政府はマイナンバーカードをゴリ押ししているのですが、政務官になるような自民党議員すら作ってなかったことが判明。この話を紹介するのに合わせて、過去のマイナンバー関連の話をまとめました。私はマイナンバーに賛成する部分もあったのですがマイナンバーには問題が多いんですよね。
その他、<持ってない?マイナカード推進の中心議員らが軒並み回答拒否>、<やっぱり信頼は無理!マイナンバーカードで他人の住民票誤発行>、<処方された薬など…マイナンバーサイトで他人の情報が閲覧される>などをまとめています。
冒頭に追記
2022/01/18追記:
●政府ゴリ押しのマイナンバーカード、自民党議員も作ってなかった
2023/07/07追記:
●持ってない?マイナカード推進の中心議員らが軒並み回答拒否
2023/05/16追記:
●やっぱり信頼は無理!マイナンバーカードで他人の住民票誤発行
●処方された薬など…マイナンバーサイトで他人の情報が閲覧される
2023/08/13追記:
●さらに7300件の誤情報登録判明でも「政府を信頼して」は無茶 【NEW】
●政府ゴリ押しのマイナンバーカード、自民党議員も作ってなかった
2022/01/18追記:政府はマイナンバーカード普及に躍起でゴリ押し。何かとマイナンバーカードこじつけたり、普及のために多額の予算を配分したり…ということをやっています。手段が目的になる感じで、マイナンバーカード普及が目的に。お金の使い方としても、優先順位がおかしくなっています。
その一方で、
政務官3人がマイナカード未取得 岸田内閣:時事ドットコム(2022年01月07日)によると、岸田内閣の政務官3人がマイナンバーカードを持っていないことが判明しました。「政務官」というのは、農林水産省などの各省庁に大臣、副大臣とともに設置される大臣を補助する役職。民間人は採用されることはほぼなく、事実上与党の政治家だけがやる職務です。
今回未取得と判明したのは、自民党の加藤鮎子国土交通政務官と公明党の下野六太農林水産政務官、中川康洋環境政務官。今回は飽くまで役職者だけの話ですから、無役の人にはもっと作ってない人がいるでしょう。自公政権は国民に「マイナンバーカードを作れ、作れ」としつこく言い続けてきたのですが、自分たちも作っていないんですね。自分たちすら作らないものを国民に作るように言うのですから、ひどい話です。
●持ってない?マイナカード推進の中心議員らが軒並み回答拒否
2023/07/07追記:<政府ゴリ押しのマイナンバーカード、自民党議員も作ってなかった>は2022年はじめの話。そこから1年半が経ちましたので、自民党や公明党議員も前回暴露された後慌ててマイナンバーカードを作って、今はみんな持っていそうなもの。なのに、未だに持っていない議員がいるようなのです。
これを知ったのは、<全衆院議員464人を直撃「マイナカード、持ってる?」大物は回答拒否、推進派が“自分は紐づけせず”の卑怯>(22/7/6(木) 6:01)という記事。とりあえず、単純なマイナンバーカード保持率はカード賛成派の議員が多くなっています。ただ、後述するように落とし穴があるんですよ。
<回答した議員の取得率は89.3%。総務省が6月25日時点で発表した、国民の取得率77.3%を上回る。各党派別に取得率を見ると、自民党は回答した90人のうち、取得していないのは金田勝年議員のみ。公明党は回答した27人全員が取得。同じく推進派である維新の会は、回答した24人中22人が取得、国民民主党は回答した5人全員が取得していた。
転じて、立憲民主党は回答した49人のうち39人が取得。また、共産党は回答した7人全員が未取得と、党としての方針が徹底されていた>
https://news.yahoo.co.jp/articles/8146c759100418181a026e1331b9dbf3350f8c4e
ただ、「落とし穴がある」というのは、そもそもアンケートに回答したのは464人中206人とかなり少ないこと。法政大学社会学部の白鳥浩教授が「取得した議員は積極的にアンケートに答えるから」と予想していたように、カードを持っていない議員はアンケートに答えなかった可能性が高いです。
さらに、もう一つの落とし穴として、現在、トラブルが続出してえらいこといなっている保険証や銀行口座への紐づけをしていない議員がカード保持者のうちの3割もいること。問題の大きいところでは進んでいません。しかも、マイナンバーカード賛成政党の議員が、大量に紐付けしていない状態です。
<白鳥教授も、「注目すべきは紐づけていない議員」としてこう語る。
「アンケート結果では、取得した議員184人中55人と、3割近くが紐づけていません。しかも推進派である自民、維新、公明、国民の議員を合わせると31人もいる。紐づけていない議員のうち56.3%が推進派なのです」>
また、マイナンバーカード紐付けを推進している自民党議員らの紐づけてしいない理由もふざけていて、以下のように、「病院では使えないから」「紙の康保険証がいるから」というものでした。その病院で使えない紐付けを盛んに国民には促しているのですからめちゃくちゃ。国民を舐めていますね。
「定期検診を受けている病院が、健康保険証と紐づけできていない(マイナ保険証を使えない)。いまだ保険証の提示を要する」(自民・甘利明前幹事長)
