今回は結構良く見るコメダ珈琲の話。よく見かけるとは言っても、独特のスタイルで他とは異なるビジネスモデルのようです。
流行りのコーヒー店とは異なるコンセプトと言うと、
スタバはないけどスナバはあるで誕生 すなば珈琲のその後は…?で、「すなば珈琲」をやっています。コメダ珈琲の場合はどういうやり方なのでしょう?(2015/11/19)
2015/11/19:
●コメダ珈琲の特徴は絶滅危機だった「フルサービス型」喫茶店
●「セルフサービス型喫茶店」の代表例は、スタバやドトール
●コメダ珈琲がすごい理由 価格は少し高級、サービスはそれ以上に高級
●なぜ価格を抑えられる?低コストで高級感・満足度を高める工夫
●都会では無理な喫茶店…予想に反して東京で成功したコメダ珈琲
●スタバとは違う!コメダ珈琲は長居しても怒られない喫茶店
2019/07/23:
●コメダ珈琲の「名古屋式」、東京だけでなく海外でも好評
●コメダ珈琲の特徴は絶滅危機だった「フルサービス型」喫茶店
2015/11/19:今回読んだのは、
激化するコーヒー競争の中で「コメダ珈琲」が快進撃する理由 ZUU online / 2015年10月11日 6時11分という記事。記事では、コメダ珈琲は流行りの「セルフサービス型喫茶店」とは異なるとしていました。また、喫茶店市場がすごく縮小していたという話も初耳で驚きました。そういうイメージはなかったですね。
喫茶店市場は1982年の売り上げ1兆7396億円をピークに年々減少し、2011年には1兆182億円とほぼ半減。しかも1990年代以降は市場のほとんどがセルフサービス型となり、激烈な過当競争の中で収益を減らす消耗戦に入っていたといいます。
しかし、その市場も、013年以降からは売り上げが上昇に転じ始めています。その主因はコメダを中心とする「フルサービス型」喫茶店の台頭だとされていました。「フルサービス型」喫茶店とは、広い店内でゆったりしたスペースのテ―ブルとソファーに店員が注文を取りに来たうえで、商品を提供するいわゆる「昭和のサービス」を行う喫茶店。古いタイプのサービスですね。
コメダ珈琲店の戦略の優れたところとは、セルフサービス型喫茶店が都市中心部の好立地店舗での省サービス・省スペース・高回転による収益確保を目指す「レッドオーシャン」戦略により自ら衰退を招いているのに対し、ブルーオーシャン戦略とも言うべき逆転発想の戦略コンセプトをしたとされていました。
●「セルフサービス型喫茶店」の代表例は、スタバやドトール
私は「セルフサービス型喫茶店」というのも初耳でしたが、どういうのがそういう喫茶店にあたるのか?と調べてみると、流行のスターバックスなどがそうみたいですね。
例えば、
喫茶店は時代遅れ!?最近元気な喫茶店|明日から独立経営者! 起業ABC|J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]では、以下のような説明がありました。
<喫茶店は、座席とテーブルがあって、フルサービスで飲食を提供してくれる既存型喫茶店、例えば銀座ルノアールやカフェコロラドなどと、スターバックスコーヒーやドトールコーヒーなどのセルフサービス型カフェに分けられる。ここ数年、威勢が良いのはセルフサービス型カフェで、既存型をどんどん駆逐していき、街中にはカフェがあふれている。こうした傾向は都心部でより強い>
●コメダ珈琲がすごい理由 価格は少し高級、サービスはそれ以上に高級
じゃあ、「フルサービス型」喫茶店であるコメダ珈琲は、価格が高いのか?と言うと、不思議なことにそうではありません。"もちろんセルフよりは高い"ものの、"コーヒ―1杯は430円と決して高くはない"とのことでした。
さらにすごいのは、コメダ珈琲の戦略が、価格以上に高級路線であることです。これでも利益出るんですかね? 時間を使わせているので、回転率が高いとも思えません。不思議ですわ。
コメダがターゲットとしたのは、広い空間でゆったりと時間を消費することを来店目的とする高齢者。高齢者は今後人口が増加するため有望ですが、それ以外にも主婦、ファミリーまでも含む、「時間消費を大切にする層」を他社とは違って狙いにいきました。
店舗のスペースコストを安く確保でき、ターゲット分布が多い郊外の住宅エリアで、広く商圏を取れるよう広い駐車場を備えた店舗とする立地戦略をとります。都心で多いセルフサービス型店舗と何から何まで反対でした。
また店舗には時間消費の支援ツールである新聞雑誌をふんだんに設置。店内を広くするため厨房はできるだけ狭くし、コーヒーの焙煎抽出は工場で一括処理、店内では加熱のみとしたそうです。
●なぜ価格を抑えられる?低コストで高級感・満足度を高める工夫
なぜ利益が出るのか?と不思議だったものの、一応、上記の説明だけでも利益を上げる工夫は見られています。店舗のスペースコストを安くする・広く商圏を取る・厨房はできるだけ狭くする・店内ではコーヒーの加熱のみといったところですね。
また、正攻法な取り組みとしては、客単価アップの工夫がありました。食事メニューを100品目とできるだけ多くしていることです。一方で、メニューが多いというのは、店員への負担や仕入れ価格や食材管理などで不利。ところが、この点も対策済みで、低コスト化のため使用食材は自家製のパンを中心に20品目に限定しています。食材は少なく、組み合わせでメニューを増やすやり方ですね。
これには感心しました。
実はおいしい立ち食いそば屋、回転率良く食材のロス率少ないもそういう話でしたが、使い回しでレパートリーを増やすというのは、頭が良いやり方です。
