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グーグルの採用条件は「自分より優秀」 上司の評価を軽視する人事評価制度


 最初の投稿時は、<グーグルが大企業病にかからず、ベンチャー精神を保っている理由>というタイトルでした。このときには、日本のベンチャー企業の経営者での似たような話も、いっしょに紹介していました。その後、グーグルに関する別の話を読んだので、<グーグルの採用条件は「自分より優秀」 上司の評価を軽視する人事評価制度>として追加。タイトルもそちらに改めています。

2021/01/19追記:
●2割しか満足していない日本の人事評価、会社への不満とも一致

●グーグルが大企業病にかからず、ベンチャー精神を保っている理由

2015/12/5:グーグルのラズロ・ボック人事担当上級副社長のワーク・ルールズ!―君の生き方とリーダーシップを変えるという本の紹介記事が、ありました。紹介記事のタイトルはなぜ、グーグルは社員が自ら120%で働くのか? ~『ワーク・ルールズ!』(ラズロ・ボック著)を読む|ダイヤモンド・オンライン(文/情報工場 シニアエディター 浅羽登志也 2015年10月10日)というものです。

 実際にはグーグルも大企業病の症状が見られているとの指摘が、最近ちらほらあります。なので、グーグルが比較的ベンチャー精神を保つことができている理由といった方が良いでしょうが、その答えとなりそうな話が出ています。

 記事では、前述のワーク・ルールズ!―君の生き方とリーダーシップを変えるに書かれているもっとも重要なメッセージは、「採用がすべてだ」ではないかと思うとしていました。Googleのように現場主導で発展する企業をつくるために、いちばん重要なことは、企業のミッションに適した人材を集めることではないかとしています。

 ただし、「採用がすべてだ」と言いつつも、その人材に120%の力を発揮させることが重要だろうとも想像。作者が以前いた会社でも、皆、嬉々として120%以上働いていた時期があったそうです。

 その経験もあって、グーグルの成功している理由は、ミッションを明確に持ち、そのミッションに対して120%コミットして働ける人材を時間とコストをかけて採用した上で、彼らが力を発揮しやすい環境を徹底的に考えて整え、仕組み化したためではないかといった見方をしていました。


●ライバルにすらならない…弱小に見えていたリブセンスの「マッハバイト」

 最初この話はそれほど興味を持っていなかったのですが、昔読んだ別記事のメモをちょうど見たために、大事かも…と思い直しました。その記事というのは、Talknote(トークノート)というサービスの小池温男社長のもの。しかし、私がおもしろかったのは、かつてやっていた失敗事業の方です。

 小池温男社長は、過去にアルバイトの求人で苦労した経験から、06年に完全成果報酬型の求人サイト「ラピジョブ」を立ち上げました。最初は失敗したわけではなく、むしろ成功。リスクなく掲載できる成果報酬型求人サイトは、採用担当者の支持を得て順調に掲載企業を増やしていったといいます。
(共通価値観が浸透した“いい会社”とは?トークノート・小池温男さんに聞く | 東京IT新聞 2013年9月7日(土) 07:00より)

 成果報酬型求人サイトと言うと、今はジョブセンス(現在の名前はマッハバイト)というのがあり、運営しているリブセンスがトップ企業で東証一部上場を果たすまでに成長しています。小池温男社長も当時競合調査をしていたときに、『ジョブセンス』というサイトを見つけたそうです。で、何が一番おもしろかったのかと思うと、このジョブセンスが当時は全然大したサービスに見えなかったという話。当時はライバルにすらならないというほど、大したことがないサイトに見えたんだそうです。

「当時はサイトにバグが多く残っていたり、情報量が少なかったりとあまりいい状態ではなかったので、特に競合視していなかったんです。運営しているリブセンスの村上太一社長と会って情報交換をしてみると、彼らは大学生が3~4人でやっていて資本金は数百万で、まだ会社を作ったばかりとのこと。僕らはリリース当初から総勢20人くらいのスタッフでやっていたので、従業員数や事業にかけているお金、経験、どれをとっても僕らの方が有利。だから負けるわけがないと思っていました」


