2016/1/10:
ホテルは建物のオーナーと運営が別なことが多い
ホテル日航東京はヒルトンに変更し「ヒルトン東京お台場」へ
「ホテル日航東京」のオーナーはアメリカ系ファンド
なぜ?ホテルオーナーがホテルオークラを見限って次々と外資へ鞍替えする理由
●ホテルは建物のオーナーと運営が別なことが多い
2016/1/10:そもそもホテルオークラのホテルのはずなのに、なぜ勝手に別のところに変わっちゃうのか?と不思議だった話。…その答えは、"ホテル業界では、すでに「所有と運営の分離」が定着している"ためというもの。
ホテルグループは、建物のオーナーと運営契約を結び一定の売上高や利益を約束し、利益の何割かを収益として得ます。ですので、オーナー側はホテルの運営会社が十分な成績を出せなければ、契約を打ち切れるといのうです。
(
奪われた「老舗の暖簾」 好調オークラの死角 2015/10/13 6:30 日本経済新聞 電子版 より)
つまり、ホテルオークラグループのホテルであっても、ホテルそのものはホテルオークラのものじゃないところがたくさんあるようです。おもしろいですね。イメージと全然違います。
●ホテル日航東京はヒルトンに変更し「ヒルトン東京お台場」へ
ただ、これは建物オーナーとしては良くても、ホテル運営サイドとしては、かなりたいへんな話です。「ホテル日航東京」もそういった事情で、ホテルオークラをお払い箱に。"米ヒルトン・ワールドワイドが土地と建物、従業員をそのまま引き継ぎ「ヒルトン東京お台場」として運営を始め"ました。
この「ホテル日航東京」は儲かっていないところだったか?と言うと、そうではありません。"国内外で73軒に上る傘下ホテルの中でもホテル日航東京は、婚礼や観光客からの人気も絶大で利益率も高"いところでした。
しかし、それでもオーナーは「十分ではないと判断していた」(オークラ幹部)と、不満だったそうです。
このホテルオークラは、他のホテルオーナーからも見限られています。2010年に「JALリゾート シーホークホテル福岡」(福岡市)が「ヒルトン福岡シーホーク」になりました。
海外でも当然そういったことがあり、メキシコでは「ホテル・ニッコー・メキシコ」が12年にハイアットに、マレーシアのクアラルンプールでも11年、「ホテル・ニッコー・クアラルンプール」の運営権が英インターコンチネンタルに奪われています。
●「ホテル日航東京」のオーナーはアメリカ系ファンド
先の「ホテル日航東京」のオーナーは、2013年、米国系の不動産ファンドに変わっています。Wikipediaを見ると、もともとはオーナーもJAL系だったようです。
ホテル日航東京 - Wikipedia
当ホテルはバブル期の1988年に打ち出された「世界都市博覧会」構想で、殆ど未開発地帯で占められていた東京テレポートセンター(現在の東京臨海副都心)地区を開催地とした事から、都らの誘致により1991年に日本航空出資の経営会社「東京ヒューマニアエンタプライズ株式会社」を設立。運営はJALホテルズへ委託する形で、1996年3月にホテル日航東京の名称で臨海副都心の宿泊施設第一号として開業した。(中略)
開業当初より未曾有の平成不況が深刻化する過程であったため、バブル期に計画されたホテル建設費用を含めた有利子負債額が膨らみ、2004年2月にヒューマニア社は民事再生法を申請し事実上倒産。(中略)
その後、経営再建が急務となっていた日本航空は、ヒューマニア社の再構築実施計画が終了する2007年3月に同社保有全株を、米投資ファンドのエートス・キャピタルに約250億円で売却しJALグループの保有不動産から離脱。共同出資している伊藤忠商事も持株分を段階的に売却。
●なぜ?ホテルオーナーがホテルオークラを見限って次々と外資へ鞍替えする理由
外資系だから運営も外資系へ変更したのかな?とちょっと思ってしまったものの、その後の話を読んで理解できました。
上記以外にも2012年にホテルオークラは、"「ザ・モントカーム/ホテル・ニッコー・ロンドン」はオークラの欧州における旗艦ホテル"を奪われています。ここの変更理由を読むと、なるほどと納得できるものでした。
新オーナーは、「会員の数は? 予約システムの配置は? すぐに働ける支配人の数は――」と次々と聞いてきたそうです。このオーナーは、米マリオットなど世界的なホテル運営会社と複数のホテルで運営契約を結んでおり、「世界標準」の運営ができるのかどうかを迫ってきたとのこと。
当時旧JALホテルズの交渉担当だった関係者は、「会員数の少なさや、ひ弱な営業拠点網など、プレゼンで戦える武器が少ない」劣等感を感じたといいます。そして、最終的には撤退を余儀なくされました。
ヒルトン・ワールドワイドは100年近くの歴史を持ち、10月時点で全世界に約4400軒のホテルを展開する。数千万人の会員を世界に持ち、数十カ国語に対応する予約センターも米国や欧州、日本など10カ国地域に持っています。
対してオークラグループのホテル数は国内外合わせて73。会員数は約90万人で、ほとんどは日本人。日本のオーナーにしてみれば、人口が縮小する中、海外からの集客に強みを持つヒルトンに関心を持つのは当然かもしれない、と記事では書いていました。
●まだまだ減りそうなホテルオークラグループ
「ホテル日航東京」以外にも「JALリゾート シーホークホテル福岡」という名前がありました。これはホテルオークラが、日本航空のJALホテルズを買収していたためです。
オークラ ニッコー ホテルマネジメント - Wikipedia
株式会社オークラ ニッコー ホテルマネジメント(英語: Okura Nikko Hotel Management Co.,Ltd.)は、ホテルオークラグループのホテルチェーン運営会社。もとは日本航空が出資設立したが、2010年(平成22年)8月よりホテルオークラグループに属しており、2015年(平成27年)10月にはホテルオークラのチェーン運営部門も継承し、株式会社JALホテルズから現商号に変更した[1]。
Wikipediaによれば、"JALホテルズ時代の自社所有施設は「ホテル日航大阪」「銀座日航ホテル(日本航空創業時の本社跡地に開業)」の2か所で、その他は運営受託"。この他にも日本航空と繋がりがあるホテルがあったようですが、やはり前述のようなオーナーが別というのが主流でした。
そのためか、ONHM(オークラ ニッコー ホテルマネジメント)マーケティング部長の鈴木隆太郎さんは、「今後も旧JALホテルズ系のホテルが外資系になることは十分にあり得る」としていたそうです。かなり厳しいかもしれません。
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