パワハラ芸能事務所はブラック企業？ジャニーズに公取委が注意、のん退社のレプロにも疑惑の目

2016/1/24：
●SMAPの独立は無謀すぎるという批判がそもそも間違っている理由
●ブラック企業・パワハラ問題としてのジャニーズのSMAP解散騒動
●社長や事務所の社員にも許しを乞わなくてはいけないと説明
●過去のパワハラ問題と似ているジャニーズの手法
2019/07/25；
●ジャニーズ事務所の圧力に公取委が注意、のん退社のレプロにも疑惑の目
2019/08/03：
●テレビ局の独禁法違反やバーニング系・吉本興業の圧力も問題？


●SMAPの独立は無謀すぎるという批判がそもそも間違っている理由

2016/1/24：何かまた旬を外しちゃった気がしますが、他の話を優先していたら遅くなりました。何を書きたかったか？と言うと、ジャニーズのSMAP解散騒動は、日本にはびこるブラック企業・パワハラ問題としても象徴的だな…という話です。

　ただ、その前にもう一つのビジネス的な見方について補足。飯島三智マネージャーやSMAPの4人が独立が無理筋で未熟という批判もあったのですが、今回の件に関しては誤解です。

　なぜかと言うと、そもそも飯島三智マネージャーに対してSMAPを連れて出て行くように言ったのは、メリー喜多川・ジャニーズ事務所副社長でした(文春の取材中に本人の前で発言したとのこと)。なので、勝手に独立しようとした…というのは、ちょっと筋違いな批判だと思われます。


●ブラック企業・パワハラ問題としてのジャニーズのSMAP解散騒動

　さて、ブラック企業としての問題。どこで読んだ記事だったか忘れたので検索かけたら、スマスマでの謝罪はパワハラ？「事実上の解散」という指摘も(2016年1月22日 (金) 07:00 配信 しらべぇ（取材・文／しらべぇ編集部・クレソン佐藤）)なんかは、ズバリパワハラと書いていました。

　一部では「事務所からメンバーへのパワハラ」とも評される謝罪会見について、アンケートサイト「マインドソナー」で調査したところ、「パワハラだと思う」と回答したのは全体の40.7％だったそうです。

　私が読んだのは企業対応としてのあり得なさに指摘していたんですが、それが見つかりません。とりあえず、虐待児童のよう！SMAP生出演でファンが言葉を失った中居正広の“怪行動”　アサ芸プラス / 2016年1月21日 17時59分だと、虐待を連想したという話もありました。

＜中居は自らの挨拶の途中で思わずため息が出てしまうなどあきらかに不満気、さらにファンをもっとも苦い表情にさせたというのが、最後の木村の挨拶時に中居が自分の手をもう片方の手でつねっていた行為だという。「イジメられっ子の自虐行為みたい」「まるで拷問だな」「そこまでしないと耐えられないのか」などの感想を持たれたのは致し方ないところだろう＞


●社長や事務所の社員にも許しを乞わなくてはいけないと説明

　問題の発端となった文春では、別記事であるSMAP存続の条件をジャニーズ首脳が実名告白！ | スクープ速報 - 週刊文春WEBでも、ジャニーズの異常性を感じる話がありました。

　文春では、ジャニーズ事務所の顧問であり、関連会社「ジャニーズ・エンタテイメント」代表取締役の小杉理宇造さん（68）にインタビュー。小杉さんは独立騒動の顛末についても子細に答えてくれたのですけど、この内容がちょっとびっくりなんです。

「一度独立を表明した（木村拓哉以外の）4人のメンバーが事務所に戻るには、当然条件があります。まずは国民的スターの自覚もなく、曖昧な言動でファンや関係者にご迷惑、ご心配をかけたことを謝罪すること。“内”に向けた謝罪も必要です。社長のジャニー（喜多川氏）をはじめ、事務所の社員にも許しを乞うこと。
　さらに今回は木村君が残るという形でメンバーが4対1に割れてしまった。寂しい思いをした木村君、大切な仲間である彼にも謝るべきだと申し入れました」

　「社長や社員に謝罪すべきと言った」というエピソードは普通なら批判する論調で出るエピソードであり、自ら得意気に言う話ではありません。

　また、同じ記事で「今回ジャニーさんに謝る機会を木村君が作ってくれて今僕らはここに立てています」というテレビ会見でのコメントを引用しているように、そもそもテレビの謝罪がファン向けではなく内部向けだと一般的には受け取られていました。


●過去のパワハラ問題と似ているジャニーズの手法

　このテレビでの謝罪は視聴者の心証を悪化させたわけですが、派閥争いだとした場合でも内部で解決すべきことを「公開処刑」のような形にするという選択肢はあり得ません。株主総会で一部の社員を並べて謝罪させるなどしたら大騒ぎになりますよね？

