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多くの神社を廃止、明治政府の伝統文化破壊と国家神道の捏造 あの南方熊楠も「神社合祀」に猛反対


 最初に聞いたときは、まさかそんなことがあるなんて!デマじゃないの!?と信じられなかったのですが、マジでやっちゃったみたいですね。書籍でも記述が多数あり、事実だと考えざるを得ません。


●神社合祀で多くの神社を廃止、明治政府の伝統文化破壊と国家神道の捏造

2016/1/1:とりあえず、偏りがあるのでちょっと気をつけてみなくちゃいけないリテラの記事神社本庁が安倍の地元で鎮守の森を原発に売り飛ばし!反対する宮司を追放|LITERA/リテラ 本と雑誌の知を再発見(2014.10.19)から。あとでちゃんと他のところからも引用します。

 記事前半の内容も、そんなひどいことをするなんて信じられない!というものなのですが、後半では明治政府による神社破壊というまた別の信じられない話になっていました。本当信じられません。
 日本の神社信仰はもともと「神道」という形でひとつにまとめられるようなものではなく、それぞれの地域によって多様なかたちをもっていた。大木や巨石など自然物をご神体とする神社も多かったし、その村固有の祖先を祀る祠、民衆が安寧やご利益を祈るための神社、また八坂神社や稲荷神社のように大きな神社でも天皇崇敬と関係のない神社もけっこうあった。

 ところが、明治政府が近代国家の支配イデオロギーとして「国家神道」を打ち出すと、こうした多様な信仰がすべて皇室神道、天皇崇敬と結びつけられ、伊勢神宮を頂点にして序列化されていく。

 そして登場したのが「神社合祀」という命令だった。神社合祀は、序列の低い小さな神社を廃止して、大きな神社にまとめていくという政策だが、これによって、それまでその地域の人たちが大切にしていた小さな祠や社が取り壊され、鎮守の森が切り開かれ、ご神体とあおがれていた『となりのトトロ』に出てくるような大木が次々と切り倒されていったのである。

●後の世界遺産すら危機に…あの南方熊楠も「神社合祀」に猛反対!

 しかし、これに猛烈に反対した方がいます。南方熊楠(みなかた くまぐす)さんです。リテラによると、"「神社合祀」に対して激烈な反対運動を展開し"たとのこと。"南方は合祀を進める県職員に「神罰が下るぞ」と殴り込みをかけて逮捕されている"ともありました。

 前述の通り、私はリテラだけだと嘘じゃないの?と思っていたのですが、南方熊楠 - Wikipedia(最終更新 2015年12月21日 (月) 20:49)でも反対運動をしたことが記載されています。「世界遺産」が残ったのも、南方熊楠さんのおかげだとされていました。

・1907年(明治40年) - 前年末発布の神社合祀令に対し、神社合祀反対運動を起こす。
・1909年(明治42年)9月 - 新聞『牟婁新報』に神社合祀反対の論陣を張る。

<1906年(明治39年)末に布告された「神社合祀令」によって土着の信仰・習俗が毀損され、また神社林(いわゆる「鎮守の森」)が伐採されて固有の生態系が破壊されてしまうことを憂え、翌1907年(明治40年)から神社合祀反対運動を起こした。今日、この運動は自然保護運動、あるいはエコロジー活動の先がけとして高く評価されており、その活動は、2004年(平成16年)に世界遺産(文化遺産)にも登録された熊野古道が今に残る端緒ともなっている>


●南方熊楠は政府に逆らう反日売国奴?実は昭和天皇が敬愛した学者

 政府方針に逆らう…となると、今でしたら、反日だとか売国奴だとか左翼だとか、ネットでさんざんに叩かれるでしょう。ただ、南方熊楠さんは、昭和天皇が敬愛していたことでも知られている方なんですよね。

・1962年(昭和37年)5月、白浜町を行幸した昭和天皇は御宿所の屋上から神島を眺めて御製「雨にけぶる 神島を見て 紀伊の国の 生みし南方熊楠を思ふ」を詠んでいる。これは、昭和天皇が民間人を詠んだ最初の歌であった。この歌碑は、白浜町の南方熊楠記念館のある番所山に建てられている。
・1929年(昭和4年) - 紀南行幸の昭和天皇に田辺湾神島沖の戦艦長門艦上で進講。粘菌標本を天皇に献上した。進講の予定は25分間であったが、天皇の希望で5分延長された。献上物は桐の箱など最高級のものに納められるのが常識だったが、熊楠はキャラメルの空箱に入れて献上した。

 上記のWikipediaページだと、「神社合祀」がその後どうなったかはわかりません。しかし、神社合祀 - Wikipedia(最終更新 2015年6月13日 (土) 10:36)を見ると、南方さんらの反対運動が効いたことがわかります。ちなみにこちらのWikipediaは研究書籍・論文の出典も多数記載ありまあした。

<この合祀政策は、博物学者・民俗学者で粘菌の研究で知られる南方熊楠ら知識人が言論によって強い反対を示した。南方は、合祀によって①敬神思想を弱める、②民の和融を妨げる、③地方を衰微する、④民の慰安を奪い、人情を薄くし、風俗を害する、⑤愛国心を損なう、⑥土地の治安と利益に大害がある、⑦史跡と古伝を滅却する、⑧天然風景と天然記念物を亡滅すると批判した[1]。こうした反対運動によって次第に収束して、帝国議会での答弁などを通して、1910年(明治43年)以降には急激な合祀は一応収まった>