「(中略)健康保険証については、主治医診療所の準備がまだ整っていないと聞いていたため」(自民・高木啓議員)
「カードを持っていない議員はアンケートに答えなかった可能性が高い」に関しては、<マイナカード普及の総責任者ともいうべき岸田首相や河野大臣、松本剛明総務大臣をはじめとする自民の大物議員が、いずれも回答拒否だった>という話も。こんなのツッコまれるに決まってるんですから、持っているならそう回答するでしょう。マジで作っていないんじゃ?と思ってしまいます。
●やっぱり信頼は無理!マイナンバーカードで他人の住民票誤発行
2023/05/16まとめ:ここの分は日本のIT企業関連で書いていた話を転載。マイナンバーカードの話でもあったためでした。
他人の住民票が誤発行される謎バグの真相、富士通Japanの「稚拙」設計に専門家も驚く | 日経クロステック(xTECH)(2023.04.21 鈴木 慶太 日経クロステック/日経コンピュータ)というニュースです。
河野太郎デジタル相が「個人情報漏洩にも当たる事案で大変重要な問題」と認める事態に。マイナンバーカードを使用しており、デジタル相がゴリ押しするマイナンバーカードの問題でもあります。横浜市では引っ越しが非常に多い年度末にシステムを停止して苦情が殺到で大迷惑。「マイナンバーカードはこんなに便利なんです」という主張を否定するものになってしまいました。
<横浜市のトラブルは2023年3月27日昼に発生した。住民がマイナンバーカードを使って住民票の写しの交付を受けようとしたところ、他人の住民票が誤発行される事象が相次いだのだ。原因は富士通Japanが手掛けるコンビニ証明書交付サービス「Fujitsu MICJET コンビニ交付」のバグだった。横浜市は誤発行した証明書を全て回収。個人情報が漏洩した住民に経緯を説明して回ったり、マイナンバーまで漏洩した住民に対しては個人番号を変更したりと対応に追われた。
同トラブルは発生当初からSNS(交流サイト)上で大きな話題を集めた。他人の住民票が出力されるという重大性に加え、トラブルの原因について富士通Japanが「システムの負荷が高まったことで、プログラム的な瑕疵(かし)が表面化した」(広報)とだけ説明したためだ。「どんな設計をしたらそんな事象が発生するんだ」「レースコンディション(競合状態)か?」などと、様々な臆測を呼んだ。前代未聞のトラブルは一体、どうして起こったのか>
有料記事であるために、<謎バグの真相、富士通Japanの「稚拙」設計に専門家も驚く >の中身は不明。ただ、「稚拙」とされているだけに、とんでもないものだったのでしょう。詳細は不明でも、日本のIT業界のレベルの低さを示すとともに、マイナンバーカードの信頼できなさを示す十分な証拠にはなっていました。
●処方された薬など…マイナンバーサイトで他人の情報が閲覧される
2023/05/16追記:ここから新規での投稿。上記のトラブルの余波的な感じで、マイナンバーカードで新たな問題が判明。<マイナカード 一体化された健康保険証で別人の情報がひも付け>(2023年5月12日 17時58分)というニュースです。私が当初賛成だったのにマイナンバー反対に転換したのは、こういった信頼性の問題。とても信用できません。
<マイナンバーカードを使ったコンビニエンスストアでの証明書の交付で不具合が発生する中、マイナンバーカードと一体化された健康保険証を医療機関などで利用した際に、別の人がひも付けされ診療情報などが閲覧されたケースがあったことが分かりました>
<厚生労働省によりますと、健康保険を運営する組合などが加入者の健康保険証とマイナンバーカードをひも付ける際に入力を誤ったことなどが原因とみられ、名前や生年月日に加え医療費や処方された薬などの診療情報が閲覧されたケースが、これまでに5件確認されているということです>
<厚生労働省は、情報が閲覧された5件の詳しい内容を明らかにしていませんが、医療機関を受診した際に、別の人の情報が登録されていることを指摘されたケースや、マイナンバーの専用サイトでみずからの情報を確認しようとした際に、別の人の情報がひも付けられていることに気がついたケースが想定されるとしています。
専用サイトでは名前や生年月日に加え、加入している健康保険の種類、受診した医療機関や医療費、それに処方された薬の情報などが閲覧できるようになっていました>
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230512/k10014065011000.html
●さらに7300件の誤情報登録判明でも「政府を信頼して」は無茶
2023/08/13追記:下書きして投稿し忘れていたので古い情報ですが、<マイナ保険証誤登録7300件 別人の情報閲覧可能に>(23/5/12(金) 17:48配信 共同通信)によると、マイナカードを使って住民票の写しなどがコンビニで受け取れるサービスについて、別人の証明書が誤交付されたケースを東京・足立と横浜、川崎、徳島の4市区で延べ14件確認されたとのこと。今後まだ増えるかもしれません。
https://news.yahoo.co.jp/articles/146ffa69b94c454e4ecba4b90e5e1dbd21465e75
