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サンマ不漁が台湾・中国のせいは嘘?乱獲多い日本に「お前が言うな」


 スーパーの価格を見てもそう高い感じがなかったので実感が湧きませんが、サンマが記録的な不漁で値段が高騰しているそうです。この理由を台湾・中国のせいにしているものがあったものの、実を言うと日本の資源保護政策は遅れており、他国のことをどうこう言えません。(2015/11/18)

 あと、この話とはだいぶ違うものの、日本が韓国などとともにフィリピン当局から「魚泥棒」と名指し批判されれていたという話を、漁業問題つながりで最後に追加しています。(2017/04/03)


●サンマが記録的な不漁 小名浜の水揚げ量は昨年の僅か1割

 >サンマ不漁 宅配便受け付け中止 | 河北新報オンラインニュース(2015年10月23日金曜日)によると、いわき市の小名浜機船底曳(そこびき)網漁協が、サンマ宅配便の受け付けを中止しました。

 理由は不漁。今年の小名浜港への水揚げがまだ1回(約100トン)しかなく、量が確保できないために、どうしようもありません。

 漁業情報サービスセンター(東京)によると、今季のサンマ棒受け網漁の全国水揚げ量は(2015年10月21日現在、6万7909トンで昨年の54%しかありません。

 特に上記の小名浜はひどく、その水揚げ量は昨年の11%という目も当てられない数字。魚群が少なく、三陸沖への南下も遅れた上、沖合を通っているとされていました。


●台湾などの漁船が獲り過ぎ

 サンマ不漁の理由については、複数の解説がされていますが、台湾や中国が獲り過ぎているという批判があるそうです。
どうして今年はサンマがとれないの?  :日本経済新聞 2015/11/14付

 いま問題になっているのが、台湾などの漁船が公海で大量にサンマをとっていることだ。沿岸から200カイリ(約370キロメートル)より外側の公海では、自由に魚がとれる。台湾のサンマの漁獲量は13、14年と日本を上回った。

 公海にいるサンマはすずしくなるにつれて、日本の沿岸へ近づいていく。それを先取りしているから、日本にやってくるサンマが減ってしまう。最近は中国の漁船も公海で漁をするようになった。

 ただ、このまま公海でとり続けると、北太平洋にいるサンマが減りかねない。すると、公海でも日本でもとれなくなってしまう。そこで、日本や中国など6つの国と地域が集まって、サンマ漁のルールをつくる作業を始めた。

●サンマ不漁が台湾・中国のせいというのは嘘?

 しかし、この批判はうなぎを保護しない中国 ニホンウナギが不足で絶滅危惧種にと同じで、自分のことを棚に上げて、相手だけ批判するというものかもしれません。

 前述のような昨年の1割だ半分だという話ならば、台湾や中国は日本に来るサンマのほとんどを奪い取っているように聞こえるものの、そもそも彼らはそんなにたくさんのサンマを獲っていません。物理的に無理な話です。

「太平洋の北側から日本の近海にやってくるサンマは毎年200万t程度。そのうち中国・台湾の漁獲量は合わせても25万t程度で、日本のサンマ不漁は2国の乱獲が原因とするのは無理がある」(勝川俊雄・東京海洋大学准教授)
(サンマ不漁と中国・台湾の乱獲は関係ない!? 国際資源の管理と日本漁業の問題点とは 日刊SPA! / 2015年11月14日 9時7分 取材・文/高島昌俊 八木康晴(本誌)より)


●台湾の乱獲ではなく水温などの問題?

 では、なぜ日本でサンマ不漁なのでしょう?

 いくつか理由があると先に書きましたが、勝川俊雄・准教授は、「単純に日本漁船が通常サンマ漁を行う排他的経済水域(以下、EEZ)に入る前にサンマたちが南下してしまった可能性が高い」と指摘していました。

 先に台湾のせいにしていた日経新聞ですら、このことについて、触れています。
 まず、北太平洋のサンマが減っていることがある。サンマは北太平洋のどこにでもいる。日本は毎年漁の時期が来る前に調査船を出してサンマをとり、北太平洋西部の海にどのくらいの数がいるかを見積もっている。03年は重さにすると約440万トンいたけど、今年はほぼ3分の1の約136万トンに減ったと考えられている。

 ただでさえ数が少なくなっていることに加えて、サンマが日本の沿岸に近づかなくなっている。理由として考えられるのが、北海道の東の海の水温が上がっていることだ。

 サンマはセ氏12~15度の冷たい水を好む。北の海で小さなエビのオキアミなどを食べて育ち、8月から寒流の千島海流(親潮)に乗って南下し始める。今年は北海道の東にあたたかい海水が広がっているから、そこをさけて水温が低い遠い沖にサンマが集まっているようだ。

