2019/10/18:
●まさか!「研究不正の研究」が研究不正をしてしまう
●さすが研究不正大国日本!日本の研究者倫理の低さの証拠か?
●日本の研究不正の原因候補「お金」と「成果」…今回も同じか?
●まさか!「研究不正の研究」が研究不正をしてしまう
2019/10/18:わけのわからんタイトルになってしまいました。一つずつ見ていきましょう。
まず、問題の調査研究は、長崎大学の河合孝尚准教授を代表者とする「医療分野における研究不正行為に関する意識調査及び心理的要因分析」というもの。日本で現在問題となっている研究不正について調査した研究です。本来ならこうした研究自体は有益なものです。
ところが、この「研究不正行為の原因解明と対策案等を検討する」調査研究において研究不正疑惑が判明。 一応まだ確定はしておらず、疑惑の段階ですが、単純コピペの他、加工盗用が見られるとのこと。うちでは取り上げていませんでしたが、研究不正に関して非常に多くの報告をしていて有名な白楽ロックビルさん(お茶の水女子大学名誉教授)のウェブサイトからの大量の盗用があったといいます。
白楽ロックビルさんの報告が豊富であったため、便利だということで使われてしまったのかもしれません。当然これは擁護できるような話ではなく、完全に駄目。また、よく書いているように不正をやる人は他でもやっていることが多く、白楽ロックビルさん以外からも盗用している可能性が指摘されています。
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「研究不正の研究」で研究不正の衝撃(榎木英介) - 個人 - Yahoo!ニュース 2019年10/4(金) 17:30より)
●さすが研究不正大国日本!日本の研究者倫理の低さの証拠か?
なお、作者の榎木英介さんは、「この記事を書くことに葛藤を感じている」としていました。「この記事によって、ようやく芽生え始めた、日本国内の研究公正に取り組む動きがダメージを受けるのではないか」という懸念があるため。
研究不正を告発した者に対するハラスメントは苛烈なものがあり、研究不正で得をしている人たちは、研究公正の動きをつぶしたいと考えています。今回のことも研究公正つぶしに利用される可能性がある、と心配されていました。ただ、不正は不正。「忖度してはいけない」ということで、書かれたとのことです。
私は正直この考え方は全然しませんでした。日本ではデータ的に見て研究不正が非常に多く、なおかつ告発者潰しがあるように不正に甘く、倫理の低い国です。「研究不正の研究」が研究不正をしてしまうというのは非常に日本らしいと思いましたし、むしろこれだけひどいのだから、やはり日本の研究不正に対する意識を大きく変えていかなくちゃいけない、という強烈な証拠のように思えました。だからこそもっと不正対策が必要だ!という事件でしょう。
●日本の研究不正の原因候補「お金」と「成果」…今回も同じか?
もう一つ、榎木英介さんは強調していなかったのですけど、今回の不正は一般的な不正とよく似た構造で引き起こされたものではないかとも思いました。日本で研究不正が多い原因の一つとされている「お金」と「成果」の問題です。
日本でもようやく国や関連機関が、研究不正を減らし、健全で公正な責任ある研究活動を推進する(研究公正の)ために、様々な取り組みを開始。その一つが日本医療研究開発機構(AMED)による「研究公正高度化モデル開発支援事業」というもの。今回の不正疑惑の研究もその一つだったそうです。
そして、ここで問題となると言うか、本来は全然悪いことではないのですけど、研究費も出ているというのがポイント。正確な研究費は不明でかなり多めの見積もりでしょうが、最大3000万円程度の研究費が支払われた可能性があるそうです。
日本は政府の方針により、長い間研究費を削られ続けてきており、研究費獲得に焦っているところが多い状況。加えて成果の方は以前よりずっと求められるなったため、成果を出さなくてはと切羽詰まって、不正が起きやすくなっているのではないかという見方があります。
今回の「研究不正の研究」の研究不正も同じ構造によって起きている可能性があり、そうであれば、こちらの意味においても現在の日本の研究者を取り巻く現状を示す、非常に象徴的な事件だったのではないかと思いました。
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