一方のウェブサイトの別人情報の件ですが、前回のNHK記事によると、実際に他人の情報が閲覧されてしまったこの5件とは別に、<(引用者注:保険証との一体運用が本格運用された)おととし10月から去年11月までのおよそ1年間で閲覧はされていないものの、入力ミスなどによって本人とは違う保険証の情報が登録されていたケースは7300件余りあった>とのことでした。
NHK記事では、上記に続けて<これらのケースは、健康保険を運営する組合の自主点検によって確認されたもので、すぐに閲覧を停止する措置を取ってデータを修正したため、ほかの人が閲覧することはなかったとしています>と説明しています。
ただ、「じゃあ安心」という話ではなく、こういった問題を連発しているから信頼されないとも言えるでしょう。ヤフーニュース記事では、やはりそういった反応が出ていました。「マイナンバーの紐づけを嫌う日本人はおかしい」みたいな主張があるんですが、現実を見た方が良いですね。
<マイナンバーカードやデジタル化、オンライン化は大いに結構。最大の問題は運用者に情報を取り扱うリテラシーが無い事です。
マイナンバーカードを作らないのではない。信頼がないから作れないのです。>
<私達夫婦もマイナンバーカード(マイナ保険証)所持してますが正直マイナンバーカードによるトラブルが多すぎる。
(中略)これで給料振り込み口座や公金受け取り口座の紐付け。運転免許にも紐付けしようとしてますよね?(中略)これだけのトラブルあって全てを紐付けするのには疑問を感じます。>
★2015/11/27 マイナンバーは性同一性障害者への迫害、夕刊フジがまさかの指摘
夕刊フジらしからぬ記事が出ていて、えっ!と思いました。以前は結構自民党に不利な話も書いており、もともと産経新聞ほど極端ではなかったのですが、最近夕刊フジは同じ新聞社の産経新聞に似てきた感じだったんですよね。それがマイノリティに配慮する内容の記事を出していたので驚きました。
それは、
マイナンバーに“性同一性障害者”の不安深刻 性別の発覚恐れ退職、自殺も… 夕刊フジ / 2015年11月19日 17時12分という記事。むしろ夕刊フジはマイノリティを叩きたい口だと思っていたのでびっくり。今回の話は他紙でもたくさん書いているものとはいえ、まさか夕刊フジがこういう記事を書いてくるとは…。
<マイナンバーをめぐって、心と体の性が一致しない「性同一性障害(GID)」の人々の間に戸惑いが広がっている。職場への提示が必要な個人番号カードは性別が記載されており、本来の性別を知られる可能性があるからだ。(中略)
千葉県に暮らすGIDの女性(45)は今年8月、約4年勤めたアルバイト先をやめた。外見と違う性別が書かれたカードを会社に提示するのは抵抗があったからだ。(中略)
これまで、職場で本来の性別を知られ、同僚から無視されたり、急に力仕事をふられたりといった嫌がらせを受けたことが何度もある。その度に職場を変えた。今は一緒に暮らす婚約者の男性がいるので、仕事をやめてもすぐに生活に窮することはないが、「支えてくれる人もなく職を失えば、生活は立ちゆかない。同じ悩みを抱える仲間には自殺を考えている友人もいる」と女性は明かす。
「性別が書かれたマイナンバーカードを職場に見せることは、今のままでは強制カミングアウトにつながる。見られるリスクをなくしてほしい」
行政手続きで利便性が増すといわれるマイナンバー制度。その影で不安に震える人がいる>
●しなくていいのに、わざわざ性同一性障害者を区別していた年金機構
上記より悪い例ですが、性同一性障害者をわざわざ特定できるように区別していたという話が以前ありました。何だったかな?と検索かけていたら、うちのブログが検索結果に出てきました。
年金機構、性同一性障害者に専用の基礎年金番号を与えて判別可能にという投稿です。書いたことを忘れていましたわ。
既にリンク切れしていますが、当時<性同一性障害者に共通番号 年金機構、ネットで閲覧可能 '13/5/8 中国新聞>という記事を紹介しています。
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp201305080055.html
<日本年金機構が、
性同一性障害で性別変更した人を判別するため、昨年10月から基礎年金番号10桁のうち前半4桁に共通する固定番号の割り当てを始めていたことが7日、分かった。(中略)
支援団体は勤務先などに性別変更を知られる恐れがあり、プライバシーの侵害だと批判。性別変更した関西在住の女性は「見た目と性別が一致せず、不利益を受けないように性別を変えた。配慮に欠けた制度に怒りを覚える」と話している>
●安倍政権がわざわざ性別を追加?民主党法案時代にはなし
検索すると、安倍政権がわざわざ性別を加えたという主張も見つけました。民主党法案時代には細かいこと決まってなかっただけじゃない?と見てみると、民主党法案でも列記していて、性別は入れていなかったという形。この状況なら確かに自民党が加えたと言ってもおかしくありませんね。
民主党法案ではなかったカードへの「性別」記載を、わざわざマイナンバー法に持ち込んだ安倍政権: 自治体情報政策研究所のブログ 2015年6月 8日 (月)
民主党法案と現行法のカードについての違いの2つ目は、個人番号カードの記載内容である。
民主党法案
