コンビニの話をまとめ。<弁当が売れ残ってもコンビニ本部は痛くない…オーナーだけ損>、<ドミナント戦略によって追い込まれたあるオーナーの悲劇>などをまとめています。
2023/08/02:
一部見直し
●弁当が売れ残ってもコンビニ本部は痛くない…オーナーだけ損
2015/11/18:前半はセブン-イレブンだけの話ではなく、コンビニ全般の話です。ただ、以前のセブン-イレブンのコンビニ弁当値引き問題で書いたことが、そのまま問題として指摘されていました。この話に行く前に、商品の並べ方について。商品の並べ方というのは、購買意欲と関係していると言われています。
おもしろいことに、隙間なくびっしり並んでいた方が、スカスカのときよりも多く売れるのだとのこと。では、とにかく多く仕入れた方が得か?と言うと、当然ながらそういう単純な話ではありません。売れ残りリスクがあるためです。しかも、売れ残った商品を廃棄する費用というのが、バカにならないのです。
ですので、本来でしたら、売れ残りを考慮した上で、最も利益が出るように仕入れ個数を調整すべきでしょう。ところが、コンビニというのは、弁当の売れ残りが出てもコンビニ本部が損をしないしくみになっています。リスクはコンビニオーナー側だけが取るので、コンビニ本部は売れようが売れまいがたくさん商品を並べる方がお得になってきます。これはひどく不公平なしくみです。
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大手コンビニ加盟店オーナー、悲惨な「奴隷労働」の実態!本部の横暴&搾取で借金まみれ | ビジネスジャーナル(文=神樹兵輔/マネーコンサルタント 2015.09.26)
<通常の小売業では、「売り上げ」全体から「売上原価」を引いたものが、「粗利益」です。この
売上原価には、商品廃棄損や棚卸減耗損(盗難・紛失)も含まれますから、商品廃棄や万引きの多い店では売上原価が上がり、粗利益が少なくなり、下手をすると店は赤字になりかねません。(中略)
しかし、
コンビニ加盟店契約における売上原価には、商品廃棄分や盗難・紛失分が含まれません。したがってコンビニ店舗の粗利益は膨らむことになるのです。粗利益が多ければ儲けにつながると思われがちですが、ここからして違うのです。粗利益に対して本部のチャージ率が30~76%にも及びますから、商品廃棄分が多く万引きや紛失の多い店であっても、本部は痛くも痒くもないという、トンデモ会計なのです。>
(2023/08/02追記:その後、オーナー側の廃棄費用を支援するしくみも登場したはずですが、とりあえず、ベースの考え方は上記のとおりです)
●オーナーがコンビニ弁当を値引きしたい理由
コンビニ弁当を値引きすることに対しては、ネットでは「余計売れなくなるから馬鹿だ」という声があります。確かにそういうケースもあるでしょう。どんなときでも値引きした方が良いとはいえず、時と場合によって異なります。ただ、逆に言うと、値引きした方が良いケースもあると予想されます。
さらに、オーナーがコンビニ弁当を値引きを検討するのは、前述の通り、コンビニの廃棄費用に関する特殊な扱いのため。弁当の廃棄でコンビニオーナーだけが不利益をこうむるというしくみのために、値引きしてでも売り切るという選択肢が検討されるのです。値引きを安易に否定する多くの方はここまで考えていないと思われます。
で、リスクをかけて値引きをするかどうか?という判断は、リスクを負う人、この場合はオーナーがするなのべきですが、以前はコンビニ本部が禁止していたんですよね。コンビニ本部は廃棄費用のリスクを負わなくても良いため、何の憂いもなく定価での販売数最大化のみを狙えます。あくどいですね。
ただ、今回の記事が、値引き制限が今でも行われているような感じで書いていたのは、怪しいです。
セブンイレブン、弁当値引き妨害で敗訴 ブラックなやり方に問題で書いたように、コンビニ本部側が裁判で負けているためです。(ビッシリ商品発注の方は、裁判とは無関係です)
<本部は販売機会ロスがないように、加盟店に多めに商品発注させ、賞味期限切れの食品はどんどん廃棄させます。もちろん、値引き販売などで見切り処分することは事実上許されません。>
●加盟店への商品発注だけでもコンビニ本部は丸儲け?
