人糞肥料などの話。<朝鮮人も隣国来てびっくり!人糞肥料を利用した世界でも珍しい国>、<「二度と糞してやらねぇ!」が効果あるほど貴重だった昔の人糞>、<より後の時代でも、人糞の多さで部屋の借り賃が無料になるほど>などをまとめています。
その後、<日本人は牛のおしっこを飲むの?アメリカ人がカルピスに驚く理由>、<人糞好き好きだろう!薬としても利用…その名も「人屎(ひとくそ)」>などを追記しました。
2022/09/23追記:
●日本人は牛のおしっこを飲むの?アメリカ人がカルピスに驚く理由
2023/08/29追記:
●人糞好き好きだろう!薬としても利用…その名も「人屎(ひとくそ)」 【NEW】
ウンコはどこから来て、どこへ行くのか ──人糞地理学ことはじめ (ちくま新書)
●朝鮮人も隣国来てびっくり!人糞肥料を利用した世界でも珍しい国
2019/05/05:東アジアで人糞を肥料として用いたことが確認される最初の例は、鎌倉時代の日本。これは人類史最古の有機栽培であるともされており、他の有機栽培よりも早かったようです。日本が誇れそうな話ですね。
ただ、人糞利用がその後世界的に普及したのか?と言うと、そうではなかった模様。人糞を肥料として用いるのは、世界的に見ると一般的なものではないとされていました。室町時代の朝鮮通信使も「日本では人糞を肥料とし、農作物の生産高が非常に高い」と記しています。わざわざ特筆しているのですから、驚きがあったのでしょう。
多くの国・民族において、人糞を人間の食料を生産する畑に投下することは忌避されてきました。これは当然気持ちとしてはわかりますよね。例えば明治期にアイヌ民族がなかなか農業に馴染まなかったとされているのですが、その最大の問題は人糞を肥料に用いることであったといわれているとのこと。アイヌ民族にとっては、和人が勧める人糞肥料が嫌だったようです。
なお、これらは、
有機栽培野菜は危険?大量の寄生虫が出たのは人糞肥料のせいか?日本では禁止ではないが細菌リスクもを書いているときに見た
日本における人糞利用 - Wikipediaからの引用。そして、その投稿は、北朝鮮で人糞肥料が使われていて、寄生虫が問題になっているという話でした。
先の朝鮮通信使の記述「日本では人糞を肥料とし、農作物の生産高が非常に高い」はポジティブなものでしたので、朝鮮半島は日本から人糞肥料利用を学んだのかもしれません。
●「二度と糞してやらねぇ!」が効果あるほど貴重だった昔の人糞
日本における人糞利用のページは、まだまだおもしろい話があります。例えば、江戸時代には、その人糞を出す階層により、その価値が違い、栄養状態のよい階層(最上層は江戸城)から出された人糞は、それより下の階層(最下層は罪人)が出す物より高い値段で引き取られたという話があります。おもしろいですね。
また、江戸城から出る人糞は、葛西村が独占していたとのこと。葛西村は、現在の東京都江戸川区の南部にあり、「葛西」の名前は現在、東京メトロの地下鉄駅の葛西駅、西葛西駅に残っています。ただ、地下鉄ですけど、ここらへんは地上駅だったと思います。東京メトロ東西線は地上部分が多い路線です。
Wikipediaではさらに、長屋に併設された共同便所は、これらの肥料原料を効率良く収集するために設置され、ここから得られた肥料で城下町周辺部の農地は大いに肥えたという話もありました。。江戸落語の中に店子が喧嘩した大家へ「二度とてめえの長屋で糞してやらねぇ!」と捨て台詞を吐く、やや分かりにくい描写があるとのこと。当時はうんこが高い価値を持っていたという話なのですけど、「要出典」となっている部分ですのでひょっとしたら事実ではないかもしれません。おもしろいんですけどね。
●より後の時代でも、人糞の多さで部屋の借り賃が無料になるほど
また、もう一つ「要出典」となっているのですけど、明治時代においても人糞は貴重な肥料だったというおもしろエピソードがありました。学生などが下宿する場合においては、部屋を複数人以上で共同で借りた場合は、部屋の借り賃が無料になることもあったという話です。本当ならおもしろいですね。