第56条 市町村長は、政令で定めるところにより、当該市町村が備える住民基本台帳に記録されている者に対し、その者の申請により、その者に係る個人番号カード(氏名、住所、生年月日、個人番号、その者の写真その他その者を識別する事項のうち政令で定める事項(第三項及び第四項において「カード記載
事項」という。)が記載されたカードをいう。以下この条及び第七十条において同じ。)を交付しなければならない。
現行法
第二条 7 この法律において「個人番号カード」とは、氏名、住所、生年月日、性別、個人番号その他政令で定める事項が記載され、本人の写真が表示され、かつ、これらの事項その他総務省令で定める事項(以下「カード記録事項」という。)が電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によって認識することができない方法をいう。第十八条において同じ。)により記録されたカードであって、この法律又はこの法律に基づく命令で定めるところによりカード記録事項を閲覧し、又は改変する権限を有する者以外の者による閲覧又は改変を防止するために必要なものとして総務省令で定める措置が講じられたものをいう。
もう少し確認しようと、念のために元のPDFを開いて、「性別」で検索かけました。やはり自民党法案でしかヒットしませんでした。うーん、さすがの安倍政権でも性同一性障害者を社会的に殺す、あるいはそれ以上になるおそれがある嫌がらせをするだろうか?と、最初疑っていたんですが、どうやらマジっぽいです。
民主党法案(
http://www.cas.go.jp/jp/houan/120214number/houan_riyu.pdf PDF)
現行法(
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/pdf/260717bangouhou.pdf PDF)
★2015/10/28 マイナンバーのネット公開はマイナンバー法違反の疑い 削除要請も
政治的な抗議としてマイナンバーを公開している人がいるらしいですね。最初はネット記事でしか出ていなかったようですが、全国紙も取り上げました。ちょっと話題になっている感じです。
●マイナンバーをネットで公開し、抗議する男性
他も掲載している可能性がありますが、私が気づいたのは読売新聞です。
拒否します…自分のマイナンバー、ブログで公開 読売新聞 / 2015年10月28日 8時1分
今月から始まった共通番号(マイナンバー)制度で、千葉県内の男性が自身の番号をインターネット上で公開していたことが分かった。(中略)
同委などによると、男性は、19日付の自分のブログに番号を明記するとともに、番号が記載された住民票の画像を掲載した。男性のブログには、「番号制度を拒否します」などと書かれている。
最初に読んだというのは、以下の記事。
男性が自らマイナンバーをネット公開 自分の番号でも違法行為の可能性が J-CASTニュース / 2015年10月26日 19時15分
制度に反対するためとして、自ら個人番号をネット上に公開する男性があらわれた。(中略)
マイナンバーを公開したのは、政治主張を語る動画投稿などを行っている男性だ。「支配者層にとって必要な『マイナンバー制度』こと、『奴隷番号制度』を拒否いたします」などと制度への反対を明らかにし、自身の12桁の個人番号をブログで公開した。
さらに「通知カードの受け取りを拒否しよう」「マイナンバーとは、現代版の『見えない鎖』である」とした動画を投稿した。
●政府「むやみにマイナンバーを他人に教えないでください」
以前も書いたように、こういった公開は政府が推奨していないことです。
個人番号を他人に知られたからといって、すぐになりすました第3者によって、個人情報カードや住民票を不正に取得されることはないようだ。
ただ、内閣官房や総務省など政府サイトが「むやみにマイナンバーを他人に教えないでください」と呼びかけているように、民間企業などでも使用されるため、今後新たなリスクが出てくるかもしれない。
そもそも、自分の個人番号であってもネットに公開することは、違法行為に当たる可能性がある。マイナンバーに関する番号法では、行政手続きなど定められたものを除き、個人番号を教えたり、提供したりすることを認めていない。
●マイナンバーのネット公開はマイナンバー法違反の疑い 削除要請も
また、読売新聞では削除要請をしたという話もありました。そういう措置があるんですね。
国の第三者機関「特定個人情報保護委員会」は27日、マイナンバー法違反の疑いがあるとして、男性とサイト運営会社に対して文書で削除を要請した。同法では必要な手続きを除き、他人に番号を知らせることを禁じており、同委による削除要請は初めて。
●「番号入りTシャツ作る!」と宣言していた政治家
この公開した方は、さっきも書いたように、政治行動です。だから良いというわけではないんですが、本来、「公開しないでください」と呼びかけなくてはいけないマイナンバー関連を管轄する政治家が、法令違反となる行動の予告発言をしていたんですよね。
以前書いた
マイナンバーの注意点無視の福田峰之議員「番号入りTシャツ作る!」で出てきた福田峰之議員です。困った人ですね。しかも、この人、政府のマイナンバー担当者なんだそうな。
こうやって政治家がマイナンバー公開を勧めるようなことをしてしまうと、それは当然一般人からも「公開して良いのだ」と勘違いする人が出てきます。「特定個人情報保護委員会」は福田峰之議員にも注意しておくべきでしょう。