●都会では無理な喫茶店…予想に反して東京で成功したコメダ珈琲
なお、途中で少し紹介した"喫茶店は時代遅れ!?最近元気な喫茶店"という記事でも、実はコメダ珈琲のことを書いていました。これは2009年と古い記事であり、名古屋から東京に進出したばかりの話です。
当時、コメダ珈琲は、名古屋では「知らない人はいない」と言われるくらいの超有名店だが、その他の地域ではほとんど知られていない「ローカルスター」でした。
そのコメダ珈琲が「全国のスター」を目指して東京に本格的に出店。フルサービス型喫茶店は、「東京では人気が下降気味だから成功しにくいのでは」「東京には喫茶店文化がないので、中部では文化の一部となっているコメダ珈琲はどうか」などと懸念の声が多かったそうです。
ところが、オープンしたらほとんどの店舗で昼間は満席状態が続くほどの人気で、むしろ大人気でした。手のひら返しで、今ではポストファミリーレストランの一番手と評価されるようになったそうです。
上記の最後に「ポストファミリーレストランの一番手」とありました。この記事でおもしろいのは、競争相手がファミリーレストランだとしていた点です。スターバックスにも「スターバックで食事もしたい」という需要が出ていたということで、お互いの境界が曖昧になっていたみたいですね。
コメダ珈琲が東京で受け入れられた要因は、「お値打ち感」と「安心感」であろう。コメダ珈琲のメニューは、フードが充実し、十分食事需要にも対応できるメニュー構成となっているが、ドトールコーヒーなどに比べれば高い。しかし、東京での出店立地の競合相手は、おもにファミリーレストランで、それに比べれば2〜3割は安い。これがお値打ち感となっている。
●スタバとは違う!コメダ珈琲は長居しても怒られない喫茶店
また、前述の時間を贅沢に使うコメダ珈琲のやり方が、貴重であることも書いていました。何時間粘ろうとも「帰れプレッシャー」をかけられないという安心感があるとのこと。喫茶店でよくあるのが、お客様がコーヒーなどを飲み終えていると、水を頻繁に継ぎ足しにくることやお茶を出すことがあるものの、コメダ珈琲ではやらないそうです。
ひとつ前の話に戻りますが、ファミレスとの垣根がなくなっているというのはおもしろいですね。コーヒーで言うと、コンビニを始めとした喫茶店以外のお店が、盛んにコーヒー販売に乗り出して、今やすっかり定着しました。
また、ワタミのような総合居酒屋は今や斜陽のビジネスモデルですが、新たなお酒を飲む場所としてファミレスなんかも注目されています。メディアでは、「ちょい飲み」需要という言葉もよく使っていますね。
主に電化製品系の話でしたが、ビジネスモデルの破壊者は業界の外からやって来ることが多いと感じていました。飲食業界も異業種が入り乱れて、客の奪い合いが激しくなっていくのかもしれません。
●コメダ珈琲の「名古屋式」、東京だけでなく海外でも好評
2019/07/23:長居するしないの関係では、その後、
スタバの椅子に座ると痛い理由は客を長居させず客席回転率を上げるため 客の滞在時間が長いコメダ珈琲はなぜ儲かる?というのを書いています。スターバックスは様々な工夫で客を帰らせようとしているようです。
あと、
コメダ珈琲は外資系(韓国系)ファンドが買収したって本当? MBKパートナーズとは?というのもその後書いていました。親会社は何度か変わっていますが、変わらず順調みたいですね。
ここらへんの話と、元記事で書いていた東京進出と絡んで、今度は海外進出という話のある
コメダが三菱商事と提携、全国制覇の次は海外:日経ビジネス電子版(2019年6月13日)という記事を読みました。
まず、2019年6月7日にコメダ珈琲は青森県に進出したことで全国制覇を達成。海外に関しては、コメダは2017年度か進出をスタートしているものの担当部署は数人程度の小所帯であるため、三菱商事との提携が有効だと判断。保有する自己株式約8.9億円分を第三者割り当てで三菱商事に売却し、三菱商事の出資比率は0.95%になる予定だそうです。
なお、私は企業進出の際に「現地化」が大切だと、いつも書いています。ところが、コメダ珈琲は「名古屋式」で東京でも成功。さらに中国や台湾の店舗でも「名古屋式」が好評だということで、このまま名古屋スタイルで世界を目指していくことになりそうです。
【本文中でリンクした投稿】
■
コメダ珈琲は外資系(韓国系)ファンドが買収したって本当? MBKパートナーズとは? ■
スタバの椅子に座ると痛い理由は客を長居させず客席回転率を上げるため 客の滞在時間が長いコメダ珈琲はなぜ儲かる? ■
スタバはないけどスナバはあるで誕生 すなば珈琲のその後は…? ■
実はおいしい立ち食いそば屋、回転率良く食材のロス率少ない【関連投稿】
■
カフェ・ベローチェ人事、30代女性バイトに「鮮度が落ちる」と雇い止めの理由を説明 ■
ココイチ、カレーライスのルーはおかわり無料の真相 量には限界あり ■
しゃぶしゃぶ温野菜でブラックバイト・脅迫疑惑 コロワイド子会社レインズインターナショナルは「牛角」「土間土間」も運営 ■
引退するのが難しい創業者、ココイチ宗次徳二氏はスッパリ会社を辞めた ■
食べ物・飲み物・嗜好品についての投稿まとめ
Appendix
広告
【過去の人気投稿】厳選300投稿からランダム表示
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
|