ただし、北朝鮮の話で軽く触れたように、人糞などを利用した有機栽培は、処理の仕方が悪いと寄生虫が問題になってしまいます。我が国でも明治期どころかかなり最近まで問題になっており、第二次大戦後、ダグラス・マッカーサー率いるGHQは日本のサラダに人糞の細菌と寄生虫が多数混入していたため、人糞肥料から化学肥料へと転換を進めたとされています。
しかし、1955年頃になっても学校の保健室には「よい子はなま野菜を食べないようにしましょう」といった表題のポスターが貼ってある状況。生野菜では寄生虫が問題になるような状況が続いていたことがわかります。なかなか安全性の高い化学肥料への転換は進まなかったようですね。
●インドでも人糞肥料を使っていた?被差別民が人力回収していたらしい
2021/06/18:
堆肥 - Wikipediaを見ていると、<インドの古代カースト制度では、不可触民(引用者注:カースト制度の外にある被差別民)に下肥の取り扱いをさせていた。こうした「人力回収」は現在ではインドのほとんどの州で違法とされているが、多くの地方でいまだにこうした活動が続けられている>といった話が出ていました。
「下肥」(しもごえ)というのは、「肥料として使う人糞尿のこと」を言います。つまり、古代インドでも人糞肥料を使っていたということかもしれません。日本だけではなかった可能性があります。そこで「インド 人糞肥料」で検索かけたのですが、関連する話が出てきませんでした。なぜか「中国野菜は化学肥料づけ」と中国バッシングする産経新聞記事などがヒット。化学肥料への非科学的偏見がありそうな記事です。
検索では、
ウンコはどこから来て、どこへ行くのか ──人糞地理学ことはじめ (ちくま新書)という書籍もヒット。インド関連の話があると期待したのですが、アマゾンページでリンクされていた別書籍のタイトルを拾ったものであり、ページ自体ではインドの人糞肥料の話は見当たらず。とりあえず、第3章が「宝物としてのウンコ―近世日本の下肥」でしたので、日本の人糞肥料の話なら確実にあるようでした。
ウンコはどこから来て、どこへ行くのか ──人糞地理学ことはじめ (ちくま新書)
●日本人は牛のおしっこを飲むの?アメリカ人がカルピスに驚く理由
2022/09/23追記:人糞肥料とは全然違う話なのですが、カルピスの話を急に思い出しました。アメリカ人にはカルピスが「カウピス」(牛の尿)と聞こえるらしく、不思議に思っていたという人が、アメリカでは「カルピコ」という名前だと聞いて、「なんだ、それなら知っている」となった…という話を昔読んだんですよ。
検索してみると、そのものズバリな話はないんですが、アメリカにいるダルビッシュ投手の「アメリカでは〝カルピス〟ではなく〝カルピコ〟なんです」というインスタグラム投稿をきっかけに、アサヒグループホールディングスに話を聞いた話がありました。以下のようなやり取りをしています。
――アメリカでは「カルピコ」という名前で販売しているのは本当ですか
「本当です」
――なぜ日本と名前が違うんですか
「英語でカルピスと言うと、『cow(カウ)piss(ピス)=牛のおしっこ』と聞こえてしまうということから、『CALPICO』という名前で販売しているんです」
――アメリカだけですか
「カルピスは北米やアジアなど30カ国以上で販売していますが、カルピコとして売っているのは、英語がよく使われる米国、カナダ、インドネシアの3カ国です」
(
カルピス=カルピコ、米国では別名な訳 ダルビッシュ投稿に驚きの声 2017/02/03 若松 真平 より)
そもそものカルピスの由来の話もありました。「カルシウムの『カル』と、サンスクリット語で〝最上の味〟を意味する〝サルピス〟の『ピス』から生まれました」とのこと。命名には、童謡『赤とんぼ』が有名な音楽家の山田耕筰さんや、サンスクリット語の権威である渡辺海旭さんにも意見を聞いたそうです。
かつてサンスクリット語が話されたのはインドで、現在でも「指定言語の1つ」だとのこと。このインドの場合、英語を使える人が多い国でもあり、おそらくサンスクリット語より話者がずっと多いでしょう。上記の例外にインドはないので、インドでもカルピスだと思われるのですが、現地の人はどういうイメージなんでしょうね?
