ロシアに関する話をまとめ。<昔日本はロシアを「おろしや」と呼称 格上の大国なので敬語?>、<日本人は「ら行で始まる言葉」を言いづらいと「お」をつけた?>などをまとめています。
2022/10/15追記:
●江戸時代はかなりあった「オロシヤ」呼称が絶滅してしまった理由
2023/03/01追記:
●時代小説では「ろしや」ではなく「おろしや」 呼称が好まれている? 【NEW】
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●昔日本はロシアを「おろしや」と呼称 格上の大国なので敬語?
2022/09/27:昔日本はロシアを「おろしや」「オロシャ」「をろしや」などとも呼んでいました。安倍政権では、2014年のウクライナ侵攻後、北方領土を占拠しているロシアに近づき、「プーチン大統領に評価された」とウェブで宣伝するなど、ロシアが格上のような対応。当時の日本もロシアを格上扱いして、尊敬の意を表す接頭辞「お」を使っていたようにも見えます。
ただ、私は後述するような「ら行で始まる言葉」の関係かな?と想像していたんですよ。で、
ロシア - Wikipediaを見てみたら違っていた感じでびっくり! …とは言っても、ロシアに尊敬の意を示していた…という説がまさかの正解ということでもありません。断言されていませんが、中国語かモンゴル語由来みたいな感じなのです。
<江戸時代にはオロシャ、をろしやとも呼ばれた。これは、中国語の「俄羅斯」およびモンゴル語のОрос(オロス)に近い呼び名である。日本の江戸時代から戦前にかけては魯西亜(魯西亞)という表記が主流で、1855年に江戸幕府とロシア帝国の間の最初の条約は「日本国魯西亜国通好条約」という名称になった。この漢字表記について1877年(明治10年)にロシア領事館から「魯は魯鈍(愚かなこと・様子)を連想させる」との抗議を受けた当時の日本政府(引用者注:いわゆる明治政府)は、ロシア側の希望を受け入れ表記を露西亜(露西亞)とした>
●日本人は「ら行で始まる言葉」を言いづらいと「お」をつけた?
結局、違っていたみたいなのですが、私が想像していた「ら行で始まる言葉」関連…という話も補足。大和言葉にら行で始まる言葉はない…なとど言われているんですよ。日本人は「ら行で始まる言葉」を言いづらいと考えて、頭に「お」をつけた…と聞いた覚えもあり、そのため、私は前述のような「おろしや」説を考えたんですよね。
<もともと日本語には「ら行」で始まる単語がほとんど無かったと考えられ、時代を経るに連れアイヌ語や「/r/音」始まりが比較的多い漢語(中国語)を始めとする外国語から「ら行」に繋がる音素をもつ語が流入し続けることで「ら行」の語が増えていったとみられるが、それでも未だに少ない>
しりとりなんかでは、ら行攻めが有効ですよね。私は子供の頃「る」攻めを多用していました。上記の説明は
ら行 - Wikipediaからの引用であり、ここではさらに<日本語において「ら行」音で始まる単語は、ほぼ全てが以下のいずれかに該当する>として、以下の4パターンの例(3パターン+1例?)に分けていました。
(1)「られる」「らしい」などの付属語。
(2)「るんるん」など、少数の擬音語。
(3)アイヌ語と漢語を始めとする外国語に由来する語。
(4)るつぼ
ちなみにまさに「おろしや」からの言葉ではないか?とされる「ら行で始まる言葉」もあります。そもそもマイナーな言葉でしょうが、
幻の鮭「鮭児」(けいじ)のびっくりなお値段 と 北海道料理ルイベで書いた「ルイベ」です。ただし、定説はロシア語ではなくアイヌ語由来説だとのこと。これ以外では、「ラッコ」がアイヌ語由来であることが確定的だとされていました。
●江戸時代はかなりあった「オロシヤ」呼称が絶滅してしまった理由
2022/10/15追記:前回書いたように、
ロシア - Wikipediaでは、江戸時代から戦前にかけては魯西亜(魯西亞)という表記が主流でした。しかし、現代日本語の漢字表記は露西亜。これは前回も書いた、ロシアによる抗議で明治政府が変更したときの新しい漢字表記と同じです。
また、以前は今多い「ロシア」というカタカナ表記もブレがあったとのこと。このカタカナ表記としては、以前はよりロシア語名に近いロシヤと書かれることが少なくなかったのが、1980年代頃からギリシャ語風の(つまりほかのヨーロッパ諸国の名称に合わせた)ロシアという表記が完全に主流となっているとの説明でした。
漢字表記に関しては、
