町内会不要論が出ているそうです。私もこういうのは嫌なので、気持ちがよくわかりますわ。なお、今回の記事は、NHKクローズアップ現代(2015年11月4日放送「町内会が消える?~どうする 地域のつながり~」)ベースのものみたいです。
2017/09/20;
●彼らは犯罪者だった!ゴミ捨て禁止や強制加入は違法行為
●そもそもおかしい…町内会に入っていないと「災害時に困る」
●町内会会長が町内会に入らない人を「無責任だ」と批判
2016/1/3:
「町内会」もういらない?転入住民は未加入、役員たちは「仕事多くてしんどい」 J-CASTテレビウォッチ / 2015年11月6日 13時31分で出てくる町内会会長は、「(未加入住民は)自分たちが何もしなくても誰かがやってくれるだろう。それじゃ困るんです」と憤っていました。無責任だという批判ですね。
この町内会は、4000人の住民が住む北九州市西戸畑地区のもの。やはり年々加入者が減少し先細り状態にあるといいます。71歳の男性が会長を引き受けたのは6年前ですけど、以来、自由な時間はほとんどないとのこと。朝起きると市役所から頼まれた広報誌を妻と2人で3時間かけ1軒ずつ配達。一人暮らしの高齢者に異変がないかも確認し、それらが終わると、ゴミ集積所の管理・清掃があるのです。
さらに、町内会に加入しない住民が増え、ルール無視のケースが目立ってきています。乱雑なゴミの出し方で散乱したゴミを清掃するのも会長の仕事。仕事は増える一方なんですかおね。しかも、それだけでは済まず、行政から委託される仕事は増えるばかりだといいます。
●脱会者はゴミ出し禁止で「村八分」の差別、市まで町内会の味方
一方、栃木・宇都宮市郊外の住宅街の町内会は膨れ上がる業務に悲鳴を上げ、2014年、町内会から1度に8世帯も脱会する騒ぎに。脱会したのは、町内会の大切さを知らない若い世代…ではありません。いずれも70代を超える高齢者世帯だったといいます。
脱会したある主婦は、「認知症の家族を抱えていたり、夜間の仕事で昼夜逆転の生活を余儀なくされたりで、とても町内会役員の仕事を引き受けることはできなかったのです」と説明。「町内会費を払うので役員の仕事を免除してほしい」と申し入れたものの、難色を示され、やむなく脱会しています。
すると、町内会によってゴミ集積所の使用禁止に。「まるで昔の『村八分』を連想させる」としていますが、驚くことに市までが「脱会した住民側が町内会に戻るのが望ましい」と町内会側に味方していることです。読者の方でもおそらく町内会側が正しいと思われる人がいると思われます。
ただ、冷静に考えてみてください。問題のポイントはそこじゃないのです。最初のケースを含めて、こうした問題はそもそも町内会がやることが多すぎるということで起きています。さらに、そもそもなぜ町内会がやるの?という話。首都大学東京の玉野和志教授も「本来、行政がやるべき仕事」と指摘しています。
●町内会の問題はPTA問題とそっくり!PTAと似た極めて日本的な組織
こういう個人の意志を問わずに強制的にやらせるというのは、良くありません。私はPTAにも批判的なのですが、よく似ていると感じます。これは、
任意加入の話をすると豹変するPTA 会費の強制徴収などは違法行為や
日本PTA全国協議会尾上浩一会長「PTAは必要」 不参加は自己中心的と批判で書いています。
この町内会もPTAも非常に日本的な問題だと感じていましたが、本当に日本特有のものだという説明があってびっくり。国谷裕子キャスターは、「町内会は一定区域で居住者が任意で加入し、地域の問題に自主的に取り組む日本ならではの組織」と紹介していたそうです。
直接的なベースとなっているのは、太平洋戦争中にあった隣組。戦時中の隣組は終戦とともにGHQによって解体させられたのですが、その後、町内会として復活し、いまは全国に30万あると言われている…という説明がありました。これもまた太平洋戦争の迷惑な置き土産だったんですね。
●町内会は戦時中の隣組がベース、太平洋戦争の置き土産だった!
