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米国が先に重力波検出か?日本は重力波望遠鏡「かぐら」で観測


2021/10/22追記:
●日本が大金をかけたKAGRA、その後もほぼ全く成果が上がらず… 【NEW】


●日本が重力波望遠鏡「かぐら」で観測しようとしている重力波とは?

 重力波望遠鏡「かぐら」について書かれた東京新聞の記事重力波望遠鏡「かぐら」完成 ノーベル賞・梶田さん推進:社会(TOKYO Web)(2015年11月6日 夕刊)では、重力波について以下のように解説しています。

<重力波> 重い物体が高速で動き回ると、周りの空間がゆがんで伝わる現象で、アインシュタインが一般相対性理論で存在を予言した。宇宙誕生時に放出されたほか、二つの重い中性子星が互いを回り合う連星やブラックホールの合体、超新星爆発などでも生じると考えられている。かぐらが検出を狙う重力波は、太陽と地球の間の距離が水素原子1個分ずれるほどの、わずかな空間のゆがみ。米国や欧州にも初検出を目指す重力波望遠鏡があり、世界的な競争となっている。

 以下は別のサイト重力波とは? « KAGRA 大型低温重力波望遠鏡の説明の冒頭部分。ここは、「かぐら」のオフィシャルサイトかもしれませんね。

<アインシュタインの一般相対性理論によれば、質量をもった物体が存在すると、それだけで時空にゆがみができます。さらにその物体が(軸対称ではない)運動をすると、 この時空のゆがみが光速で伝わっていきます。これが重力波です。重力波はすべてを貫通し、減衰しないと考えられています>
<我々は、「重力波」の発生源を宇宙の星に求めるしかありません。その代表的なものが、「中性子星同士の連星とその合体」や「超新星爆発」です。超新星爆発は、星が一生を終えて爆発し、その質量の大部分を宇宙空間に一瞬にして解き放つ非常に劇的な現象です>

●海外と競争…日本は重力波望遠鏡「かぐら」で観測を目指している

 先に出てきたように、海外と競争があるそうです。日本の場合はさっきから出てきている重力波望遠鏡「かぐら」で観測するそうで、最初の昨年11月の記事が「本年度中に試験観測を開始する」というものでした。
 遠い宇宙から届く「重力波」の世界初検出を目指す巨大重力波望遠鏡「かぐら」が、岐阜県飛騨市神岡町の地下に完成し東大などが6日、報道陣に公開した。

 ノーベル物理学賞に決まった梶田隆章東大宇宙線研究所長が中心となって進めたプロジェクトで、ニュートリノ観測装置「スーパーカミオカンデ」と同じ鉱山跡に建設された。(中略)

 わずかな揺れも観測の邪魔となるため、振動が少ない深さ二百メートル以上の地下に建設した。二〇一二年に着工、一四年三月にトンネルが完成し、真空装置やパイプのほか、熱によるぶれを抑えるための冷却装置を取り付けた。

●日本はやっと完成したばかりなのに…米国が先に重力波検出か?

 日本は完成したばかりで、続報がないので観測はまだ始まっていないかもしれません。ところが、海外では既に検出という噂が出ています。「重力波検出」のうわさ、科学界に波紋広がる 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News(2016年01月13日 16:01)などの記事が出ていました。
 ある物理学者のチームが重力波の検出に成功した可能性があるとのうわさが、科学界で波紋を広げている──。(中略)

 これまでのところ、この事実についての発表はない。また信頼性があり、検証可能な科学的研究を発表する際に通常、重要な過程とされる研究成果の発表や査読、論文の投稿なども一切行われていない。

 それでも、米アリゾナ州立大学(Arizona State University)の宇宙論学者、ローレンス・クラウス(Lawrence Krauss)氏によるツイッター(Twitter)への投稿は、憶測と興奮の嵐を巻き起こしている。

