日本は欧米から見ると社会主義的に見えるようで、「世界で最も成功した社会主義国」などと批判されることがあり、この関連の話をまとめ。<左翼すぎ日本、「世界で最も成功した社会主義国」と海外から批判>、<社会主義化した日本を正せ もっと右傾化することで「美しい国」に>などをまとめています。
また、<「日本は中国顔負けの金融社会主義をやっている」と指摘される>、<アメリカ人「日本では民間の取引に役人が出てくるの!?」と驚き>なども追記しました。
冒頭にまとめ
2023/01/28まとめ:
●左翼すぎ日本、「世界で最も成功した社会主義国」と海外から批判 【NEW】
●左翼すぎ日本、「世界で最も成功した社会主義国」と海外から批判
2023/01/28追記:別のところでまとめた<謎の首相擁護「改革できないのではない。官僚に負けてるだけ」>が、内容的にこちらにもふさわしい内容だと思ったので、冒頭にまとめました。擁護をしていたのは岸博幸教授で、安倍首相の擁護です。ちなみに岸博幸教授は後の自民党政権で、内閣官房参与にも就任しています。
2014/1/16:岸博幸教授が<安倍政権は「改革できない政権」か?>という記事を書いていて、岸博幸教授の立場からすると安倍晋三首相の擁護だろうなと思ったらやはりそうでした。その内容は後述しますが、海外で「改革できない首相安倍晋三」という烙印を押されていることについて、先に補足しておきます。
例えば、ウォール・ストリート・ジャーナルの<【オピニオン】安倍首相は改革者にあらず―成長戦略は古い自民党の手法 - WSJ.com>(2013年 10月 16日 15:40 By TOBIAS HARRIS)という記事では、以下のようにボロクソに書いていました。「どうせ左翼マスコミだろう!」と思うかもしれませんが、ここは右派マスコミなんですよ…。
<安倍首相はときにリベラルな改革者を装ってきた。(中略)ところが安倍首相は、自民党を設立して第2次世界大戦後に日本を再建した国家統制主義者のような(中略)統治を目指していることがますます明確になっている。経済が成長している限りは、構造改革など必要ないと安倍首相は考えているようだ>
以下の批判部分は、まさにウォール・ストリート・ジャーナルが「右派」であるがゆえの批判ですね。「安倍首相が左すぎる」という批判なんですよ。自民党支持者はすぐ野党を「左翼!」と批判するのですが、実を言うと、自民党の政策は海外から見て「左すぎる」としばしば言われています。
ここらへんはどの部分を見るか?の違いでしょう。日本の右派・自民党支持者は、戦前の美化や韓国・中国叩きや左翼叩きといったところで自分たちを「右派」と考えますが、海外は経済政策などを重視。私も経済政策なんかだと右派に近い考えのために、自民党はどうでもいいところばかり右派のくせして一番大事な部分で右派じゃない!と思います。
<安倍首相はこうして自民党の起源に立ち返っている。安倍首相の祖父、岸信介氏を含む自民党の創設者たちは、経済成長を促進しながら、利益を幅広く再分配するために国家権力を使った強大な集票組織を作り上げた。ゴルバチョフ元ソビエト大統領が言ったとされる皮肉の通り、自民党は世界で最も成功した社会主義国に50年間にわたって君臨したのである。
再生した自民党はかつての自民党と同じではないが、安倍首相は自民党の黄金時代と同様に、国が中心となった経済協調策を取り入れている。今年初めに導入された財政刺激策と最近発表された来年の消費増税の衝撃を緩和するための公共投資計画を通じ、安倍首相は土建国家の名残である建設業界にばらまきを行ってきた。(中略)
安倍首相は日本の将来に対する自らの構想を喜んで披露している。しかし、その古臭い経済ガバナンスは、日本の資本主義がどう機能すべきかについて具体的に考えていないという実体を隠している。(中略)
日本は流動性がより高い労働市場に移行すべきなのだろうか。だとすれば、労働者を競争市場に対応させるため、また、失敗した場合にセーフティネットを提供するため、どうすればいいのだろうか。その概要が94ページに及ぶ成長戦略にもかかわらず――あるいはだからこそなのか――安倍政権はこうした疑問やその他の根本的な疑問に取り組むどころか、既存の制度を下手にいじり回しているという感じを受ける>