町内会のWikipedia
町内会 - Wikipediaも確認してみると、やはり同じような説明になっていました。町内会の「歴史」と題したところには、以下のような説明が見られます。PTA同様に、存在意義を今一度確認すべきでしょう。
元々は1937年の日中戦争の頃から日本各地で組織され始め、太平洋戦争の戦時下に大政翼賛会の最末端組織として1940年に市には「町内会」、町村には「部落会」が国によって整備されたのが起源であるとされる。戦時下には内部に「隣組」があった[15]。戦前においては、戦争遂行に大きな役割を果たした。
戦後、民主化と日本国憲法の施行に伴い1947年5月3日いわゆるポツダム政令15号[16]が公布され、「町内会」、「部落会」、それらの「連合会」等の結成が禁止されることになった。サンフランシスコ講和条約の発効に伴いその半年後の1952年10月25日に5年半ぶりに禁止が解かれると、自治組織として再組織化されるようになり、今日まで続いている。ただし、当該解禁以降、一部の省の訓令には事実上の存在として「町内会」の文言の登場例が数例あるものの、国民一般への法的拘束力を有する法律・政令・府省令には町内会に関する規定が全くなく、行政組織(国及び地方自治体)とは法的に無関係な存在となっている。
●彼らは犯罪者だった!ゴミ捨て禁止や強制加入は違法行為
2017/09/20:この投稿を書いた後、
自治会・町内会は必要?不要? 入会金だけで6万円・寄付の強制という問題というのも書いています。そちらと重なる話もあるものの、
「町内会入ってますか?」問いかけに「入らされてる」の声相次ぐ せめてカドが立たない断り方をしたいもの 2017年09月20日 11時23分 キャリコネ(文:篠原みつき)では、間違った自治体の必要性の説明が出ていました。
ネット掲示板で自治体の話題が出て、「嫌だけど入ってる。ゴミも出しにくくなるし」といったコメントの他、「入らなきゃ、ゴミ捨てできませんよ」などのコメントが出ていました。しかし、ごみ捨てと回収は本来自治体の仕事であり、それを拒否するのは違法行為です。町内会で問題なのはこのように、本来、自治体が担う仕事が町内会に行ってしまって、なおかつ違反行為をしているというのがあります。
また、「入らされてる」というコメントがありましたが、こっちも違法行為。PTAの
任意加入の話をすると豹変するPTA 会費の強制徴収などは違法行為で出てきた話だったと思いますが、ある組織に無理やり加入させることは日本だと違法行為。繰り返すように、PTAとよく似ている…という問題点です。
●そもそもおかしい…町内会に入っていないと「災害時に困る」
町内会のメリットとしては、近所付き合いで役に立つ…というのがあったものの、逆に言うと、町内会に入らないと付き合わないってことじゃないの?という話になってきます。直接的に町内会に入らない人は村八分にするとは宣言していないものの、やはり脅しめいたところがあります。
とはいえ、これはまだ違法行為ではないところ。よりたちの悪い脅迫としては、自治会に入っていないと「災害時に困る」という話が出ていました。初耳ですけど、命に関わる話ですので、最悪の脅しです。これもゴミ出しと同じで、本来、自治体や国が等しく提供するサービスであり、町内会に入っているかどうかで差をつけては絶対にいけません。
記事では、<災害対策基本法などにより、実際に災害が起きたときに「会員でなければ物資が受け取れない」などということはありません>と書きつつも、以下のように勧めてしまっていました。現実問題として日本では町内会に入らない人へのいじめが蔓延しているから仕方ない…という書き方ならともかく、問題を感じますね。
<ただ、災害時こそ顔見知りが多くいれば心強く、協力しやすいのも事実ではないでしょうか。会員でない住民たちも、被害拡大防止や災害復旧に協力しなければいけないのですから、人付き合いが希薄になっている今だからこそ、自治会は必要だと私は感じました>
別に人付き合いを良くするというのは、全く構わないんですよ。私は近所の人たち・地域の人たちとの交流が悪いと言っているわけではないのです。ただ、「人付き合いを良くするため、災害のときのために町内会に入る必要がある」と言うのが変だ…という話。本来、関係ないことであり、結びつけるのはよくありません。
【本文中でリンクした投稿】
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自治会・町内会は必要?不要? 入会金だけで6万円・寄付の強制という問題 ■
任意加入の話をすると豹変するPTA 会費の強制徴収などは違法行為 ■
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