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夫婦別姓:通称を理由に違憲ではないとした最高裁は通称使用禁止だった


 最高裁は、旧姓の通称使用が浸透してきたことを理由に、夫婦同姓は違憲ではないという判断を下しました。しかし、その最高裁自身は、旧姓の通称使用を禁止しており、実際に既婚の女性裁判官らは、裁判所の決まりに従って戸籍名を使っているとのこと。旧姓の通称使用は浸透しておらず、実際には不利益を被っているように見え、矛盾を感じます。

2015/12/17:
●旧姓の通称使用普及を理由に違憲ではないとした最高裁は通称使用禁止
●裁判官・検察官は全員違憲ではないと判断、弁護士や女性との違い
●「私生児」差別が健在?非嫡出子への差別感が見える最高裁の裁判官
2017/11/13:
●実は男性も被害者…夫婦同姓で300万円の損失、日本で初めて男性が提訴へ
2020/03/01:
●高裁「外国人と結婚すると民法が適用されないので不平等ではない」


●旧姓の通称使用普及を理由に違憲ではないとした最高裁は通称使用禁止

2015/12/17:夫婦別姓問題:夫婦同姓を義務づけている国は世界で日本だけ?で書いたように、夫婦同姓は違憲ではないという最高裁の判断が出ました。ただ、文句なしの違憲ではないという判断ではなく、旧姓の通称使用が浸透してきたことで不都合が緩和されており違憲とは言えないといった説明でした。旧姓の通称使用がポイントのようです。

 ところが、その最高裁では、旧姓の通称使用は禁止だとのこと。何じゃそりゃ…という話ですね。例えば、違憲と判断した桜井裁判官。桜井裁判官は旧労働省出身で、官僚時代は旧姓を通称として使用していました。ところが、最高裁判事に就任後、裁判所の決まりに従って戸籍名を使うことになっていました。
(夫婦の姓「国会で議論を」 判事5人「違憲」とした理由:朝日新聞デジタル 河原田慎一 岡村夏樹 2015年12月17日04時25分より)

 実は最初にこれを読んだとき私はさらっと読んでいて、読み逃していました。でも、はてなブックマークでツッコまれているのを見て、本当だ!と…。

“いい記事。 最高裁「通称があるから夫婦同姓は違憲ではない。でも裁判官は通称禁止な!」 はぁ。”(khtokage 2015/12/17)
“"桜井龍子、鬼丸かおるの2人の女性裁判官""桜井氏は旧労働省出身で、官僚時代は旧姓を通称として使用していたが、最高裁判事に就任後、裁判所の決まりに従って戸籍名を使っている" →最高裁、お前、、、”(haruhiwai18 2015/12/17)


●裁判官・検察官は全員違憲ではないと判断、弁護士や女性との違い

 “並べてみると出身別も大きいのかな。裁判官・検察官は全員合憲、弁護士は一人を除いて違憲だ。”(QJV97FCr 2015/12/17)というのも言われるまで気づかなかった視点。また、もともと記事では女性裁判官が全員違憲という意見だったことを強調していました。
 15人の裁判官のうち、3人いる女性全員を含む5人は、違憲だとする意見を述べた。(中略)

 10人の裁判官による多数意見が「旧姓の通称使用で緩和できる」としたことに、3人の女性裁判官は反論した。「(改姓が原因で)法律婚をためらう人がいる現在、別姓を全く認めないことに合理性はない」。女性のみが自己喪失感などの負担を負っており、例外規定を認めないことは憲法が保障する「個人の尊重」や「男女の平等」に根ざしていない、と断じた。

 記事では他に全員の出身も書いていました。これを見ると、確かに弁護士出身は4人いて3人が違憲としています。ちなみに弁護士は2人が男性。つまり、女性以外で反対した人はすべて弁護士出身者です。

 裁判官・検察官出身者が全員違憲ではないという話の方ですが、裁判官出身者が最も多いグループで6人、検察官出身者が2人でした。

 なお、夫婦別姓禁止に最も批判的だったのは、弁護士出身の男性裁判官でした。
 弁護士出身の山浦善樹裁判官はただ1人、「違憲」とするだけでなく国の損害賠償責任も認めるべきだ、と踏み込んだ。法相の諮問機関「法制審議会」は1996年、選択的夫婦別姓を盛り込んだ民法改正案を示し、国連の女性差別撤廃委員会も2003年以降、繰り返し法改正を勧告してきた。こうした点を挙げ、「規定が憲法違反だったことは明らかだった」と国会の怠慢を指摘した。

●「私生児」差別が健在?非嫡出子への差別感が見える最高裁の裁判官

 また、以下のはてなブックマークコメントも、記事を流し読みしたときは引っかからなかったもの。私の読み方はかなり甘かったですね。

““「嫡出(ちゃくしゅつ)子が両親双方と同姓であることにも一定の意義がある」”なるほど非嫡出子差別も基盤にあるのか”(hisawooo 2015/12/17)

 これは違憲ではないとする意見の中で見られたものです。
 一方で、多数意見は「夫婦同姓は家族を構成する一員であることを対外的に示し、識別する機能がある」「嫡出(ちゃくしゅつ)子が両親双方と同姓であることにも一定の意義がある」などと述べた。

