日本の大学入試改革は、なぜ迷走するのか | オックスフォード×ケンブリッジ 英国流創造と学びの技法 | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト 岡本 尚也 :物理学者・社会起業家 2015年10月13日
1980年代の臨時教育審議会(臨教審)以降、教育改革が迷走を続けている根本原因のひとつとして存在し続けている、教育政策議論の中の「マジックワード」にフォーカスしていきたい。
さて、たとえば「子供たちの未来のために、自分らしく生き、自ら考え行動できるような教育を提供します」という目標が掲げられたとする。異論を唱える人はあまりいないだろう。いかにも標語らしい言葉だし、将来の夢として発表すれば「はなまる」だってもらえるはずだ。しかし、「どうやって実現するのだろうか?」と問われて、すぐに実行に移すことができるプランを出せる人はそういないだろう。
聞こえはいいが具体的に何をするのかわからないこういった言葉を、マジックワードと呼ぶことにしよう。マジックワードは基本的に心地よい。合意形成のときには大きな威力を発揮するので、使い方によっては文字どおり「魔法」のような力を持つ。ちなみに、現在、行われている政策議論の中でもマジックワードはしばしば使われているのだが、具体性がないため、これが幅を利かせるほど議論自体は空転しがちになる。
(PDF)用語集 - 文部科学省
【アクティブ・ラーニング】(p3、4、9)
教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称。学修者が能動的に学修することによって、認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験を含めた汎用的能力の育成を図る。発見学習、問題解決学習、体験学習、調査学習等が含まれるが、教室内でのグループ・ディスカッション、ディベート、グループ・ワーク等も有効なアクティブ・ラーニングの方法である。
生徒が能動的(アクティブ)に考えることができるよう、教師が授業を活性化させて、生徒の意見を引き出し、思考力を深めるというものである。わかりやすい例として、ハーバード白熱教室のようなものをイメージしてほしい。
あの放送では、授業の最も重要な部分を放送していない。それは、猛烈な議論に必要な、授業前のピースの詰め込みである。オックスフォードでは週に5コマほどしかなかったが、授業の前の膨大な読書のため、遊ぶ暇はなかった(中略)。ケンブリッジ時代も、バレーボール部の試合にさえ、チームメートたちが本を複数冊持参し合間に読み込んでいたのを鮮明に覚えている。「こういう授業いいな~。こういう授業受けたい」と言うなら、本当の意味での授業の全貌を知ってほしい。たぶん、嫌になる。
このアクティブラーニングを、教育改革のひとつのシンボルとして全国的に展開するようだが、全国津々浦々の学校に行きわたる公教育でそれが本当に可能なのかも考えてほしい。教える側となる教職員の研修には莫大な時間と労力がかかるだろう(略)
高校での1コマの授業は大体45分。一般的なクラスサイズは40人くらいである。1人1分話せば授業は終わる。学習習慣がついていない子はどうだろう。能動的に話をしている勉強熱心な生徒の発言をわかったような顔で聞いていればやり過ごせるが、もちろん自分で勉強しないかぎり、知識や技能などは定着しない(私もオックスフォードで予習が足りない授業のときはそうなった……)。
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