元記事タイトルは、
トヨタの燃料電池車ミライ、実はエンジン車よりずっとCO2排出量が多い? Business Journal / 2016年1月14日 6時0分というもの。ただ、比較されているのは普通のエンジン車ではなく、ハイブリッド車であることに注意が必要です。
まあ、ミライという名前のくせにしょぼしょぼで未来感がないというのは、本当な感じですが…。
●ちっとも未来じゃないトヨタの燃料電池車ミライ、CO2排出量多すぎ
計算過程は省きますが、2013年のCO2排出係数0.570キログラム/キロワット時、本田技研工業(ホンダ)が開発したスマート水素ステーションでの条件がベースです。
そして、トヨタ自動車の燃料電池車であるMIRAI(ミライ)の実燃費、JC08(国土交通省が規定する燃費測定方法)のモード燃費を元に、CO2排出量を計算するというものです。
【ミライのCO2排出量】
実燃費での計算 331グラム/キロメートル
JC08燃費での計算 228グラム/キロメートル
これだけ見ても何もわからないので、トヨタの新型プリウスのJC08燃費と比較します。
【新型プリウスのCO2排出量】
JC08燃費での計算 58グラム/キロメートル
桁違いにミライのCO2排出量が多いわけです。なので、作者の舘内端さん(自動車評論家、日本EVクラブ代表)は、「バイオ燃料を使わずとも、エンジン車は元気なのだ」としていました。
●ミライは本当に普通のエンジン車よりCO2排出量が多い?
なお、ミライが本当に普通のエンジン車より二酸化炭素の排出量が多い可能性もあります。
プラグイン・ハイブリッド車もCO2排出量が少ないよという計算例の中で、「エンジンだけで1キロメートル走ったときに200グラムもの大量のCO2を排出する(200グラム/キロメートル)大型SUVで」という部分がありました。
この「200グラム/キロメートル」はミライのJC08燃費でのCO2排出量228グラム/キロメートルを下回っています。しかも、燃費の悪い大型SUVでという話ですから、普通のエンジン車なら比較にならないほど、ミライが悪い可能性があります。
気になって検索してみると、データが出ましたが、車両重量を揃えないといけなそうですね。
トヨタ・MIRAI - Wikipedia
車両重量 1,850-2,070kg
ミライと同じくらいの車両重量2000kgのガソリン車でのCO2排出量は、200~300グラム/キロメートルが多かったです。
(
5.乗用車の燃費・CO2排出量 (4)-1乗用車車両重量別CO2排出量(JC08モード)より)
少数ながらもっとCO2排出量が多いものもあるものの、本来ならミライが一番になってほしいところですからね。同じくらいの重量見ると、良いグループではあるもののその程度。一番にもなれないようです。
(1,850kgあたりで見ると、さらにミライの順位が悪くなります)
●ミライにとっては原発再稼動が待ち遠しい?
ただ、実を言うと、ミライのCO2排出量は原発の稼働状況によって左右されます。今回の条件は、"本田技研工業(ホンダ)が開発したスマート水素ステーションでは、1キログラムの水素を製造するのにおよそ50キロワット時の電力量を使う"というものでした。電力を作る際のCO2排出量がキーなのです。
原発が停止する前である2010年のCO2排出係数0.350キログラム/キロワット時、という条件の良いもので計算すると、かなり良化します。
【ミライのCO2排出量】
実燃費での計算 202グラム/キロメートル
JC08燃費での計算 140グラム/キロメートル
これですと、同じくらいの重量のガソリン車でのトップ(190グラム/キロメートルくらい)に圧勝できます。
ただ、グラフを再度見てみると、同じくらいの重量のガソリンハイブリッド車が130グラム/キロメートルくらいですから、やっぱりハイブリッドの方がいいじゃん!という最初の結論は変わりません。
また、EUにおける2020年のCO2排出量規制値は、さらに厳しい95グラム/キロメートルだそうで、ミライは未来のEUでは走れない車なのかもしれません。
●「重い」というのは、実は燃料電池車の重大な弱点
2016/01/18追記:同じ重量で比較していたのですが、技術的に小さくするのが難しいのでは?という話を見つけました。重いと燃費が悪くなり、CO2排出量が多くなります。本当に小型化できないのでしたら、かなり痛いですね。まあ、はてな匿名ダイアリーなので、怪しい話なんですが…。
「MIRAIには未来はない」理由を、理系のはてなーにわかるように書く はてな匿名ダイアリー 2015-05-04
なんでMIRAIには未来はないと思うのか。端的に、でかすぎ、重すぎなのだ。クラウンよりも5mm短くて横幅が15mmでかい。同サイズ以上。車重は2000kgオーバー。定員は4名で、後部座席の足元は前席下に入らない。トランクは狭小。これが、FCVに未来がないことの証拠だ。
そんなことがなぜ問題なのか。「初代の実験的販売車だからいいじゃないか。そのうち改善されていくだろう」。そうではない。たとえば初代プリウスはMIRAIより全長が600mm、横幅は100mm短く、車重は1200kg台で、定員5名だった。MIRAIより800kgも軽いのだ! 初代プリウスをあれだけコンパクトなパッケージにまとめたトヨタが、MIRAIでは会社の命運を賭けてもここまでのパッケージングしかできなかったということが、FCVの将来を暗示している。MIRAIはHVに比べても、積載している技術要素が多く、しかもそれぞれ小型軽量化するのが困難な技術的制約があるから、この大きさと重さになってしまっている。
また、金額が高いこと、加えて、税金がめちゃくちゃかかるという話もありました。
値段も高い。補助金なしなら700万円オーバーだ。そこに、国民の皆様の血税が220万円注ぎ込まれて、やっと500万円程度になる。ちなみに初代プリウスは補助金なしで215万円だった。おわかりいただけただろうか。だからMIRAIには未来がないのだ。
はてなブックマークで技術的なツッコミ入っているかな?と思ったものの、そういうのはなし。ブックマーク数少ないので洗練されていない可能性もありますが、むしろ賛同されていました。
“燃料電池の効率の悪さに無頓着な人が大杉。コジェネ用燃料電池とかは発生した熱を給湯等に使えるけど、移動体だと熱は全部廃熱として捨てるしかない”(cider_kondo 2016/01/18)
“企業アピールのためのアイコンの粋を出てないわな。先進企業のイメージを演出できるし独自路線で囲い込みも狙えるでこれ。だろうけど、やばい賭け。燃料電池の取扱はいわずもがなだけど買う人は多分環境気にしてない”(quick_past 2016/01/18)
何か暗い話ばかりなので、タグであったダジャレを紹介して終わっておきましょう。
"水素の望みは うすいそうだ" haruhiwai18
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