 この意見に賛同した寺田逸郎長官は補足意見の中で、「多様な意見を司法はどこまで受け止めるべきか」を論点にあげた。「選択肢が用意されていないことが不当、という主張について、裁判所が積極的に評価することは難しい」。姓のあり方を考えることは「社会生活への見方を問う、政策的な性格を強めたものにならざるを得ない」からだという。「むしろ国民的議論、民主主義的なプロセスで幅広く検討していくことが、ふさわしい解決だと思える」とした。

 嫡出子というのは、以下のような意味。同時に差別についても触れられています。
嫡出 - Wikipedia

嫡出(ちゃくしゅつ[1])とは、婚姻関係にある男女(夫婦)から生まれること。対義語は「庶出」である[2]。(中略)

「嫡出」という語は「正統」という意味を持ち、「庶出」という語は「異端」という意味を持っている。子は生まれの正統や異端を選べないのに、子を「庶出」「異端」呼ばわりして蔑むのは誤った行為だという批判もあり[3]、近年では「嫡出子」を「婚内子」、「非嫡出子」を「婚外子」と称する場合もある。

 もう少し差別の話。
歴史的に見ると、西洋では、非嫡出子は"nobody's child"(何人の子にもあらざる子)や"illegitimate child"(違法な子供、異端の子供)として軽蔑され差別されて来たが、近年では子供を尊敬する立場から"illegitimate"という語は廃れ、"extramarital"(結婚外)という語が使用されている。

日本では、家制度との関係においては比較的優遇されてきたとされる[6]。しかし、日本でも婚外子は「私生児」として軽蔑され差別されて来た。そして、「私生児」という語が廃れた現在でも、全出生児に対する婚姻外出生児の割合は低い。その原因としては、婚外子への軽蔑や差別が根深いことが背景にあるとみられている[10]。

現代の欧米諸国では、非嫡出子も嫡出子とほとんど同じ法律上の地位が認められるに至っている。しかし日本においては、現行の日本民法の民法第900条第4号の法定相続分の規定などに差別があるとして議論されてきた[6]。民法900条第4号については、2013年9月4日に最高裁判所がこの規定が違憲であるとの判断を下した[11]。そして、この最高裁決定を受けて、平成25年12月11日法律第94号により民法900条4号は改正されている。

 確かにこれは相当変な意見でしたわ。非嫡出子を見分けるために夫婦同姓が必要だと言っているようにも見え、意図を疑います。なぜ私は見逃したのか…と反省しきりです。


●実は男性も被害者…夫婦同姓で300万円の損失、日本で初めて男性が提訴へ

2017/11/13:裁判所は不利益はないという判断でしたが、前述のようにその判断を下した裁判所で不利益が存在しており、この時点でウソになっていました。また、別の不利益、しかも、金銭的な不利益が生じたということで、国を提訴しようとしている方がいました。

 提訴する方針なのは、東証1部上場のソフトウエア開発会社「サイボウズ」の青野慶久社長(46)ら2人。日本人と外国人との結婚では同姓か別姓かを選べるのに、日本人同士の結婚だと選択できないのは「法の下の平等」を定めた憲法に反するとして、計220万円の損害賠償を求める予定です。

 青野さんは、旧姓の「青野」で経営者としての信頼を築き、サイボウズは2000年に東証マザーズ上場。翌01年の結婚時に妻の姓を選択してからも旧姓を通称として使ってきました。しかし、所有していた株式の名義を戸籍上の姓に書き換えるのに約300万円を要したました。損害賠償額がこれより少ないのは気にかかりますが、実際に損失が出ているという話です。

 じゃあ、妻の姓を選択しなけりゃ良かったじゃん!というのはなしですよ。結局、女性でも同じようなケースがあり得るためです。代理人弁護士によると、法律婚した男性による夫婦別姓訴訟は初めてとしているように、男性社会で男性が不利益を被らないから放置されてきたというだけで、実際には不利益を被る場面があるのだと予想されます。
(サイボウズ社長「選択できず不利益」国を提訴へ 毎日新聞2017年11月9日 11時04分(最終更新 11月9日 12時55分)【坂根真理】より)


●高裁「外国人と結婚すると民法が適用されないので不平等ではない」

2020/03/01:上の件の続報。夫婦別姓訴訟 「サイボウズ」青野社長ら高裁も敗訴 上告する方針 毎日新聞2020年2月26日 18時17分という記事が出ています。東京高裁は、原告側の控訴を棄却。小川秀樹裁判長は現行制度を合憲とした1審・東京地裁判決を支持し、「夫婦の姓をどう定めるかは国会で判断されるべきだ」と述べたそうです。

 青野社長らは、戸籍法で日本人が外国人と結婚した場合は別姓が認められているのに、日本人同士の場合には認められておらず、「法の下の平等」を定める憲法14条などに反すると主張していました。

 一方、小川裁判長は、外国人と結婚した場合は、夫婦同姓を定めた民法750条がそもそも適用されないため、原告側の主張は「比較の対象とならない場面を捉え差別に当たると言っており、採用できない」としています。これもなんか変な感じしますけどね。

 あと、上記のように「法の下の平等」に関する話はあったものの、不利益の話は記事にはなく、よくわかりませんでした。たとえ「法の下の平等」の説明が正しかったとしても、引き続き不利益は存在していると思うのですけど…。


【関連投稿】
  ■夫婦別姓問題:夫婦同姓を義務づけている国は世界で日本だけ?
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