【クイズ】自動車を買おうと思ったものの、余裕資金が足りないため、ローンを組む必要がある。しかし、子供のための教育費の積み立てを取り崩せば、ローンなしで買うことが可能だ。
車のローンは6%。一方、子供のための教育費積み立ては、年利3%で運用することが可能だとする。
この場合、車はローンで買うべきか?教育費積み立てを取り崩して買うべきか? 金銭的に得な方を選べ。
●プロスペクト理論の結論
元記事は以下。ただ、問題文が良くないと思ったので、私が上記のように全面的に書き換えています。勝手に作った問題文ですので、不備があるかもしれません。
「カンジョウ(感情)」が「カンジョウ(勘定)」するとき ――「心の会計簿」を確かめるクイズ|マーケットで成功するための投資の心理学|ダイヤモンド・オンライン 林 康史 [立正大学経済学部教授] 2008年1月29日
この記事自体は、
プロスペクト理論とは?その例は? 行動経済学でわかる人の心理でやったプロスペクト理論に関する話です。先に読んでいればまとめたと思うんですが、今から書き直すのは面倒ですのでそちらには書き加えません。
ただ、以下はたいへん役立つと思いました。
【プロスペクト理論の結論】
(1)確実な結果を好む
(2)利益を受ける場合はリスクを避けようとし、損失を被る場合はリスクをとろうとする
(3)表現方法によっては選択を変える傾向がある
●教育費は子供が生まれた瞬間に教育費積み立てを!
クイズはそういう話じゃないんですが、回答までの穴埋めのために教育費積み立ての話を。
子供が生まれたらすぐ積み立てを :日本経済新聞 2011/5/12 7:00(日経マネー 本間健司、張勇祥)[日経マネー2011年1月号の記事を基に再構成]
「教育費は子供が生まれた瞬間に、何年後いくらかかるかが決まってしまう。先送りはできません。それだけに早めの準備が重要です」。ファイナンシャルプランナーの菅原直子さんはこう語る。
30~40代が学生だった頃と比べ、教育費は急騰している。
調査によると大学卒業までに必要な学費・生活費は、塾にも行かずストレートですべて国公立を卒業する親孝行コースで、子供1人当たり約1000万円。私立コースなら2500万円だ。22年間で月割りにすると1人当たり4万~10万円(略)。
●教育資金は安全性の高い商品以外で運用してはいけない
クイズの話でよくわからなかったのが、教育費積み立てはどうやって運用しているか?です。クイズなので「年利3%で運用することが可能」としてしまいましたが、安定しているものがあるんでしょうか? 今の時代、年利3%で安定ってすごく高いですよ。
ファイナンシャルプランナーの菅原直子さんは、"教育資金は使う時期が決まっている資金なので、安全性の高い商品以外で運用してはいけない"とおっしゃいました。誠にその通りだと思います。
アドバイスのまとめとしては以下です。
【出すべき時に出せることが大切!】
30代 時間を味方にして!
・子供が生まれたらすぐに資金計画をたてる
・積み立てをやめにくい学資保険を活用
・かけるおカネとかかるおカネを見極めて
・私立小学校の受験は特に慎重に
40代 不意の出費に備えて!
・大学進学資金は奨学金利用を視野に入れる
・予備校費用などは借り入れできないので注意
・奨学金、ローンは親が連帯保証人
・教育費優先で貯蓄、余った分を老後資金に
●年利3%で安定は夢のまた夢
クイズはクイズですのでツッコんでも仕方ないですが、年利3%で安定的に増えると勘違いされては困ります。
まず、定期預金の場合、ほとんど増えないと思った方が良いです。特に従来型の銀行は0に限りなく近い金利です。比較的金利の高いネット銀行でも、気休め程度。たとえば、
は2015/05/28現在、3年定期の0.30%が最高です。問題では3%ですからちょうど一桁違います。
かと言って、銀行などの投資商品はもっとダメです。私は銀行の投資商品は運用が下手・手数料が高いといった話も書き続けているものの、そもそも元本割れのリスクがありますので、教育資金向きではありません。
最も良さそうに見えるのは、学資保険(こども保険)ですが、実はこれもものによっては元本割れがあるそうです。なぜか?と言うと、親が死んだ場合の保証を手厚くしているタイプがあるためです。要するに生命保険タイプのものがあるみたいですね。
ということで、やっぱりうまい話はどこにもないわけですが、実は定期預金などでの積立も有効には有効です。なぜかと言うと、ちりも積もれば山となる…で、運用で増やすのを狙うのではなく、積み立てること自体を目的にすれば、かなり役に立ちます。
こうやって考えてくると、最初のクイズでは、教育費の取り崩しなどという選択はもってのほかだとわかります。論外です。
●クイズの回答
クイズの回答ですが、元の問題文は以下でした。
夫が車を買いたいがっている。頭金はあまりない。車のローンは6%。子供のための教育積み立ては3%で回っている。彼は「教育積み立てを取り崩して車を買ったほうが得」という。奥さんは反対。さて、どっちが正しい?
ただ、これだと女性は数字に弱いという先入観を与えますし、前提条件もわかりづらいです。私は問題の意図を理解するまでかなり時間がかかりました。そのため、以下のような大幅な変更を加えたわけです。(私の理解で正しいかどうか不安ですが)
【クイズ】自動車を買おうと思ったものの、余裕資金が足りないため、ローンを組む必要がある。しかし、子供のための教育費の積み立てを取り崩せば、ローンなしで買うことが可能だ。
車のローンは6%。一方、子供のための教育費積み立ては、年利3%で運用することが可能だとする。
この場合、車はローンで買うべきか?教育費積み立てを取り崩して買うべきか? 金銭的に得な方を選べ。
で、クイズ自体の回答は以下でした。
【クイズの答え】「教育積み立てを取り崩して車を買ったほうが得」
教育積み立ての運用益(3%)よりローン(6%)の方が高いので、ローンを組んでしまうと損です。教育積み立てを取り崩してでも、ローンなしで自動車を買った方が良いのです。
クイズとしてはこれで良いんですが、前述の通り、現実では果たしてこれが正しいのか?となります。著者は以下のように書いていました。
この問題を昔、女性向けの月刊誌に書いたことがあって、正解を「教育積み立てを取り崩して車を買ったほうが得」としたのだが、女性編集者によると、彼女のお母さんが、「間違いだ。この出題者はアホではないか。この答えは、ノーに決まっている」と言って譲らなかったらしい。
確かに、その御母堂の言う通りかもしれない。
問題を次のように書き換えたらどうだろうか。
宿六亭主が車を買いたがっている。頭金はあまりない。車のローンは6%。子供のための教育積み立ては3%で回っている。亭主は「教育積み立てを取り崩して車を買ったほうが得」と言う。かみさんは猛反対。さて、どっちが正しい?
明らかに、宿六亭主の分が悪く思える。教育積み立てを取り崩したが最後、宿六亭主では積み立てなおすことはままならないかもしれない。母親としての本能あるいは直観が子供を守るのである。「心の会計簿」は、陥りやすい罠の1つではあるけれども、必ずしも現実では矯正すべき「心理バイアス」ではない場合もあるのである。
クイズは別として、現実的な回答ではこちらでしょうね。私は自動車のグレードを下げる、あるいは、自動車そのものを諦める、などの方が、より良い答えに近づくのでは?と思いました。
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