<犯罪防止で警察相談し、おとり捜査協力で逮捕 実名も発表される>、<警察反論「目出し帽を買った時点で強盗予備容疑」「身辺保護」>などの話をやっています。
●犯罪防止で警察相談し、おとり捜査協力で逮捕 実名も発表される
2011/2/4:最初、「おとり捜査で逮捕、実名発表」という変なタイトルで投稿していたもの。よりわかりやすく説明すると、「警察に相談したらおとり捜査に協力させられた上に逮捕、実名発表」といった感じですね。「なんだ、このめちゃくちゃな話は!」と思った話です。
(ただ、詳しいものは記事が消滅しているので、転載している個人サイトからの情報※1もあることはご留意ください)
(1) 昨年7月23日ごろ(毎日新聞では21日)、中学の同級生だった暴力団幹部から、同28日に佐賀市の民家まで軽乗用車を運転するよう頼まれる。(※1、読売新聞)
(2) 男の指示で目出し帽を購入。(※2)
(3) 幹部と別の男との話から、強盗を計画していると直感。(※1、読売新聞)
(4) 28日の“犯行”約2時間前に佐賀署を訪れ、刑事に「強盗をやめさせたい」と相談。(※1、読売新聞)
(5) 県警は計画通り行動するよう指示。(※2)
(6) 強盗をしようと思っていなかったので、車からバールや目出し帽を降ろしていた。そのままでいいかを尋ねたところ、捜査員から「載せておいてくれないと困る」などと言われ、再び車に戻す。(※1、毎日新聞)
(7) 仲間と民家に着いたところ、覆面パトカーで追跡した署員に拘束される(任意同行)。(※2、覆面パトカーは※1、読売新聞)
(8) 翌29日、事前に強盗目的で目出し帽を買ったとして強盗予備容疑で逮捕。(※1、読売新聞)
(9) 実名で報道発表。(※2)
(10) 20日間の勾留後、不起訴(起訴猶予)。(※2)
●警察反論「目出し帽を買った時点で強盗予備容疑」「身辺保護」
逮捕された方は、「パトカーで現場を巡回してくれれば、仲間が犯行をあきらめると思って話した。逮捕され、共犯者として名前を公表されたのは納得できない」と主張していたようです(※1、読売新聞)。上記の話が事実であれば、そりゃ納得できないに決まっています。納得できないところだらけです。
これに対する警察の主張は、「知人らを逮捕するためにはやむを得なかった」(県警 ※1、読売新聞) というもの。県警刑事部の江口民雄管理官も「目出し帽を買った時点で強盗予備容疑があり、逮捕は適正だった。逮捕や発表には、他の4人に通報したことを分からなくする身辺保護の狙いがあった」(※1、毎日新聞)としています。
酷い話だと思いますが、ウェブで見てみると警察側を支持する意見もちらほらありました。
<警察への通報前に目出し帽とバールを用意した時点で犯罪に加担した罪に問われます。20間拘留されたのと新聞に名前が載ったのは、暴力団員が関与していて誰が裏切ったのか分からないようにする為の警察側の配慮だそうです。窃盗団5人中、不起訴になったのは(中略)1人で、道具を揃えても罪に問われていないのですから、訴えを起こしたのは売名行為による名誉回復なのではないでしょうか>
<刑事部管理官の言う「逮捕や発表には、他の4人に通報したことを分からなくする身辺保護の狙いがあった」は解る気がしませんか。「暴力団による報復」は有り得るでしょうし。
ですから法律の専門家ではない私の気になるところは、この訴えた人は「友人ら(暴力団幹部ら)が強盗を計画していることを知り、指示され目出し帽を購入した」後で、強盗を止めさせようと警察に相談したように、今回も、おとり捜査を持ちかけられ、受けた後で、損害賠償を求めているのだな、という点だけです>
●「買った時点で強盗予備容疑」は嘘? 違法なおとり捜査も指摘
「目出し帽を買った時点で強盗予備容疑」は一見正論ですが、今回の警察がおとり捜査です。また、そもそもこれが警察の違法行為では?と思ったら、一審はそういう判決。 まずおとり捜査を指示した時点で、県警が求めた捜査協力は犯罪をつくる面があり、限度を超えた違法なものだったと認定しています。(※2)
また、強盗予備罪の過去の具体例を見ると、「強盗を共謀して包丁などを買い、これを携えて徘徊する行為」「自分が着用しているバンドで首を絞めて強盗をする目的でタクシーに乗り、機会をうかがう行為」(※4)などであり、警察の主張通り自首した時点で強盗予備罪に問えたかは怪しいところ。凶器を買っただけで強盗予備なら、難癖つければバールを持った人はみな逮捕可能な気もします。
おそらくそれを「持って移動」というのが重要なので、これが「載せておいてくれないと困る」と言った理由でしょう。「知人らを逮捕するためにはやむを得なかった」というのもそういった一面を示しており、より数多く簡単に逮捕しようという警察の思惑に利用させられた形です。
それから、(違法な)おとり捜査への協力を認めたんだから仕方ないという意見も不思議です。警察はその時点で逮捕して実名発表することまで説明した上で、了承を取っていなければいけないはずですが、そんなことは記事のどこにも書いていません。
(これを書いた方は※1と同じ読売新聞と毎日新聞を見ているようです。ただし、転載での省略や記事の修正の可能性はあります)
●「逮捕や発表には身辺保護の狙いがあった」には説得力がある?
上記の「目出し帽を買った時点で強盗予備容疑」よりは、「逮捕や発表には、他の4人に通報したことを分からなくする身辺保護の狙いがあった」の方がまだ説得力がありそうな気がします。ところが、こちらの「身辺保護の狙いがあった」という警察側の主張についても、一審では、否定的でした。
「通報が発覚すると原告に危害が及ぶ可能性があり、犯行阻止のためにも計画実行は必要だった」との主張に、「危険があるなら警備を強化すべき。計画を実行しなくても被害者宅を警備するなどして犯行を阻止することも可能だった」としています。(強盗計画通報の男性逮捕、県警の捜査「違法」、佐賀地裁、賠償命令。2010/08/28 日本経済新聞より)
また、この行為を犯罪として実名発表したことも違法だったとしており、精神的苦痛に対する慰謝料などの支払いを命じています (※2)。これは拘束後に裏切ったことがわかったときでも、同様に保護可能だという判断なのでしょう。
そもそも今現在、裏切ったことがばれてしまっている状況なのですが、どうなっているのでしょうね。この状況によって、警察側の主張に説得力があるかどうかが変わってきます。
参考記事
※1
おとり捜査に協力させられ逮捕 - ラフティング(rafting)(うち、読売新聞は3月8日0時57分 、毎日新聞は3月8日0時40分、記事名不明)
※2
捜査協力依頼は違法 二審も認定 佐賀県警側の控訴棄却 2011年2月3日13時37分 朝日新聞※3
おとり捜査協力して逮捕された原告、2審も勝訴 読売新聞 2011年2月3日13時32分※4
Wikipedia 強盗罪【関連投稿】
■
覆面パトカーが覆面パトカーを追跡 互いに交通違反車だと思い込む ■
実は映像は偽物!防犯カメラのデメリット、誤認逮捕で冤罪多発 ■
警察官・教師の不祥事・わいせつ事件はなぜ多い?その理由は? ■
エクストリーム自殺 不自然な判定が日本で自殺が多い理由の一つに? ■
職質されやすいのは汗っかきな人!女性警官が偏見を誇らしげに解説 ■
社会・時事問題・マスコミについての投稿まとめ
Appendix
広告
【過去の人気投稿】厳選300投稿からランダム表示
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
|