最初のときに書いていたのは、グーグルではなんと上司の意見であっても、根拠のないものは採用されないという話です。また、同じような方向性の話として、<部下の業績評価で大事そうな上司の意見を重視しないグーグル>という話も追加してます。
2022/02/18:全体に見直して再投稿
●たとえ管理職であろうとも根拠のない主張は通らないグーグル
2015/12/8:グーグルのラズロ・ボック人事担当上級副社長の
ワーク・ルールズ!―君の生き方とリーダーシップを変える
という本の紹介を読みました。紹介していた記事は、
なぜ、グーグルは社員が自ら120%で働くのか? ~『ワーク・ルールズ!』(ラズロ・ボック著)を読む|ダイヤモンド・オンライン(文/情報工場 シニアエディター 浅羽登志也 2015年10月10日)というタイトルです。
ここのタイトルになっている話は、
グーグルが大企業病にかからず、ベンチャー精神を保っている理由で扱っています。ただ、ときどきあるように私が感心したのはタイトルになっていなかった話の方です。私が一番気に入ったのは、「たとえ管理職であろうと根拠のない主張は通らない」という以下のような話でした。
<社員にあらゆる情報を公開した上で、経営全般に発言権を与え、さまざまな意思決定を現場に任せる(中略)
Googleの業務運営ではデータ重視が徹底される。どの業務領域においても、自分たちでツールを構築しデータを集め、それに科学的な分析を加えた上で判断を下す。
もちろん人事管理も例外ではない。データに基づき自分たちの働き方も評価し、再設計を繰り返す。マネジャーであっても根拠の乏しい判断を下すことは許されず、必ずデータの裏づけが求められる。徹底的なデータ主義に基づく見える化と現場主導の業務改善が繰り返されているのである>
●社長や上司が偉い日本からはグーグルのような企業は生まれない
うちのタイトルにした「社長や上司が偉い日本からはグーグルのような企業は生まれない」は、かなりこねくり回したもので記事で直接そういった表現があったわけではありません。うちのタイトルは、以前書いた
日本の会社は部活なので、就活は体育会系が有利 ブラック企業論理も通用の印象が強く影響しています。
ここで使った記事では、体育会系出身の社会人の方が、体育会出身者は何か命令しても理由を聞かずにやるから良いと自画自賛していたんですよ。先輩、監督の言葉は「やれ!と言われたらやる!」が身についているから面倒くさくないとか、理不尽に免疫があるとかいった言い方もしています。
一方、私はこれらはブラック企業を生むものであり、上司というだけで意見が通ってしまうために理論的な考えもできなくなると考えており、むしろ悪いと感じました。ただ、これ以外でも日本では上司の立場が強すぎると感じる逸話が多いので、日本ではこういうのが結構受け入れられてしまっているのだと思います。ブラック企業なんて理不尽の宝庫ですからね。
(関連:
先輩・後輩は海外に通用しない日本の文化 上司・部下の関係も注意)
●根拠を求める企業はすごい?そもそも根拠が必要なのは当たり前
典型的な日本企業とは異なり、グーグルは上司であっても根拠を求めらるとのこと。そういえば、
Netflixが日本で苦戦する理由 日本人はローカルコンテンツが好きでも、Netflixトップの変更提案をすぐに受け入れずに、データを取ってから…という話がありました。このときは結局、試した結果が悪く、本採用に至っていません。トップの提案が退けられたのです。
また、グーグルのデータ至上主義については、
グーグルはデータ至上主義 数字を出して説明できない社員はいらないでも書いています。上司の直感みたいなものより、データ主義みたいな話の方が私は好きなんですよね。当時は意識していませんでしたが、今回の記述で「科学的な分析」と入っているのを見て、そうか!と思います。
私は科学・医学の話でもすぐ根拠を求めますし、政治の話でも科学的根拠・学術的裏付けにこだわります。どうもこういうのが性にあっているようです。でも、好き嫌いの問題ではなく、本来ビジネスの場においても、根拠が求められるってのは普通じゃなきゃいけないと思うんですけどね。
例えば、上司だって根拠なく思いつきで部下が意見してきた場合は、「よし、とりあえずやってみよう!」とはならないでしょう。それどころか「根拠はあるのか?」と問い詰める方が多いはず。それなのに、自分の都合の良いときだけ、理由を説明できない理不尽な主張を通すというのは、明らかに間違っています。
●部下の業績評価で大事そうな上司の意見を重視しないグーグル
2017/04/28追記:他のところでも追記した話なのですが、テーマ的にはよりピタリなこちらにも追加。グーグルでは、業績評価において、上司だけでなく同僚からもフィードバック。さらに、直属の上司が評価した後に、マネージャーのグループが集まってその評価が公正かどうかを検討するそうです。
ただ、グーグルがすごいのがこの後の話で、同じやり方を昇進にまで適応しているということ。これのおかげで、いくら上司が気に入っている部下であっても客観的に評価できなければ昇進しない…ということになると考えられます。同様に、上司が気に食わない部下であっても、他の人から評価されて昇進もするということでしょう。
このやり方が特別だというのは、グーグルに新しく加わるマネージャーにはきわめて評判が悪いことからもわかります。ただ、彼らはそれまでの会社で、昇進枠を利用して部下をコントロールしていたから…という理由であり、この評価方法が機能しないという明確な根拠があるわけではありません。
そして、むしろグーグルのやり方の方が正確に評価できる可能性の方が高そうです。他の上司らのチェックでは、直観による誤り(ハロー効果や直近効果)に陥らないように、さまざまなバイアスを補正するツールも提供されています。逆に言えば、直属の上司の評価は、思い込みによる間違いが多いということでしょう。
したがって、上司にゴマをすって昇進しようとする部下はこれで排除されます。また、パワハラのようなものも、通報されて処分されるとありました。
(
「世界を変える人材」をどう採用し、成果を出すのか?[橘玲の日々刻々]|橘玲の日々刻々 | 橘玲×ZAi ONLINE海外投資の歩き方 | ザイオンライン 2015年12月17日より)
パワハラの話が出てきたように、上司の力が強すぎることがブラックな仕事環境を作りやすくなっているとも言えます。上司の強すぎる力を弱める方向性は、いろいろな意味で正しそうです。
【本文中でリンクした投稿】
■
グーグルはデータ至上主義 数字を出して説明できない社員はいらない ■
グーグルが大企業病にかからず、ベンチャー精神を保っている理由 ■
Netflixが日本で苦戦する理由 日本人はローカルコンテンツが好き ■
日本の会社は部活なので、就活は体育会系が有利 ブラック企業論理も通用 ■
先輩・後輩は海外に通用しない日本の文化 上司・部下の関係も注意【関連投稿】
■
アップルVSグーグル、勝負あり!ネスト買収で競争は終了、その先へ ■
あのグーグルが原発開発に投資?再生可能エネルギーは見限ったのか ■
EUがGoogleに警告、独禁法違反訴訟へ 裁判はむしろ望むところ? ■
ネット・コンピュータ・ハイテクについての投稿まとめ
Appendix
広告
【過去の人気投稿】厳選300投稿からランダム表示
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
|