の子どもは長時間の3Dでの使用を控え、2D(平面)モードで使用するよう注意喚起しました。
任天堂によると、3D映像は長時間視聴すると眼精疲労などが起こりやすいと専門家が指摘しており、成長過程にある子どもへの影響を考慮したんだそうです。
これは2つ後の記事Kotaku JAPANによると、「6歳未満の子供の目はまだ成長過程にあり、目を錯覚させて3Dを見せる技術を長期間利用した場合、目の成長に異常が出るかもしれないから」という文章ですので、一時的なものだけではなく影響が残る可能性があるという書き方です。
気になったので公式を探すと、
ニンテンドー3DSの3D映像(立体視)についてお伝えしたいことで、
6歳以下の小さなお子様の視覚は発達段階にあると言われており、専門家は、『ニンテンドー3DS』だけでなく、3D映画や3Dテレビなども含め、左右の目に異なる映像を届ける3D映像は、小さなお子様の目の成長に影響を与える可能性があるという見解をもっています。 |
とのことです。
しかし、この注意喚起に対しては、すぐに疑問の声が上がりました。
ニンテンドー3DS 6歳以下の子供でも悪影響は出ないのでは!?との反応 2011.01.07 ジーパラドットコムによると、
ニューヨーク・タイムズで紹介された目の専門家は、「この声明には科学的根拠がほとんどない」とおっしゃっているようです。
まず、米ワシントン大学で小児科・眼科学教授を務めるローレンス・ティクセンさんは、「映画館やゲームで3D映像を見ても悪影響はゼロのはず」だとし、視覚の発達を調べるため、アカゲザルの赤ん坊に3D眼鏡をかけさせて、3ヶ月間ずっと映像を見せる実験を行ったが、3D眼鏡をかけないサルと比べて視覚には何の違いもなかったと言っています。
また、児童向けの病院で眼科部長を務めるデビッド・ハンター教授も、3D映像を見ることは、人が頭の中で3Dのイメージを構築するのとだいたい同じようなことが起きているにすぎないので、「3D映像が目の成長を阻害するというのは証拠に乏しい」と言っています。
それから、カリフォルニア大学サンディエゴ校で小児眼科を専門とするデビッド・グラネットさんも、「3Dの有無にかかわらず、ビデオゲームが子供の目に悪影響を与えると心配する必要はないと思います」とし、3D映像の悪影響はないとする立場だそうです。
その他、全米検眼学協会も「視覚機能が正常に発達しているのなら、6歳以下の子供も3D機能とともに3DSを使うことができる」とのこと。
ただ、問題があるとすれば、「膨大な情報を処理するために起きる疲労」(デビッド・ハンター教授)や「刺激の強いインタラクティブ・テクノロジーに長時間接することで注意力散漫になる懸念」(デビッド・グラネットさん)だそうです。
これらは要するに3Dに限らずに、高度なことをすれば疲れるよという意味でしょうか?頭の中で3Dをイメージするのと同じなら、一般生活でも集中してたらダメそうですしね。
おそらく任天堂は訴訟などのリスクを負うくらいなら初めから言っておこうという考えで、科学的な根拠は求めていないのかもしれません。それは到底良いこととは思えませんが、多くの人は科学的な思考を重視しないので、ある程度仕方ないものかもしれません。(ただ他の3D映像にまで言及しているので、影響があります)
一方、驚くべきことに、全米検眼学協会(アメリカ検眼協会とも、American Optometric Association、AOA)は逆に「ニンテンドー3DSは軽い視覚障害をもつ子供を見つけるのに役立つかもしれない」と発表したそうです。
これについては、
米検眼会:「3D映像は子供の目に安全、メリットも」 2011.01.07 Kotaku JAPANに詳しかったです。
それによると、通常の眼科検診では、左右それぞれの目の能力を別々に調べるものの、目の疲労や、文章を読む際に読んでいる箇所が分からなくなってしまったり、読解力の低下を引き起こす両目の協調性の問題や立体認識が正常かどうかを見つけられません。
しかし、3D映像が正常に見えないとわかれば、視覚問題の早期発見につながるという理屈です。
じゃあ、眼科で3D映像も検査もやれば良いのにと思いますが、今はそういう意識がないのか、機器が高いのかなんでしょうね。それこそこの(簡易な?)検査はニンテンドー3DSを買えばできるということですし、眼科に一台ニンテンドー3DSを是非どうぞ。
ところで、ニンテンドー3DSだけじゃなく、ニンテンドーDSも目の役に立つことがあるようです。
1日2時間「マリオカートDS」で遊んだ少年、1週間で弱視が250%改善へ ITmediaによると、右目がほとんど見えないイギリスの6歳の少年は、「見えている方の目をアイパッチでふさぎ、1日2時間、ニンテンドーDSの『マリオカートDS』で遊ぶ」ようにという専門医の指示に従い、1週間で 250%もの視力回復したそうです。
これはすべてのケースで有効というわけではないものの、幼少期の弱視は反復的な眼球運動によりある程度改善できるため、ゲーム画面に集中することは眼球の運動を促す上で非常に効果的であるとのことです。また、日本でもアイパッチ中に携帯ゲーム機などで遊ばせる治療は行われているそうです。
この記事を書いた池谷勇人記者も子供の頃アイパッチで片目をふさぐトレーニングをよくやらされたものの、アイパッチが大嫌いでしょっちゅう逃げ回っていたそうで、ゲームの好きな子供には効果抜群の治療法ですね。
これ以外にももう少し読んだ文章があったはずなのですが、もういい加減長いですし、それはまた今度。
ゲームに限らず、何事もやり過ぎには注意しましょうね。
関連
■
その他のゲームについて書いた記事 ■
トランプの絵札のモデル ■
任天堂とマリオの豆知識
Appendix
広告
【過去の人気投稿】厳選300投稿からランダム表示
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
|