http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304134704579138684231800094.html?dsk=y もう一つ雑誌エコノミスト(The Economist)という記事も紹介。こちらもどちらかというと、リベラルではなく保守派な雑誌。ただ、エコノミストは安倍首相に対してもっとこっぴどく叩いている記事が多い印象なので、エコノミストにしてはむしろおとなしい内容です。安倍首相を評価しないことには変わりありませんけどね。
・安倍改革の歩みはのろい:日経ビジネスオンライン 2013年11月21日(木)
<最近では、外国人投資家が「アベノミクス」について言及する場合、単に思い切った金融政策のことを指すようになっている。だが、安倍首相は日本再生計画の第3の柱、すなわち成長戦略についても約束した。成長戦略の要となるのは野心的な経済の構造改革だ。日本再生計画が打ち出された時に投資家を鼓舞したのは、まさにこの構造改革への期待感だった。 (中略)
だが農業以外の分野における規制緩和の歩みは遅い。インターネット大手・楽天の三木谷浩史社長は11月6日、構造改革に関する安倍首相の諮問委員会の1つ、産業競争力会議の民間議員を辞任する意向を示した(編集注:三木谷氏は11月18日、辞意を撤回した)。重要な医療改革に対して安倍首相が姿勢を後退させていることに失望したとしている。(中略)
こうした展開は安倍首相の力量や内閣に対する指導力を疑問視させる。今や各大臣や既得権益層に支持された自民党の議員たちが、直接、改革反対に回る有様だ。(中略)
中でも微妙な問題は、労働市場に対する大幅な改革だ。(中略)この改革は、農業の劇的な変化以上に大きな影響を経済に与える可能性がある。なぜなら、農業はGDP(国内総生産)のわずか1%超を占めるにすぎないからだ。(中略)
だが、結局のところ戦略特区は、労働規則の抜本的な変化をもたらすことにはならない。(中略)アベノミクスを概ね好意的に見ているモルガン・スタンレーのエコノミスト、ロバート・フェルドマン氏は、特区構想は「悪くないが、素晴らしいというわけでもない」と語る。 (中略)
今のところ、改革に関しては政治的にかつてないほどの追い風が吹いているし、与党は衆参両院で過半数を手にしている。安倍首相はもっと多くのことを成し遂げられていてもよかったはずだ>
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20131120/256089/?rt=nocnt●謎の首相擁護「改革できないのではない。官僚に負けてるだけ」
さて、ここからがやっと岸博幸教授の話。岸博幸教授が首相擁護を書いた直接的な理由は、上記の記事を見てというわけではなさそうでした。<安倍政権は「改革できない政権」か?>(岸博幸のクリエイティブ国富論|ダイヤモンド・オンライン 2013年11月29日)によると、以下のようないきさつです。
<今月は米国のヘッジファンドの人たちが大勢日本に来ましたが、彼らと面談すると異口同音に同じ質問をされました。それは、「安倍政権には改革はできないのか?」、「安倍政権は改革する気はないのか?」という質問です>
http://diamond.jp/articles/-/45228 最初にネタばらししたように岸博幸教授の狙いは安倍首相擁護です。ただ、岸博幸教授も"今国会に提出されている法案を見るとそう思われても仕方ありません"、"改革から逆行している"と認めています。しかも、この後も全然擁護になっておらず、むしろ安倍首相批判ではないか?という内容が続出していたんですよ。
以下に載せたのは、安倍政権で出している法案などについて、岸博幸教授が問題があることを認めたものざっとまとめたものです。岸博幸教授は前述のエコノミストで及第点を挙げていた農政改革ですらまやかしだとしており、ここだけ読むとむしろアンチ自民党の先頭を走るような内容。ボロクソな評価でした。
1.国家公務員制度改革法案