 クラウス氏は、時空構造内を伝播する波動、重力波を探査している米国の新型レーザー干渉計重力波検出器(Laser Interferometer Gravitational Wave Observatory、LIGO)の観測には参加していない。

 しかし、クラウス氏は11日、同氏が数か月前に聞いたといううわさが裏付けされそうだとツイートした。そのうわさとは、LIGOの科学者チームが、米国内に設置された検出器を用いて発見した重力波に関する論文を執筆中というものだった。

 ただ、まあ、正直言って、胡散臭い話だと思います。正式な発表は何一つなく、テストを誤解しているのでは?という指摘もあるそう。ちょっと今回のケースとは異なりますが、2014年に重力波を発見したとしたものは、"単なる銀河の塵(ちり)にすぎなかった"ということもあったそうです。

 じゃあいちいち取り上げる話ではないですね…というものなのですが、この手の噂は今後も出そうな気がするので一度書いておくことにしました。とりあえず、続報待ちですね。


●アインシュタインの「最後の宿題」を解決、ノーベル賞確実か?

2016/02/12追記;胡散臭いと思っていたのに、正式発表ありましたわ。「重力波を初観測」米中心の国際研究チーム 発表 NHKニュース(2月12日 7時14分)などの記事が一斉に報じられていました。
アメリカにある「LIGO重力波観測所」の国際研究チームは、現地時間の11日午前首都ワシントンで会見し、アインシュタインがちょうど100年前に「一般相対性理論」の中で提唱した現象である「重力波」を初めて直接観測することに成功したと発表しました。(中略)
観測に成功した「LIGO重力波観測所」は、アメリカの西部ワシントン州と南部ルイジアナ州の2か所に施設があり、研究チームを率いるカリフォルニア工科大学のデビッド・ライツィー教授は会見の冒頭で「重力波を観測したぞ!」と叫び、喜びを表していました。
重力波の観測はノーベル賞に値する成果とも言われ、今後は世界各国の科学者による観測データの検証が進められることになります。

アインシュタインが発表した「一般相対性理論」は宇宙の数多くの現象を言い当て、現在の物理学の土台となっていますが、そのなかで唯一、直接観測されていなかったのが100年前に予言した「重力波」です。このため、アインシュタインの「最後の宿題」といわれていました。(中略)

素粒子物理学を研究している東京大学数物連携宇宙研究機構の村山斉機構長は「大変興奮しています。天文学の新時代が幕を開けました」と述べてその成果を高く評価しました。

●アメリカにある「LIGO重力波観測所」とは?

 この歴史的快挙を成し遂げた「LIGO重力波観測所」についての詳しい説明もありました。
「LIGO重力波観測所」はアメリカのカリフォルニア工科大学とマサチューセッツ工科大学が中心となって建設した観測施設で、実験には、世界15か国の1000人以上の科学者が参加しています。
長さ4キロメートルの2本の長大なパイプをL字型に組み合わせ、そのパイプの中を真空に保っている施設で、アメリカの西部ワシントン州と南部ルイジアナ州の2か所に同じ施設が2つあります。2つの施設では、パイプの中でレーザー光線を照射していて、その光線が往復する時間に僅かな変化があると、それが重力波による変化である可能性が高いとされ、同じ変化を2か所の施設で同時に観測して互いに検証することで重力波かどうかを判定できるということです。
LIGOでの重力波の観測は2002年から始まりましたが、2010年までの8年間一度も重力波を観測できず、いったん運用を終えています。その後、観測の能力を10倍に上げるための改修工事がおよそ5年かけて行われ、「アドバンストLIGO」より高度になったLIGOとして去年9月から再び観測を始めていました。

 ノーベル賞は狙って取れないという話を私はしていますが、これ系はかなり狙えますよね。"ヨーロッパの研究機関がイタリアに建設し2007年から運用を始めた「VIRGO」のほか、日本の岐阜県飛騨市には「KAGRA」という"ライバルがいたものの、どこが最初だったにせよカネをかけないとできないものでした。日本のカミオカンデやスーパーカミオカンデでのノーベル賞もそんな感じです。意義があることには違いないのですが、複雑な気分になります。