●日本にあった3分の1の神社を廃止!7万社の神社を破壊した明治政府

 では、神社の破壊は実際には行われておらず、明治政府が神社を破壊したというのはデマだったのか?と言うと、そういう意味ではありません。Wikipediaには"時既に遅く、この合祀政策が残した爪跡は大きく、多数の祭礼習俗が消えてしまい、宗教的信仰心に損傷を与える結果となった"など、伝統文化が破壊されたことが記載されています。

 以下の記述のあたりで、明治政府による神社破壊のすごさがわかります。しつこく繰り返し言っていますけど、本当にわかには信じられない内容ですわ。
神社合祀政策は1906年(明治39年)の勅令によって進められ、全国で1914年までに約20万社あった神社の7万社が取り壊された。特に合祀政策が甚だしかったのは三重県で、県下全神社のおよそ9割が廃されることとなった。和歌山県や愛媛県もそれについで合祀政策が進められた。しかし、この政策を進めるのは知事の裁量に任されたため、その実行の程度は地域差が出るものとなり、京都府では1割程度ですんだ。

この官僚的合理主義に基づいた神社合祀政策は、必ずしも氏子崇敬者の意に即して行なわれなかった。当然のことながら、生活集落と行政区画は一致するとは限らず、ところによっては合祀で氏神が居住地からはほど遠い場所に移されて、氏子が氏神参拝に行くことができなくなった地域もある。合祀を拒んだ神社もあったが、所によってはなかば強制的に合祀が行なわれた。

●予定では約20万社を廃止?町の神社は一つを残してすべて破壊の方針

 目的については引用していませんでしたが、こちらによると、神社は「国家の宗祀」であるという明治政府の国家原則による関係とありました。Wikipediaページの「目的」の項目には、以下のような説明があります。

<神社合祀の目的は、神社の数を減らし残った神社に経費を集中させることで一定基準以上の設備・財産を備えさせ、神社の威厳を保たせて、神社の継続的経営を確立させることにあった。また、教派神道は宗教として認めるが、神社は宗教ではなく「国家の宗祀」であるという明治政府の国家原則(宗・政・祭体制[1])に従って、地方公共団体から府県社以下神社に公費の供進を実現させるために、財政が負担できるまでに神社の数を減らすことにもあった>

 また、恐ろしいのが「神社中心説」なるものです。この説に厳密に従うと一町村にある神社は一つですから、7万社を破壊しても全く足りません。約20万社あった神社のほとんどを壊さなくてはいけないということになります。なので、南方熊楠さんらが反対しなければ、ほとんどの神社が破壊し尽くされて残らなかったことになりそうです。

<神社中心説とは地方の自治は神社を中心に行なわれるべきだという考えのことで、これにより合祀政策に一町村一神社の基準が当てはめられることとなった。神社の氏子区域と行政区画を一致させることで、町村唯一の神社を地域活動の中心にさせようとしたのである>


●伝統文化破壊だらけ…各地の寺院や仏具の破壊も明治政府のせいで流行

 「国家神道」は伝統ではなく捏造されたものという話でしたが、民族の伝統もナショナリズムも捏造され発明された非歴史なものをやったときに真っ先に思い浮かんだのが今回の話でした。同じ神社関係ですと、初詣の意味と由来 初詣は明治時代に鉄道会社が捏造した伝統だった?もそれっぽい話です。これは政治的な理由ではないですけどね。

 ただ、おみくじを結ぶ意味は何もない 迷惑なのでむしろやめてほしい?でやった、なぜ初詣の対象が神社・寺院のいずれでもかまわないのか?という話は、やはり明治政府による政策のせいです。伝統的には神仏習合されて長い間区別がなかったのを、明治政府によって無理やり分けることとなったためにわかりづらくなりました。

 これも伝統文化の破壊の一つですね…と検索したら、物理的な破壊も起きてしまっていたようです。神仏分離 - Wikipedia(最終更新 2015年5月8日 (金) 02:35)の「明治時代の神仏分離」という項目では、以下のような話もありました。

<1868年、明治政府は「王政復古」「祭政一致」の理想実現のため、神道国教化の方針を採用し、それまで広く行われてきた神仏習合(神仏混淆)を禁止するため、神仏分離令を発した。(中略)
 神仏分離令は仏教排斥を意図したものではなかったが、これをきっかけに全国各地で廃仏毀釈運動がおこり、各地の寺院や仏具の破壊が行なわれた>

 "明治初期の神仏分離は政府による政策の面だけではなく、それを受け入れる社会的土壌がすでに形成されていた"ということもWikipediaでは指摘されていました。しかし、「神仏分離」だからと言って「寺院や仏具の破壊」をすべきという話にはならないでしょう。思考があまりにも野蛮すぎます。

 普通の若者がイスラム国に参加する理由・普通の人が虐殺する理由では、普通の人が虐殺するには大義名分が必要という話をやっていますけど、政府の政策が大義名分になったことで過激化したのかもしれません。ちなみにイスラム過激派もよく他の宗教の施設を破壊しており、日本のケースと似たところが感じられます。


【本文中でリンクした投稿】
  ■初詣の意味と由来 初詣は明治時代に鉄道会社が捏造した伝統だった?
  ■おみくじを結ぶ意味は何もない 迷惑なのでむしろやめてほしい?
  ■民族の伝統もナショナリズムも捏造され発明された非歴史なもの
  ■普通の若者がイスラム国に参加する理由・普通の人が虐殺する理由

【関連投稿】
  ■神社の参道の歩き方 真ん中通る奴は日本人じゃない、在日だ!
  ■福岡・大分県境の英彦山で山伏集落800軒確認!のニュースに衝撃を受ける人々
  ■福岡市の住吉神社のパワハラ解雇で話題、日本三大住吉とは?
  ■文化・芸術・宗教・海外との比較についての投稿まとめ

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