●人糞好き好きだろう!薬としても利用…その名も「人屎(ひとくそ)」
2023/08/29追記:再び
日本における人糞利用 - Wikipediaの話を。すでにかなり引用しているのにまだおもしろい話があるんですよ。日本人、人糞好き好きだろう!という話。今回は「薬」という使い方です。
薬用など
<日本には、ヒトの排泄物およびその関係品に由来する生薬を用いる治療法が存在する。
漢方薬では人や動物の大便・小便が薬または薬の原料として一般的に用いられるが、中国大陸から漢方医学が伝わった日本でも、人糞を使った薬を用いていた>
『新修本草』や『本草綱目』に収載されていたその薬の名前は「人屎(ひとくそ)」。そのまんますぎて笑えます。『多識編』も「比登乃久曽(ひとのくそ)」でやはりそのまんま系。一方、『和名抄』では「人」すらつかずにただの「久曽(くそ)」だそうです。この項目は長く、それ以外にもいろんな例が出ていました。
<解毒作用が知られており、臨床応用では産後陰脱(産後の子宮脱)のほか、蛇咬(蛇に咬まれた時)、痘瘡(天然痘)、鼻血に用いられた>
<人中黄は、甘草の粉末を人糞に混ぜて(或いは竹筒に入れた甘草の粉末を肥溜めに漬けて)作成する。解熱や解毒作用があるとされる[4]。江戸時代の医学書『用薬須知』の6巻「人ノ部」では「大便ノ汁ナリ」と説明されている。
「破棺湯」別名「黄竜湯(おうりゅうとう)」は人糞を乾燥させ粉末にし、煎じて飲み薬とした[5]。
『本草和名』では「人屎(ひとくそ)」という項で人糞の様々な効能を紹介している[6]。>
<『和方一萬方』に「指腫たるを治る方」として「人の糞を器に入れ その上を厚き紙にて張り痛指の入程穴をあけて その内に指をさし入あたたむべし」とある[8]。
『用薬須知続編』の2巻には、人糞を利用したさまざまな薬が記されている。「男子屎尖」(男性の糞の、とがった端の部分)[9]、「熱糞堆」(人の糞が重なり熱くなったもの)[9]、「焼人糞」(人の糞を焼いたもの)[10]の3つである[11]。 >
水戸黄門で有名な徳川光圀は『大日本史』という歴史書を作らせました。天皇崇拝的な尊皇論で貫かれており、幕末の思想に大きな影響を与えています。彼は薬にも興味があったのか、彼のの命により編纂された『窮民妙薬』というものがあるとのこと。ここの場合、人のクソに限らず、あらゆる動物のクソのオンパレードでした。
<蚕の糞、鼠の糞、黄牛の糞、猫の糞、馬糞、竹の虫糞、兎の糞、牛の糞、童子の大便と材料は多彩で、「河豚の毒を解す妙薬」の項には人糞を用いる方法が記されている。「胸虫の薬」の項では「童子の大便干し、粉にして丸じ、生姜汁にて用い吉」とある[7]。>
ウンコはどこから来て、どこへ行くのか ──人糞地理学ことはじめ (ちくま新書)
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