2015/12/23:
●コピペ検索ツール導入した理研、実際に使用した論文は1割程度
●盗用チェックが進まないのは予算の問題だから批判するな!って本当?
●不正対策論文コピペ検知システムithenticateの価格は?
●たとえお金がかかっても不正チェックした方が良い理由
●無駄遣い!理研も早稲田大学もソフトを買っただけで活用せず
2020/06/02:
●政府が力を入れる不正対策は倫理教育…ただ科学的根拠はない?
●不正が多いのにわかりづらい画像加工不正、東大生がソフト開発
●コピペ検索ツール導入した理研、実際に使用した論文は1割程度
2015/12/23:最初コピペ発見ソフトだと思って読んでたんですが、「検索ツール」という言い方をしています。違うものなんですかね。とりあえず、記事は、
東京新聞:理研、論文盗用検索の利用進まず STAP問題後導入:社会(TOKYO Web)(2015年12月22日 05時21分)というものでした。
<STAP細胞問題の舞台となった理化学研究所が、発表予定の全論文について、盗用や不適切な引用がないか研究者に調べてもらうため、前年の2014年8月に検索ツールを導入したにもかかわらず利用が進んでいないこと>が判明したといいます。
前年の2014年8月から今年11月末までの使用は497回でした。一方、同時期に理研が発表した論文数は3761本。このため、1割程度にしか使われなかったという計算になります。理研広報室は「新しい仕組みで、普及に時間がかかっているとみられる」と説明していました。
●盗用チェックが進まないのは予算の問題だから批判するな!って本当?
この記事に対して、システムを使うのは無料じゃない、使ってほしいなら金を出せ!という擁護がありましたが、ちゃんと根拠がある反論なのでしょうか。「全論文について、盗用や不適切な引用がないか研究者に調べてもらうため」に導入されたのですから、予算の問題は当然クリアしていると思うのですが…。
また、過去に紹介した不正論文チェックシステムは、システムを使うごとにお金を支払うものではないため、このタイプであった場合はやはり擁護は的外れとなります。確か年300万円と80万円の2コースと説明されいたので、使うたびに増えるタイプじゃないと思われます。
金額の話はなかったのですけど、当時私が読んだのは「iThenticate」というシステム。今読める記事なら、例えば、
論文コピペ:検知システム導入進む 毎日新聞 2014年03月22日 11時41分(最終更新 03月22日 13時50分)で紹介されています。
<日本医学界の頂点、東京大医学系研究科をはじめ国内の研究機関が相次いで、世界最大の論文盗用検知システム「iThenticate」(アイセンティケイト)を導入し始めている。そのデータベースは約3800万本の論文・文献、学術分野以外も含む約430億のウェブページを集積。調べたい論文の電子ファイルを送信するとデータベース内の文章と似た文章、元の文献を探し出し一致率を表示する。無料公開されていない論文や文献なども網羅している>
●不正対策論文コピペ検知システムithenticateの価格は?
