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攻撃的な交渉が上手は誤解 実は凄腕交渉人は正直者だった!


 当初は「望ましい交渉スタイル」というタイトルで書いていた投稿に、"主語を「わたし」にしたメッセージ"というのをまとめて、全体に見直しました。


●攻撃的な交渉が上手は誤解 実は凄腕交渉人は正直者だった!

 交渉に関しては、無理だと思うような要求をした方が良いとする人も多く、うちでも紹介しています。

 しかし、捕鯨交渉などでアメリカ・ヨーロッパの反捕鯨国から「タフ・ネゴシエーター」と恐れられた、元官僚で政策研究大学院大学客員教授の小松正之さんが、意外なことを言っていたのが強く印象に残っています。

 小松正之さんは、あまり駆け引きはしていないそうです。それどころか、とても正直であるようで、「こちらの意見を事前に相手に伝えておくことは、とても大事なこと」と言っていました。
(なぜ日本人は交渉で負けるか 世界が認めた国際交渉人が語る「失敗の本質」|世界がもしご近所さんだったら|ダイヤモンド・オンライン 2013年8月21日 まがぬまみえ [ライター]より)

 驚いたインタビューアーが「それって、手の内を見せちゃうことにはならないのですか?」と聞くと、「もちろん、あえて見せるんです」と、これを肯定していました。

 小松正之さんが全く相手の嫌がることをしないか?と言うと、そうではありません。

 例えば、「アメリカを相手に交渉する時は多国間交渉と二国間交渉、どちらがいいですか?」と聞かれたときに、「向こうが二国間交渉をしたがっていたら、多国間。多国間と言ったら、二国間だ」と答えたともおっしゃっていました。これは「相手が嫌がることにこちらの利益がある」という考えゆえです。

 ただ、実際の交渉の場に入ると、前述の通りのようです。理由として、以下のあたりを挙げていました。

・「こちらの意見を事前に相手に伝えておくと、相手も安心できる。イエス、ノーの軸を最初にはっきりさせておくと、相手も妥協点を見いだしやすくなる。
・反対に、安心できない相手と交渉していると、人間ですからつい、防衛本能が働いて、態度が硬化してしまう。

 そして、以下のように言っていました。

"私が交渉担当者だった時にはよく、「小松さんは手の内がわかるから安心できます」と相手国の担当者に言われました。ほかの日本人が交渉相手だと、何を考えているのかわからない、と。こういう場合、決して良い結果にはなりません"

 この小松正之さんの言っていることと同じことを、研究論文を根拠にして説明している記事も読んだことがあります。攻撃的な態度の方が良いとする人は多いものの、信頼度ではこちらの方が上だと感じています。


●攻撃的な自己主張より、相手の立場を考えて主張するのが大事

 ということで、ここでは攻撃的ではない感じの交渉に関する話を。まず最初は2011/2/17に書いた、当時「望ましい交渉スタイル 」というタイトルでやっていたものをベースに、改変したものです。

 このとき引用した記事ではまず、よく見られる交渉スタイルを三つに分けていました。
(「売り言葉」を買ってはいけない 2011年1月28日 一色 正彦 日経ビジネスオンラインより)

【1】強い自己主張を攻撃的に行う交渉スタイル(攻撃的タイプ)
 いわゆるアグレッシブな交渉スタイルを取るタイプです。パワープレイヤーの多くがこのスタイルを好むようです。この交渉スタイルは、自分の主張を相手に行っていますが、相手の立場は考えないので、交渉相手に不快感や不信感を与えやすく、主張内容を交渉条件として伝えるためには、リスクの高い方法です。

【2】相手に合わせてあまり主張しない交渉スタイル(非主張的タイプ)
 自分を抑え、相手に合わせる交渉スタイルを取るタイプです。一見、相手のことを考えて交渉しているように見えますが、「結局、何が言いたいのか分からない」と言われることが多いタイプです。交渉相手に対して、主張内容がわかりにくく、誤解を招きやすい方法です。

