最初にクイズ。リンク切れしている2012年11月20日7時8分の朝日新聞の記事"10円お釣り、100円出てきた! 大阪市地下鉄ミス"から。
【クイズ】大阪市交通局は市営地下鉄御堂筋線の淀屋橋駅で、駅員が自動券売機に釣り銭を補充した際、10円と100円硬貨を取り違え、利用客に釣り銭を返しすぎた、と発表しました。
交通局によると、券売機は北改札にある10台のうちの1台。16日午後10時ごろ、駅員が10円硬貨の収納部に100円硬貨を誤って100枚入れ、別の駅員が終電後に気づきました。
この間に107人がこの券売機を使い、「10円」として100円硬貨44枚、計3960円分の釣り銭を余計に受け取ったと言います。
この報道があった4日後朝の時点で、多すぎる釣り銭を返却しに来た人は何人だったでしょう?
(1)0人
(2)12人
(3)42人
●レジ打ち間違い・釣り銭のミスは店員の自腹…は違法ではないの?
2016/1/17:クイズの回答は後にすることにして、本来やりたかった話を。以前、
お釣り多く受け取ると詐欺で逮捕の可能性 5千円を5万円札と間違う事件という話はやっています。ただ、今回の記事は店員さん側の責任に関する話です。
レジに限らず仕事中のミスによる損失を支払う義務があるかは不思議に思っていたのですが、とりあえず、レジについては
コンビニのバイト、横行するレジ誤差額の給料天引きは当然? Business Journal / 2016年1月15日 6時0分(文=Legal Edition)だと、以下のような説明。合法みたいですね。
<コンビニなどでレジを手作業によって操作する場合において、店員がレジで誤差を出してしまうことはよくある。このような手作業で金銭の授受をするアルバイトを経験したことがある人なら誰でも、多少の誤差を出してしまったことがあるのではないだろうか。
しかし、誤差が出るということは、裏を返せば店舗に損害が出ているわけだ。労働関係の法律問題に詳しい藤井哲也弁護士は、「もしレジで誤差を出してしまった場合には、店員に過失が認められれば、雇い主と労働者の間の労働契約において、いわゆる契約違反があることについての損害賠償として、誤差の金額を支払わなければなりません」と話す>
●法的には・釣り銭ミスした店員に誤差を支払われるはかなり難しい
ただ、実際に誤差の金額を支払せることはかなり難しいといいます。形式的にはミスしたバイトに責任があるとはいえ、実際に店がアルバイトに請求するためには、誤差を生じさせたのが、その店員であることについて特定ができて、その店員に過失があることまで店側が証明しなければならないというのです。
「(中略)もし複数の人がレジを担当しており、誰が誤差を生じさせたか特定できない場合には、担当した人の連帯責任だとして担当した人全員に責任を取らせるようなことはできません。具体的に誰がいくらの誤差を生じさせたのかを、雇い主のほうでしっかりと特定しなければならないのです」(藤井哲也弁護士、以下同じ)
もし誤差を出した人を特定したとしても、必ずしもすぐに過失を証明できるわけではないともいいます。また、誤差を給料から天引きみたいなことはできず、これは明確に違法だともされていました。
「レジが著しく混雑していて、ミスをしても仕方がないという環境であれば、誤差を生じさせた店員が特定されたとしても、その店員が責任を負うことはありません。このような場合には、ミスが起きないような環境を店側が整備しているかどうかも問題となり、場合によっては店側に責任が認められるケースもあります」
「労働基準法24条によると、原則として雇い主は賃金を必ず全額従業員に支払わなければならないと規定されています。この規定は強行法規です。つまり、この規定に反して当事者間で給与から天引きすることを定めたり、店員と個別に天引きすることを合意したとしても無効となります。あらかじめ契約書に、レジの誤差についての店員の損害賠償義務を明記していても、労働基準法16条によって無効です」
●それでも実態は雇用者に有利か?実質的に店員が逆らうのは難しい…
ということで、法的にはミスした店員側が有利なように見えます。ところが、この後また大逆転…となるかもしれません。上記では、たとえ合意していたとしても無効とありますが、雇用者との立場の違いを考えると、実際にはかなり店側に有利な条件をのまされている場合が多いのではないか?と想像します。
藤井哲也弁護士も、近くの労働基準監督署や労働局に相談することをおすすめしていましたが、僅かな金額でしたらそこまでしないでしょうし、大きな金額でしたらミスしたことの罪悪感でなかなか言い出せないでしょう。
納得できないケースとしては、全く身に覚えがない高額の誤差や同じく高額の間違いの連帯責任というところでしょうか。ミスではなく内引きなんかもあるんじゃないかと思います。とはいえ、労基署への相談なんかはやっぱりハードルが高いですよね。まあ、もしものときのために覚えておいた方が良いとは思いますが…。
●世界が驚く日本人の責任感と正直さ…は?正直に釣り銭を返却した人の数
罪悪感という話をしましたが、日本人の責任感の強さや正直さもまた雇用者に有利に働きそうです。で、最初の問題のケースはどうだったか?という話…。
【クイズ】107人がこの券売機を使い、「10円」として100円硬貨44枚、計3960円分の釣り銭を余計に受け取ったと言います。
この報道があった4日後朝の時点で、多すぎる釣り銭を返却しに来た人は何人だったでしょう?
(1)0人
(2)12人
(3)42人
【答え】0人
何と"「もらいすぎた」と名乗り出た人はいなかったと"のこと。いちいち釣り銭なんか見ていませんでしょうし、気づいても急いでいるから後で…ということも考えられます。とはいえ、107人いて誰も名乗り出なかったというのは不可解です。かなりの割合で、ネコババしようと決めた人が含まれていると考えられます。
交通局はミスを知らせるポスターを貼り、駅長室への連絡を呼びかけているという話でしたが、とりあえず、記事の時点での返却はありませんでした。このケースでは、世界が驚く日本人…とはなりませんでしたね。
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