通勤ラッシュ時にこそ「確実に座りたい」という欲求があるんだから、通勤ラッシュ時に有料の指定席というのはアリだろうと思いました。ただ、実際に導入しているところを見ると、本当にラッシュの激しいところではなさそうです。まあ、そうですよね。さすがに超満員のところでやれば、ブーイングです。
2016/1/14:
●通勤ラッシュ時に有料の指定席というのはアリ? 私鉄での導入増加
●単に座れるだけじゃない…指定席には通勤時間の無駄なくす効果も
●超満員電車じゃなくても大事な通勤時の有料座席
●郊外に住む人が減るのでますます鉄道各社はピンチ
2017/07/07:
●ラッシュが緩和したのにむしろ増えた座席指定の通勤電車
2020/08/10:
●新型コロナウイルス問題は座席指定列車に追い風…ではない?
●通勤ラッシュ時に有料の指定席というのはアリ? 私鉄での導入増加
2016/1/14:まず、最初に導入や拡充する予定のあるところの一覧。都市圏ではあるものの、JR東日本や東京メトロなどは含まれていません。
東武鉄道 16年春、朝のラッシュ時間帯の有料座列車を新設、夜も増便
京浜急行電鉄 12月、朝のラッシュ時間帯に神奈川南部から有料座席列車
小田急電鉄 16年3月、再開発する海老名駅にロマンスカーを停車
京阪電気鉄道 特急車両の一部を改造し、17年に有料座席を導入
西武鉄道 レッドアロー号のネット予約を拡充
京王電鉄 有料座席の導入の検討開始
(
ラッシュ時に有料の指定座席 私鉄各社が列車増発 2015/10/21 1:30 日本経済新聞 電子版より)
●単に座れるだけじゃない…指定席には通勤時間の無駄なくす効果も
料金の話。例えば、東武鉄道の"TJライナーは310円の着席整理券を購入すれば必ず座ることができる"というもの。京浜急行電鉄の「ウイング号」も同じくらいの1回300円。1カ月定期なら5500円です。
おもしろいのが、単に座るという使い方だけでないこと。西武鉄道によると、座席指定の特急レッドアロー号は、「パソコンを使って車内で仕事を続ける会社員の姿が目立つ」そうです。
マイホーム・住宅を買うなら都心か郊外か?通勤時間だけが問題じゃないで紹介した記事では、通勤時間は無駄になっているという主張でした。あまり良い仕事環境ではないため効率は悪いとは思うものの、こういった有料席なら通勤時間も無駄なく活用できるわけです。
「時間価値」〜年収1千万円の人はなぜ郊外に家を買ってはいけないか プレジデント 9月16日(金)10時30分配信
確かに値段だけを比較すればその通り(引用者注:郊外の方が安い)だが、実はこれが大間違い。なぜなら「時間価値」という概念がすっぽり抜け落ちているからだ。
時間価値とは「時は金なり」ということだ。サラリーマンは労働時間を売っている。もし年収1000万円の人が通勤に往復3時間かけているとしたらどうだろう。年間250日働くとして、1日の稼ぎは4万円。1日8時間労働とすれば時給は5000円。時給5000円の人が通勤に3時間かけているということは、毎日1万5000円を浪費しているに等しい。
リンク切れ http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20110916-00000001-president-bus_all
●超満員電車じゃなくても大事な通勤時の有料座席
また、私はラッシュ時という人の多さに着目していたものの、むしろこれは人が減る時代のための備えだという見方もありました。これは全くの想定外であり、おもしろかったです。
国立社会保障・人口問題研究所によると、東京都の人口は2015年前後に減少に転じ、大阪府も10年をピークに減少傾向にある。都市部でも人口減が本格化するなか、輸送人員の大きな伸びは見込めない。私鉄各社は有料座席で1人あたりの輸送収入を増やす。郊外からの通勤客の利便性を高めて、沿線からの流出を防ぐ狙いもある。
●郊外に住む人が減るのでますます鉄道各社はピンチ
マイホーム・住宅を買うなら都心か郊外か?通勤時間だけが問題じゃないの投稿をを思い出したのは全くの偶然ですが、実はこの人口減少とも密接に関わる話でした。
