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安倍首相の値下げ指示の大誤解 日本の携帯電話料金は高くない


★2015/11/22 安倍首相の「携帯電話料金値下げ」で逆に消費者が不利益を受ける可能性
★2016/1/11 安倍首相の値下げ指示の大誤解 日本の携帯電話料金は高くない


★2015/11/22 安倍首相の「携帯電話料金値下げ」で逆に消費者が不利益を受ける可能性

 私はそもそも国が「携帯電話料金値下げ」を指示するということがおかしいと思います。私は経済面では保守派的で、国が民間企業に細かく指示するようなやり方には批判的です。

 結局、首相の「携帯電話料金値下げ」の発言は、後述する理由でパフォーマンス的なところが強かったと思われますが、そのパフォーマンスで携帯電話各社は大きく株価を下げました。政治が市場を引っ掻き回している格好です。


●安倍首相指示で設置の「携帯電話料金値下げ」会議の議論は的外れ
 
 なぜパフォーマンスだと言えるか?というと、"9月に安倍首相からの指示を受けて9月末に設置された「携帯電話の料金その他の提供条件に関するタスクフォース」"の、10月19日に行われた第1回"の有識者会議の内容が的外れだったためです。

 首相のかけ声でスタートした携帯料金引き下げ会議、残念な内容が明らかに - iPhone Mania(2015年10月22日 22時42分)では、携帯・スマホジャーナリストの石川温さんの書いた10月22日付けの日本経済新聞電子版の記事について紹介しています。

 それによれば、有識者会議のテーマは3つ。

「割安なプランを設ける」
「格安スマホの利用者を増やす」
「端末と通信の料金を分離し、複雑な販売方法を見直す」

 しかし、どれもがお寒い内容だったと言います。


●格安スマホの知識がない有識者

 順番を変えて、「格安スマホの利用者を増やす」から。

 有識者会議では、格安スマホを提供するMVNOに対して、"全国に実店舗網を持たせようとする意見が出"たそうです。MVNOは都市部を中心にやっているので、地方に広まっていない、だから全国で実店舗を持たせればもっと利用者が増えるはずだということでしょう。

 ただ、これは有識者とは思えない、知識のない人の意見でしょう。その方が儲かるのであれば、民間は言われずとも勝手にやります。

 石川さんによれば、そもそもMVNOがなぜ格安スマホを提供できているのか?と言うと、"実店舗を持たずコストを下げ低料金を実現して"いるためなんだそうです。馬鹿丸出しの意見でした。

 また、記事にはありませんが、都市部を中心というのも意味があるでしょう。携帯電話の販売に限らず、なぜ都市部にあるお店が、地方ではない場合が多いかと言うと、地方では採算が合わないためです。それを国が地方への出店を強制してしまえば、むしろ利用料金は上がる方向性になります。

 あと、これを最初に持ってきたというのは、先ほどのパフォーマンスの関係です。MVNO推進ということに限れば、以前からずっと国が取り組んでいることであり、わざわざ首相が発言して携帯電話各社の株価を下げずとも対応できたはずです。したがって、国民ウケを狙った発言だった可能性が高いです。


●すでにある「割安なプラン」

 飛ばした「割安なプランを設ける」について。

 これは"2GBからはじまる大手キャリアのデータ通信パックを1GBや1.5GBからに引き下げることが議論された"ものの、実は言われずともワイモバイルが既に提供してるんだそうです。

 大手3社はやっていませんが、これも結局それで儲かるのなら、そのうちワイモバイルに追随するはずです。不法なことをしているのならともかく、そうでないのにここまで市場介入するというのは異常です。

 大手3社と違い、ワイモバイルへのユーザー移動がスムーズでないという可能性はありますので、これを改善するといったことなら支持できます。それなのに、なぜ大手3社のプランを国が決めようとするのでしょうか?

 …と書いていたのは、「携帯番号ポータビリティ(MNP)」が頭にあったのですけど、ワイモバイルも対象になったんですかね? ちょっと検索してみると、ワイモバイルにも移行について説明したページがありました。知りませんでしたわ。


●何度も失敗している「端末と通信の料金を分離し、複雑な販売方法を見直す」

 最後の「端末と通信の料金を分離し、複雑な販売方法を見直す」も結局、市場とあっていないというもの。今までに何度も失敗してきているものですし、結局、消費者が従来型を支持しちゃうって話でもありますね。
「端末と通信の料金を分離し、複雑な販売方法を見直す」テーマは、2007年から何度も議論され、総務省が指導をしているものの、結局は端末と料金の一体化が消費者に受けることで元に戻っており、今も月額料金が割高になっても「実質0円」端末が一般的です。

●携帯電話プランは国のせいでむしろややこしくなった?

