逮捕された兜町の風雲児加藤あきら、長男の加藤恭・大阪大大学院助教の経歴など

　逮捕される前、株価のつり上げをやっている真っ最中に、何度も記事に取り上げられていた加藤あきらさん。なぜこんなのが許されるのか？と思っていたら、逮捕されるんですね。普通に記事になっていたのは何だったのか…。(2015/11/23)

2018/03/23追記：「父親の指示に機械的に従っただけ」でも地裁の判決は有罪


●兜町の風雲児加藤あきら氏、逮捕される

2015/11/23：とりあえず、逮捕の記事。ちょっと前の話です。

時事ドットコム：仕手筋元代表ら逮捕＝相場操縦で株価つり上げ－バブル期「兜町の風雲児」・東京地検

　大量の買い注文を出すなどの方法で株価を意図的につり上げたとして、東京地検特捜部は１７日、金融商品取引法違反（相場操縦）容疑で、仕手グループの元代表加藤※（※＝日の下に高）（７４）＝東京都港区＝、妻幸子（７４）＝同＝、大阪大大学院助教の長男恭（３６）＝大阪府豊中市＝の３容疑者を逮捕した。

　３人の逮捕容疑は、化学メーカー「新日本理化」の株について、２０１２年２月１５日～３月２日、幸子容疑者らの名義で大量に買い注文を出すなどの方法で株価を８７１円から１２９７円に引き上げた疑い。(中略)

　証券取引等監視委員会が今年３月、金商法違反（風説の流布）容疑で自宅など関係先を強制調査。他の複数の銘柄についても同様の書き込みがあり、特捜部は実態解明を進めるもようだ。（2015/11/17-19:34）

●加藤あきら氏らのやり方

　夕刊フジの記事はもうちょっと手口が詳しいです。

「兜町の風雲児」加藤一家逮捕　６０億を荒稼ぎした手口とは　夕刊フジ / 2015年11月18日 17時12分

　加藤容疑者は２０１１年１１月、「時々の鐘の音」と題したサイトで、大証１部上場だった化学メーカー、新日本理化の株価が１３００円まで上昇すると記載。１２年２～３月、約２９６万株を約３０億円で買い付けるなどした。株価は８７１円から１２９７円まで上昇したが、その後急落し、損失を被ったという。

　１２年４月の書き込みで「（新日本理化株を）抱えて立ち往生している人達の心の痛みがヒシヒシと伝わってきます」と嘆いたうえで、新たに中堅商社、明和産業の証券コードを記載、「大相場に発展する可能性」としたところ、株価は約１０日で倍以上に急騰した。加藤容疑者は保有株を売り抜け、新日本理化株での損失を埋め合わせた。

　１２年６月にはアパレルのルック、１３年１月には化学関連の日本カーバイド工業を推測させる書き込みを行い、株価が上昇した時点で売却、最終的には総額約６０億円の利益を出したという。

　サイト(引用者注：「般若の会」の代表)で仏の教えを説いていた加藤容疑者だが、追求していたのは自らの利益だったようだ。

●推奨記事が良くない理由

　この夕刊フジはよく株価の推奨をやっています。私はこういった記事に批判的で、推奨株のその後を調べるシリーズをやっています。推奨株が日経平均株価の値上がりに負けることが多く、現在8連敗中。このように、そもそも推奨がいい加減というのが、批判的な理由の一つです。

　良くないという理由は他にもたくさんあるのですが、その一つに加藤あきら氏のように推奨記事が自分が買った株のつり上げに使えるというのもあります。

　記事は法違反にならない範囲内の記載内容なんでしょうが、夕刊フジ自体も良くないと思いますね。


●加藤あきら氏の経歴

　ところで、なぜ今のタイミングになってこの話をやったのか？と言うと、普段うちでやっている大学教員の不祥事シリーズでもあると気づいたためです。長男が大阪大大学院助教だったというのを見逃していました。

　ただ、とりあえず、お父さんの方から。加藤あきらさんの方がダントツで大物です。

加藤あきら - Wikipedia

加藤 暠（かとう あきら、1941年 - ）は、1980年代に株投機（仕手筋）集団「誠備グループ」を率いて「兜町の風雲児」と呼ばれた相場師[1][2][3]。

2003年、株式研究の会「泰山」を立ち上げ、業界に本格復帰。現在も加藤が手掛ける銘柄は「k筋」「k銘柄」などと呼ばれ、今なお強い影響力を持つ[2][4]。

　生い立ち

広島県佐伯郡能美島（現・江田島市）高田生まれ[5][6]。(中略)父親も相場師で投機の失敗から一家は離散。(中略)

