マーケティング用語集 消費性向と貯蓄性向 - J-marketing.net produced by JMR生活総合研究所
1.消費性向とは
個人家計の収入から、税金などの非消費支出を差し引いた残りを可処分所得といい、この可処分所得のうち消費支出にあてられる額が占める比率を消費性向といいます。可処分所得は支出面から消費と貯蓄に分けられますが、そのうち消費支出に回される分の割合ということになります。家計の消費意欲を示す指標であり、消費性向が高いほど、家計の消費意欲も高いということになります。
家計調査における平均消費性向とは、実収入から税金等を差し引いた可処分所得に対する消費支出の比で計算されたものです。
消費税10%「リーマンショックのような事態ない限り」 NHKニュース 1月19日 12時19分
安倍総理大臣は、今年度の補正予算案に盛り込まれた、所得の低い高齢者などを対象に1人3万円を支給する臨時給付金について、「選挙対策のバラマキではないか」と指摘されたのに対し、「現役世代には賃金の引き上げの恩恵が及びやすい一方、恩恵が及びにくいのが高齢者だ。高齢者層は消費性向が高い傾向にあることも踏まえ、税収増のアベノミクスの果実を活用し給付金を支給することにした。ミクロ的な観点から見てもマクロ的な観点から見ても、正しい政策だ」と述べました。
2.貯蓄性向とは
所得のうち貯蓄に向けられる割合を貯蓄性向といいます。消費性向と一対の概念であり、消費性向と貯蓄性向の和は1となります。日本では以前から貯蓄性向の高さが指摘されていますが、これは将来に対する生活不安や住宅取得という問題が背景となっており、さらに倹約を美徳とし、安全志向の高い国民性などが考えられます。
平成22年度 年次経済財政報告(経済財政政策担当大臣報告)―需要の創造による成長力の強化― 平成22年7月 内閣府
次に、貯蓄残高の多寡による消費行動の違いを調べてみよう。ここでは、貯蓄残高によって消費が大きく左右される可能性の高い、60歳以上の高齢無職世帯に着目し、貯蓄階級別の平均消費性向と可処分所得を比べてみよう(第2-2-12図)。世帯属性を揃えるため、ここでは2人世帯に限定し、2002~2009年の平均的な値をとる。
第一に、60~64歳では、貯蓄残高が多いほど平均消費性向が高い。また、消費性向が100%を上回るので、貯蓄を取り崩している。この年齢層について、貯蓄階級別の可処分所得を見ると、一定の規則性は観察されない。すなわち、貯蓄残高と可処分所得は関係がない。したがって、貯蓄が多い世帯ではその取り崩しも多く、結果として消費の水準も高くなっていることが分かる。
第二に、65~69歳になると中位より貯蓄の多い世帯では消費性向が上がらなくなる。ただし、いずれの階級でも消費性向は依然として100%を超えており、貯蓄を取り崩している状況には変わりがない。一方、可処分所得を見ると、第V分位で特に多くなっている。したがって、貯蓄の最も多い第V分位は、貯蓄をそれほど取り崩さずに一定の消費水準を確保できていると考えられる。
第三に、70歳以上では貯蓄残高による消費性向の差がなくなる。しかも、消費性向は100%前後であり、貯蓄は取り崩していない。一方、これらの世帯では貯蓄残高が多いほど可処分所得が多い。したがって、70歳以上の世帯では、貯蓄が多いほど消費も多く、かつ、貯蓄に手をつける必要がない。
以上から、マクロ的な消費活性化を考える場合、貯蓄に手をつけずに消費が賄えている層について、消費機会の制約要因を緩和する方策に加え、若い世代が彼らの持つ購買力を活用できるような工夫なども検討の余地があろう。
退職直後の消費性向は175% | コラム | 大和総研グループ | 鈴木 準
図の棒グラフは、高齢無職世帯の消費性向を世帯主年齢別にみたものである。消費性向は、引退直後の60歳代前半で最も高く、年齢が上昇するにつれて低下し ている。高齢になるほど消費が減少する一方で、70歳代前半までは高齢になるほど可処分所得が増えているためである(折れ線グラフ)。(中略)
無職の60~64歳が世帯主の世帯の金融資産残高は2429万円(2004年)。金融資産からは利子等やキャピタルゲイン収入が期待できることに加えて、 高齢世帯は金融資産を上回る実物資産(宅地・住宅資産など)を持っている。人々は、高齢期になると年金や資産運用から収入を得つつ、資産残高を取り崩しな がら消費を行う。しかし、実際には、高齢無職世帯は70歳以上世帯主であっても2367万円の貯蓄残高を維持している。平均的にみれば、高齢者の中の高齢 者ほど消費性向は高いのではなく低いのであり(貯蓄率のマイナスが小さく)、高齢期を通じて資産残高はそれほど減らないのである。
高齢期を均してみれば現在の公的年金給付が過大である可能性や、高齢者の非消費支出(税負担など)が過少である可能性ではない だろうか。(中略)仮に年金給付総額が、高齢期の消費総額と自身の資産残高とのバラ ンス上で十分過ぎるものであれば、結果として資産を遺産として残すことになる。
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