また、同じ記事では、安いものも紹介されていますが、これも1回ごとという書き方ではありません。以下のような書き方になっています。
<学生のリポートなどをチェックする簡易ソフトの導入も広がる。「コピペルナー」はウェブ上で検索できる文書を基にコピペをチェックする。09年に発売され国内で350以上の大学などで使われている。価格は9500円の廉価版から6万円台まで。「1日2〜3件だった問い合わせが最近は3倍程度に増えた」と販売元のアンク社担当者>
孫引きになりますが、気になって検索したら当時私が読んだ記事の引用がありました。「iThenticate」(アイセンティケイト)は使い放題じゃなかったですが、やはり使うたびに増えるのではなく、論文数に限界があるタイプでした。1年以上の期間では3761本という理研の規模なら余裕で範囲内です。
<費用は年300万円と80万円の2コース。300万円コースでは年3万5000件の論文をチェックできる>
(
<論文コピペ>検知システム導入進む タオバオ代行3月22日(土)11時41分配信より)
●たとえお金がかかっても不正チェックした方が良い理由
また、
研究不正はなぜダメ? 損失額1件5000万円、国民の税金も無駄に…で書いたように、数百万円程度は研究不正発覚の損失から見ればはした金に過ぎません。
STAP細胞事件そのものは、5000万円を軽くオーバーする1億4500万円。不正調査した方が絶対にお得なのです。これは、
税金の無駄遣い?STAP細胞関連経費1億4500万円 小保方晴子氏の検証実験参加は不要だったで書いている話です。
不正をしているのは小保方晴子さんくらいという擁護も書かれていましたが、これは明らかに知識不足。まめにうちで取り上げているように、研究不正のニュースは世界でも日本でも珍しくありません。特に日本はひどいですよ。
●無駄遣い!理研も早稲田大学もソフトを買っただけで活用せず
さっき引用した不正チェックソフトの記事は、実は
不正論文チェックシステム国内導入最速はコピペ文化の早稲田大学で使ったものでした。
この投稿のタイトルにあるように国内最速で導入していたはずの早稲田大学が、小保方晴子さんなどのコピペ論文を見抜けなかったのです。これはおそらく実際にはきちんと使われていなかったためでしょう。宝の持ち腐れです。
そして、今回の理研のニュースも、ツールだけ導入して全く活用されていないというもの。導入だけしちゃって安心したのか、対策しているというポーズだけとっているのか? 理研と早稲田大学は似たところがあるようです。お金の話をするなら、これこそお金がもったいないでしょう。
当たり前の話ですけど、ソフトやツールを買って終わりじゃないですからね。例えば、検索ツール使用を必須として、未使用の論文の提出を許さないなど、しくみとして組み入れないとダメです。やっぱり理研は普通にやる気ないのかなぁ…と思います。
●政府が力を入れる不正対策は倫理教育…ただ科学的根拠はない?
2020/06/02:この投稿と関連しそうな
研究不正なくせ~倫理教育、“盗用”見抜くソフト~:時事ドットコムという記事を発見したので読んでみました。記事の前半は倫理教育の話。文部科学省の目玉対策としては、不正行為の事前防止のため「研究倫理教育の推進」といった倫理教育みたいですね。
ただ、
倫理教育では研究不正は防げない…実は研究ですでにわかっていた!でやったように、効果がないとする研究もあるそうです。効果があったとしても、これだけでは不十分でしょう。やはり不正がある前提で発見するしくみも必要です。私はこれ、製品の品質検査などでも言っています。
前半というかほとんどが倫理教育の話だけで肩透かしでしたが、良いなという取り組みも載っていました。大阪市立大経済学部では15年ほど前から、卒業論文について、執筆学生にも指導教員にも伏せられた匿名教員6人がチェックする「卒業論文審査委員会」を開いているということ。不備がある場合、学生に書き直しを命じる権限を持つといいます。指導教員から独立性があるというのが良いですね。
●不正が多いのにわかりづらい画像加工不正、東大生がソフト開発
ソフト関係の話は最後でちょこっと程度でしたが、一応登場。例えば、ソフトウエア開発会社のアンクの「コピペルナーV3」は、レポートや論文などの文書をインターネット上の関連サイトや他の文書と比較し、コピー・アンド・ペースト(コピペ)の有無を判定するものだそうです。
2015年3月現在、400校を超える大学・大学院が導入しており、アンクによると、<昨年コピペ問題が大きく取り上げられたことで、15年2月の販売量は前年同期の約2倍だった>とのこと。というか、この書き方だと2015年の記事ですかね。日付の見当たらない記事で新しい記事だと誤解して読んでいましたわ。
私が期待しているのは、コピペより画像解析系のもの。画像加工の不正が非常に多いにも関わらず、コピペよりわかりづらいため、かなり隠されていると考えられます。このような画像の切り貼りや加工などの不自然な部分を検出するソフトとしては、「LP-exam」があるそうです。
開発したのは、植物細胞の画像解析を研究していた東京大の学生が立ち上げたエルピクセル。画像の切り貼り部分などが黒くなったり、浮き上がったりするもので、14年4月にオンラインで無料公開し、同年7月より高精度に検出できるバージョンを販売して以来、需要は非常に高いとされていました。
【本文中でリンクした投稿】
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