なぜか中古市場をものすごくバッシングしている人がいるという話と、中古市場の拡大はむしろ経済にプラスではないか?といった話や、、<日本は海外の貧しい国に中古車を大量に売りつける悪い国だった?>など、中古に関する話をいろいろ書いています。
冒頭に追記
2022/02/22追記:
●日本は海外の貧しい国に中古車を大量に売りつける悪い国だった? 【NEW】
●日本は海外の貧しい国に中古車を大量に売りつける悪い国だった?
2022/02/22追記:中古市場なら何でも叩かれるのか?と言うとそうではなく、不思議と叩かれない中古市場もあります。自動車の中古市場というのは、そういう全くバッシングされない中古市場の代表格。激しく憎まれる中古市場と全然憎まれない中古市場があるという時点で、中古市場叩きに一貫性がなく論理的でない感情的なものである可能性が高いと感じます。
仮に自動車の中古市場も悪であるのなら、日本は外国の人々に悪魔のようなことをやっているクソみたいな国ということにもなるでしょう。というのも、日本の中古車が多くの国で出回っているため。ただ、こういう話題では、「中古は悪」どころか「さすが日本すごい!」という反応が多いですね。
うちでは複数の国で過去にこの話題を取り上げています。例えば、以前読んだ2016年3月28日の日経ビジネスオンラインの記事では、日本の国別中古車輸出台数でミャンマーが首位だという話が出ていました。中古悪論で言うと、貧しい国だったミャンマーに、日本は大量に中古車を売りつけていたということになるでしょう。
●何も生み出せない虚業!なぜか中古市場を親の敵のように恨む人々
2011/1/13:以前から不思議に思っていたことの一つに、中古商品を取り扱う企業をまるで親の敵(かたき)のように激しく憎む人がかなりいることです。買取価格に不満があった、安く売って高く売られたといった嫌な思いをした人が、そういった人の中に含まれているのかもしれません。
ただ、「買取価格に不満があった」自体が、結局人件費や売れ残りリスクといったビジネスのしくみを理解していないといった誤解である可能性も高そう。また、、「自分たちでは何も生み出せない虚業」「人の土俵で商売しやがって」みたいな中古市場そのものを全否定する言い方で批判している人もチラホラいて、特定企業で嫌な思いをしただけでは説明できないこともあります。
一方で、こういった恨みが、古本や中古ゲームを扱う商売にばかり向いているというのも不思議。仮に中古市場が良くない商売であるのであれば、自動車や住宅、絵画、腕時計やオークションそのものなどあらゆる中古市場(企業やお店の買収も?)を叩かないといけません。かなり理不尽な怒りなのではないかと思います。
●拡大する中古市場は経済にとってプラス?それともマイナス?
タイトルを見て、上記のようなことを思い出したのが、
拡大する中古市場 経済にとってプラス? ITmedia ビジネスオンライン 2017年5月31日 06時00分 (2017年6月1日 07時20分 更新 加谷珪一)という記事でした。読んでみると、記事冒頭では、フリマアプリ「メルカリ」の台頭について触れています。こういった個人の売買は、比較的叩かれないものの、転売屋や商売でやっている人には怒りが向かうことがありますね。
記事では、このメルカリの台頭とブックオフの不振を繋げています。メルカリの方が高く売れることが多いという話ですが、これも当然の話。ブックオフはそもそも価格査定はかなり適当で、そこにコストを割いていない気がしますが、もっと根本的な部分で異なります。メルカリは仲買がいなくて直接契約で仕入れるのとほぼいっしょですから、お互いに良い条件で取引できます。農産物を農家から直接買うようなものですね。
また、在庫を抱えないというだけで、保管費用や売れ残りリスクを回避できています。たぶん他にもいろいろと理由があるでしょうが、価格が違って当たり前という話。企業相手の取引ではないので、信頼性やトラブル時の法的な救済が弱いといったデメリットもあるものの、価格面ではどう考えても有利です。
で、本題である「経済にとってプラス?」については、"メルカリが中古品売買のインフラとして社会に認知されれば、さらに出品者が増えて、市場としての価値が増大するという正のスパイラルが発生する。メルカリを経由した売買が、今後さらに拡大する可能性は十分にあるだろう"としていました。
●中古市場は経済にマイナスなのか?米国の住宅市場を見ると…
このような流れですので、作者である経済評論家の加谷珪一さんは、メルカリに限らない中古市場の拡大について、<生産量の抑制につながるなど、一部ではそうした面があることは否定できないが、筆者は長い目で見た場合、中古市場の拡大は経済にとって好影響をもたらすと考えている>と前向きな評価でした。
理由として、作者は「米国の住宅市場」を挙げています。日本では住宅流通量に占める中古住宅の割合は10%台"一方、欧米では流通する住宅の7~9割が中古です。であるのなら、"欧州や米国の住宅関連市場は縮小する一方"のような気がします。さぞかし苦しいことでしょう。…ところが、現実には"むしろその逆"。"住宅市場は日本とは比較にならない規模に成長している"そうです。
なぜこうなるのでしょう? "中古住宅が大量に存在することで、消費者が住宅そのものにかけるコスト"は、やはり安くなります。ここは間違いありません。しかし、そこで節約できた分、"断熱やインテリアなど、住宅の質を高める産業分野にたくさんのお金が回る"ことになります。トータルで見るとプラスになっている部分が大きいということです。
●中古市場が弱いことで新品の価値を下げることはないのか?
作者は深掘りしていなかったものの、"中古市場が活性化することで、住宅の資産価値が維持され"るというところにも、私は興味があります。
反論している人もいた気がしますが、日本の住宅は価値が下がりやすいとよく言われています。(関連:
日本の住宅価値、25年で価格0に下落 上昇する欧米と異なる理由)
となると、中古市場が小さいせいで、むしろ新品の価値も下げてしまうこともあるんじゃないか?と、興味を感じたのです。
私が一つ思い出したのが、腕時計メーカーのパテック・フィリップです。この会社は、オークションで自社の古い時計を高値で買い戻していました。
なぜこんなことをしているのか?と言うと、
Wikipediaでは、「パテック・フィリップの時計の中古市場価値を保たせる」というビジネス戦略と説明されていました。そして、この戦略の結果、「パテック・フィリップの時計は一生もの」というブランドイメージの宣伝にも役立っているとのこと。
これは特殊な例ですけど、中古で売れることがわかっているときと、そうでないときによって、新品の購入意思も変わってくると思うんですよね。
●中古市場のせいで新品が売れないは本当か?
上記を書いていてもう一つ思い出しました。個人の例ですが、私の友人は昔ゲームを新品で買って速攻でクリアして売るということをよくやっていました。
発売から間もない頃は買取価格もたいへん高いため、実質的にかなり安く新品を購入できていることになるのです。そして、こうした例の場合、中古市場がなかったらそもそも買ってもらえなかった…ということにもなります。
そういえば、中古市場への恨みは、中古市場のせいで新品が売れないと思っているのもありそうですね。ただ、上記の友人の例なんかは、そうではないことがわかります。
古本ではないものの、
本が売れない原因は図書館のせい?出版不況で新潮社らが口撃、「貸し出しの1年猶予」を求めるも似たような誤解がありそうな話でしたし、中古市場問題には多くの勘違いがありそうです。
【本文中でリンクした投稿】
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