1963年、21歳のとき山口県立岩国高等学校に編入[6]。早稲田大学商学部をトップで合格し上京した。(中略)

　職歴

大学をトップクラス（ほぼ全優）で卒業したものの、4年の遅れは大きく一流企業に就職する事は出来なかった。(中略)岡三証券に就職し、父親と同様に「相場師」としてのキャリアをスタートさせる[7]。しかし、支店長とケンカし数ヶ月で退職。

この後、和光産業（不動産）、日本経営開発研究所（経営コンサルタント）、根本観光などを転々。根本観光のキャバレー・クインビー新宿中央口店の呼び込みもやり[8]支配人にまで上り詰めるが、自己の目標とは違い退職。

その後、娯楽機器販売会社の社長などを務める青年実業家（当時29歳）の個人秘書となる。再び株の運用で高い実績を挙げた。が、この会社の社長の殺人（教唆）事件が発覚して、この会社を去った。(中略)

1973年、黒川木徳証券の歩合外交員として兜町に復帰。ここで説得力のある弁舌と、明晰な頭脳、また人間的魅力で顧客を獲得していった。特に総会屋を通じて、大企業の経営者、政治家に近づいたと言われる。1976年から1977年にかけてのヂーゼル機器株および岡本理研ゴム（現オカモト）の仕手戦で、笹川良一(引用者注：保守派の大物)の信頼を得てから、更に力を付けたものらしい[10][11][12]。(中略)1977年、「誠備」の前身ともいうべき、「ダイヤル・インベストメント・クラブ」を結成、銀座スポニチビルに事務所を開く[16]。加藤はこれ以前、笹川グループや平和相銀グループなどの仕手株を扱う兜町の"窓口的存在"に過ぎなかったが、この事務所を開いて後、独立した仕手筋として兜町でのし上がっていく[16]。1977年暮れ「ダイヤル・インベストメント・クラブ」を解散させ「誠備」として発足[16]、あるいは1978年11月「誠備」として発足[1]、1979年6月「誠備グループ」として名称変更[1][16]。

●長男の加藤恭・大阪大大学院助教の経歴

　続いて、息子さんの経歴を…と思ったものの、助教だったためかほとんど情報がありません。まだまだこれからってところでしたね。

加藤　恭 - 研究者 - researchmap

研究者氏名 加藤　恭 カトウ　タカシ
所属 大阪大学
部署 大学院基礎工学研究科
職名 助教
学位 修士（数理科学）(東京大学), 博士(数理科学)(東京大学)

　加藤恭助教では、東大出身というところが注目されていましたが、大阪大だって良い大学です。実行犯は息子さんだとされており、実際に裁判でもそれが認められた場合、大阪大もえらい人を雇っていたなぁと思います。


●「父親の指示に機械的に従っただけ」でも地裁の判決は有罪

2018/03/23追記：加藤恭さんの東京地裁の判決が出ました。懲役２年６カ月執行猶予４年、罰金１千万円、追徴金約２６億６千万円（求刑懲役４年、罰金１千万円、追徴金約７５億７千万円）とする有罪判決です。加藤さんが元代表の父とともに２社株計約４８億６千万円分を売り抜けたと認定し、利益分を追徴額としています。

　加藤さんは裁判で「父親の指示に機械的に従っただけ」などと主張しましたが、判決は被告が一部の取引を自ら行い、コラムの内容修正も担ったと指摘。ただ、「役割は従属的だった」として執行猶予をつけています。実を言うと、主犯とされたお父さんはその後亡くなっていますので、ここらへんは有利に働いたかもしれません。
(仕手集団元代表の父と共謀　元大学教員に有罪判決：朝日新聞デジタル　長谷文　2018年3月22日23時12分より)

　お父さんは亡くなっているということで、裁判も打ち切りになっています。なので、罰金なども当然ないのでしょうけど、そうすると息子さんがその分得して相続できてしまったんじゃないのか？というのが、ふと気になりました。


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