→幹部公務員の身分保障が残されて、単に新しい局長ポストが増えるだけで改革していない。
2.薬事法改正法案
→例外の28品目については民間有識者の専門家会合で明示的な結論となっていないにも拘らずネット販売を禁止し、更に処方薬については民間有識者による検討もせずに勝手に省令で決められていたネット販売禁止を法律に格上げしており、むしろ今までより後退。
3.産業競争力強化法案
→民間への過剰介入。経産省が過去に作った法律の焼き直しで、実際には何の効果もない。
(3の補足)賃上げ要請と実施しない企業の社名を公表
→民間の需給が適正かを政府が判断し、政府の言うことを聞かない企業の社名を公表するなんて、とても自由主義経済の国とは思えない。経産省は“国家資本主義”を超えて“国家社会主義”を目指していると思われても仕方ない。
4.タクシー規制強化法案
→政府がタクシーの需給を管理するもの。3と同様に民間への過剰介入。
5.会社法改正法案
→経団連の強い反対などにより、社外取締役の設置の義務化が見送られる。
(補足)農水省の減反廃止
→事実上減反は継続で廃止になっていない。
「民間への過剰介入」「“国家資本主義”を超えて“国家社会主義”」「規制緩和に逆行」といった批判になってっているところが多いですね。これは先程のウォール・ストリート・ジャーナルの批判と通じるもので、「安倍政権の政策が左翼的すぎて全然右派じゃない」といったものです。
このようにめちゃくちゃ辛い評価つけてどう擁護するのか?と言うと、"担当の閣僚の力不足"や"経済財政諮問会議がまったく機能していない"せいで、"既得権益擁護や過剰介入に傾く官僚を抑えられていない"からだとのこと。そして、"官邸の安倍首相や菅官房長官の改革姿勢は変わっていません"と書いていて、笑ってしまいました。
以前も書いている通り、一閣僚が首相や官房長官の援護が受けられず孤軍奮闘せざるを得ないというのならこの論理でもわかりますけど、政権の要である総理大臣と官房長官が積極的なのにちっとも改革できないというのは言い訳になりません。これはお二人が無能だと言っているに等しく、むしろけなした内容です。
百歩譲って閣僚が力不足であったとしても、大体にして力不足の担当の閣僚を選んだのは、安倍晋三首相でしょう?という話。同様に責任転嫁された経済財政諮問会議のメンバーにも官邸が関わっています。どこをどう辿っても安倍首相や安倍政権の責任であって、擁護は無理がありすぎです。
ただ、安倍首相は「わかっていてやっている」と私は思いますけどね。「改革できない」のではなく「改革しない」、もしくは、初めから大して改革する気がないから実現していないのです。ただ、そうなると期待した安倍晋三首相に裏切られた…ということになるので、岸博幸教授はそれもまた認めたくないのでしょう。
●自由主義じゃない…安倍首相の民間介入に好意的メディアすら批判
2015/12/5:私は経済的には右派の考え方に近いので、日本のやり方は好みでないことが多いです。そういう話かな?というタイトルの
政府から企業への口出しは日本を“社会主義化”させる|山崎元のマルチスコープ|ダイヤモンド・オンライン(山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員] 2015年10月21日 )という記事がありました。
<10月16日、安倍首相を筆頭とする政府首脳と、経済界の代表が対話する「官民対話」の会合が開かれた。この席で、安倍首相は、民間企業に対して設備、人材、研究などへの投資を拡大するように要請した。(中略)
現政権に好意的と思えるメディアである日本経済新聞社でさえ、10月18日付けの社説で「企業の意思決定に政府が介入しては困る」と題して批判を述べた。「政府の圧力を受ける形で、企業が無理をして投資を拡大すれば、肝心の競争力が低下する心配がある」「経営の意思決定は個々の企業が下し、国の圧力や統制は排除するのが自由主義経済の基本だ」と述べているが、正論である>
山崎元さんは、上記とは逆方向の動きについても危惧しています。民間企業が国を利用する形の方です。これがなぜ問題か?と言うと、政権と仲の良いごく一部の企業に強く恩恵が与えられる可能性があるためです。(2022/04/12追記:東芝と安倍政権と協力して株主に圧力をかけたことが後に判明しています)