★2013/8/3 マイナンバーの問題点・弱点 マイナンバーでわかるお金と把握できないお金
私はマイナンバーに賛成なんですけど、こんな記事が…。まずは、現状の話から。
税の不公平、マイナンバーでも 所得把握に抜け穴
2013/7/6 7:00 編集委員 山口聡 日本経済新聞朝刊2013年7月3日付
夫婦共に70代のAさん夫婦。東京都内で順調に商売を営んでいたが、数年前に事業をやめて不動産を売却し、郊外に引っ越した。今の収入はそれぞれ年70万円程度の国民年金だけ。ただし、事業の蓄えと不動産を売った際の銀行預金が1億円以上ある。利息はわずかだが、年金と必要に応じて取り崩している預金のおかげで悠々自適の生活だ。
この夫婦を低所得者とは考えにくいだろう。しかし、今の制度では年金収入だけで判断して様々な優遇が受けられる。「公的年金等控除制度によって、この夫婦は所得ゼロと見なされ、所得税や住民税はかからない」(税理士の倉林倭男さん)。住民税の課税状況から負担額を決める介護保険料や特別養護老人ホームの部屋代、食費、高額な医療費を使ったときの自己負担限度額(高額療養費)も標準より安くなる。
http://www.nikkei.com/money/investment/mandi.aspx?g=DGXZZO5695569004072013000000
これはマイナンバーに賛成の人も反対の人もおかしいと思うでしょう。本来の優遇の趣旨とは明らかに異なります。
「さあ、ここで、マイナンバーの出番だ!」となるか?と言うと、実はそうではないようなのです。
もともとは政府が納税者番号として実現を目指してきたマイナンバー制度の導入で、この状況は変わるのだろうか。結論としては、変わらないとみられる。というのも、マイナンバーでは銀行預金やその利子を把握できないためだ。
マイナンバーも万能ではないようです。
●マイナンバーで把握できる主なお金
給与・退職所得
報酬、料金、賞金(原稿料、講演料など)
公的年金
株式の譲渡の対価
投資信託などの分配金
不動産の譲り受けの対価
生命保険の保険金
国外送金
(全57種類)
●マイナンバーで把握できないお金
個人に対する利子
個人の事業所得
マイナンバーに全く意味ないってことはありません。
会社員であれば年に一度、給与額などが書かれた源泉徴収票を会社から受け取るが、会社はそれと同じ書類を法定調書として税務署にも提出している。原稿料や講演料といった収入があったときも、金額が一定以上であれば、その報酬の支払者が調書を当局に提出している。公的年金であれば、日本年金機構が法定調書を提出する。
これらによって税務当局は個人の所得状況を把握する。一人に複数の収入がある場合、今は必要に応じて住所・氏名などを頼りに各所得を名寄せし、全体像を捕捉する。マイナンバーが導入されると、法定調書に個人番号が記載され、即座に簡単に名寄せできるようになり、「より公平で正確な負担が実現する」(マイナンバーを担当する内閣官房社会保障改革担当室)わけだ。
しかし、前述のとおり一番知りたい部分が結局わからないという困った弱点があるようです。
個人の預金利子については法定調書の提出義務がない。利子については、他の所得と合計することなく分離して20%(所得税と地方税)分の税金を徴収する源泉分離課税になっているからだ。「調書がないから、マイナンバーを打つことはできない。銀行口座にも番号はつかない」(社会保障改革担当室)
財務省によると、米英仏は利子についても調書類が提出される。預金口座の開設で書類を提出させる国もあるし、番号制度を既に活用している国もある。その意味で日本に不十分な面があることは否定できない。
私は他国がやっていなくてもやるべきだと思っていましたが、アメリカ、イギリス、フランスでは、わかるようです。
ですよね~という話。そうじゃないと意味ないもん。
もう一つ、法定調書がなく、当局が把握しにくい所得がある。個人の事業所得だ。
小売・サービス業で調書を義務付けると、調書の提出者は商品やサービスの代金を支払った消費者となる。だが、買い物のたびに書類を提出するなど現実的ではなく、義務付けられていない。仮に個人事業者の収入が正確に把握できても、そこから必要経費を差し引き所得を算出する際、どこまでが事業の経費なのか、どこからが自家用の経費なのかの判断も難しい。
最も問題なのはここなんですよね。税金を払うべき人が払っておらず、結果として所得を把握しやすいサラリーマンに過度な負担がかかっています。これが結局全く解決しません。
こちらは、海外でもやはり解決策がないようです。弱りましたね。
"もちろん公平・正確な課税に近づく面もある"として、出していたのは以下の例。
例えば家族の扶養控除。2人の兄弟が共に高齢の母親を扶養家族として申告していた場合、マイナンバーで検索すれば、一人の人に対して二重に扶養控除が出るといった間違いや不正はすぐ判明する。多額のアルバイト収入があり、扶養対象にならないはずの大学生の子どもを扶養家族としているような場合もすぐ見つかる。
前半はミスだろうと思いますが、現状ミスしているのならそれが減るのはプラスです。一方、後半はわかりやすいですね。
でも、これくらいの感じだと、増える税金よりコストの方が高くつくかも。先の銀行預金も対象に入れた上で、うまく利活用していかないと宝の持ち腐れになりそうです。
