大阪産業大学の話をまとめ。<大阪産業大の准教授と非常勤講師、論文盗用と経歴詐称で依願退職>などをまとめています。
冒頭に追記
2023/03/01追記:
●大阪産業大で提訴 幹部教授の不正を内部告発で、報復パワハラか? 【NEW】
【クイズ】「依願退職」の場合、退職金は支給されるか?
(1)退職金は必ず支給される。
(2)退職金は必ず支給されない。
(3)会社によりけり。
●大阪産業大で提訴 幹部教授の不正を内部告発で、報復パワハラか?
2023/03/01追記:大阪産業大学で<【独自】男性教員が幹部教授らから“嫌がらせ”『全授業とゼミ担当外される』10年前に不備指摘がきっかけ…慰謝料など700万円求め「大阪産業大」提訴へ>(23/2/28(火) 11:39配信 MBSニュース)というニュースが出ていたので、大阪産業大学の別の話題の投稿に追記しました。
<訴えによりますと、大阪産業大学経済学部の男性教員(50代)は10年以上前、当時の学部長に対し「留学生の単位を不正に認定しようとしている」と指摘したことなどをきっかけに、学部の教授らから必要な経費が承認されないなどの嫌がらせを受けるようになったということです。
2年前には授業の進め方を巡り学生から大学に苦情があったとしてゼミの担当から外され、来年度は全ての授業からも外されるということです>
https://news.yahoo.co.jp/articles/bdf7b73b9d60d45383a145f765b14d9a1b56038c
男性は大学側に慰謝料など700万円を求め、提訴する方針と伝えられていました。上記までの内容は飽くまで男性教員側の主張であり、大学側の主張も聞く必要がありますが、大阪産業大学は「個人に関わることなので一切お答えできない」としています。情報がなさすぎて、これでは何とも言えません。
一般論で言うならば、不正の内部告発に対する報復はよくある話とは言えます。大学でも全く珍しくありません。こうした大学の報復ではそういった例はすぐには思いつかないものの、企業では裁判などで内部告発に対する報復があったことが確定している例がいくつもあります。なので、事実であっても不思議ではないでしょう。
●大阪産業大の准教授と非常勤講師、論文盗用と経歴詐称で依願退職
2016/1/23:
大産大准教授、論文に盗用 - 非常勤講師の経歴詐称も | マイナビニュース [2016/01/22]という記事を見て、うーんと思ったのは、今回の件が「依願退職」だったことです。この「依願退職」についてのクイズを最初に出しています。
記事ではこの不正の指摘を受けて、工学部の環境学を専攻する准教授の男性、職歴を詐称も見つかった非常勤講師ともに、依願退職しているとされていました。
<大学によると、論文は大阪府内の環境汚染物質がどのように拡散していくかを解析したもので、04年4月に環境工学分野の学会誌に発表。他の研究者が発表済みの論文の文章やデータが約30カ所流用されていた。また、研究データの記録が保存されていなかった>
●研究データなしが問題だと判断
文部科学省のまとめていたものによると、認定理由は以下。他の大学や研究機関では、データ無しで不正なしとしている例があります。こうなると、証拠隠滅すれば無罪であり、不正し放題でたいへん問題です。それらの最悪な判断に比べると、良い判断であるように見えます。
・調査対象論文において、3編の他者の論文から適切な引用表示なく、32箇所にわたって本文及び図表をそのまま、又は一部を修正し流用していること。
・第1著者の大阪産業大学工学部准教授については、当該論文を第2著者に任せて本人は作成に関与せず取りまとめだけを行ったと主張していること、当該論文に係る研究記録等が存在しないことから、論文盗用に直接関与したとする確証には至らなかった。しかしながら、論文の盗用に関与していないとしても、研究記録等が存在せず、内容を確認できていない論文の第1著者として論文投稿をする行為が問題であり、さらに、論文に関係のない者を著者に加えたことを含め、盗用が行われた論文の第1著者として責任があると判断する。
(
大阪産業大学工学部所属教員による研究活動上の不正行為(盗用)について:文部科学省より)
●非常勤講師は盗用に関わった疑いがあるものの確証得られず
一方、非常勤講師の方は関与を判断できませんでした。
<(第1著者以外の著者の関与について)
・第2著者の大阪産業大学工学部非常勤講師については、本人は論文の作成に関与していないとの主張を行ったが、第1著者との査読審査における電子メールのやり取りから、当該論文の作成及び論文盗用に関わった疑いがあり、調査委員会及び研究倫理委員会ではヒアリング時に主張した内容に疑念はあるが、盗用を行った確証を得ることができず、盗用に関与したと判断するに至らなかった。
その他の著者2名については、論文盗用に関与していないと判断した>
●准教授は「降格」相当で依願退職受理 処分は妥当なのか?
ここまでは理解できる対応でしたが、問題はここから。「第1著者に対する大阪産業大学の対応(処分等)」によると、<審議の結果を踏まえ、大阪産業大学は、当該論文の第1著者である工学部准教授を「降格」相当とすることとした>とのこと。「降格」相当止まりだったのです。
<なお、懲戒委員会の審査途中において、第1著者である准教授から、退職願が提出されたため、大学としてこれを受理した。
また、盗用が認定された論文の第2著者である工学部非常勤講師については、当該不正行為への関与とは別に、調査過程において履歴事項及び研究実績に詐称の疑いが生じ、別途、経歴詐称について調査を行ったところ履歴事項及び研究業績に詐称が判明した。その後、当該人から退職届が提出されたため、大学としてこれを受理した>
ここで、依願退職についてのクイズの回答です。
【クイズ】「依願退職」の場合、退職金は支給されるか?
(1)退職金は必ず支給される。
(2)退職金は必ず支給されない。
(3)会社によりけり。
【答え】(3)会社によりけり。
依願退職で退職金は支給されるか? - 労働問題相談室によると、依願退職は、特に懲戒解雇や論旨解雇といったような会社に迷惑をかけての退職ではないと説明。そのためまず退職金は満額支給されるような規定となっていることがほとんどだとしていました。ただし、以下のように例外もあるみたいですね。
<問題は依願退職が自己都合か会社都合かのどちらに該当するのかを明確に規定しているかどうかだと考えます。
(中略)依願退職がどちらに該当するのか明示していない場合にはトラブルとなることも予想されます。
個人的には依願退職とは合意退職であり、会社が退職を持ちかけているので会社都合とするのが自然のように考えています>
私はてっきり依願退職の場合は必ず退職金が出るのだと思っていましたが、上記のように場合によりけりのよう。大阪産業大学はどうなっているかは不明なものの、とりあえず、ぱっと見たときには退職金が出るとすれば問題だと感じました。懲戒処分によっては退職金に関わることがあり、その前に退職して満額支給となると、早く辞めたら得するためです。こういった場合は、退職を認めるべきではありません。
ただ、よく調べてみると、そもそも大阪産業大学の処分は「降格」止まりで、懲戒解雇じゃなかったとのこと。退職を認める・認めない以前に、処分の重さが問題だったように思えます。 → 続報が出て、
大阪産業大論文盗用・経歴詐称は、平塚彰准教授と粟田功非常勤講師を書いています。
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