<官民対話の席上、あるIT企業の経営者は、「IT業界では、アメリカや中国の企業がロボット技術や人工知能の先端企業を各国で買収して日本の得意な分野を浸食してきている。IT企業の一員としてそうした企業の買収を進めたいが、巨大企業との買収合戦にはなかなか参戦できず、政府と力を合わせて、対抗できる仕組みを考えたい」と話していた。
第三者の観点からは、企業買収に政府を関与させようと考えるとは何事かとも思うが、官民対話に出席して政府に調子を合わせて恩を売り、ついでにあわよくば政府を買収の資金調達にでも役立てようとするこの発言は、経営者として優秀。(中略)一方、こうした機会を持たないことは、官民対話の場に呼ばれていない競合企業にとっては不利である>
●自民党と仲良しIT企業なら言えば楽天…と思いきや別企業
安倍政権と仲の良いIT企業と言うと、真っ先に楽天が思い浮かびました。山崎元さんは楽天証券所属なのでそんなこと言っていいの?と思ったのですが、上記で出てきた「ロボット技術や人工知能の先端企業」ってのは楽天っぽくありません。
で、検索かけて議事録(
(PDF)未来投資に向けた官民対話(第1回))を見ると、どうもDeNAのことみたいですね。ただ、ロボット技術などは飽くまで例で挙げただけかな?という感じ。もっと露骨な発言かと思ったものの、そうではなかったようです。
(南場(引用者注:南場智子)株式会社ディー・エヌ・エー取締役会長)
<我々のような企業が一つ一つの技術ベンチャーを買おうとすると巨額の投資となるためある種賭けであり、どうしても二の足を踏んでしまう。ここで
我々が目利きをして、ぜひ取り込んで、日本の競争力を強化する方向性で未来投資型のM&Aを行いたいというときに、伴走投資をするような仕組みがあると非常によいと思う。もちろん自助努力と規制緩和が本質なのだが、今日の趣旨にのっとってこの話をさせていただいた>
ちなみに当時のメンバーのうち民間企業の人は以下。ブラックロックなんかはGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の資金を運用しているところですから、極めて近いところの人だと言えます。また、第2回もトヨタという自民党と非常に近い企業が登場。ただ、アマゾンがいるのは意外に感じました。
(PDF)未来投資に向けた官民対話(第1回)榊原 定征 日本経済団体連合会会長
三村 明夫 日本商工会議所会頭
小林 喜光 経済同友会代表幹事
佐藤 康博 全国銀行協会会長
南場 智子 株式会社ディー・エヌ・エー取締役会長
リチャードクシェル ブラックロックGlobal Executive Committeeメンバー コーポレートガバナンス統括責任者
清田 瞭 日本取引所グループ取締役兼代表執行役最高経営責任者(CEO)
(PDF)未来投資に向けた官民対話(第2回) 榊原 定征 日本経済団体連合会会長
三村 明夫 日本商工会議所会頭
小林 喜光 経済同友会代表幹事
豊田 章男 トヨタ自動車株式会社代表取締役社長
冨山 和彦 IoT推進ラボ座長
谷口 恒 株式会社ZMP代表取締役社長
ポール・マイズナ― アマゾン・ドット・コム副社長
川田 達男 セーレン株式会社代表取締役会長
●社会主義化した日本を正せ もっと右傾化することで「美しい国」に
最初の記事に戻って、安倍政権は民間介入の例について。私が以前批判した携帯電話料金の話も出ていました。これも中国っぽさがあります。また、今回ちょうど言及したGPIFの話にも触れています。
<アベノミクス初期の企業への賃上げ要請に始まって、先般は、携帯電話会社に対する料金引き下げの要請、そして今度は企業への投資拡大要請と、強制力は持っていないとしても、確かに政府が民間企業のやり方に口を出す機会が多い。
また、民間企業の株式の所有を見ると、今や日本企業の筆頭株主はGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)であり、2番手株主は日銀だ>
