『ゲゲゲの鬼太郎』などでお馴染みの漫画家・水木しげるさんが亡くなったそうです。
水木しげるさんは漫画を見ていた・持っていたというだけでなく、ブログでも
努力は必ず報われるということわざの残酷さ 努力は人を裏切るで「才能と収入は別。努力は人を裏切ると心得よ」を紹介していたので、印象に残っています。
●ブラック自慢になりがちな漫画家
今回、水木しげるさん関連の記事がたくさん出ていますが、印象に残ったのが睡眠時間の話。漫画家やアニメーターなどのクリエイターは睡眠時間が短いなど、ブラックなところがあります。
これを嘆くのは良いのですが、社畜のようなブラック自慢になってしまうこともあります。「社畜のような」としたように、クリエイター特有ではなく、日本社会全体の問題かもしれませんけどね。
例えば、以下は、
日本の漫画家と漫画編集者・担当者の関係 長時間労働を誇る心理で紹介した話。
「日本では、作家が連載するんですよ」「えええっ!?」:日経ビジネスオンライン(とり・みき 、ヤマザキマリ、清野 由美 2013年9月24日(火))
マリ:土日も含めて、毎日、働いていますからね! 取材で旅行に行っても原稿用紙と筆記用具とスキャナーは持参必至。
とり:まあ、編集さんの側も、複数の担当作家を持って、作家が原稿を遅らせたがために、行こうと思っていた休日の旅行に行けなかった、みたいな目にも遭っていますけどね。
(中略)
――でも、編集者の言い分だってあると思います。「会社員なのに、作家のムチャに付き合わされて、私生活を犠牲にしている私」という思いもあるのでは。
とり:まったくもってその通りです。(中略)
――でも、当の編集者にも、そういう作家なりマンガ家なりの面倒を見ていることに、ヒロイックな自己陶酔を感じたりするカルチャーが、日本の出版界にはありますから。
確かに。日本の編集者業界には、そういう武勇伝が好まれる下地ってありますよね。
とり:すごくある。(中略)
編集Y:はい、思い当たる節が多々あります。ドライにやるべきかと思いつつ、“作家さんのために無理をしている”という、その“過酷さ”に陶酔しちゃうんです。編集者に限らず、日本の会社員に広く当てはまると思うんですが、みんな「そうはいっても一番働いているのはオレだぞ」と思いたいんですね。それで、作家から、あるいは取引先からどれほどひどい目に遭ったか、そのせいでどれだけ苦労をしたか、という話を、オレ様自慢として人にしてしまう。
――無理している人のほうが偉い、みたいな。
●水木しげる氏は睡眠時間を大切にしていた
で、おもしろかったのが、水木しげるさんは睡眠をとても大事にしていたという話。過去に睡眠シリーズでも書いているように、実際、睡眠不足による効率の低下は大きいですからね。
まだ下書きで投稿していませんし、睡眠不足以外の理由もあるでしょうが、残業があるよりも残業がない方が会社全体の生産量が上がるという研究も複数あります。
水木しげるさんの訃報に漫画家はじめ著名人が追悼ツイート 睡眠も守る姿勢、「数多くの漫画家の命を救った」 ねとらぼ / 2015年11月30日 19時19分
注目を集めている水木作品が、展覧会「手塚治虫×石ノ森章太郎 マンガのちから」へ特別寄稿された2ページ漫画「睡眠のチカラ」。徹夜続きの手塚・石ノ森両氏に対し水木さんが「自分はどんなに忙しくても十時間は寝ています」「睡眠をバカにしちゃあいけませんョ」「眠っている時間分だけ長生きするんです 幸せなんかも“睡眠力”から湧いてくる」と主張する内容です。
「3月のライオン」の漫画家・羽海野チカさんは、「漫画家みんながつい、良くないことのように思って、競うように睡眠時間を削って無理をしてしまう中、時々流れてくる水木先生の言葉やエピソードに( ゚д゚)ハッ!としていました」とツイート。「クロサギ」の黒丸さんも、「あれだけの作品を描きながら『毎日がっつり寝た方がいい漫画が描ける』とおっしゃったことで、『死にかけるほど頑張らないといい作品は描けない』と思い込んでた数多くの漫画家の命を救ったと思う。私もその一人」と、水木さんの姿勢に畏敬の念を示しました。
●水木しげる氏「この世は通過するだけのもの」
最初の「才能と収入は別。努力は人を裏切ると心得よ」は「幸福の7カ条」(「水木サンの幸福論」より)の一つですが、これには他にも「なまけ者になりなさい」というものがありました。肩の力が抜けたものです。
第1条:「成功や栄誉や勝ち負けを目的に、ことを行ってはならない」
第2条:「しないでいられないことをし続けなさい」
第3条:「他人との比較ではない、あくまで自分の楽しさを追及すべし」
第4条:「好きの力を信じる」
第5条:「才能と収入は別、努力は人を裏切ると心得よ」
第6条:「怠け者になりなさい」第7条:「目に見えない世界を信じる」
(ここのみ、
【コラム】気付けば水木しげる先生の「幸福の7カ条」に影響されていた話 ロケットニュース24 / 2015年11月30日 22時30分より)
同じように肩の力が抜けたものとしては、エッセイ漫画「カランコロン漂泊記:ゲゲゲの先生大いに語る」において、飼い猫が「この世は通過するだけのものだから、あまりきばる必要ないよ」と語る1コマも紹介されていました。
これは亡くなられた…という今のタイミングで読むと、いっそう印象深く感じる言葉です。
関連
■
努力は必ず報われるということわざの残酷さ 努力は人を裏切る ■
日本の漫画家と漫画編集者・担当者の関係 長時間労働を誇る心理 ■
アニメ業界の惨状を作り上げたのは手塚治虫ではなくサンライズ? ■
サザエさん視聴率低下で終了観測も 磯野家の設定に無理あるため? ■
サザエさん作者、戦時中は大政翼賛会に協力する翼賛一家大和さんという漫画を書いていた ■
アニメ・漫画の残念な実写化ランキング ルパン三世が1位タイ ■
バカボンのパパとムーミンパパの名前(本名)は? パパ以外が苗字? ■
文化・芸術・宗教・海外との比較についての投稿まとめ
Appendix
広告
【過去の人気投稿】厳選300投稿からランダム表示
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
|