Appendix

広告

Entries

三菱グループの岩崎弥太郎と渋沢栄一の違い ハーバードの評価は?


 ハーバードビジネススクールの選択科目「起業家精神とグローバル資本主義」では、三菱グループの創業者、岩崎弥太郎の事例を教えているそうです。(2015/12/4)

2015/12/4:
●三菱グループの岩崎弥太郎はハーバード大の儒教に最適
●三菱グループの岩崎弥太郎と渋沢栄一の違い ハーバードの評価は?
●一般的に言われている財閥の特徴は「組織の三菱、人の三井」
●組織の三菱も怪しい?グループとしての一体感、実際にはあまり…
●三菱グループのイメージは「社会に合わせよう」ではないか?
2021/03/08:
●「独裁政治」とも呼ばれた三菱、三井の方が自由との評価 【NEW】


●三菱グループの岩崎弥太郎はハーバード大の儒教に最適

2015/12/4:日本企業が海外で評価されていると聞くと喜ぶ人が多いですが、今三菱グループはネトウヨによって反日企業とされているところが多いので、やや複雑な気持ちかもしれません。ジェフリー・ジョーンズ教授によると、岩崎弥太郎が出てくるのは「欧米とその他の国々の格差の拡大」というテーマの授業。その中で、岩崎弥太郎の人生を軸に、日本の明治維新について教えている部分があるんだそうです。

 なぜ岩崎弥太郎を選んだのか?と言うと、「この時代に最も成功したビジネスリーダーだったから」との回答。「その上、生き方もユニークで性格も豪快。非常に魅力的なキャラクターです」としていました。また、岩崎弥太郎をチョイスしたのは、単におもしろいからではありません。「学生のロールモデルとしてふさわしい人物」という理由を挙げていました。彼が遅咲きタイプだというのが理由です。

「彼は30代で明治維新と起業を経験し、40代で巨万の富を築きました。最近のMBAの学生というのはIT起業家の活躍もあり、「30歳までに何かを成し遂げて、金持ちになっていないと、人生終わりだ」と思い込んでいるもの。そんな学生たちに「30代からでも遅くない」ということを岩崎弥太郎は教えてくれるのです」
(ハーバードではなぜ明治維新と岩崎弥太郎を学ぶのか ジェフリー・ジョーンズ教授に聞く(2)|ハーバードの知性に学ぶ「日本論」 佐藤智恵|ダイヤモンド・オンラインより)


●三菱グループの岩崎弥太郎と渋沢栄一の違い ハーバードの評価は?

 ただ、私が一番気になった部分というのは、上記の部分ではありません。「岩崎弥太郎は明治維新で何を実現しようとしたのでしょうか」という質問に答えていた下記の部分です。

「彼はビジネスの仕組みを根本的に変えようとしました。能力ある個人が評価され、富を得る社会をめざしたのです。対照的なのが、渋沢栄一です。商業主義を追求した岩崎弥太郎に対し、渋沢栄一は合本主義を唱えました。渋沢栄一は個人の利益よりも公益を優先すべきだと主張したのです」

 個人の利益ばかり考える人が良いとは思えません。しかし、かと言って公益を優先するというのも個人に対して負荷をかけすぎです。「能力ある個人が評価され、富を得る社会」の方が私は好きですね。

 しかし、私があれ?と思ったのは、三菱グループも能力ある個人を評価するよりも公益を優先するという理念を持っている企業ふぁと思ったため。三菱グループの広報誌を読む機会が一度だけあって、そのとき唯一印象に残っていた(他は何てことない話で忘れました)のが、三菱グループは社会のために働く理念を持ち続けているといったものだったんですよ。

 これは確かグループ内の人ではなく外部の作家が書いたものであり、三菱グループによる自己評価ではなかったと思うのですけど、とりあえず、そういった見方でした。「個人の利益よりも公益を優先」まで行くかどうかはわかりませんが、渋沢栄一と同じ公益重視という評価に近いです。ハーバード大の評価には違和感があります。


●一般的に言われている財閥の特徴は「組織の三菱、人の三井」

 また、「組織の三菱、人の三井」という言葉も知られています。三菱は「人」ではなく、「組織」なんですね。公益性とは異なる話ではあるものの、やはりハーバード・ビジネス・スクールの岩崎弥太郎評とは異なると言えるでしょう。例えば、へぇ、あの企業はこのグループだったのか~『日本の15大財閥』 菊地 浩之著(評者:荻野 進介):日経ビジネスオンライン (2009年3月30日)では、以下のように説明されています。