【3】相手の立場を考えて主張的する交渉スタイル(アサーティブな主張的タイプ)
 アサーション(Assertion)という言葉をご存じでしょうか。心理学の用語であり、日本語に翻訳するのが難しい英語ですが、「相手の立場を考えた自己主張(または、自己表現)」という意味です。攻撃的でなく、また、非主張的でなく、相手の立場になって、しかし、自分の意思をしっかり主張する方法です。


 著者は、交渉では、相手に自分の条件や考え方をきちんと主張する必要があるので、「自己主張」は大事としていました。しかし、それは必ずしも【1】攻撃的タイプを意味するわけではありません。

 そして、著者のお勧めするのが、【3】のアサーティブな主張的タイプです。


●攻撃的な主張をする人は不安で仕方ない

 これは例がないとわかりづらいので、例を見てましょう。以下は【1】攻撃的タイプに対して、【3】アサーティブな主張的タイプで対処する話です。


【例】「最初に申し上げておきますが、本件は、御社に○○の条件を受けてもらうことが前提であり、それ以外は考えられません!」など、一方的な主張から交渉を始られてた場合。


対策1:一方的な主張に対し、質問で返す。

 例えば、「~ということですが、それでは、具体的にはどうしたらよいでしょうか」(相手の発言を受けて、確認しながら、具体的な説明を促す)、または、「今の話は~と理解しましたが、この理解でよろしいですか」(相手の発言を要約して確認し、何を理解したかを返し、補足説明を求める)など、単純なイエス、ノーではないキャッチボール型の質問を繰り返す。

 すると、交渉相手は、理由を筋道立てて説明せざるを得なくなる。時間がかかる場合が多いが、相手が自分で自分の発言のツジツマが合わなくなることに気が付くなど、冷静になりやすくなる。


対策2:ブレイク(休息)を取る。

 ブレイクは交渉マネジメントにおいて戦略的にも有効な方法で、相手も自分も冷静になり、交渉再開時に、次の展開への可能性を広げることができる。


対策3:相手の背景に潜む不安感などを見抜く。

 相手が非常に感情的に一方的な条件に固執する場合、必要以上に強気な発言を行う場合の多くは、相手が本当に強い条件を持っているのではなく、触れられると困る弱い条件を意図的に避けたり、隠したりしている可能性がある。質問への答え方や表手の動き、目の動きなどをよく観察していると相手の背景に潜む不安感などが見えてくる。


対策4:相手の立場を考えて自己主張する。

 相手の背景に潜む不安感などが見抜けたら、自分は冷静に返しつつも、言うべきことは伝える。


 上記の話を書いた当時は知りませんでしたが、攻撃的な主張をする人というのは、実は不安があるからという研究や事例はこの後、いろいろなところで目にしました。

 例えば、保育園の建設に反対する人は、騒音の不安に敏感な人であり、実際にどれくらいの騒音があるかなどを丁寧に説明すれば安心して理解してくれることもあると言います。

 また、外国に対して攻撃的な主張をする保守派は、不安や恐怖に弱い人々だという研究もあります。突然大きな音を聴かせたり、感情をかき乱すような画像を見せたりした場合に、保守的な思想の人ほどショックが大きいのだそうです。


●相手への要求は、主語を「わたし」にすると良くなる

 もう一つ、2009/11/25に書いた"主語を「わたし」にしたメッセージ"も交渉に使えそうな話でした。

 このとき使ったのは、主語を「わたし」に変えてメッセージを送ると良いという内容の記事。しかし、元記事の例が極端に言葉が荒かったので、改善前の例文についてはあり得そうな形に変更しています。