"マイナンバーについては個人情報保護や国による情報把握が進み過ぎることへの不安も強い"ようですけど、マイナンバー反対者の中には自らの不正を持続させたいがために不安を煽っているという方もいます。ここは十分に気をつけねばなりません。
ただし、現状のマイナンバーじゃそういった不届き者への対策が不十分……という点は、残念と言う他ありません。
★2015/9/8 軽減税率は愚策だが財務省案も面倒くさい なぜかマイナンバー使用
軽減税率が愚策なのは間違いなく、これは過去に書いた通りです。
■
メリット薄い軽減税率、5つの問題点 逆進性対策として効果が低いなど ■
軽減税率の反対理由 高所得者に恩恵で低所得者救済効果が薄いから なので、細かいやり方は別として、財務省が軽減税率を退けたのは珍しくまとも、とこの前書きました。ところが、実際に出てきた財務省案を見てみると、何だこりゃ?というものでした。
●軽減税率は愚策だが財務省案も面倒くさい なぜかマイナンバー使用
飲食料品の2%分を還付 消費税10%時、自公が了承:朝日新聞デジタル
制度案は財務省がまとめた。与党側の説明によると、例えば、1千円の飲食料品の買い物をすると消費税10%分を加えて1100円を支払うが、そのうち増税分の2%に当たる20円が後で戻ってくる仕組みだ。来年1月から始まるマイナンバー(社会保障・税番号)のカードを店の機械に通すことなどで戻る金額が記録され続け、一定時期にまとめて、登録した金融機関に振り込まれる構想だ。購入時にレシートなどでいくら還付されるかわかるようにするという。
戻す額の合計に上限を設けることで、より多く買った人には事実上の所得制限がかかる方向で検討。税収減を抑える効果もめざす。
一方、マイナンバーのカードを使う制度については、個人情報が流出する恐れや、カードを読み込む機器の準備などに時間や経費がかかることを懸念する声もある。また、そもそもカードの普及が増税時期に間に合わない可能性もある。
●反発していた自民党・公明党の議員らもなぜか納得
なぜかマイナンバーカードを使用するものですし、こんな面倒なことをするのか?というもの。
麻生財務相が「複数税率を入れるのは面倒くさい」というまた頭の悪い言い方をして反発を浴びていましたが、財務省案も十分面倒くさいです。やはり財務省はいつも通りアホでした。
●最近は軽減税率ではなく、給付付き税額控除を導入するのが海外では主流
私が軽減税率の大安として想定していた「還付制度」(給付制度)は、細々とした品目で見るのではなく、所得に所定の割合をかけて自動的に計算するものです。この所得ならこの程度、というみなし額を還付する(給付する)という形。これならシンプルで、「面倒くさい」ことはありません。
たとえば、以下は「給付付き税額控除」というもので、実際に海外で行われている制度です。海外には軽減税率かないような報道がありますが、嘘なんですね。軽減税率がクソだとわかったので、最近はこの制度の採用も見られるそうです。
消費増税議論(その2)消費税の逆進性解消には給付付き税額控除が有効だ|森信茂樹の目覚めよ!納税者|ダイヤモンド・オンライン 森信茂樹 [中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員] 2011年12月19日
カナダやシンガポール、ニュージーランドなどでは、給付付き税額控除を導入して逆進性対策を行っている。給付付き税額控除とは、聞きなれない名前であるが、一言でいえば、「消費税負担分を低所得者に還付する制度」である。還付という言葉は、納税義務者の税金を返すことだが、消費税の場合、納税義務者は事業者で、消費者は負担者である。そこで還付という言葉は正確な表現ではないのだが、この方がわかりやすい。
●軽減税率や財務省案は金持ちも優遇するので非効率的
森信茂樹教授はカナダの制度について、「わが国の子ども手当とそれほど違いがないとも言える」としていました。子ども手当は変更されちゃいましたけどね。
とりあえず、"所得3万ドル以下の家庭に、その人数に応じて定額を給付する制度"だとしています。"単身者には、勤労所得に応じて給付額が増える勤労税額控除が導入されているが、基本設計はシンプルで、不正受給も少ない"という利点があるそうです。
軽減税率は高所得者も優遇するという、低所得者対策としては非効率的な制度です。より正確に言うと、軽減税率はむしろ高所得者ほど得するものなので、低所得者対策として見ると、無駄の極みです。
今回の財務省案はそれよりはマシですが、"戻す額の合計に上限を設けることで、より多く買った人には事実上の所得制限がかかる方向"とあります。結局、高所得者にもお金を戻すわけでやはり効率が悪いです。
また、かなり上限が低く、高所得者に限らない多くの人が制限の対象になるかのような報道も見かけました。これは増税による税収を多く確保したい財務相の思惑のようですが、それならなおさら高所得者も優遇することが理解できません。
マイナンバーを正当化したいという意図もありそうですが、本当、なぜこんな馬鹿なことばかり思いつくのか…。
★2015/9/11 軽減税率案、新国立競技場の2520億円を上回る3000億円の設備投資 軽減ポイント蓄積センターを新設
昨日書き忘れて遅くなってしまいました。
●財務省案は、手続きをわざと面倒にして還付金を減らす戦略?