<一体感の欠如には、いい面もある。「人の三井」といわれるように、三井では外から来た優秀な人材が活躍する例が多かった。三井銀行改革に腕を振るった中上川彦次郎しかり、後に血盟団事件で暗殺されてしまうが、三池炭礦買収で三井に入りトップを務めた団琢磨しかりである。
 逆に一体感が最も強かったのは三菱だろう。三井とは対照的に「組織の三菱」と呼ばれた。1934年まで、新卒採用を財閥本社で一括して行い、各社に振り分けていたし、戦後は、1960年代に三菱商事の当時の社長が音頭を取って「BUY三菱運動=三菱製品を買いましょう」を推進。これが三菱グループの社員がキリン以外のビールを飲まなくなったきっかけとされる>


●組織の三菱も怪しい?グループとしての一体感、実際にはあまり…

 ただし、私は三菱グループの一体感はそこまで感じていませんでした。a href="http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20090326/190122/" target="_blank">へぇ、あの企業はこのグループだったのか~『日本の15大財閥』 菊地 浩之著(評者:荻野 進介):日経ビジネスオンライン (2009年3月30日)の評価にもちょっと行き過ぎがあるような気がします。

 私は三菱グループの企業や人と付き合いがあったので、ある程度知っているのですけど、三菱グループの製品にこだわる様子は全然なく、「三菱グループ」ではなく、「三菱○○グループ」(例えば、三菱自動車グループ)といった意識のようでした。もうちょっと狭いんですね。

 三菱グループは一つ一つの企業が大きく、そこでまた大きなグループを作っています。企業内に企業を持つ形を取るケースがありますし、その企業が持つ子会社がまたいくつもの子会社を作ってグループも形成しています。三菱グループという大きなグループの意識についてはは薄そうだと感じていました。これは私は実際に三菱グループの人と接していて、驚いたことだったんですよね。もっと一体感があるものだと思っていたためです。


●三菱グループのイメージは「社会に合わせよう」ではないか?

 ということで、個人的には「組織の三菱」よりは「社会のために」の方が近いと思っていました。あまり良い話ではなくなってしまうのですが、三菱グループは結構「横に倣え」で主体性の無さを感じています。「社会のために」というよりは、「社会に合わせよう」という感じですかね。

 三菱御三家(三菱UFJ、三菱商事、三菱重工)なんかはさすがにそれぞれの業界でリーダー的存在ですが、それ以外となるとトップ企業があまりいないというのもあるかもしれません。

 その三菱御三家でも「社会に合わせよう」の例があったと思うのが、三菱重工。さっき三菱グループは反日企業とされることが多いと書きましたが、この三菱重工はさすがに違うでしょう。軍需企業のためです。そして、戦前・戦中に「お国のために」と率先して協力した(ゼロ戦などを開発)というのが、私の感じた三菱の「社会に合わせよう」という例でもあります。

 海外で「能力ある個人が評価され、富を得る社会をめざした」と岩崎弥太郎を評価してもらっているのは嬉しいですが、実態は異なるか、理念が受け継がれなかったかのどちらかではないかと、個人的には思います。

(この下書きを終えた後に書いた日本で初めてのボーナスが三菱商事って本当?岩崎弥太郎と「郵便汽船三菱会社」は、社員らが給与の多くを自主返納したという話が出ていました。やはり、個人よりそれ以外のものが優先されているような逸話だと言えるでしょう)


●「独裁政治」とも呼ばれた三菱、三井の方が自由との評価

2021/03/08:「組織の三菱、人の三井」に関して、三井財閥 - Wikipediaでは、三井財閥の方が有能な人材を多く輩出したとしていた他、連帯と結束の強い三菱が「独裁政治」で、三井はグループ内各企業が自由に動きやすいなどとなっており、ハーバード大の評価と全く違うものになっています。三菱の評価は結構悪く見える表現ですね。

<岩崎家の同族主義が強かった三菱財閥に対し、三井は西郷隆盛から「大番頭」と呼ばれた井上馨をはじめ有能な人材を多く輩出したことから「組織の三菱、人の三井」と言われた。また三菱が「独裁政治」、後世の住友が「結集の住友」と呼ばれた[ のに対し、三井は「番頭政治」と呼ばれる。これは三菱・住友の連帯と結束の強さに対し、グループ内各企業が自由に動きやすい三井の特色を表したもので、三井系トップ・マネジメントには個性の強い人物が多いことを言い表したものでもある>

 あと、最初の「組織の三菱、人の三井」の話では書いていなかったのですが、「人の三井」の三井財閥の方には渋沢栄一さんが多少関係しています。渋沢栄一さんは異常に幅広くやっていた人なので、ちょこちょこ名前が出てくるんですね。渋沢栄一 - Wikipediaでは、以下のあたりで出てきます。