 石川さんは「3つのテーマのいずれも矛盾と的外れな内容ばかりで、傍聴している方がイライラしてくる」と痛烈に批判しています。

 また、以下のようにむしろ国が携帯電話のプランに関わる方が、余計ややこしくなっているのではないかともしていました。


●首相発言で2兆円以上が吹き飛ぶ

 大体、上記まででわかりますが、以下おさらい的に補足。まず、株価が下がったという話。
安倍首相の携帯料金値下げ指示、利用者と業界全体に甚大な悪影響?より値上がりの恐れも | ビジネスジャーナル 文=佐野正弘/ITライター 2015.10.13

 安倍晋三首相が9月11日の経済財政諮問会議において、携帯電話料金の引き下げを検討するよう指示したことが大きな波紋を広げている。(中略)

 このことが引き金となり、業界全体の将来性に対する不安が高まったことから、週が明けた9月14日の大手3社の株価は軒並み急落。時価総額で2兆円以上が吹き飛ぶ事態となったのである。突然の値下げ指示によって先の見えない状況に、各キャリアとも戸惑う様子を見せているようだ。

●料金値下げで地方が捨てられる可能性

 おさらいと書きましたが、以下は違う視点でしたね。
 当然ながら単純に大手キャリアの月額料金が下がれば、キャリア自身の売り上げが下がり、業績が悪化してしまう。(中略)

 では、キャリアの業績が悪化すると、どのような影響がでると考えられるだろうか。最もわかりやすいのは、インフラの質の低下であろう。海外に行ったことがある人であれば理解しやすいと思うが、全国津々浦々、人口の少ない地方や山間部などであってもLTEによる高速通信が利用できる国は、日本と韓国くらいなものだ。

 これは結局、先ほどMVNOで出たのと同じ都市部重視という形で対応することになります。
 もしキャリアの売り上げが落ちれば、投資効率を上げるためインフラ投資が大都市に集中し、地方からインフラの質が急速に低下する可能性が出てきてしまうだろう。

●むしろユーザーの選択肢が奪われる可能性

 また、そのMVNOの安さという魅力が薄れることも指摘していました。競争が促進されるどころか、逆に寡占が促進されてしまう可能性もありそうです。
 また単純にキャリアの基本料金を下げてしまえば、現在急速に伸びているMVNOに水を差すことにもなりかねない。(中略)キャリアが基本料を下げ、MVNOに近い水準にまで料金を下げてしまった場合、よりサービスの充実したキャリアにユーザーが流れてしまい、MVNO全体が急速に冷え込んでしまいかねないのだ。

●市場自由化に逆行、選挙対策、人気取りなどの批判

 あと、パフォーマンスへの批判などで、もう一記事。
東京新聞:携帯値下げ 首相指示の怪 「民業を圧迫」「選挙対策」「安保隠し」:政治(TOKYO Web) 2015年10月22日

 中央省庁の検討会委員などを歴任した中央大経済学部の谷口洋志学部長(経済政策)は「民間の価格に問題があっても、公正取引委員会に任せておけばいい話。そもそも民業への圧力であり、首相が取り組む仕事ではない」と批判的だ。

 自民党が小泉純一郎政権時代から一貫して進めてきた規制緩和とも矛盾するとしたうえで、「心血を注いできた市場自由化に逆行する妙な動き。合理的ではない」と話す。

 九月の安全保障関連法の成立など、政権の動きを継続的に取材しているジャーナリスト鳥越俊太郎さん(75)も「安直な人気取り。しかも『安保隠し』だ」と手厳しい。

 収入があまり多くない世帯も含めて、ほとんどの人が必需品として携帯を持つ「国民皆携帯」の時代に、民間企業わずか数社が仮に値下げすれば、国民の大半が恩恵を受ける。「民間企業に負担を押しつける『疑似減税』で、安保で下がった支持率を取り戻すつもり。だまされてはいけません」

 有権者の投票行動に詳しい同志社大の飯田健准教授(政治行動論)は「既に選挙対策が始まったということ」と、来夏の参院選との関連を指摘する。

 「年明けから夏前に値下げが実現すれば『首相の手柄』となり、票を入れたくなる。政府の懐は痛まず、携帯電話会社が拒否すれば『抵抗勢力』の悪者に見える。実にうまい手だ」とみる。

 私は別に既存の3社を応援しているわけではなく、むしろ寡占状態は望ましくないと思います。ただ、今回の方向性はおかしいです。


★2016/1/11 安倍首相の値下げ指示の大誤解 日本の携帯電話料金は高くない

 "安倍首相の「携帯電話料金値下げ」で逆に消費者が不利益を受ける可能性"でもやった「携帯電話料金値下げ」の話。

 ただ、日本のケータイ料金はむしろ安い!? 「ケータイ料金値下げ会議」の5大誤解 日刊SPA! / 2015年12月21日 9時2分というタイトルには、正直本当かいな?と思いました。