軽減税率は愚策だが財務省案も面倒くさい なぜかマイナンバー使用時点で読んでいた状態でも、アホじゃねーの?という財務相案。当然ネットではネガティブな反応でした。
食料品の軽減税率、マイナンバーで還付 「手続きが面倒」「レジが混乱する」と否定的な声 2015年 09月08日 19時43分 提供元:J-CASTニュース
インターネットでは、
「スーパーのレジでマイナンバーカードだしてポイントカードだしてクレジットカードを出すとか、わけわからない」
「どうせ面倒くさくなって誰もマイナンバーカード提示しないだろうし、財務省は税収が増えてウハウハだよ」
「こんな面倒くさいことやるくらいなら軽減税率やめようよ」
「これって、スーパーのレジが魚とトイレットペーパーを勝手に読み分けるん?」
「いっそT‐ポイントで納税できるようにしちゃえよ」
と、「還付手続きが面倒くさい」「レジが混乱するのでは」といった否定的な声が多い。
結果的に還付金を申請する人が少なくなり、軽減税率を導入しても税収が減らない、財務省にとって「よい仕組み」との指摘も少なくない。そもそも、マイナンバーカードの取得は任意なので還付が行き渡らない可能性もあるし、低所得者でもマイナンバーを使わないと軽減税率の対象から外れる恐れもある。問題は山積だ。
●小売店に負担を与えるやり方
麻生太郎財務相は普通の軽減税率のことを面倒くさいと言っていたので、たぶん財務省案は面倒じゃないつもりなのでしょう。ただ、こちらも相当複雑です。麻生さんも頭が良いように見えて悪いですね。
深刻なのは飲食料品を販売する小売店も同じだ。財務省案では、欧州のように軽減税率の対象品目ごとに税率を分けて販売すると、品物ごとに税率を分けて扱う必要があるため、小売店の負担が増すとしていた。
たしかにマイナンバーを活用すれば、そういった負担は減るかもしれないが、新たにマイナンバー対応の最新型のレジを用意する必要がある。たとえば町の魚屋や八百屋、肉屋などで昔ながらのレジを使っていたり、店先に小銭を入れるザルをぶら下げているような商いをしていたりする店にとっては、それだけで大きな負担だ。
消費増税の負担が増えようかというときに、設備投資の負担がかさむのだから、
「百害あって一利なし。日本を潰す気か。まだ10%に上げて還付なしにしたほうがいい。なんとかして潰してほしい」
といった声が起こるのも無理からぬところだ。
●白紙撤回の新国立競技場の2520億円を上回る3000億円の設備投資
前回税収をできるだけ多くしたいのなら、還付金に制限を加えるのではなく、そもそも高所得者に還付しないようにすりゃいいのに…といったことも書きました。
ただ、結局、新たに税金を無駄遣いできる名目を探していただけかもしれません。一般の家庭では収入が少なくて困っているのなら支出は減らそうとするものですが、国はできるだけ支出も増やしたいと考えて理由を一生懸命探しています。
この後、新国立競技場の話も出てきますが、あれがあんなに馬鹿げた金額でも政治家が問題に気づかなかったのは、税金を浪費することは良いことだという考えがあるためでしょう。
日刊ゲンダイ|政権崩壊の決定打…税金還付システムに「血税3000億円」の愚 2015年9月10日
国民をナメるにもほどがある。というより、この国を潰す気なのか。財務省が8日に示したマイナンバーカードを使う「日本型軽減税率制度」。消費税率が10%に引き上げられる2017年度中の導入を目指すというが、軽減税率とは名ばかり。システム整備のために3000億円もの血税を投じるというから、開いた口がふさがらない。
(中略)財務省案ではマイナンバーカードで集める買い物データを保存するために、政府の「軽減ポイント蓄積センター(仮称)」を新設。そうしたシステムの整備のために3000億円を投入する方針というが、税金を還付するために、新国立競技場の建設費を上回る巨額の血税を投じるなんて、本末転倒だ。さっぱり意味が分からない。
第2のキールアーチだ…公明党内に「撤回」の声 : 政治 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE) 2015年09月09日 07時14分
同省案では、全国の小売店や飲食店に設置するマイナンバー(共通番号)カード読み取り端末への補助や、国民の買い物の膨大なデータを処理するコンピューター「軽減ポイント蓄積センター(仮称)」の整備などに計3000億円程度かかるとされる。白紙撤回された国立競技場整備計画の2520億円をも上回る額だ。
競技場は、巨大な2本のキールアーチで屋根を支える斬新なデザインが建設費高騰につながった。財務省案も情報技術(IT)を駆使した斬新なものだが、「実現性などが何ら検証されていない」点がそっくりというわけだ。
私は心配なのはこの騒動で、ヨーロッパ型の軽減税率か、財務相の軽減税率案か、軽減税率なしかに、選択肢が絞られてしまうことです。国民は国民で軽減税率は良いものだと思っているようなので、心配です。
前回も書いた「給付付き税額控除」は海外で例があるんですから、マスメディアはもっと報道すべきです。
★2015/10/16 安倍首相が軽減税率導入指示でも麻生太郎財務相「めんどくせえとみんな言ってる」
麻生太郎財務相の迷走っぷりがすごいです。最初は「軽減税率は面倒くさい」と言いながら、さらに面倒くさいマイナンバー使用の日本型軽減税率案を出してきて、失笑されました。で、これが評判悪いとわかると、「財務省案は頼まれて提出しただけ」と責任転嫁します。
消費増税の軽減措置、財務省案は頼まれて提出しただけ=麻生財務相 | Reuters 2015年 09月 15日 10:46 JST<[東京 15日 ロイター] - 麻生太郎財務相は15日の閣議後会見で、消費税増税に伴う軽減措置の財務省案について、「(与党から)頼まれたのに対して案を提出しているだけ」と述べ、 「われわれがおすすめしているわけではない」と強調した。(梅川崇)>