　本来、企業やタレントのイメージダウンに繋がるので絶対やっちゃいけなかったんですが、ジャニーズ事務所にはそういった発想がなかったようです。

　また、外部向けに公開しなくても、無理やり謝罪させて惨めな気持ちにさせるというのは許されない場合が多いです。パワハラなどとみなされるおそれがあるためで、過去の話でも何度か出てきています。

　例えば、最近、楽しみながら社員をうつ病自殺に追い込もう！社労士のブログが炎上・閉鎖で出ていた、社労士による社員の追い込み方の話。ノートに自分が今まで行ってきた失敗や他人へ迷惑をかけたと思っていることなどを、思い出せるだけ書くように勧めていました。精神的に追い込んで病ませるためです。

　しかし、当然こういった手法は問題であり、実行者らは傷害罪などになる可能性があるそうです。

　渡邉美樹会長の学校郁文館　反省文100枚・退学多数・教師も退職というタイトルでわかりますが、元ワタミで自民党の渡邉美樹議員の学校でも罰として異常な量の反省文を書かせていました。これも通常の反省を促すという行為から逸脱していると考えられます。

　謝罪文以外ですと、オリンパスの内部告発者いじめ・報復・パワハラ 裁判の判決も無視で、新人向けの教材を読むことを強制するという別の精神の追い詰め方がありました。

　ジャニーズ事務所のやり方はこれらと同類であり、いじめが目的になってしまっています。「今年のブラック企業大賞はジャニーズで決まり」なんて声も挙がっているように、本来、もっと問題視されるべき話です。


●ジャニーズ事務所の圧力に公取委が注意、のん退社のレプロにも疑惑の目

2019/07/25；最初スルーしていたんですが、そういや過去にこの話を書いたなと思い出して追記。ジャニーズ事務所を退所した元SMAPの稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾の3人を番組に出演させないよう、テレビ局に圧力をかけた疑いがあるとして、公正取引員会が同社に対して注意したと報じられていたのです。

　ジャニーズ事務所は、圧力をかけた事実はないとしながらも、「当局からの調査を受けたことは重く受け止め、今後は誤解を受けないように留意したいと思います」とコメント。圧力は認定されなかったようですが、制作会社関係者は忖度があっただろうとしています。

「ジャニーズ事務所からの直接的な圧力がなかったとしても、ジャニーズ事務所に対する忖度が働いたのは間違いない。公取委が注意してくれたことで、今後はジャニーズに忖度しなくていいと、ホッとしているテレビマンは多いと思いますよ」
(元SMAPをテレビに出すな！　ジャニーズ事務所の圧力に公取委が注意で、大手事務所も戦々恐々　日刊サイゾー　2019年7月21日より)

　また、こうした圧力は他の事務所でも疑われているもの。芸能プロ関係者だという人は、のん（能年玲奈）が退社した際に揉めたレプロエンタテインメントや、昔独立した小柳ルミ子や森進一を干していたとされるナベプロ（ワタナベエンターテインメント）の名前を挙げていました。


●テレビ局の独禁法違反やバーニング系・吉本興業の圧力も問題？

2019/08/03：別記事も読んだので追記。元SMAPへの「圧力」ジャニーズの巧妙な手口が明らかに - 趣味女子を応援するメディア「めるも」(wezzy　2019/7/26 19:05)というものです。

　公取委からジャニーズ事務所へなされたのは、あくまで「注意」であり、証拠は見つからなかったと考えられます。「週刊文春」によると、ジャニーズのスタッフは、テレビ局幹部に元SMAPメンバー3人のことを取り上げた番組や尺の長さをリストにしたデータを渡したものの、「番組を終わらせろ」といった発言はいっさいしていませんでした。

　ただ、元SMAPメンバーを取り上げた番組についてのデータを見せた上で、「なぜこうなったのですか？」などと「声かけ」をするだけで、元SMAPメンバーを取り上げないように…といったプレッシャーには十分すぎるほど。忖度したテレビ局は、元SMAPメンバーを使う機会を減らしていったと考えられます。政治でも忖度問題が言われましたけど、抜け道になっていますね。

　なお、「公取委の本丸はジャニーズ事務所よりもテレビ局の独禁法違反としていった話も。さらにジャニーズと同様のやり方でメディアに“タブー”をつくりだしている例として、バーニングプロダクション系列の事務所があるという話もありました。前述ののん（能年玲奈）の他、、鈴木亜美（鈴木あみ）、水野美紀などが、バーニング圧力によってテレビの出演機会を奪われたとされるタレントだそうです。

　さらに謝罪会見で話題になり、今をときめく吉本興業も同様だとして、「バーニング、吉本興業、そして、過去にジャニーズ事務所が行ってきた圧力についても、徹底的に検証されることが求められる」とされていました。


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