山崎元さんは、"現在の安倍首相が、「安倍国家主席」のように振る舞いたがっているとまでは思わない"としつつも、社会主義国のような"メンバーが固定化した権力者の集団による独裁"の形に近づいていることを危惧しています。
<政・官・民の「お友達」を集めて方針を決め、政府が民間のすることに口を出すパターンを繰り返すことは、特定の個人や集団が政府を通じて不当な影響力を持つ「美しくない国」への道に通じているように思えてならない>
"日本の経済は、しばしば「最も成功した社会主義経済だ」などと揶揄され"ていますが、これを正すどころかさらに左傾化しています。経済面ではもっと右傾化することで、「美しい国」に変えていかねばなりません。
●「日本は中国顔負けの金融社会主義をやっている」と指摘される
2017/12/30追記:安倍政権は特に社会主義的なんでしょうね。私も書いたGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の問題と近い日銀の株大量購入など、金融社会主義的なものがたくさん指摘されていました。(2023/01/28追記:引用元を書き忘れていたのですが、たぶん
中国顔負けの「金融社会主義」日本:日経ビジネス電子版(2017.10.3 岡部 直明)じゃないかと…)
(1)日銀の独立性が損なわれている
米欧が超緩和政策からの出口戦略に動いているのに、日銀では出口論議さえ封じられている。FRBや欧州中央銀行(ECB)など先進国の中央銀行にはかならずタカ派とハト派がいて、健全な討議をしたうえで金融政策が決定されるが、日本では、日銀の最高意思決定機関である政策委員会から緩和慎重派を駆逐して緩和派だけにしてしまった。
(2)日銀が指数連動型上場投資信託(ETF)購入を通じて株式市場をゆがめている
2017年3月末で16兆円と1年で1.8倍に膨らんだ。年年金積立管理運用(GRIF)の株式投資と合わせて「官製相場」のそしりは免れない。日銀が大株主になることで、企業統治にも影響が出てくる。
(3)金融庁の「金融育成庁」への転換
公正で中立的な審判役だったのを、民間へより介入できるやり方にしている。そもそも旧大蔵省から銀行局など金融部門を切り離して金融庁を独立組織として創設したのは、裁量的な指導行政に弊害が目立ってきたためだった。
(4)官民ファンドなど政策金融の肥大化
2018年度の財政投融資計画では6つの官民ファンドの要求額が17年度当初計画に比べて1.7倍に膨らんだ。企業再生にあたっては、日本政策投資銀行が一枚かむケースが多い。
(5)日銀が国債を買いすぎている
日銀の国債保有残高は6月末で前年比9.9%増の437兆円となり、銀行や保険会社など民間の主要金融機関の合計を初めて上回った。発行済みの国債全体に占める割合も初めて4割を超えた。
(6)政府系金融機関が地方銀行の分野に進出し民業圧迫が起きている
●アメリカ人「日本では民間の取引に役人が出てくるの!?」と驚き
官民ファンドについては、
官民ファンド産業革新機構のベンチャー投資が全損だらけ 失敗案件に追加出資してさらに税金をドブに捨てるや
右傾化批判の一方、官民ファンドは共産主義という批判もなど、何度か書いています。
また、企業再生に国が関わる悪例としては、東芝やシャープがそうです。東芝のケースでは、アメリカ投資ファンドの幹部が「日本では、民間企業のディールに役人が出てくるのか」と呆れ顔だったとのこと。中国的です。
(関連:
東芝、やっぱり国が救済 実質的に韓国SKハイニックスが買収か?より)
あと、最初の投稿で書いていた「政権と仲の良いごく一部の企業に強く恩恵が与えられる可能性がある」では、森友学園・加計学園といった問題が出てきました。森友学園では、「安倍晋三記念小学校」という名称も検討されており、北朝鮮らしさもありましたね。
(なお、「安倍晋三記念小学校」が朝日新聞のデマと言っている人がいますが、それこそデマ。寄付を募ったときの名前はこれでしたし、首相本人も名前の使用で相談を受けたことを認めていました)
●日銀が売ると日本の株価暴落!パンドラの箱を開けてしまった日銀
2022/04/12追記:社会主義的という視点の批判じゃないのですが、
