子宮頸がんワクチンのシリーズ。過去に2回書いています。
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WHO「子宮頸がん予防ワクチンの副作用が疑われる理由は一切ない」 ■
子宮頸がんワクチンの副作用の本当の理由は? 心霊現象とも似た性質●子宮頸がんワクチンの副作用だと言ってほしい理由
この過去の投稿のうちの2回目で書いたように、難しいのが子宮頸がんワクチンの副作用とされるものの本当の原因が、心理的なものであると言ってしまうと、患者や家族が拒否反応を起こすことです。
あの激しいけいれんは本当に子宮頸がんワクチンの副反応なのか 日本発「薬害騒動」の真相(前篇) WEDGE Infinity(ウェッジ) 2015年10月20日(Tue) 村中璃子 (医師・ジャーナリスト)
ある病院を訪れたのは子宮頸がんワクチン接種後、「毎日午後3時になると必ずけいれんを起こすようになった」という少女とその母親だった。脳波、CT、MRI、採血と一通りの検査を実施したが異常は見つからない。(中略)3時になると言っていたとおり発作は起きたが、やはり脳波には異常がない。「では、入院して検査しながらもう少し様子を見ましょうか」。入院させたのは、時計がなくビデオカメラのついた病室だった。午後3時のけいれんは「ピタッと止まった」。(中略)
医師はこれが脳や神経の病気ではなく、心因性のものであることを伝えた。ところが、母親は喜ぶどころか顔色を変えて言った。「これだけのけいれんがあるのに、また心の問題に過ぎないって言うんですか? この子に何の問題があるって言うんです。うちは家族も仲がいいし、この子は友達も多く学校でも元気にやっていたのに……」。
ただし、同じ記事で出ていた医大の小児科教授は、「『うちの子は何の問題もない』と言ってくる親もいますが、思春期に問題も悩みもない子供なんていたらそっちの方がおかしいでしょ」と指摘していました。
子供に悩みがあることで親がダメと言いたいわけではないのです。
●日本人は心因性の病気に抵抗感が強い?
そうは言っても、患者である少女や家族が心因性であると言われることに抵抗を持っているのは、事実です。
同じ記事では、児童精神の専門医の「“精神科”と聞くだけで強い拒絶や怒りの反応を示す子もいるので、神経内科の先生の方でずっと診てもらうこともあります」という話も出ていました。
日本はこういった病気に対して、偏見も強いのかもしれませんね。
世界16カ国のうつ病率・日本が低い理由 患者に冷たい国も調査では、「うつ病」だと言いにくい雰囲気があることなどが言われていました。日本のうつ病率は世界最低レベルなのですが、偏見のせいで見かけのうつ病率が低くなっているだけである可能性を感じています。
●本当の理由が言えない子宮頸がんワクチンの副作用の難しさ
このように偏見が強い状態は望ましいこととは到底思えないものの、現状がそうなっている以上、医師も注意を払う必要があります。
子宮頸がんワクチンのせいだと苦しむ少女たちをどう救うのか 日本発「薬害騒動」の真相(後篇) WEDGE Infinity(ウェッジ) 2015年10月23日(Fri) 村中璃子 (医師・ジャーナリスト)
子宮頸がんワクチン導入以前からこうした少女たちを診察してきたある小児科医はこう語る。
「治療を一言で言うのは難しいのですが、丁寧に子どもと向き合い話を聞いていくこと、その中で抑圧されていた不安や不満が徐々に表出されるのを待つことです。決して原因をほじくりだすような作業ではなく、寄り添い続けることで子どもが抑圧していた気持ちをふと語り始めることがあります。一方、身体に表現されている症状について否定したり『心因性だから』と片付けたりするのも問題です。こうした対応を行うと、大抵の場合は症状が悪化します。大事なのは今、彼女たちが置かれている環境が身体的な表現しか許していないと考え、その状態に付き合い続けることです」
そして、その医師は私にこうも告げた。
「科学的に正しいことを『これが正しい診断です』と患者さんや家族に伝えたとしても治療の助けにならない場合があることについてはしっかりと胸に刻んでおかなければなりません」
しかし、子宮頸がんワクチンの副作用説が、この扱いの難しさにつけこんで利用している状態になっているのは腹立たしいですね。
子宮頸がんワクチンの副作用説を唱える医師たちは、金儲け目的ではなく良いことをしているつもりなのだろうとは思いますが、客観的に見ると、悩みを抱える少女たちをダシにして自らの主張を広めている格好です。
ある意味、金儲け狙いでなく本気で信じてしまっているということの方が、ずっと厄介かもしれませんけどね…。
(子宮頸がんワクチンの副作用ではないと断定しているわけではないんですが、STAP細胞問題でも言ったように、新たな仮説を主張する側に証明義務があります。
また、STAP細胞問題以上に、他の疑似科学でよく見られるものである、科学的な場で議論せず一般人相手にだけ主張を広めるといったことをしています。
子宮頸がんワクチンは海外でも使われているのですから、医学的にきちんと証明した方が、より多くの患者を救えます。それをしないというのは、善意からやっているとは思いづらいところです)
追加
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