わが国の人口は今後、減少の一途をたどる。ということは家が余る。(中略)今後は住宅価格が下がり、いままで手を出せなかった都心の物件に住む人が増える。わざわざ不便な郊外に住む人はいなくなる。(中略)
これから郊外は不便になる。小売りのチェーン店が撤退していく兆しがあるからだ。現状でも郊外のスーパーは供給過剰だし、決して高所得とはいえない郊外の住人を相手にするのは商売として合理的ではないからだ。郊外からチェーン店が少なくなると離れた場所に買い物に行かねばならず、いちいちガソリン代やタクシー代、電車賃がかかる。むしろ高くつくのだ。
人口減少によって都市部に住むという選択がしやすくなります。すると、都市部より都市部周辺の方が人口減少の進み方が早くなると考えられます。
今までは多くの通勤客を簡単に確保できていた鉄道各社ですけど、そういった楽な商売ができなくなります。指定席列車の重要性は、こういった観点から見ても大切であろうという話。なるほど!という視点です。
●ラッシュが緩和したのにむしろ増えた座席指定の通勤電車
2017/07/07:
「座れる通勤列車」西武に続き京王も、導入が相次ぐ理由 | DOL特別レポート | ダイヤモンド・オンライン(2017.5.8 松原麻依:清談社 )によると、実は昔から座れる通勤電車というのはあったそうです。
鉄道ジャーナリストの梅原淳さんは「ラッシュ時の座席指定列車の需要は前々からあった」と指摘。最近増えているので急にできたように思えるだけなんですね。
「確かに、2000年代に入って大手私鉄の路線で座席指定列車の導入が相次ぎましたが、座れる通勤列車自体は、それこそ1960年代から存在していました。有名どころでは、JR山手線の東京駅や上野駅と、神奈川や埼玉、千葉などのベッドタウンを結ぶ『ホームライナー』(『ホームライナー小田原』や『ホームライナー津田沼』など、区間によって名称が異なる)です。今以上に通勤ラッシュがひどかった80~90年代には、この乗車整理券を求めて徹夜で駅に並ぶ行列をよく目にしました」
近年増えた理由の一つが、指定席用の"クロスシートから一般車両用の縦並びのシートへの切り替えができるようになった"こと。「一般車としても有料特急としても使える車両が出てきたため、導入のハードルが下がった」という説明です。
また、私が最初の投稿時に「さすがに超満員のところでやれば、ブーイング」と書いたように、むしろ"路線の増加で利用客の分散が進み、混雑が緩和された"ことが、有料で座れる席を作れるようになった理由の一つとされていました。座りづらくなって有料席ができたわけではなかったのです。
●新型コロナウイルス問題は座席指定列車に追い風…ではない?
2020/08/10:
通勤に座席指定の列車 「新しい生活様式」で定着なるか:日経ビジネス電子版(佐藤 嘉彦 日経ビジネス記者 2020年6月9日)という記事が出ていました。なるほど、新型コロナウイルス問題は、座席指定列車の追い風になるかもしれない…と思ったのですが、そう簡単ではなく事情は複雑なようです。
記事では、当初やっていないと書いた東京メトロも絡む座席指定列車の話が出ていました。「THライナー」は、東武鉄道と東京メトロが運行する座席指定制列車。東京のベッドタウン埼玉県東部の久喜市にある東武伊勢崎線久喜駅から、東京都心の日比谷線恵比寿駅へ行く路線で、2020年6月6日から運行を開始しています。
新型コロナの感染が広がる前から計画していたサービスですが、全員が着席して通勤できる専用の列車であり、東武鉄道は「コロナ後の新しい生活様式に合致している」と、集客を期待しています。ただ、そう単純ではないというのは、最初の記事概要の説明部分にありました。
有料部分は読んでいないのですが、この最初の説明によると、新型コロナウイルス問題で需要が増しそうな座席指定列車は、ここからあぶれた人が普通の列車に乗り込んで、逆に混みあう状況が生まれるのでは?というう懸念もあるそうです。このため逆に新型コロナウイルス問題によって、座席指定サービスを中断している鉄道会社もあるとのことでした。
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