ETFで身動きとれない日銀の姿、世界で最も大胆な政策実験の末路か - Bloomberg(藤岡徹 2022年4月8日)は、日銀の「世界で最も大胆な政策実験」である上場投資信託(ETF)購入の問題点が指摘された記事でした。
<こうした幅広い目標の下、異次元緩和の導入以降10年足らずで日銀の保有残高は国内ETF市場全体の約8割を占め、国内株式市場の約7%相当にまで膨張した。株式市場を通じて経済をてこ入れしようとする日銀の取り組みは、世界のどの中央銀行よりも踏み込んでいる。
世界で最も大胆な金融政策実験により、日銀は巨大なポートフォリオで身動きがとれず、そこから抜け出せないという衝撃的な結末を迎えるかもしれない>
私が気になったところは別の部分ですが、問題が大きいのは出口戦略が難しいということ。私はパンドラの箱を開けてしまったのでは?…と思っています。一度開始してしまうと、正常化するのは至難の業で多くの問題が起きるためなかなか是正に踏み出せず、ずっとこの政策をやめられない…ということになってしまうのです。
<日銀は2021年3月、原則年6兆円としてきたETF買い入れ方針を柔軟化し、市場をゆがめると批判されてきた異次元緩和の一部縮小への一歩を踏み出した。(中略)
ETF買い入れの緩やかな縮小はひっそり行ってきた。23年4月に任期満了を迎える黒田東彦総裁は、出口戦略について口を堅く閉ざしている。株価の大幅下落を招かずに保有残高を縮小させるという非常に厄介な仕事は次期総裁に委ねられる。
日銀が抱える巨大な株式ポートフォリオを縮小するには、数世代とは言わないまでも、数十年かかるかもしれない。既に中銀史上最大規模の株式市場への介入に対し、期待外れだったという批判をアナリストから浴びている>
なぜパンドラの箱を開けたと表現したのか?政策をやめられないのか?と言うと、やめると株価が暴落するため。セゾン投信の瀬下哲雄マルチマネジャー運用部長は、相場が過熱している状況で売るのが理想的だったが、今はもう日銀が売るとなれば需給も変化し、「かなりネガティブな影響が出てくる」としていました。
●アメリカやスイスでの禁止行為をやっていた日銀 リスクが高いため
さて、私が気になったという別の部分ですが、これは、前述したような日銀が大量に買い入れたETFの処分の問題。理論上、<日銀には保有するETFを売却する義務はなく、理論上は永遠に持ち続けることができる>ものの、これには問題があるため、海外ではそもそも買い入れ禁止だという話です。驚きました。
<ただ将来ほとんど価値がなくなる恐れのある株式ファンドを単に保有し続ければ、日銀財務のリスクになりかねないと、事情に詳しい関係者は言う。スイス国立銀行(SNB)のように外貨準備の運用以外で中銀が株式を購入しないのもそうした理由からだ。米連邦準備制度は法律で株式の保有が禁止されている。>
ただし、ETFの種類によっては将来ほとんど価値がなくなる恐れはないのでは?とも思います。日本の銀行は悪い投資信託ばかり売りつけてきた実績があり、リスクが高い投資信託があるのは事実。ただ、例えば、TOPIXがゼロになるというのはほぼあり得ないため、株価指数連動型などのETFなら無価値にならない気がします。
【本文中でリンクした投稿】
■
東芝、やっぱり国が救済 実質的に韓国SKハイニックスが買収か? ■
官民ファンド産業革新機構のベンチャー投資が全損だらけ 失敗案件に追加出資してさらに税金をドブに捨てる ■
安倍晋三首相、新経済連盟重視 三木谷浩史楽天社長と仲良しアピール ■
右傾化批判の一方、官民ファンドは共産主義という批判も【関連投稿】
■
国家社会主義と国家資本主義の違い 国家主義や全体主義との関係も ■
アベノミクスの矛盾 竹中平蔵・菅義偉VS麻生太郎・甘利明・飯島勲 小さな政府派と積極財政派 ■
クルーグマン、アベノミクスは評価、安倍晋三首相は酷評 ■
浜田宏一参与、自民党の財政政策・大型補正予算を批判・否定 ■
政治・政策・政党・政治家についての投稿まとめ
Appendix
広告
【過去の人気投稿】厳選300投稿からランダム表示
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
|