ただ、財務省案を完全に捨てたわけではなかったようですね。<還付金制度:麻生財務相「けちつけるなら代替案を」 >(毎日新聞 2015年09月11日 22時13分(最終更新 09月11日 22時55分))によると、財務省案に反対するなら、対案出せと言い出したそうです。
<財務省が消費税率10%への増税の負担軽減策として提案した還付金制度は、2017年4月の消費増税に間に合わない可能性が大きい。制度は来年1月から始まるマイナンバー制度の個人番号カードの利用が前提。しかし、総務省は11日の公明党税制調査会の総会で、現状の予算措置では初年度で1000万枚の交付にとどまり、最大でも年間4000万枚と説明した。全国民が交付を希望すると行き届くには3年かかる計算だ。
全国の小売店へのカード読み取り端末の設置にも時間がかかり、麻生太郎財務相は11日の記者会見で、17年4月の増税との同時導入には「こだわらない」と述べた。さらに、財務省案への批判に対し「けちつけるなら代替案を出さなきゃ。代案を出してもらったらそれで良い」と突き放した。【朝日弘行】>
http://mainichi.jp/select/news/20150912k0000m020098000c.html
●安倍首相が軽減税率導入指示も「『やれやれ』って言う人が多いから問題」と
そして今度は、安倍首相が軽減税率導入を指示している中で、また面倒くさいと言い放ちました。これはたぶん公明党を意識しているんじゃないかな?と思いますが、安倍首相に反旗を翻したようにも見えます。
安倍首相、軽減税率の制度設計を指示 麻生氏は「『めんどくせえ』って、みんな言ってる」 J-CASTニュース / 2015年10月15日 12時21分
安倍晋三首相は2015年10月14日、自民党の宮沢洋一税制調査会長に対して、17年4月の消費税率引き上げと同時に軽減税率を導入できるように具体的な制度設計を指示した。(中略)
一方で、麻生太郎財務相は札幌市内で行った講演で、
「これは言っときますけど、財務省は反対ですよ、ほんとは。『やれやれ』って言う人が多いんだもん、だから問題なんですよ。『めんどくせえ』って、みんな言ってるよ!」
などと述べ、財務省が軽減税率の代案として主張していた「還付案」が退けられたことに対する恨み節をぶちまけた。
●消費税増税より悪い軽減税率導入
「けちつけるなら代替案を」への反応としては、大きく2通りでした。
(1)だから軽減税率で良いと言っている
(2)面倒なら消費税増税自体やめたら良い
消費税増税は景気状態を見ながらと民主党と約束したのに、自民党はそれを反古にするようなことを言っています。消費税増税自体見送りというのはアリです。
ただ、財務省案型軽減税率だけでなく、軽減税率導入というのは絶対ダメです。何度も書いるように、軽減税率は問題が多く、消費税増税以上に避けるべきことです。
●軽減税率は低所得者対策ではなく富裕層優遇策
軽減税率がダメな理由は言い尽くしているものの、ストックしている記事がまだ結構あります。たぶん内容は以前と被っているところが多いでしょうが、ここで一つ放出しておきます。
何度も紹介している森信茂樹教授の記事ですが、昨年6月という古いものを。うちで以前紹介した
軽減税率は愚策だが財務省案も面倒くさい なぜかマイナンバー使用も参照してください。
軽減税率は消費税制度の劣化 導入で本当に得をするのは富裕層|森信茂樹の目覚めよ!納税者|ダイヤモンド・オンライン 森信茂樹 [中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員] 2014年6月17日
軽減税率は低所得者対策のように思われているが、だれにでも等しく適用されるので、これを導入した場合の主たる受益者は、実は高級食料品を購入する高所得者である。したがって軽減税率は低所得者対策にはならない(中略)
本年4月に東京で開催されたOECD主催のVATグローバル・フォーラムでは、「消費税改革に関する政治経済学及び所得再分配効果」と題して、軽減税率が所得再分配効果を果たしていないこと、しかし各国とも政治のパフォーマンスとして導入されてきたことなどが報告された。
●軽減税率が面倒くさいのは本当
麻生財務相は繰り返し「面倒くさい」というアホな言い方をしていますが、「軽減税率が面倒くさい」のは本当です。ただ、まあ、財務省案も同様に頭の悪い案なので、目くそが鼻くそを笑う状況になっているわけですが…。
軽減税率に関する各国税制当局者の共通認識は、「政治的なプロセスで導入されてきたが、税収減につながり、納税者・消費者・税務当局の執行コストが増加し、その上政策効果はないので、縮小すべきだ」というものであった。要するに、軽減税率の導入は税収の減少ばかりでなく、手続きなどが煩雑となってコストも増えてしまうということだ(略)
つまり、「軽減税率は消費税の劣化(Downgrade)」である。それをわが国では、進化のごとくに見せかけて導入を進めようとしている。
フォーラムで会った旧知のOECD租税委員会事務局長パスカル・サンタマン氏は、筆者に、軽減税率について「Don’t follow Europe」(「欧州をまねするな」)と忠告してくれた。
低所得者対策は、シンガポールやニュージーランドのように、社会保障支出や給付付き税額控除で対応するほうがはるかに効果的である。わが国も早急に給付付き税額控除の具体案を作成すべきだ。
上記のように海外の税制当局者は、ヨーロッパで社会実験された軽減税率の失敗を理解されているようです。日本は何でこうも人材に恵まれていないんでしょう…。
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