 とりあえず、具体例をいくつか。

改善前のメッセージ:「いつになったら、仕様を決めてもらえますか?」
改善後のメッセージ:「仕様が早く決まると、とても助かります」

改善前のメッセージ:「早く仕様を決めていただきたいです」
改善後のメッセージ:「仕様が決まらないので、とても困っています」
主語は「わたし」に――相手の心に響く伝え方、竹内義晴,ITmedia、2009/11/21より)

 改変したので、変化は微妙になっていますが、改善後のメッセージの方が、柔らかい表現になっていると、感じられると思います。

 これを著者は「主語を『わたし』にする」と呼んでいるようです。改善前のメッセージでは、「あなた」が主語であり、改善後のメッセージでは、「わたし」が主語になっているためでしょうね。

 「あなた」を主語にすると、その次に来る言葉は相手に関連する事柄で、結果として、相手を責めたり、行動を変えさせたりするといったメッセージになりやすいと著者は言います。

 一方、「わたし」を主語にすると、それに続く言葉は自分の気持ちや感情になり、相手からすると、自分が責められているというプレッシャーを感じにくくなるし、プライドも守るとされています。むしろ、「自分の行動や言動で迷惑を掛けてしまったので、早く対処しないといけない」といった気持ちが生まれると、著者は書いています。

 そううまく行くかどうかはわかりませんが、「わたし」を主語にして話す方法は、カウンセリングやコーチングでよく使われる技法だとも書かれていました。簡単ですので、試してみると良いかもしれません。

 私も自分の言動を振り返ってみれば、改善後のように「お願いします」的に物事を伝えているときもありました。もっと意識していれば、良かったかもと思いました。


●褒めるときも使える、主語を「わたし」にする作戦

 さらに、おもしろいことに、以上のようなネガティヴなメッセージのときだけでなく、この方法はポジティヴなメッセージでも有効だと言うのです。

改善前のメッセージ:「あなたは、いつも仕事が早くて素晴らしいね!」
改善後のメッセージ:「あなたの仕事が早いおかげで、(わたしは)すごく助かるよ!」

 著者はこれについて、気恥ずかしさはやわらぐことを強調していましたが、私としてはもう1つの、無理に賞賛していないという点の方が、大事そうに思えます。

 伝えられた側も、「すごく助かる」というメッセージは「相手の役に立ったのだ」という思いを生み出すだろうと書かれています。

 以上のように、元記事はビジネスを想定したものではありますが、私はコミュニケーション全般において、このやり方は応用できるのではないかと思いました。


●「叱る」より「褒める」、「褒める」より「感謝」

 ここまで当時書いたものでしたが、今読み直してみると、これは「感謝」になっているってのが良いですね。

 未だに「叱る」のが大事で、"叱れない上司はダメ上司"みたいな記事が人気なのですが、叱るが優れているという説は、研究の裏付けがなく迷信に近いです。

 それよりは「褒める」の方が良いとされているものの、実はこのさらに上があります。それが「感謝」であったり、「認める」であったりというものです。
(関連:上司は部下の叱り方を調べるより思いやりを持て 研究論文が示唆)

 「褒める」が難しいのは、褒められる仕事をしていない人はいつまで経っても褒められないということだと、私は思います。無理に褒めてしまって、余計反感を買うなんてこともあります。

 しかし、ある人がやっていることに理解を示したり、感謝の意を伝えたりといったことなら、誰にでもできるはずです。読み直してみると、思っていた以上に良いアドバイスだと感じました。


【本文中でリンクした投稿】
  ■上司は部下の叱り方を調べるより思いやりを持て 研究論文が示唆

【その他関連投稿】
  ■怒る人の心理と逆ギレする人の対処法 怒鳴るタイプへの対応はともかく怒鳴らせる
  ■クレーム対応の禁止文句「ですから」「だって」「でも」 援川聡推奨のコツとは?
  ■飲み会の誘いの断り方&Facebook、mixiなどのSNS申請の断り方
  ■交渉のコツ10のポイント 心理学を応用したテクニックで頼み上手に
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