●圧倒的有利だと思っていたのにマッハバイトに逆転されて倒産危機に

 求人情報サイトの善し悪しは「(求人案件の)質×量」で決まるそうです。大したことないと見たように、これも当時、小池さんが運営していたラピジョブとジョブセンスでは、前者の方が求人件数が多かったとのこと。相手になりません。ところが、この後どんどんジョブセンスの求人件数が増加。ラピジョブの求人件数を追い抜き、評判も高まってきます。逆転されてしまいました。

 そして、同じ頃に、ラピジョブは別の危機にも陥ります。社員の1人が突然の退職宣言。それを皮切りに、1人また1人と去っていき、20人近くいた従業員は、1人を残して皆いなくなってしまったのです。開発者も営業担当者もいなくなってしまった社内。一気に倒産の危機にまで直面してしまいました。

 この理由について、小池温男社長はジョブセンスとの競争やサービスの内容などの問題ではなく、社内の問題だという分析をしていたのです。そして、ここらへんが前述のグーグルの話を思い出した理由。ミッションを明確に持つことが大事というグーグルの話と重なるものがあり、2つ合わせて見るとおもしろいと感じました。

「問題の根幹はコミュニケーションにあったと思っています。うまくコミュニケーションがとれていなくて、共通の価値観も目標も全く浸透していなかった。(中略)僕が発信していかなければいけない思いも、みんなの考えていることも、成果や目標に対する進捗、顧客の声、クレーム、問題なども何も共有できていなかった。みんな頑張っているのに頑張る向きがバラバラだから全然結果に繋がらない。会社の雰囲気、人間関係も悪くなってきて、みんな会社にいるのが嫌になってしまったんだと思います」


●社員にグーグルが支持されるのは、福利厚生が良いからではない

2017/04/28:「世界を変える人材」をどう採用し、成果を出すのか?[橘玲の日々刻々]|橘玲の日々刻々 | 橘玲×ZAi ONLINE海外投資の歩き方 | ザイオンライン(2015年12月17日)の話をグーグル関係の投稿に追記…と思ってこの投稿を選択。ただ、読み直すと、あまりグーグルの話がありませんでした。とはいえ、ちょうど同じ書籍に関するものでしたので、最初のところと内容は似た部分があります。

 まず、楽しく力を発揮するということに関して、グーグルが「もっとも働きたい会社」ランキング上位の常連になっているのは、給料が高かったり、全社員に株式が与えられたり、福利厚生が充実していたり、美味しい社員食堂があったり、会社のなかをジャグリングしながら一輪車で走り回ったりできるからだけではないとの指摘です。

 では、福利厚生が充実しているといったものより、社員らにとって惹きつけられる、本当に重要なもののは何か?と言うと、グーグラーになれば、自分が「世界を変えている」という実感を持つことができるという「内発的動機づけ」こそが、グーグルの魅力の核心なのだとしていました。


●理由を聞けば納得…グーグルが採用を何よりも重視するのはなぜ?

 一方、私がより紹介したいと思ったのは、最初の投稿の「採用がすべてだ」と関連すると考えられる部分。グーグルが採用を重視するのは、以下のどちらのコストパフォーマンスが良いかを考えればわかるという説明。なるほどという話です。

A 上位10%以内の人材を雇う。彼らはすぐに素晴らしい仕事をはじめる。
B 平均的な人材を雇ってトレーニングする。彼らはやがて、上位10%の人材と同じ成果をあげるようになる。

 それでも、グーグルでは、パフォーマンスが期待を下回ってもただちに解雇されるわけではありません。矛盾するように感じるかもしれませんが、これも理由を聞けばそれしかない!というもの。解雇しないのは人情のようなものではなく、経済的合理性のある理由があるのです。

 同じ先程のABであっても既に人材を雇っている場合は、先程のAのように「新たに雇う」より、すでにいる社員のトレーニングを選んだ方が得ということなのです。こういう判断を冷たいと思う人もいるかもしれませんが、私は大好きな考え方。筋が通っています。

A' 新たに上位10%以内の人材を雇う。彼らはすぐに素晴らしい仕事をはじめる。
B' すでにいる平均的な人材をトレーニングする。彼らはやがて、上位10%の人材と同じ成果をあげるようになる。