●乱獲多い日本に「お前が言うな」

 また、日経新聞は「まず、北太平洋のサンマが減っていることがある」としていますが、その理由を書いていません。そもそも日本が乱獲している可能性について、正直に書いていませんでした。

 漁業衰退は政治の問題 先進国は成長産業なのに日本だけ衰退の謎で書いたように、実を言うと日本は水産資源管理の後進国です。さっき「自分のことを棚に上げて」と書いたのもそういう理由でした。

 日刊SPA!においても、以下のような指摘があります。
「日本は自国単独でもできる国内資源の管理に、まともに取り組んでいない。サンマやカツオのような国際資源の管理でイニシアチブをとろうとしても相手にされないだろう」と勝川氏は厳しく指摘する。サンマの場合、まだ危機的状況というわけではないが、枠組みを設けることが大切になってくる。

 今年の9月には日本、カナダ、ロシア、中国、韓国、台湾、アメリカが参加し、漁業資源に関する取り決めを話し合う北太平洋漁業委員会を開催。’17年中からサンマの国際的な漁獲規制を実施する方向で調整することに合意した。しかし、世界的に減少が顕著なわけではなく、日本の漁獲量が減ったので実施した側面も強く、日本本位な主張でもあった。

「戦後の日本は、世界中で水産資源を利用しながら、国際的な漁獲規制には常に反対してきた。国際社会からの信用はゼロに等しい。欧米の漁業国も昔は乱獲をしていましたが、痛みを伴って保護に取り組んだんです。今になって日本が国際資源の保護を訴えても説得力はなく、『まずは自分の国をなんとかしろ!』とツッコまれるのがオチです」(勝川氏)

 一応、水産庁はサンマやスケトウダラなど7種目に漁獲可能量の上限を設定しているが、実質的な意味はないも同然とか。

「例えば、今年のサンマのTAC(漁獲可能量)は去年から大幅に削減されて、過去最低となる26.4万t。しかし、過去5年の平均値は22万tに満たないので、仮に今年が不漁でなくてもこの数値に達することはありません。資源保護をしているというパフォーマンスにすぎません」(同)

 資源管理を放棄して、漁師が好きなだけ穫れるというのは、"漁師に対する手厚い保護とも受け取れ"なくもありません。しかし、これが本当に漁師のためになるかは怪しいのです。

 というのも、他国の先例では、きちんと管理して保護した方が漁師のリターンが大きいことがわかっているためです。そもそも魚がいなければ、穫り放題であっても全く意味はありませんので、保護は大切なのです。

 気仙沼のサンマ漁師でも「目先の利益だけを見ても何の解決にもならない。安心して漁業をするためにも長期的にコンスタントに獲れる環境をつくってほしい」と批判している人がいたとのこと。

 日本の水産資源管理の考え方は、間違っていると思われます。


●フィリピン当局「日本、韓国、ベトナム、台湾は魚泥棒」

2017/04/03:資源管理の話とは異なるのですが、フィリピンの漁業水産資源局が、フィリピンANCテレビのインタビューに応じ、日本や韓国、ベトナム及び台湾の「魚泥棒」が、ルソン島北東部の漁民の生計を脅かしていると、名指し批判していました。

 国連海洋法条約では沿岸国の同意なしに勝手に他国がその大陸棚に入って探査・開発活動してはならないと定めているものの、衛星写真を見ると多くの外国船がフィリピン船と一緒になって魚を捕っているそうです。

 これを受けて、中国のネットユーザーから、「日本、韓国、ベトナムそして台湾。恥知らず四天王」というコメントが出ています。ただ一方で、中国漁船批判がないことへの疑問の声も多く出ており、中国との関係が良好になったフィリピンが中国に配慮したという見方も出ています。
(フィリピン、日本や韓国を「魚泥棒」と名指し批判=「中国の漁民のことには触れないとは良い子になった」―中国ネット Record China / 2017年4月3日 7時20分より)

 ということで、これは資源保護ではない魚泥棒の話というだけでなく、外交的な問題という意味でも、かなり異色な話でした。ドゥテルテで、フィリピンは親中国・反米に?南シナ海を諦める発言に近い話です。

 ただ、日本の船も他国で魚泥棒しているとしたら、残念な話ではありますね。資源管理問題と同様に、「他国をとやかく言えない」ということになってしまいます。


【本文中でリンクした投稿】
  ■漁業衰退は政治の問題 先進国は成長産業なのに日本だけ衰退の謎
  ■うなぎを保護しない中国 ニホンウナギが不足で絶滅危惧種に
  ■ドゥテルテで、フィリピンは親中国・反米に?南シナ海を諦める発言

【その他関連投稿】
  ■魚の消費量世界ランキング、日本はとっくに1位転落 なおも低下
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