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アメリカのiMuSC細胞はSTAP細胞の再現ではなく小保方晴子の正しさは証明されない


 アメリカがSTAP細胞を再現成功? 幸福の科学など、日本人が反応の続きで、もっと信頼できそうな媒体の記事について。


●STAP細胞(?)を再現したのはテキサス大学医学部ヒューストン校の研究者ら

 ただ、最初にもう少し幸福の科学の記事を。ここは何気にきちんと著者名を載せていました。
STAP細胞が証明された? 小保方氏の研究にもう一度目を向けるべき | ザ・リバティweb 2015.12.13

話題になっている論文は、英科学誌ネイチャー誌のオープン・アクセス・ジャーナルである「ネイチャー・サイエンティフック・リポーツ」に11月27日付で掲載されたもの。著者であるテキサス大学医学部ヒューストン校のキンガ・ヴォイニッツ氏らは、傷ついたマウスの筋肉細胞を取り出して培養したところ、その一部が血管やリンパ管を構成する内皮細胞になったことに着目した。(河本晴恵)

●STAP細胞問題とも縁があるMedエッジも記事を掲載

 幸福の科学はもちろん、前回紹介した記事より良いと思ったというのは、Medエッジです。ここは専門的な話があるので、結構良いニュースサイトだと思っていました。

 ただ、ここはSTAP細胞問題で理研辞任の西川伸一元特別顧問 医療サイトに就職で書いたように、撤回されたSTAP細胞論文に助言して、なおかつ「STAP細胞問題はマスコミが悪い」と責任転嫁していた西川伸一元特別顧問がいるといういわくつきのサイトでもあります。

 まあ、今回書いているのは西川伸一さんではなく、STAP細胞問題でも強く批判していた科学ライターの粥川準二さんです。


●今回の論文のベースは、2011年に発表済み

 粥川さんによると、この研究の初期実験はかなり前に既に雑誌に掲載されていたそうです。
米研究者が「STAP細胞」の再現に成功!? | Medエッジ 粥川準二 2015年12月13日 10:00 PM

 根拠とされている論文は「損傷によって誘導された筋肉由来幹細胞様細胞群の特性評価」という題名で、米テキサス医科大学の研究者らがまとめ、『ネイチャー』と同じ出版社が発行する『サイエンティフィック・リポーツ』という電子ジャーナルに掲載されたものです。

 題名からわかる通り、この論文は、マウスから採取した筋肉の細胞を「損傷」させて刺激したところ、多能性幹細胞、つまりES細胞やiPS細胞のように、さまざまな細胞になることができる細胞に“似たもの”ができた、という実験結果をまとめています。

 著者らはこの細胞を「iMuSC細胞(損傷誘導筋肉由来幹細胞様細胞)」と名づけています。彼らはこの研究を数年前から行っており、初期実験の結果をすでに2011年の『プロスワン』で発表しています。今回の論文はその延長にあるものです。

●アメリカのiMuSC細胞はSTAP細胞の再現ではない

 名前にあるように今回の研究のポイントは「損傷」。一方、STAP細胞は「刺激惹起性多能性獲得細胞」であり、"物理的な刺激を与えるだけで多能性を持たせることができた細胞"というのがポイント。"「STAP」の定義にあてはまらないこともありません"と、粥川準二さんはしています。

 ただ、それ以外は"「対象」「方法」「結果」いずれも異なる"ので、全然違うでしょ…という話です。
 しかし方法がまったく違います。小保方氏らもさまざまな刺激方法を試したそうですが、最終的に成功したものとして論文にまとめたのは、酸です。それに対して、テキサス医科大学の研究者らが行なった刺激は、「損傷(裂傷)」です。実験対象も、小保方氏らはリンパ球、テキサス医科大学の研究者らは筋肉細胞なので、まったく異なります。

 これらの事実からだけでも、今回の論文が、小保方氏らの方法によるSTAP細胞またはSTAP現象の再現を確認したわけではないことが簡単にわかります。

 そして結果も異なることが重要です。(中略)生殖細胞にはならなかったということです。この論文では、分化し終わった筋肉細胞を「損傷」することによって「部分的に(partially)」初期化することができ、「多能性様状態(pluripotent-like state)」にすることができたと主張されているのですが、「部分的に」や「様(-like)」という言葉遣いからわかるように、体細胞の初期化や多能性の獲得に、完全に成功したとは述べていません。小保方氏らが『ネイチャー』論文で成功したと称したこととは異なるのです。

●小保方晴子氏の正しさは証明されない

 それから、問題の引用されていたという小保方晴子さんのハーバード大時代の研究ですが、"多能性幹細胞を体細胞組織からつくることができたという研究は存在しない"という明確に否定する文脈で引用していたそうです。

 また、前回の冒頭で、"もともとSTAP細胞自体が出たときも「~細胞と似ている」などと言われており、似たような研究は以前からありました"と書いたのと、関係ある話もあります。小保方晴子さんの論文以外にも、"「MACP細胞」や日本の研究者がつくったという「MUSE細胞」などの論文が挙げられて"いたそうなのです。

 これは"体細胞から多能性のある細胞をつくろうとした研究は珍しくはない"という話。珍しいものではないということですから、当然小保方晴子さんやSTAP細胞の手柄ではありません。

 幸福の科学の主張した"今回の研究が、STAP細胞を念頭に置いて行われたものである"も、当然無理ですね。そもそも初期研究は2011年であり、その頃STAP細胞論文はありませんでした。

 ただ、もともとバカンティ教授は、STAP細胞の元となったアイデアはバカンティ教授の弟が相当昔思いついたものだと主張しており、言ったもん勝ちな感じになっています。誰かが成功した時点で、自分たちの手柄だと言える格好を作り出しています。小保方晴子さんもおまけ程度の扱いです。
チャールズ・バカンティ - Wikipedia

 Spore-like cells、Sphere研究

2001年にバカンティは弟のマーティン・バカンティとともに、生物の成体に小さなサイズの細胞が眠った状態の多能性細胞が存在するのではないかとの仮説を提唱。これを「spore-like cells」(胞子様細胞)と名付けた。(中略)その後、2008年に小保方晴子がハーバード・メディカルスクールに留学して来ることにより、研究が再始動[33]。小保方は博士論文の研究として多能性の検証を行った。

(中略)STAP細胞はバカンティ自身の研究成果であり、小保方は研究協力者の1人との立場をとっている[48]。

●iMuSC細胞も再現できない可能性

 あと、今回の研究ももちろん再現が取れない可能性があります。不正を追求する必要はないというSTAP細胞を擁護する論調があった理由の一つに、再現できない研究が全く珍しくないという背景があります。ただ、私は不正と再現性なしは明確に区別すべきだと考えています。

  ■有名な心理学研究の60%に再現性なし 医療分野では70~90%も

 今回の研究については、粥川さんが掲載誌の信頼性について以下のように解説していました。
『サイエンティフィック・リポーツ』は、確かに査読のある学術ジャーナルではあるのですが、査読の基準は「技術的妥当性」のみで、「個別論文の重要性については、出版後、読者の判断にゆだねます」と明言されている電子ジャーナルです。いわば、ごく予備的な実験結果を示して、読者の意見を求めることを目的にして書いたものも掲載される媒体です。読者はその分を割り引いて解釈することが前提になっています。

 このiMuSC細胞もまた、再現実験など科学と歴史による評価を待つことになります。

 ああ、粥川さんも最後に"「再現性の有無」と「研究不正の有無」はまったく別問題だ"としていました。だから、曲解したデマは流さないでね…という話です。


 関連
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