2022/04/03追記:
●ヒグマ撮影の餌付けで問題発生 野生動物への餌付け禁止の法改正 【NEW】
●野鳥への餌やりは良くない?そもそも野生動物に食べ物は禁止?
2021/02/17:野良猫への餌やりはやめろ!という批判はよくあります。そこでふと思ったのが、野鳥への餌やりも良くないのではないか?ということ。主に哺乳類を想定した「野生動物への餌やりは良くない」という話もありますし、野鳥ではどのようなことが言われているだろう?と気になって検索。やはり野生動物全般に絡む話も検索では出てきたので、後述します。
鳥限定のものとしては、野鳥ではおなじみの日本野鳥の会が検索で出てきて、代表的な意見としては良さそうだなとアクセス。ただ、
日本野鳥の会 : 餌台(バードフィーダー)の管理について(2009年4月2日更新)というタイトルですので、餌やりそのものは良いという前提のようです。
<餌台(バードフィーダー)は、自宅にいながら、野鳥を間近に観察することができるツールですが、衛生管理を徹底して、節度をもって行わないと野鳥に感染症が広がることが起こり得ます。
2009年1月以降、北海道旭川市内でスズメが死んでいるとの道への情報が相次ぎ、現在までに50羽以上の死がいが確認されているとのことです。その内、旭川市旭山動物園が、家庭の庭先で見つかった死がいと餌台の周りにあった糞を採取して調べたところ、高確率でサルモネラ菌が検出されたことなどから、サルモネラ菌の一種による感染症の流行とみられています。糞などで不衛生な餌台にスズメが集まり、スズメ同士の感染拡大が起きたことが考えられます>
このとき検出されたサルモネラ菌は鶏嫌いの人が嫌がらせで入れた…なんてことはなく、事故だったと考えらています。木質の中で長期に渡り保存されてしまうような病原体がいくつかあり、サルモネラ菌はその一つだそうです。結構あり得ることなのかもしれません。また、以下のように別の理由において、春~夏にかけてはエサをあげるべきではないとされていました。
<野鳥の多くは春から夏の子育ての期間、昆虫など、それぞれの種に適した動物質の餌を主食にしています。不適切な栄養成分の餌を与えられるとヒナは健康に育つことができません。自然界に食物が豊富な春~夏にかけては、餌台(バードフィーダー)を置くのは控えてください>
●野鳥への餌やり問題、実はそもそもあまり調査していなかった!
もう一つ、
フィールドマナー(給餌について) | 野鳥を楽しむポータルサイト BIRD FAN | 日本野鳥の会というところにもアクセスしてみました。「野鳥との接し方のひとつである給餌は、それを楽しみとする方がいらっしゃる一方で、近年ではマイナス面を危惧する意見も聞かれるとのこと。今回は給餌の問題について考えます」というテーマです。
<餌を与える行為も、カラスやハトのように人の生活と軋轢が生じている生物、生態系に影響を与えている移入種、水質悪化が指摘されている場所などでは控える必要があります。また、写真撮影や給餌、観察が地元の人や周囲の人に誤解やストレスを与える場合もあるので、十分な配慮をしましょう>
こちらでも、絶対に餌やりしてはいけないというものではなく、餌やりはして良いというスタンス。<野鳥にとってのプラスとしては、人間による給餌がタンチョウを絶滅の危機から救うことに貢献した例が挙げられます>として、良い面にも言及されていました。ただ、そもそもあまりその影響については調査されていない…という話も出ています。
<給餌することによる野鳥や生態系へのマイナスについてはあまり調べられていないのですが、自然界にない餌が野鳥の健康や周囲の環境を害したり、本来その地域にはない植物の種子や昆虫などをえさにすることで、生態系に影響を与えることもあるかもしれません。給餌の量や給餌する人の数が多い場合にも影響が予想されます。すでに、水鳥への給餌による水質悪化が懸念されている湖沼もあります>
●野鳥に限らず野生動物全般に問題となるのは生態系への影響
最初に書いた猫の話では、野良猫への餌やり禁止だけでなく、飼い猫を外へ出すな!という過激な主張があります。かなり感情的にこれを言っている人がいて、てっきり動物嫌いの人だと思ったら、鳥好きの人でした。猫はかなり野鳥を襲っているため、野鳥への影響があるという理由で怒り狂っていたようです。
ただ、生態系への影響という意味で言うと、野鳥への餌やりにも問題がある可能性は十分に考えられるでしょう。「野鳥を楽しむポータルサイト BIRD FAN | 日本野鳥の会」では、こちらにも言及。以下で「野生生物との関係」「サルやクマ」などと書いているように、この生態系へ与える影響という意味では、野生動物全体に関わる話と捉えて良いと思われます。
<人と野生生物との関係にも悪影響が見られます。人が野鳥に与える餌に来る種や個体は限られているため、特定の種だけが増えてバランスを損なったり、人との軋轢を増加させる恐れがあります。また、サルやクマなどほ乳類への給餌では農業被害の他、人を恐れなくなる危険も指摘されており、実際に人里に降りてきて射殺される悲劇にもつながっています。近年では、条例によって給餌を禁止する自治体も出てきました>
●ヒグマ撮影の餌付けで問題発生 野生動物への餌付け禁止の法改正
2022/04/03追記:前回見てきた限りでは、野鳥への餌やりは「悪くはないんだけど」といった感じで、野良猫や哺乳類系の野生動物への餌やりと温度差があるようです。一方で、<ヒグマなどの野生動物への餌付け禁止 法改正へ>(2021年3月4日 NHK)といったニュースも出ています。この法律の場合は、野鳥を含めて禁止のようでした。
<政府は3月2日に自然公園法の改正案を閣議決定しました。背景には、野生動物が餌付けや撮影などのために身勝手に人が近づくことによって本来の姿が失われている問題があります>
<今回閣議決定された、自然公園法の改正案では、国立公園や国定公園の中で特に重要な「特別地域」などの範囲に限って、ヒグマやキツネ、それにサルなどのほ乳類、ハクチョウやオオワシなど鳥類への餌付けを規制します。やめるよう指示しても従わない場合は30万円以下の罰金を科すとしています>
https://www.nhk.or.jp/hokkaido/articles/slug-n179d14757ce2
知床国立公園では、観光客がヒグマを餌付けしたり、人慣れしたヒグマが人里に降りて、駆除されたりすることが相次ぎ大きな問題に。ヒグマを見たり撮影したりするために車を止めて近づいたりして起きる「ヒグマ渋滞」が頻発するほどだといいます。ヒグマがやばいと知っている道民としては無謀としか思えません。
知床でヒグマの保全や管理を行っている知床財団の石名坂豪さんはこうした行為が生態をゆがめさせると指摘。観察目的などを含めて、これは野鳥でも言える話ですね。また、ヒグマの場合、餌付けを覚えた熊が奪う勢いで近づいてきて危険という大問題にもなり得ます。
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