<大蔵省を辞職した栄一は、明治6年(1873年)自ら設立を指導した第一国立銀行(後の第一銀行、第一勧業銀行:現・みずほ銀行)の総監役に就任。大株主の三井組、小野組の頭取二名の上に立って、日本最初の銀行の創業を担う。明治7年(1874年)二大株主の一つ小野組が破綻した事で、新銀行は経営危機に陥った。三井組は単独経営を志向するが、栄一は小野組の古河市兵衛の誠実な対応にも助けられ、被害を最小限に留め、三井組による銀行経営の独占を退けた。自ら単独の頭取となり、公益に資する民間取引を軸に据えた銀行の路線を確立。財閥の機関銀行的な運営とは一線を画し、新興の商工業者の創業指導や資金支援を積極的に展開する>

<共同運輸会社創立発起人(現:商船三井)となり三菱の日本郵船による海運独占に対抗>
(引用者注:共同運輸会社は、三井財閥などの反三菱財閥勢力が投資しあって作った会社。ただし、後にライバルであった三菱の日本郵船と合併し、三菱が主導権を握る。なので、「現:商船三井」はWikipediaの間違いか。商船三井は、三井物産の船舶部が独立して三井船舶となり、さらにその後商船三井になっており、共同運輸会社由来ではないはず)

 銀行の件では、三井は単独で銀行を持ちたかったのに、渋沢栄一さんが政府代表で来たという形みたいです。ただ、共同運輸会社では明らかに協力しての設立。渋沢栄一さんの孫・横山栄子さんが三井物産、三井船舶勤務という縁もあるようです。一方、三菱に関しては上記の対立の話しか渋沢栄一 - Wikipediaではありませんでした。


【本文中でリンクした投稿】
  ■日本で初めてのボーナスが三菱商事って本当?岩崎弥太郎と「郵便汽船三菱会社」

【関連投稿】
  ■三菱グループではない三菱鉛筆 でも経営危機なら三菱財閥が支援?
  ■安倍首相の出身大学である成蹊大学、三菱と関係 就職も有利に?
  ■御三家すら追放した住友財閥の「血判状」 住友グループトップは意外、住友金属鉱山という企業
  ■社名は日立造船 でも船を作ってないし、日立グループでもない
  ■日立製作所、年功序列廃止で競争力アップ 選択と集中に成果主義は必須?
  ■企業・会社・組織についての投稿まとめ

Appendix

広告

ブログ内 ウェブ全体
【過去の人気投稿】厳選300投稿からランダム表示









Appendix

最新投稿

広告

定番記事

世界一スポーツ選手の平均年収が高いのはサッカーでも野球でもない
チャッカマンは商標・商品名 じゃあ正式名称・一般名称は何?
ジャムおじさんの本名は?若い頃の名前は?バタコさんとの関係は?
ワタミの宅食はブラックじゃなくて超ホワイト?週5月収10万円
朝日あげの播磨屋、右翼疑惑を否定 むしろ右翼に睨まれている?
レーシック難民は嘘くさいしデマ?アメリカの調査では驚きの結果に
赤ピーマンと赤黄色オレンジのパプリカの緑黄色野菜・淡色野菜の分類
アマゾンロッカーってそんなにすごい?日本のコンビニ受け取りは?
就職率100%国際教養大(AIU)の悪い評判 企業は「使いにくい」
ミント・ハッカでゴキブリ対策のはずがシバンムシ大発生 名前の由来はかっこいい「死番虫」
移動スーパーの何がすごいのかわからない 「とくし丸」は全国で約100台
ビジネスの棲み分け・差別化の具体例 異業種対策には棲み分けがおすすめ
主な緑黄色野菜一覧 と 実は緑黄色野菜じゃない淡色野菜の種類
タコイカはタコ?イカ?イカの足の数10本・タコの足8本は本当か?
トンネルのシールドマシンは使い捨て…自らの墓穴を掘っている?
ユリゲラーのポケモンユンゲラー裁判、任天堂が勝てた意外な理由
好待遇・高待遇・厚待遇…正しいのはどれ?間違っているのはどれ?
コメダ珈琲は外資系(韓国系)ファンドが買収したって本当? MBKパートナーズとは?
大塚家具がやばい 転職社員を通報、「匠大塚はすぐ倒産」とネガキャン
不人気予想を覆したアメリカのドラえもん、人気の意外な理由は?

ランダムリンク
厳選200記事からランダムで









アーカイブ

説明

書いた人:千柿キロ(管理人)
サイト説明
ハンドルネームの由来

FC2カウンター

2010年3月から
それ以前が不明の理由