●日本が大金をかけたKAGRA、その後もほぼ全く成果が上がらず…

2021/10/22追記:ノーベル賞クラスの研究は、偶然の発見や非主流の分野での発見が多いです。なので、有望分野にカネをかければとれる…というものではありません。それなのに、最近の政府は成果主義的にやっているせいか、日本の重要論文数は急速に少なくなっていて、韓国に抜かれかねないところまで凋落してきています。

 一方、最初に書いていたように、重力波などはノーベル賞を狙ってとれるタイプの研究のひとつ。金をかければ狙えるものです。ただし、各国の競争があるので、結局、負けることもよくあります。日本の「かぐら」も負けました。その後もこの「かぐら」は使われていたのですが、技術的にはかなりお粗末なようです。

<ノーベル物理学賞受賞者の梶田隆章氏(62=東京大学宇宙線研究所所長)が研究代表者を務める「大型低温重力波望遠鏡KAGRA計画」。今年6月末、目標としてきた数値を大幅に引き下げ、事実上、重力波の検出が不可能になっていることが「週刊文春」の取材でわかった。KAGRA内部の会議音声などを入手した>
<2012年に〈世界の学術研究を先導する画期的な成果を挙げる大型プロジェクト〉として、文科省の「大規模学術フロンティア促進事業(2013年度~2022年度)」に採択されたKAGRA計画。以降、日本学術会議が3年ごとにまとめるマスタープランを踏まえ、文科省がロードマップを策定してきた。
 文科省研究振興局によれば、投じられた税金は建設費164億円、運営費26億円。計190億円に及ぶ。
 KAGRAはこれまでシナリオペーパーで、欧米の研究機関と共同で行う〈O4観測(第4期観測)〉で、〈25~130MPc(メガパーセク)〉の感度を達成することを掲げてきた。(中略)
 O4観測は、直近のシナリオペーパーを提出した2020年9月時点では、「2022年1月~2023年1月」の期間を予定していた。その後、コロナ禍もあって、「2023年8月~」に先送りになっている>
((ノーベル賞学者の「KAGRA計画」 重力波の検出は事実上、不可能に | 文春オンライン 2021/10/20より)

 重力波が観測できる最低ラインの感度は25MPc。そこでKAGRAは、来夏から始まるO4観測で、25~130MPcという感度を掲げてきました。ところが、2021年6月30日のオンライン会議「KAGRA テレコム」では、「この目標を達成することは放棄すべき」との意見が登場。新たな目標を「1MPc以上」まで引き下げることを表明したそうです。

 そもそもKAGRAは2020年3月に瞬間的に1MPcを達成して以来、ほぼ進展がない状態だったとのこと。現実的な目標に…ということなのかもしれませんが、これでは重力波検出は不可能です。文春が出席者に取材してみると、「(海外と)一緒に観測することが、一番のプライオリティ」としており、「参加することに意義がある」みたいな感じですね。

 また、これじゃ科学的成果はないのでは?という質問には、「やってみないと分かりません」とのこと。精神論の回答ですね。一方、東大宇宙線研究所は数値目標ではなく予想値という説明で、これの方が理解できます。ただ、結局、日本は大金をかけたのにほぼ全く成果が出ていない…というのは、事実のようでした。

 前述の通り、成果が出るかどうかはわからないため、成果が出そうにない研究にお金をかけるべきではない…という話にはなりません。ただ、問題はただでさえ削られている日本の研究予算が大型プロジェクトのKAGRAに大きく奪われていたということなので、難しいところ。KAGRAをやめて他に回すというのはアリかもしれません。そもそも日本政府の学術軽視で、資金が少なすぎるのが根本原因なんですけどね。


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