東芝が倒産秒読み…どころか、倒産する可能性を指摘した記事すらほとんど見かけません。ただ、読んでいた中でもある程度倒産に関わる話が出てきたものもありました。今回はその一つの記事について紹介したものです。(2015/12/28)
2017/06/01:"うちを潰せるはずがない…未だに危機感がない東芝経営陣"を追加。
●東芝「うちとシャープは違う」 倒産しないと自信満々な理由
2015/12/28:とは言っても、今回の記事もやはり「倒産するよ」というものではありません。これがあるから倒産しないという話でした。
「インド」「米国」でも望み薄「原発ビジネス」の落日:杜耕次 | 記事 | 新潮社 Foresight(フォーサイト) | 会員制国際情報サイト 「インド」「米国」でも望み薄「原発ビジネス」の落日 執筆者:杜耕次 2015年12月21日
東芝社内では、パソコン事業や家電の売却・統合を急ぐ経営陣に対し、「諸悪の根源である原発事業をなぜ真っ先に売却しないのか」との不平不満が高まっている。が、ある幹部は、「原発事業を抱えていれば政府が助けてくれる。うちとシャープはそこが違う」と解説する。原発ビジネスは収益事業ではなく、もはや倒産防止の“つっかい棒”に過ぎないようだ。
●国の蜜月関係にある東芝は国策企業
上記の記事は反原発的なもので、そこらへん割り引かなくてはいけません。ただ、東芝の原発事業が問題化したのは事実ですし、原発事業が問題化することを早くから予言していたところもあります。週刊ダイヤモンドです。
週刊ダイヤモンドは同時に政府との蜜月についても、やはり指摘していました。以下は
不適切会計の一因は国にも?国策企業・東芝と佐々木則夫元副会長の問題発言でも使った記事の一つです。
東芝、不正の土壌は“国との蜜月”か|inside Enterprise|ダイヤモンド・オンライン(「週刊ダイヤモンド」編集部 池田光史、鈴木崇久、森川 潤 2015年7月28日)
「あの会社は、もう“国策企業”だから」
重電業界では、東芝をこう評する言葉がよく聞かれる。重電分野を持つ企業は、電力やインフラなど官製需要に頼ることが多く、多かれ少なかれ、どの会社も国との関係は大きいが、その中でも東芝と国の“蜜月”は際立っていた。
まずもって、先述の米ウェスチングハウスの買収自体が、国が推し進めていた原発輸出戦略に寄り添ったものだった。だが、それ以外も枚挙にいとまがない。
●ウェスチングハウスの問題表面化は最近
上記は7月の記事で、週刊ダイヤモンドはさらにそれより前からウェスチングハウスの問題を指摘していたと思います。しかし、不適切会計が判明してからもこの問題はかなり長い間表には出てきていませんでした。
問題が表面化したのは、たぶん以下の記事の日付である11月くらいだったと思われます。
UPDATE 1-東芝、WHの減損非開示で東証基準に違反 | Reuters 2015年 11月 17日 13:25 JST
[東京 17日 ロイター] - 東芝 は17日午前、米原子力子会社ウエスチングハウス(WH)の2012年度の単体決算で減損損失を計上しながら当時開示しなかったことについて、東証の開示基準に違反していたことを明らかにした。16日午後に東証からの指摘を受けて、違反の事実を認めたという。
東芝は、原発の新規建設の先行き懸念などから、2012年度のWH単体決算で9億3000万ドル(約762億円)の「のれん代」の減損損失を計上したが、この金額が東証の開示基準に該当していながら、当時、東芝は情報開示しなかった。(中略)
東芝連結決算に計上されているWHののれん代の約3500億円は、2006年の買収以来、一度も評価額を引き下げたことはなく、12、13年度も東芝連結の減損処理は見送っている。今回も東芝は、連結のWHの「公正価値は帳簿価格を上回っている」として、評価は適正と繰り返し強調した。(村井令二)
最初のような反原発の観点は置いておくとして、減損損失の隠蔽は問題ですし、今後の政府による支援・税金投入についても注視していかねばなりません。
●うちを潰せるはずがない…未だに危機感がない東芝経営陣
2017/06/01:似たような話の記事があったので追記。
なめている!東芝幹部 この期に及んで「それでもウチは潰れない」(週刊現代) | 現代ビジネス | 講談社(1/3)(2017/5/30)というものです。
「それはない」と否定してきたウエスチングハウス(WH)のさらなる赤字額の増加にも関わらず、平然としている東芝経営陣について、経済ジャーナリストの磯山友幸さんが以下のように言っていました。
「東芝の態度は、もはや『開き直り』と言ってもいい。監査法人の意見表明を受けない異常事態についても、『自分たちなら許される』『どうせうちのような大企業を上場廃止にはできないだろう』『ましてや潰すことなんかできない』という『甘えと驕り』をこの会見には感じました。
東証の自主規制法人の理事たちには、『自分たちが東芝の上場廃止の引き金を引きたくない』という雰囲気がある。それを察知してか、東芝の今回の会見でも、上場廃止になるかもしれないという緊張感は見られなかった。
市場をなめているようにしか見えないし、もう上場企業の体をなしているとは言えません」
上記は「東芝が倒産しないと自信満々」というのが前回の投稿と重なる話でしたが、実は、やはり日本政府との関係についても言及されていました。
その一つが、磯山友幸さんのなぜ東芝がこんなひどい会社になってしまったかを説明する部分。
「'90年代後半から、経産省は世界的な温暖化対策の流れに乗り、経産省主導で原発ルネッサンスを演出し、東芝は原発事故後も経産省とともに『原発は世界で売れる』という『幻想』を持ってやってきました。
そうした中、東芝側もその『国策』に甘え、一部の事業では、自ら必死に企業努力をしなくても、待っていれば仕事がやってくる状況ができていた。そこに安住していた社員たちは、ある意味『官僚化』していたと言えます」
そして、もう一つが東芝関係者による指摘部分でした。
「WDが売却差し止めを申し立てた後、世耕弘成経産相が同社に矛を収めるよう、『お願い』の言葉を述べたり、最終的に否定されたものの、政府が東芝の債務保証、つまり借金の肩代わりをすることが示唆されたりしています。
東芝の幹部たちに『政府が東芝を潰せるはずがない』という思いがあるのは間違いない」
何度も書いているように、国が民間企業に関わると、ろくなことにならないんですよ…。
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