外国地名および国名の漢字表記一覧 - Wikipediaがさらに詳細です。《ロシア》系《オロシヤ》系両方があったのが、だんだんと《ロシア》系が優勢になっていったとのこと。漢字表記の読みづらさが理由だと言います。
<モスクワ大公国のラテン語風の呼称《モスコビア》系の表記として[168]、マテオ・リッチ『坤輿万国全図』(1602年)に漢訳表記「沒廝箇未突」「没廝箇未亜」が記載され[169]、これを借用した「没厠箇未亜」が新井白石『西洋紀聞』(1715年)に記載された[170]。18世紀末期には、さらに改変した「莫斯哥未亜」が桂川甫周『北槎聞略』(1794年)に載る。だが18世紀ロシア帝国時代に入ってからは、主として《ロシア》《オロシヤ》の国名で呼称されるようになっていく>
<《ロシア》系の「魯西亜」およびその変形「魯細亜」「魯斉亜」や[175]、《オロシヤ》系の「鄂羅斯」「俄羅斯」など[168]、さまざまな変種が用いられ、幕末・明治初期には「魯西亜」と「俄羅斯」が並立していたが[176][177]、次第に「魯西亜」が優先されるようになった[168]。現代でも「俄羅斯」を使用する中国に対して、日本で使用されなくなったのは、「俄」は中国では「オ」と読めるが[178]、日本の漢字音では「ガ」と読まれるため、日本語に馴染まなかったからであろうと思われる[179]。『環海異聞』(1807年)、『通航一覧』(1853年)、『世界国尽』(1869年)、『啓蒙智恵之環』(1874年)では、一貫して「魯西亜」が用いられており、略称表記の「魯」「魯国」も定着していた[168]。1855年に調印された日魯通好条約の本文でも「魯西亜」表記が使用され[180]、1858年の日魯修好通商条約でも同様であった[180]。このように日本では、江戸時代から明治初期にかけて、世界地理書、外交条約、教科書などで長期にわたり「魯西亜」表記が使用された[181]>
●時代小説では「ろしや」ではなく「おろしや」 呼称が好まれている?
2023/03/01追記:前述の通り、江戸時代から「ロシア」系の名前が使われていたようなのですが、時代小説なんかでは「オロシヤ」系がよく使われる気がします。今と違う読み方なので「江戸時代っぽい」という感じが強くなるためかもしれません。私はこのせいで当時は「オロシヤ」一択だったと完全に誤解していました。
小説では、井上靖さんによる『
おろしや国酔夢譚』(おろしやこくすいむたん)が有名な模様。
緒形拳さん(主演)や西田敏行さんが出演して映画化もされています。
おろしや国酔夢譚 - Wikipediaによると、江戸時代に漂流してロシア領に流れ着いた運輸船の船頭大黒屋光太夫をはじめとする、乗組員17人の運命を描いたものだそうです。
あらすじ
<天明2年12月(1783年1月)、伊勢を出発し、光太夫ら17人(中略)を乗せた船「神昌丸」は、江戸へ向かう途中に嵐に遭い、舵を失って漂流中に1人を失いながらも、8か月の漂流後に当時はロシア帝国の属領だったアムチトカ島に漂着した。この島で7人の仲間が次々と死んでいくが、残った9人は現地のロシア人の言葉やアムチトカ原住民の言葉を習得しながら帰国の道を模索する。漂着から4年後、現地のロシア人たちと協力し流木や壊れた船の古材を集めて船をつくり、カムチャッカ半島のニジネカムチャック(ロシア語版)(Nizhne-Kamchatsk)へ向かう。だがここで待っていたのは島とは比較にならない厳しい冬将軍で、さらに3人を失うのであった。
残った6人は、現地政庁の役人たちと共にオホーツクからヤクーツク経由でレナ川沿いにイルクーツクへと向かうが、1人が重い凍傷で片足を失ったため帰国が不可能と悟りロシアに帰化する。また、さらに1人が病死する。この地の政庁に帰国願いを出しても届かないことに業を煮やした光太夫は、当地に住んでいたスウェーデン系フィンランド人の博物学者キリル・ラックスマンの助けを借りて、ラックスマンと共に(漂流民としては1人で)、女帝エカチェリーナ2世に帰国願いを出すために、ロシアの西の端の帝都ペテルブルクへ向かった。数か月後、夏の宮殿でいよいよ女帝への謁見が決定した>
小説は『北槎聞略』などを参考に書かれたもので、光太夫らは帰国後、幽閉同然に扱われるという内容でした。ところが、後に研究が進んだのか、<帰国後の光太夫らが故郷に一時帰郷できたことや比較的自由に江戸で生活していたこと>が判明。イメージと違って、幕府はそこまでガチガチじゃなかったようです。
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