●安倍首相の値下げ指示の大誤解

 記事によると、主な誤解は以下の5つ。

(1)日本のケータイ料金は高い ⇒ ネットワークのクオリティを考えると、むしろ安いくらい。
(2)家計に占めるケータイ料金の割合が増えている ⇒ 通話料金自体は下がっている。
(3)3大キャリアの料金が全部同じというのはおかしい ⇒ 競争の結果、現在の料金に落ち着いただけ。
(4)あまり使わない人にとって、料金プランの選択肢がない ⇒ MVNOの存在をお忘れでは?
(5)販売奨励金のせいで、あまり機種変更しない人が損してる ⇒ 販売奨励金制度が、日本のケータイの進化を牽引してきた。


●そもそも日本の携帯電話料金は高くない

 一番気になる「日本のケータイ料金は高い」に対する反論は、「ネットワークのクオリティを考えると、むしろ安いくらい」という曖昧な説明。本文で該当する部分を探すと、以下のようなものでした。

「通話料金自体は、5年前と比較しても激減しています。例えば、ドコモの接続料(他社からドコモにかけたときの通話料金)は6割減っていますし、パケット通信料の単価は10分の1程度に」(モバイル評論家の法林岳之氏)

 具体的な説明であり、下がっているのは間違いないようです。

 また、「クオリティを考えると」に当たるのは以下のようなところでしょう。

「家計に占める割合が増えているといっても、単に“キャリアへの支払いが増えている”だけで、昨今ではその中にさまざまなコンテンツサービス料が含まれていることも多く、通話料金のみをターゲットにするのは筋違いと言えます」(法林岳之氏)

 これも理屈としてはわかります。サービスが向上しているのに同じ料金であれば、それは実質的には値下げと同じです。

 ただ、「日本のケータイ料金はむしろ安い」とするのであれば、国際的な比較が必要でしょうね。これは法林岳之さんの責任ではなく、タイトルをつけた日刊SPA!が悪いのですが…。


●企業が不当に高い価格をつけられる状況はどんなとき?

 私がここよりおもしろいと思ったのは、ある商品・サービスが不当に高くなるのはどういうときか?という視点です。

 ある企業が暴利を貪りたいと思っても、不当に高い価格をつけてしまった場合、むしろ利益が減るおそれがあります。ライバル企業に消費者が流れてしまうおそれがあるためです。ですので、商品・サービスの価格は自社の都合だけで極端な値になることは少なく、競争可能な範囲で通常は落ち着きます。

 これは逆に言うと、ライバル企業が少ない、あるいは全くいなかった場合は、不当な価格付けでボロ儲けすることも可能なわけです。競争が激しいか、そうではないかに影響されるといった言い方もできるでしょう。

 給与の高い業界とかホワイト企業とかでよくあるのは、参入障壁が高く競争が存在しない独占・あるいは寡占状態の企業です。福島第一原発事故で崩れましたが、かつては電力業界というのもボーナスが非常に高いことで知られていました。

 もし仮に現在の携帯電話料金が不当に高いのだとすれば、競争が十分ではない可能性があります。この競争を激しくするというのが、本来国がやるべきことです。


●競争政策を軽視する日本政府

 ところが、今の政府は全然こういった発想がないようです。

「懸念されるのは、値下げによって寡占状態になること。消耗戦をやってライバルが皆いなくなったところで、じゃあまた値上げします……ということにもなりかねない。それを避けるには“対抗軸”が必ず必要で、値下げを考えるなら、まずは各社に競争させるよう持っていかなくてはならないのに、競争政策についてはノープランなのが総務省なんですよ」(法林岳之氏)

 また、過去の政府はむしろ競争を弱くするようなことならやってきたと指摘されていました。私も以前問題視したイー・アクセス(イーモバイル)の件です。(関連:ソフトバンクのイー・アクセス買収による周波数帯獲得は、詐欺的であり反則 700MHz帯プラチナバンドの免許は返却すべき)
 かつて、“第4のキャリア”であったイー・モバイルを、あっさりソフトバンクに買収させてしまったのもその表れ。ソフトバンクの目的が、イー・モバイルが所有する周波数帯の取得にあったことは明らかで、競争政策を重視するなら「買収は認めても、せめて周波数帯域は返却させるなりすべきだった」との見方が強い。

 私は経済に関しては左派と考えが大きく異なり、競争を盛んにすべきという考え方で、国家はみだりに市場に介入すべきではないと考えています。日本は私のこの考えの真逆を行っています。


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