コンビニ本部は「チャージ率」の収入以外にも、弁当をオーナーに買ってもらうだけで利益があるかもしれません。そうなると、これもまた廃棄分を気にしなくて良いので、客に売れようが売れまいが加盟店に多めに商品発注させる動機になってしまいます。ここは今までの記事では言及されておらず、ずっと気になっていたのですが、記事では以下のような書き方をしていました。
<そもそも本部は、加盟店からの発注をまとめ、商品仕入れを行います。商品を本部からコンビニ各店舗に配送しますが、その仕入原価は本部の定めたものになっています。本部はまとめて仕入れるため、かなりのバイイング・パワーで相当安く仕入れられるはずです。
しかし、コンビニ各店舗が知らされている商品原価は、意外にも高いものになっています。本部が仕入れ原価に不当な利益を上乗せしているのではないか――。こうした疑念は当然で、本部は明快に答える義務があるはずですが、
契約上はそれも認められていないのです。あくまで本部が決めた商品原価が仕入れ原価です。賞味期限切れ廃棄商品代が加盟店主持ちなら、商品仕入れ原価も本部の言いなりというわけなのです>
あと、コンビニは始めたが最後、やめられないというのもよく言われています。コンビニオーナーは閉店するのも地獄なのです。
<契約を解除して店舗経営から撤退しようにも、辞めると数百万円の「損害賠償・違約金」が待っています。コンビニの地獄の連鎖に陥ると、辞めたところで高額金利の付いた買掛金の支払いと、解約違約金の借金で首が回らなくなるわけです。>
●儲かるオーナーには、ドミナント戦略の罠
ドミナント戦略については、やはりセブン-イレブンで、
ドミナント戦略とは?セブンイレブンの事例に見る長所と問題点を書いています。セブン-イレブンの名前を出してばかりで申し訳ないのですが、セブン-イレブンはドミナント戦略を取る代表的な企業のため仕方ありません。
意外に思うかもしれませんが、セブン-イレブンは日本一のコンビニなのにも関わらず、(執筆時点では)まだ出店していない都道府県があり、初進出の都道府県も他のコンビニと比べると相当遅いです。これは他のコンビニの比ではないほど、強烈にドミナント戦略を重視しているためでした。
出店する際には、とにかく高密度で出店することにこだわりますので、他のコンビニのような全国各地にというやり方は決してしないのです。ただ、高密度に出店してしまうと、コンビニ本部としての利益は大きくなっても、店舗単位で見るとマイナスになるおそれがあります。
<日商60万円程度で「儲かっている」と安心していると、足をすくわれることもあるのがコンビニ経営の死角なのです。ひとつの店舗の売り上げが好調だと、本部は近隣にもう1店舗出してくるからです。ドミナント戦略といって、同一商圏に店が多いほど配送効率もよく、知名度も上がり、ライバルチェーンの侵入も防げるからです。
実際、日商80万円以上の売り上げで儲かっていたある加盟店主は、近隣に店を出され、いきなり日商40万円に落ち、青息吐息の経営になったぐらいです。>
●ドミナント戦略によって追い込まれたあるオーナーの悲劇
またまたセブン-イレブンの話で申し訳ないですが、あるブログでは
セブンイレブンの罠
という本から、ドミナント戦略の煽りを食ったオーナーの逸話を紹介していました。規約違反は良くないのですが、ドミナント戦略による売上減で、生活が成り立たなくなったようです。(改行は変更)
・a href="http://blog.livedoor.jp/sunmonmarz/archives/41782641.html" target="_blank">セブンイレブンオーナーに、自殺を決意させるひと言。 : 元セブンイレブン店長の『コンビニは毎日がミラクル!』(2014年12月13日02:10 )
<セブンイレブン既存店は、売上が減収になってしまい、生活費としてお店のお金にオーナーが手をつけてしまったみたいとその本に載っていました。(中略)
規約違反をしたその店舗に、OFCが飛んできて、売上金など金庫まで管理していたそうです。フランチャイズ本部の加盟店に対する介入の仕方が異常ですよね。
さらに決め手のひと言があるようです。「契約更新をしない」だそうです。>
なぜかコンビニの問題ではコンビニ側に立つ人が多い気がしますが、悲劇を減らすためにももっと味方が増えて、改善に繋がればと思います。
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