●グーグルの採用条件は「自分より優秀」  上司の評価を軽視する人事評価制度

 ただ、私が一番おもしろいと思ったのはここではなく、採用の原則が「自分より優秀なひとだけを雇う」というものでした。最高の人材を求めている以上、候補者の能力が自分より劣っているようでは意味がないと考えるのだそうです。

 マネージャー(管理職)を採用する際、彼が指揮するはずの部署のスタッフ(将来の部下)が面接するとも書かれていたので、部下が上司を選ぶ場合なら、「自分より優秀」はそれほど違和感ないと思われます。ただ、「原則」なので、上司が部下を採用する場合にも、この方針が同じく適用されるということでしょう。

 日本の企業では、「部下が使えない」などと愚痴をこぼしつつも、優秀すぎる部下が来ると潰されることがあります。私のいた会社でも、上司にえらく辛く当たられる新人がそういう目に合っていたのではないか?と、ある先輩が推測していました。できすぎてもダメなのです。たぶん上司の手足となって動く従順な奴隷みたいなのが、理想なのでしょう。

 なお、このエピソードにも関連するおもしろい話が、グーグルは部下の評価に関し、直接的な上司の情報を重視しないということ。同僚の評価も重視するというのもありますが、これだけならよくあるものの。すごいと思ったのが、別のグループの上司も評価に加わるということで、業績評価だけでなく、昇進に関してまで直属の上司以外を含めた集団での評価になるのです。

 グーグルは常にそのやり方が正しく機能しているかをチェックして改善を加えていますので、おそらくこの方法の方が精度が高いということなのでしょう。このやり方は自分の力で部下を引っ張り上げる制度に慣れた他社からの転職者には評判が悪いようですが、特定の上司が力を持ちすぎる制度は良くないというデータが出ているのだと思われます。

 先の採用の場合にも実は同様で、その部門とはまったく関係のないグループも面接し、すべての評価(フィードバック)がデータ化されて採用委員会に送られています。この場合には、統計解析の結果、一人の評価が「集合知」を上回ることがほとんどないとわかったからだ、と明記されていました。業績評価の場合もこの採用の場合と同様の理由だと予想されます。


●2割しか満足していない日本の人事評価、会社への不満とも一致

2021/01/19:グーグルの話じゃないのですが、グーグルのことを思い出した記事がありました。カオナビが「人事評価」についてのアンケートを行った結果をPRした、人事評価に「満足している人」は2割以下! ― 人事評価と職場の満足度には高い関係性。ポイントは上司にあり? ― |株式会社カオナビのプレスリリースという記事です。

 アンケートで20代から60代の社会人、600名に会社の人事評価結果について満足しているか聞いたところ、「満足している」と答えた人は19.0%と2割以下しかいなかったといいます。「どちらでもない」39.7%、「満足していない」41.3%と何らかの不満を持っている人が8割を超える結果となりました。

 また、会社の人事評価について、「あまり満足していない・全く満足していない」と答えた人に、どの点が不満か聞いたところ、「結果に納得感が無い」が55.9%と最も多いという結果に…。また、「評価者が信用できない」「理由に納得感が無い」「項目・目標設定が不適切」が40%弱となっています。

 この結果について、カオナビHRテクノロジー総研・内田壮所長は、人事評価への不満点は多岐に渡っており、対症療法的に個別の不満点に対処してもキリがなさそうだとしていました。その上で、全ての不満に共通するポイントとして「上司」が考えられ、ミドル(中間管理職のこと)のマネジメント能力向上が有効な対策となりそうだとしていたのです。ほとんどの会社で上司による人事評価が行われているという前提みたいですね。

 実を言うと、グーグルでも100%みんなが納得する人事評価制度は作れなかった…としており、グーグル方式なら不満がゼロになるわけではありません。ただ、上司に評価権限が集中している現在主流の評価制度は不満を招きやすいのかも…と思いました。評価制度により不満に違いが出るかの調査があれば見てみたいです。

 なお、この調査では、現在の職場への満足度はどの程度かとも質問しており、「人事評価に満足している」人の85%以上が「職場に満足している」と回答。一方で、「人事評価に不満」だと回答した人は、17%程度しか満足していません。このことからカオナビでは、人事評価結果の満足度は職場満足と強い関係性があったとしており、各種調査で社員満足度の高いグーグルでは、人事評価への不満も少ない可能性を感じさせました。


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